

マニブスの種 | manibus seeds (2021)
2.1/5.0 俳優 兼 映画監督の芦原健介による短篇で、新型コロナ禍にあった2021年に製作された作品。 工場で働き質素に暮らす主人公のもとに届いた差出人不明の封筒には、謎の植物の種が入っていて… という導入。 あえてジャンルを区別すればSFホラーということになるのかなと思うが、結末には少し意外性があり、面白かった。 コロナ禍という、人類史上体験したことのない規模の環境激変によって起きたコミュニケーションのあり方の変化が、脚本に反映されているように感じる。 ただ、おそらく限定された予算でたくさん工夫して製作されたものであろうと想像はしつつも、種が成長して出現する生物のチープさにはうーんと感じてしまった。VFXがどうこうではなくて、単純に演技づけに問題があるような… 主人公を演じる菅野貴夫は寡黙な主人公を好演していると感じたし、職場の同僚の女性を演じる小島彩乃の存在感も良かった。 が、俳優達の表情の変化や身体の演技で十分に表現できるだろうと思える些細な内容まで、全てを台詞にして喋らせてしまう演出は、とても気になってしまった。 芦原監督の演出力の不
11月30日


回路 | Pulse (2000)
4.3/5.0 「CURE」「クリーピー 偽りの隣人」等、ホラーやサスペンスジャンルで話題作を製作し続ける黒沢清が脚本・監督を手掛けたホラー映画で、カンヌ国際映画祭に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞、米国ではリメイクもされている作品。 主演の麻生久美子をはじめ、加藤晴彦、小雪、有坂来瞳といった (製作当時の) 若手俳優達が出演している。 観葉植物を販売する会社で働く主人公の同僚が不可解な自殺を遂げてから、その周辺では人々が黒い影を残して消え去るという怪現象が発生するようになる。 一方、加藤晴彦が演じる大学生は「幽霊に会いたいですか」と表示されるウェブサイトに遭遇し、PCの操作に詳しい友人を頼りながらその調査を進めるが、次第にその友人も異常な行動を取るようになっていく。 世界ではどんな異変が起きているのか、なぜそれが起き始めたのか、「幽霊」とは何なのか… 黒沢清監督の恐怖演出は、安直なジャンプスケア等に頼らず、俳優の身体演技、そして画の構図と明暗および音という、極めてオーセンティックな要素で構成されていて、他の映画監督とは一線を画するものを感じ
11月16日


罪人たち | Sinners (2025)
4.2/5.0 「クリード チャンプを継ぐ男」や「ブラックパンサー」シリーズの脚本・監督を手掛けたライアン・クーグラーによるホラー映画で、同監督作の多数で主演もしくは重要な役柄で出演してきたマイケル・B・ジョーダンが今作でも1人2役で主演している。 1930年代のアメリカを舞台に、単なるホラーとしてではなく、人種差別や黒人文化についてのテーマが組み込まれた物語になっていて、さすがはライアン・クーグラーと感じる。 マイケル・B・ジョーダンが演じる双子の兄弟はギャングとして生きてきたが、故郷のミシシッピに戻り、黒人たちが自由に集えるダンスホールを立ち上げる。 当時の米国は禁酒法と白人至上主義によって黒人の娯楽が著しく制限されており、黒人達は宗教と音楽、特にブルースとゴスペルによって自己を支えてきたという実際の歴史的背景が重い。 黒人のために作られたそのダンスホールに白人の音楽家の一団が現れるが… というところから、映画のジャンルが複雑に転回していく。 表層的にこの作品を見れば吸血鬼が登場するホラー映画ということになるが、今作の設定やモチーフはあくまで
10月25日


ファイナル・デッドブラッド | Final Destination: Bloodlines (2025)
3.8/5.0 惨劇を予見して回避した主人公やその周辺人物達がその後も見えない死神に命を付け狙われるという「ファイナル・デスティネーション」シリーズの6作目で、今作が初メジャー作品の監督となるアダム・スタインとザック・リポフスキーが手掛けたホラー映画。 基本的な物語の導入は前述の通りで、氏の描かれ方もこれまでのシリーズの「ピタゴラスイッチ」的な仕掛けを踏襲していて怖いが、今作が過去作と明らかに違っていて面白いと感じたのは、ただこれまでの基本設定だけを踏襲したマンネリな続篇としてではなく、過去作で起きた全ての惨劇に理由と起源があり、それらが俯瞰的につながる巧妙な脚本になっていたところ。 もちろんそれは後付けの設定ではあるが、ただ人間が死神に追われて大変な目に遭うというパニック映画を越えた物語の語られ方になっていたところには感心した。 とはいえ、恐怖と笑いは紙一重であるとはよく言われるが、今作でも思わず笑ってしまいそうになるほどの趣向を凝らした仕掛けの連鎖とグロテスクさで死が描かれるので、痛い描写が苦手な人には鑑賞をおすすめできない。...
10月25日


