

プロジェクト・サイレンス | Project Silence (2024)
3.3/5.0 「新感染 ファイナル・エクスプレス」の脚本を手掛けたパク・ジュソクの脚本によるパニックスリラーで、「パラサイト 半地下の家族」に出演したイ・ソンギュンが主演を担う。 国家安保室の行政官として働く主人公が、娘を空港へ送る途中の大橋で玉突き事故に巻き込まれる。 濃霧の中で足止めされたのは人だけでなく、軍が秘密裏に開発した凶暴な動物達も、その輸送の途中で事故に巻き込まれていたのだった。 制御不能な動物という脅威の設定はやや凡庸に感じるけれど、濃霧の中にある大橋という閉鎖空間の状況設定が面白い。 登場人物達はよくも悪くもキャラクターや役割が明快で、脚本が群像劇として丁寧に設計されている。 韓国映画ならではの家族の情念要素は今作にもしっかりあるが、展開の根幹に関わるほどではなく、少し薄めな印象。 同じく韓国映画に頻出する汚れた政治要素や主人公の葛藤もありながら、その要素も主軸ではない。 鑑賞後に何か強い読後感が残るタイプの作品ではないけれど、様々な設定やキャラクターがバランス良く配置されている、エンタテイメントとして丁寧にまとめられたパニッ
Sep 13


ザ・ラストハウス | The Last House (2026)
2.9/5.0 「グランド・イリュージョン」シリーズを手掛けたルイ・レテリエが監督したNETFLIX映画で、「トロン: アレス (2025)」や「ハウス・オブ・ダイナマイト (2025)」等に出演するグレタ・リーと、「ナルコス」シリーズや「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で強烈な印象を残したワグネル・モウラが主演している。 シアトル近郊で暮らす主人公一家は、ある日突然自宅に閉じ込められる。 扉も窓も開かず、電話もインターネットも通じず、近隣の家族も同様で、外では雨が降り続く。 一家は備蓄食料を頼りに状況の変化を待ち続けるが、やがて物資が尽きはじめ、何とかして生存方法を作り出そうとする。 多くの人が思い出すのが、まだ有効なワクチンが開発されておらず世界中が恐怖と混乱の中にあった新型コロナ禍初期のロックダウンだろう。 脚本を手掛けたマシュー・ロビンソンや監督のルイ・レテリエは、物語の着想そのものはロックダウンではなかったとしつつ、他者との関係断絶や見通しが立たない未来への不安を描くための装置として、隔離された自宅という舞台を設定したとのこと。...
Aug 11


パニック・フライト | Red Eye (2005)
3.5/5.0 ホラー映画シリーズの金字塔ともいえる「エルム街の悪夢」の創造者でもあり、「スクリーム」シリーズを手掛けたことでも有名なウェス・クレイヴンが監督を手掛けたスリラー映画。 「HELP / 復讐島」や「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムスが主演し、「オッペンハイマー」で主演を務めたキリアン・マーフィが共演している。 高級ホテルのフロントマネージャーを仕事とする主人公の女性は、その滞在地から自宅へ戻るために向かった空港で、ある男性と出会い親近感を持つ。 飛行機に搭乗すると、偶然にも臨席がその男性だった… という、まるでラブコメディのような導入。 しかし、ホラーの巨匠ウェス・クレイヴンの作品なので、物語がそのままのトーンで続くはずはなく、そこからショッキングな展開が続く。 様々な表情や役柄を演じ分けられるキリアン・マーフィの演技力の高さがよく分かる。 誰もが認めるであろうレイチェル・マクアダムスの美しさはさておき、その様々な表情の変化が面白い。ただか弱い女性を可哀想に演じるのではなく、飛行機内という限定空間で葛藤・勇気・使命感といっ
Jul 5


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
May 3


V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)
3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッ
Feb 15


大洪水 | The Great Flood (2025)
3.7/5.0 韓国製作のNETFLIX映画で、「The Witch 魔女」や「梨泰院クラス」にて一躍注目を浴びたキム・ダミが主演している。 あえてジャンルを定義すればディザスターということになると思うけれど、様々なジャンルがミックスされているところが作品の個性になっている。 南極に小惑星が衝突した影響で海面が急激に上昇し、地球規模の超巨大津波が発生する。 AI研究者でシングルマザーの主人公は、ひとり息子を連れて自宅マンションの屋上を目指すが… という導入。 災害パニックものとしてのスリルの上手な描き方や演出の安定感はさすが韓国映画といった印象で、本物らしく描写することが難しいとされている水のVFXの品質も非常に高く、絶望的な状況に没入してしまう。 何よりも、キム・ダミの表情や身体演技のレベルの高さに惹きつけられ、思わず主人公に感情移入してしまう。 全ての韓国映画にあてはまることではないと思うけれど、家族の間に生まれる「情」の演出にかけては、やはり韓国の凄みを感じる。 脚本の核心部分について書こうとするとどうしてもネタバレになりそうで難しいが、単
Dec 21, 2025


