

ザ・モンキー | The Monkey (2025)
2.9/5.0 「ロングレッグス」を手掛けたオズグッド・パーキンスが脚本・監督し、「ソウ」シリーズや「M3GAN/ミーガン」等で知られるジェームズ・ワンが製作に携わった、スティーヴン・キングの短編「猿とシンバル」を原作とするホラー映画。 ある男が手に入れたゼンマイ式の猿の人形は、太鼓を叩き始めると「誰かが理不尽な死を迎える」という呪物だった。 その人形を遺品として受け継いだ主人公とその双子の兄弟の周囲で、不審死が連続発生していく。 主人公は人形を捨てたり破壊しようと試みるが、それは逃れられない呪いであることが分かってくる。 ジェームズ・ワンらしいショッキングかつポップな画づくりと、ホラージャンルの監督で注目されるオズグッド・パーキンスの個性が掛け合わさった演出は斬新で、恐怖するというより笑ってしまいそうになる様々な死に方が描かれる。 ほんの数分だけ出演しているイライジャ・ウッドの演技づけが奇妙で、他の俳優も程度の差はありながらどこか居心地の悪い読後感が残る存在として演出されている。 パーキンス監督にはやや独特でブラックなコメディのセンスがあるのか
May 6


ブゴニア | Bugonia (2025)
4.0/5.0 「ミッドサマー」や「ヘレディタリー」を監督したアリ・アスターが製作し、「哀れなるものたち」を手掛けたヨルゴス・ランティモスが監督した、ジャンルの分類が難しいサスペンスでありブラックコメディ。 2003年に韓国で製作された「地球を守れ!」のリメイク作品。 エマ・ストーンが演じる主人公は巨大製薬企業のCEOで、社会的な成功者ではありながら、その非情さから悪の象徴と見做されている。 そのCEOを誘拐・監禁するのが、ジェシー・プレモンスが演じる養蜂家で、密かに地球を支配しているアンドロメダ星人が存在するという陰謀論に取り憑かれている。 養蜂家とその従兄弟はCEOを追い詰め、4日後の月食の夜に地球を訪れるアンドロメダ皇帝に自分達を会わせろと要求するが、知恵が回るCEOとの対話を重ねるうちに、言いくるめられそうになる。 「女王陛下のお気に入り」や「哀れなるものたち」でヨルゴス・ランティモス作品に出演してきたエマ・ストーンと、「ブレイキング・バッド」や「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で一度観たら忘れられないほどの静かな狂気を秘めた演技で注目
May 5


エイペックス・プレデター | Apex (2026)
3.1/5.0 自然 x サバイバルな映画を手掛けてきたアイスランド出身のバルタザール・コルマウクルによる、NETFLIX配信のサバイバルアクション。 「マッド・マックス 怒りのデスロード」や「アトミック・ブロンド」へ出演してきたシャーリーズ・セロンと、「キングスマン」シリーズの主演で知られるタロン・エガートンという、2大アクション俳優が出演。 主人公の女性は、クライミング中の事故でパートナーを失い、そのトラウマを抱えたまま日常生活へ戻れずに過ごしている。 辛い過去から逃れたい思いから訪れた荒野にて、一見親切だが不審に感じる男と遭遇する。 物語はとてもシンプルで、厳しい大自然を舞台にした人間 vs 人間のサバイバルが描かれる。 主人公を演じるシャーリーズ・セロンの衰えを知らないフィジカルアクションは見どころがあり、それを殺人鬼としてハントする役のタロン・エガートンは、そのアクションだけではなく、これまで多く演じてきたヒーロー役とは真逆の狂気に染まった悪役を演じており、俳優としての新境地を感じた。 ただ、物語の結末まで退屈したり粗が気になったりはし
May 4


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4


アバウト・タイム 愛おしい時間について | About time (2013)
4.2/5.0 「ブリジット・ジョーンズの日記」や「イエスタデイ」の脚本で知られるリチャード・カーティスが脚本・監督を手掛けた作品で、「エクス・マキナ」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に出演しているドーナル・グリーソンと、「ドクター・ストレンジ」や「HELP -復讐島-」に出演しているレイチェル・マクアダムスを中心に描かれるロマンティックSF。 主人公の男性が21歳の誕生日に父から告げられた秘密は、強く願えば自分自身の過去のある瞬間に戻ることができるという、タイムトラベルの能力を持つ家系だということだった。 その能力を恋人づくりに使おうと決めた主人公は、何度か失敗を繰り返しながら最愛の女性と両想いになるのだけれど、過去に戻ってそれを改変することには代償があり… という物語。 タイムトラベル系SFでよく語られるバタフライ効果 (些細な出来事の差異が未来に破局的な影響を及ぼすリスク) が今作でも取り扱われており、主人公はどのように能力と向き合い、どのように生きていくべきかを問われる。 何よりも、主演2人を初めとする俳優達の演技が素晴らしい。..
May 3