マキシーン | MaXXXine (2024)
3.4/5.0 ホラー作品を多く手掛けてきたタイ・ウェストが脚本・監督を担う「X3部作」の完結篇で、1作目の「X (2022)」と2作目の「Pearl (2022)」に続き、新世代の俳優達の中でも個性がひときわ輝くミア・ゴスが主演するホラー映画。 シリーズ3作目となる今作の主人公は、「X (2022)」の主人公でもあったマキシーン。 ポルノビデオへの出演で人気を得ながらもハリウッドで真のスター俳優になることを夢見る主人公が、新作ホラー映画のオーディションに挑み、見事主演の座を勝ち取る。 一方で、ハリウッドでは連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」による凶悪な事件が続発しており、主人公の周辺でも俳優達が次々と殺害されていく。 やがて主人公の前に、彼女が経験した惨劇を知る者が現れる。 ここ10年ほどずっと繰り返されているような印象もある、映画やドラマにおける80年代カルチャーの再現は、特に目新しい部分はない。 が、タイ・ウェストによる演出は丁寧かつ安定的で、物語の世界観構築が上手だなと感じる。 なんといっても主人公役を担っているミア・ゴスの強烈な存在感やカ
10月25日


マーベル・ゾンビーズ | Marvel Zombies (2025)
2.8/5.0 マーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) に属するアニメーションで、「ホワット・イフ…?」シリーズの監督・製作総指揮を担ったブライアン・アンドリュースが今作でも監督を担っている。 脚本は「デッドプール&ウルヴァリン」の脚本も手掛けたゼブ・ウェルズ。...
10月11日


エイリアン: アース | Alien: Earth (2025)
3.6/5.0 「SHOGUN 将軍」の製作で一躍注目を集めたFXが製作した「エイリアン」シリーズ初のドラマで、タイトルの通り地球を舞台に「エイリアン」の物語が展開するSFホラー。 「ファーゴ」や「レギオン」の原案と脚本で高い評価を得たノア・ホーリーがショウランナーを担い、...
10月11日


ロングレッグス | Longlegs (2024)
3.8/5.0 ホラー映画界の新鋭とも評されるオズグッド (オズ)・パーキンスが脚本・監督を担い、米国にて記録的なヒットとなったホラー映画。 「神は銃弾」等に出演し、スポーツ選手としても活躍するマイカ・モンローが主人公のFBI捜査官を、名優であり怪優であるといってもいいであ...
9月1日


28年後... | 28 Years Later (2025)
3.8/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの3作目で、ジャンルとしてはいわゆるゾンビものといえる映画作品。 タイトル通り、1作目の物語から28年後の物語が描かれる。...
8月17日


ブラック・ミラー シーズン7: おもちゃの一種 | Black Mirror Season 7: Plaything (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月8日


ブラック・ミラー シーズン7: ベット・ノワール | Black Mirror Season 7: Bête Noire (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月6日


グレースフィールド・インシデント | The Gracefield Incident (2017)
1.8/5.0 カナダ製作のSF x ファウンド・フッテージスタイルのホラー映画で、監督・脚本・製作・編集・主演という驚異の5役をマチュー・ラザというクリエイターが担っているとのこと。 グレースフィールドにある別荘に赴いた3組の男女カップルが異常な現象に遭遇するというシンプ...
7月23日


ハートアイズ | Heart Eyes (2025)
2.9/5.0 「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本や「ハッピー・デス・デイ」シリーズの脚本・監督で知られるクリストファー・ランドンが脚本・製作を手掛けたスラッシャーホラー映画。 「ハッピー・デス・デイ」のコメディ・ホラー・SFがジャンルミックスされた演出が新鮮で...
7月12日


邪悪なるもの | When Evil Lurks (2023)
1.9/5.0 アルゼンチンとアメリカの合作になるオカルト・ホラー映画で、アルゼンチン出身のデミアン・ルグナが脚本と監督を担っている。 今作は2023年のシッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀長編映画賞を獲得している。...
6月28日


サブスタンス | The Substance (2024)
4.5/5.0 フランス出身のコラリー・ファルジャが脚本・監督を手掛けたSFボディホラーで、カンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞し、アカデミー賞で5部門にノミネートされた話題作。 主演のデミ・ムーアは今作にてゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞している。...
6月21日


