ロスト・バス | The Lost Bus (2025)
3.9/5.0 2018年に米国で発生した史上最悪級の大規模山火事「キャンプファイア」に着想を得た、事実に基づくサバイバル映画。 リジー・ジョンソンの著書「Paradise: One Town's Struggle to Survive an American Wildfire」を原作として、「ボーン・アイデンティティ」シリーズや「ユナイテッド93」等でリアリティが高い作風に定評のあるポール・グリーングラスが脚本・監督を担う。 山火事を生き延びた実在のバス運転手をマシュー・マコノヒーが、教師をアメリカ・フェレーラが演じている。 カリフォルニア州の小さな街で発生した山火事が、強風と乾燥で瞬く間に街を飲み込み、住民たちは混乱に陥る。 経済面や家族との関係においてどん底にいたスクールバス運転手の主人公は、臨時運転手依頼を受けて小学生たち22名と教師1名を乗せ避難を開始するが、街から脱出するための経路は炎と煙で閉ざされ、外部との通信手段も絶たれ、主人公たちは炎が取り囲む状況に閉じ込められてしまう。 さすがポール・グリーングラスの演出力というべきか、まるで
Nov 30, 2025


グッドニュース | Good News (2025)
2.5/5.0 1970年に日本で発生した「よど号ハイジャック事件」をモチーフにしながらフィクションとして製作された、サスペンスジャンルのNETFLIX映画。 韓国からはソル・ギョング、ホン・ギョン、リュ・スンボム等の俳優が、日本からは山田孝之、椎名桔平、笠松将らが出演している。 革命を狙う日本の左翼グループが羽田空港を飛び立った旅客機をハイジャックし、乗客を人質にとって北朝鮮への亡命を要求する。 その旅客機は北朝鮮の平壌に向かうはずだったが、韓国・金浦空港へ着陸。 事件の裏では韓国と北朝鮮の管制官達の無線ジャックの闘いがあったり、韓国情報部が秘密作戦を進めていたり、国際的な駆け引きが同時に進行していく。 韓国と日本はどのようにこの事件と向き合い、解決をはかるのか? が、様々な思惑を持つ登場人物達の群像劇として描かれる。 韓国映画ならではというか、実際の事件が発生した日本主体ではきっとできなかっただろうというか、サスペンスフルなストーリー展開がただ深刻に重く描かれるのではなく、状況に翻弄される人々の混乱や悲哀をブラックユーモアのテイストで描く演出
Nov 16, 2025


ウォー・オブ・ザ・ワールド | War of the Worlds (2025)
1.5/5.0 これまで幾度も映画やドラマ化されてきたH.G.ウェルズによる小説「宇宙戦争 | War of the Worlds」を原作とする、Amazon Prime独占配信映画。 ラッパー・俳優・映画監督としてマルチに活躍するアイス・キューブが主演を務め、「ウォンテッド」「ダーケストアワー」「ハードコア」等のアクションやSF映画でのエッジィな作風で知られるティムール・ベクマンベトフが製作として関わっている。 子どもの頃に読んだ原作小説と、2005年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の同タイトルが大好きなので、今作も鑑賞してみた。 異星文明の巨大なマシン達が突如世界各地で出没し圧倒的な攻撃と侵略が始まるという導入は、原作小説やこれまでの映画/ドラマと同様ながら、今作がこれまでの実写版と明らかに違うところは、その演出スタイル。 主人公はデータ監視の職についているという設定で、職場デスク上のPCからすぐに世界各地の映像や各種情報とアクセスできるのだが、ほぼ全篇を通してデスクに座って機器を操作し続け、そこから物理的に動く
Aug 2, 2025


サブスタンス | The Substance (2024)
4.5/5.0 フランス出身のコラリー・ファルジャが脚本・監督を手掛けたSFボディホラーで、カンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞し、アカデミー賞で5部門にノミネートされた話題作。 主演のデミ・ムーアは今作にてゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞している。...
Jun 21, 2025


デッドストリーム | Deadstream (2022)
2.9/5.0 ヴァネッサ & ジョゼフ・ウィンター夫妻が監督・脚本・音楽・編集とほとんどを手掛け、主演もジョゼフが担っているという、DIY精神に溢れたPOVホラー。 炎上系インフルエンサーの主人公が、起死回生の復帰企画として、かつて怪死事件が起きたと伝えられるいわくつきの...
Jun 21, 2025


テリファー 聖夜の悪夢 | Terrifier 3 (2024)
1.5/5.0 特殊メイクアーティストとしてキャリアを重ねてきたダミアン・レオーネが作り出したスプラッタホラーシリーズ「テリファー」の3作目で、シリーズ全篇を通じて登場する殺人ピエロ「アート・ザ・クラウン」役をデヴィッド・ハワード・ソーントンが演じている。...
Jun 21, 2025


フィアー・ストリート: プロムクイーン | Fear Street: Prom Queen (2025)
2.5/5.0 R・L・スタインの小説シリーズを原作とするNETFLIXオリジナル映画シリーズの4作目で、呪われた町「シェイディサイド」を舞台として、高校生達を中心に描くホラー。 1〜3作目と世界観や設定は共通しているが、脚本上のつながりはあまりないので、単独作品として観る...
Jun 21, 2025


エイリアン: ロムルス | Alien: Romulus (2024)
4.1/5.0 SFホラーの金字塔ともいえる「エイリアン」シリーズのスピンオフ作品で、「ドント・ブリーズ」の脚本・製作・監督を担当し一躍有名になったフェデ・アルバレスが今作の脚本・監督を、同シリーズの1作目を監督したシリーズの生みの親ともいえるリドリー・スコットが製作を担っ...
Nov 8, 2024


クワイエット・プレイス: DAY 1 | A Quiet Place: Day One (2024)
4.2/5.0 ジョン・クラシンスキー監督による世界観設定が斬新なホラー映画「クワイエット・プレイス」シリーズの第3作目にして、その世界が始まった日を描いた作品。 1作目・2作目はアメリカの広大かつ人口が少ない地域での物語だったが、今作は大都会のニューヨークが舞台になってい...
Sep 1, 2024






