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
May 3


ウォーフェア 戦地最前線 | Warfare (2025)
3.6/5.0 海兵としての従軍経験を持つレイ・メンドーサと、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドが共同で脚本・監督を担った、レイ・メンドーサ氏の実際の体験に基づく戦争映画。 舞台はイラク戦争中のラマディ。アルカイダ幹部の監視任務に就いていた通信兵のレイを含む8人の特殊部隊は、敵側にその動きを察知され、先制攻撃を受ける。 死亡者や負傷者が続出し救援もままならない状況下において、レイや指揮官達は極限の選択を迫られながら、戦場からの脱出を図る。 レイ監督とその同僚が体験した戦闘および実際の行動が、過度な演出を排したリアルなタッチで描かれており、その緊迫感は凄まじい。 ダイナミックなカメラワークや劇伴といった手法は存在しないが、その突き放すようにドライな演出が戦場の緊迫感の再現に寄与している。 加えて、兵士役の演技指導に実際の戦闘経験がある元兵士を多数起用したことも、画のリアリティを強化している。 物語のテーマについても同様で、ただひたすらに人々が殺し合う戦争という状況の再現に徹することで、かえってその残酷さと虚しさが読後感とし
Apr 29


HELP -復讐島- | Send Help (2026)
3.9/5.0 「死霊のはらわた (1981・1987)」や「スパイダーマン (2002・2004・2007)」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督によるサバイバルスリラーで、同監督による「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に出演していたレイチェル・マクアダムスが主演を担っている。 コンサルティング企業で働く主人公は有能だが不器用で社交性が低く、上司から冷淡で不当な扱いを受けている。 その上司たちと主人公が出張のために搭乗した小型飛行機が墜落し、気づくと主人公は孤島の浜辺に打ち上げられていた。 しかし生き残ったのは主人公だけではなく、その上司も同じ島に流れ着いていたのだった… という導入。 孤立した舞台でのサバイバルと、支配する/される側の立場の逆転が巧みに組み合わされた脚本がとても面白い。 詳述は避けるが、そろそろ終幕が迫る雰囲気が出てきてからのさらなる物語展開に驚かされた。 弱々しく不潔にさえ見える冒頭の主人公が、孤島で優位に立つにつれてまるで別人のように強く美しく見えてくる描かれ方の変化も見事で、これは監督の熟練した演出力
Apr 26


All You Need is Kill (2026)
2.0/5.0 桜坂洋による小説を原作とする、ハリウッドにてトム・クルーズ主演で実写映画化されたSF戦争アクションを、アニメーションによって再映画化した作品。 「海獣の子供」のCGIや「漁港の肉子ちゃん」の演出を手掛けてきた秋元賢一郎が監督を担っている。 謎の地球外生命体に侵略された地球で、人類は統合防疫軍を組織し、パワードスーツや武器を開発のうえでその調査にあたっている。 ある日、主人公の女性兵士は異生物と対峙することになり死亡するが、死の瞬間にその日の朝へ戻るという現象を体験する。 死ぬ度に時を遡り、圧倒的な戦闘力を持つ異生物による絶望的な死の経験を何度も重ねるうち、主人公は闘い方を身に着けていく。 そして、その同じ日を何度も経験しているもうひとりの人物と出会う。 ハリウッド実写版で主人公だった男性は今作ではサブとなり、サブだった女性が今作の主人公となっているが、世界観設定や基本的な物語構造は同一。 アニメーションならではのアクロバティックな画づくりは面白く、個性的なキャラクター造形も個人的にはそれほど違和感なく見ることができたけれど、かとい
Apr 26


ランニング・マン | The Running Man (2025)
3.1/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で出版した小説を原案とするSFアクション。 1987年にいちど映画化されているが、リメイク版にあたる今作は原作に忠実な物語となっている。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 貧困層に向けた娯楽 (ガス抜き施策) として国家が提供する「ランニングマン」という過激なリアリティ番組が人気を博している。 全国民が視聴する中、殺人も厭わないハンターチームから30日間逃げ切れた挑戦者には高額な報酬が得られるというその番組に応募することになった主人公は、その番組が覆い隠してきた真実を知ることになる。 1987年版の主人公を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、今作では「トップガン マーヴェリック」や「エクスペンダブルズ3」に出演してきたグレン・パウエルが主演を担っている。 頭は切れるものの怒りを制御するのが苦手というキャラクターを魅力的に演じている。 2020年代の洗練された画づくりやエドガー・ライトの小気味よい演出力は確かにありながら、1987年版に漲っていたヤケ
Apr 26


ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
Mar 14


マーシー AI裁判 | Mercy (2026)
3.4/5.0 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ジュラシック・ワールド」シリーズに主演してきたクリス・プラットと「ドクター・スリープ」や「ミッション・インポッシブル」シリーズに出演してきたレベッカ・ファーガソンが共演するSFサスペンス。 監督作の「ウォンテッド」や製作として携わった「ハードコア」の個性的なアクションとエッジィな演出で注目を集めたティムール・ベクマンベトフが監督を担っている。 舞台は近未来の米国。凶悪犯罪の増加に対処するため、正確かつ迅速な裁判執行を可能にする司法制度「マーシー裁判所」が設立される。 マーシー裁判所ではAIが裁判官を務め、あらゆるメディアに記録された膨大なデータから被告の有罪率を随時算出し、被告にも自身の弁護のためにそれらのデータへのアクセス権限を与えながら、90分以内に有罪率を一定以下に下げなければその場で被告の処刑が行われる。 AIによる19番目の裁判にかけられることになった主人公は、マーシー裁判制度の強力な推進者だった、という導入。 現代においても既に、世界中のあらゆる場所にビデオや音声を記録するデバ
Mar 14


アストロノート | The Astronaut (2025)
2.1/5.0 「ファンタスティック・フォー (2015)」や「オデッセイ」に出演していたケイト・マーラが主人公を演じるSFスリラー。 監督のジェス・ヴァーリーにとって、この作品が長編デビュー作とのこと。 宇宙での任務から帰還した宇宙飛行士が、リハビリと世間からの隔離を兼ねたセーフハウスで過ごすうちに、身体の異変や謎の現象が発生しはじめる。 様々な現象の不気味さには惹き込まれるが、それらの全てが断続的で、根拠となりそうな内容の説明はいちおうあるものの、結局それらにどういう (物語を構成する要素としての) 意味があったのかについて納得ができず、うーんとなってしまう。 違う現象が次々と描かれながら似たような展開の繰り返しで、演出トーンも単調で物語もなかなか前に進まない。 後半にて物語が大きく反転する脚本設計になっているけれど、鑑賞している多くの人は途中でその仕掛けに気づきそうで、そこには驚きや巧みさを見つけることが難しい。 登場するほとんど全ての人物についての、本当はそれぞれ何を望んでいたのか? といったキャラクターの根本部分の設定がとても弱いように
Mar 14


アンティル・ドーン | Until Dawn (2025)
2.9/5.0 「ライト/オフ」や「アナベル 死霊人形の誕生」等のホラージャンルの映画で知られるデヴィッド・F・サンドバーグが手掛けた、ゲームを原作に製作したスラッシャーホラー。 1年前に失踪した女性の妹が、自身の元カレや友人達を連れて姉を探す旅に出る。 豪雨の悪路を抜けて辿り着いた山奥の観光案内所で、不気味な現象が発生する。 閉ざされた舞台で若者達が危険な目に遭うというプロット自体はスラッシャーホラーの典型でありながら、今作はタイムループの構造がそこに組み合わされているところが少し独特で、主人公達は空間と時間の両方で隔絶された同じ夜を何度も過ごすことになる。 よって同一人物が繰り返し様々な目にあうのだけれど、いくつか斬新だなと感じる演出はあるものの、使い古されたジャンプスケアの多用や全篇を通して緩急があまり感じられない展開がやや退屈。 また、主人公達を襲う奇怪な存在達が複数登場するものの、その背景に脈絡のなさを感じ、古典的なモチーフを悪い意味でマッシュアップしているだけのように感じてしまった。 主人公が最後に対峙する存在との決着のつけ方には少し
Mar 7


一瞬の出来事 | In the Blink of an Eye (2026)
4.0/5.0 ピクサーの草創期から同スタジオに所属し、数々のピクサー作品の原案・脚本・監督・製作総指揮を担ってきたアンドリュー・スタントンが手掛けるSF映画。 古代・現代・未来の3つの時代の出来事が並行して進行しながら、数千年の時を越えた物語が描かれる。 コメディアンとしてデビューしながら俳優・声優へと活躍の幅を広げるケイト・マッキノンが出演している。 古代では、故郷を追われたネアンデルタール人の家族が、安住の地を求めて旅をする。 石器や火の使い方を子どもに教え、生存を脅かされながらも支え合って生きる家族の姿が描かれる。 現代では、古代人類の遺物や骨を研究する女性が、自身の家族が迎えようとしている死と向き合うことになる。 避けがたい別れの辛さや、その状況を支えてくれようとする相手との関係構築の難しさが描かれる。 未来では、地球から遠く離れた惑星へ向かう移民船で、クルーの女性と船に搭載されたAIが、その生存環境を脅かすトラブルに直面する。 女性と船が運ぶ生命の種子は人類の未来であり、それを守り抜くために、女性は究極の選択を迫られる。...
Mar 1























