

移動都市 / モータル・エンジン | Mortal Engines (2018)
3.8/5.0 フィリップ・リーヴによるYA小説を原作に、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで映画史に名を刻んだピーター・ジャクソンが脚本・製作を手掛け、ジャクソンの作品の多くでストーリーボードアーティストや視覚効果スーパーバイザーを担当してきたクリスチャン・リヴァースが初監督を担ったSF大作。 「アンブレラ・アカデミー」で印象的な役どころを演じたロバート・シーハンや、「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ等の著名作品で活躍するヒューゴ・ウィーヴィングが出演している。 超兵器による最終戦争で文明社会が崩壊してから1,000年以上が経過した地球で、人類は移動する都市を建造し、大都市が小型都市を "捕食" することで支配する世界を生きていた。 巨大移動都市ロンドンは、他の都市を捕食しながら、東方にあり強固な壁で守られている固定都市シャングオの支配を目論んでいる。 そのロンドンの歴史学長であり開拓者でもあるサディアスに復讐を誓う少女と、歴史学ギルドの見習い青年は、巨大な陰謀と争いに巻き込まれていく。 何よりも特筆すべきは、原作で描かれた
6 days ago


タイムハント 時間操作 | Riot for the Dove (2023)
1.2/5.0 監督・脚本・主演をマイケル・ラザールが務めた低予算のSF映画。 メキシコの犯罪組織に監禁されている少女は、特殊な能力を持っていた。 組織はその能力をある特殊装置の入手のために利用している。 特殊な装置とは、時間を数秒だけ巻き戻せるという異星文明由来の代物だった。 米政府長官はある探偵に少女の救出を依頼する。 超能力 x タイムトラベルものという好きなジャンルだったため鑑賞したが、低予算で製作された作品であることを大前提として理解していても、そのあまりにも稚拙な演出と編集に驚かされた。 VFXを多用した派手な画がなくとも、しっかり準備されたストーリーボードがあっての撮影や編集がされていれば絶対こんなことにはならないだろうと感じる雑な作り。 まず全般的にカット割りがめちゃくちゃ過ぎて、そのシーンで誰がどこに配置されていて誰と何をしているのかがほとんど全く分からないという編集に、作品の世界に没入することを著しく妨げられてしまった。 台詞の音質もカットや話者ごとで明らかにブレがあり気になってしまうし、楽曲や音効の入り方も終わり方も笑ってし
Jul 11


私がビーバーになる時 | Hoppers (2026)
3.7/5.0 ピクサー製作のアニメーションで、自然と文明社会の共存をテーマに、動物達の視点と人間達の視点の両方で描かれるアドベンチャー映画。 同社にてストーリーボードアーティストを務めてきたダニエル・チョンが脚本・監督を担っている。 オレゴン州のビーバートンに住む主人公のメイベルは、祖母との大切な思い出がある湿地が市の道路建設計画で埋め立てられようとしていることを知り、それを推進する市長のジェリーと衝突する。 計画を止めるためにはビーバー達を呼び戻すことが鍵だと考えた主人公は、湿地からいなくなってしまった彼らを探し始める。 ドタバタながら無駄がないピクサーらしいコメディ演出が健在で、物語の運びに安定感がある。 主人公があるきっかけでビーバー (型のロボット) に自身の意識を転送し、動物達と会話ができるようになって知る、人間界とは違う動物界の掟が新鮮かつ残酷で驚きがある。 物語の展開としては混乱なく整理されていながら、動物と人間あるいは善と悪といった単純な二項対立ではなく、それぞれの側のキャラクターに複層的な行動原理や葛藤が設定されているところに
Jul 5


ゼイ・ウィル・キル・ユー | They Will Kill You (2026)
3.8/5.0 「IT」二部作や「ザ・フラッシュ」の監督を担ったアンディ・ムスキエティが製作し、ロシア出身のキリル・ソコロフが監督を務めた密閉空間からの脱出型ホラーアクション。 「デッドプール2」や「ジョーカー」に出演し鮮烈な印象を残したザジー・ビーツが、高度なアクションを主演で担っている。 主人公のメイドは、マンハッタンの超高級マンションに住み込みで働かせてもらうことになる。しかしそのマンションの実態は、ほぼ全ての住人が悪魔崇拝者で、悪魔に捧げる生贄を求めているという恐るべきものだった… という導入。 住人達は、悪魔との契約で不老不死の存在となっており、主人公が何度とどめを刺しても復活する。 そうではない生身の主人公はどんどん追い詰められながらも、マンションに潜入した本当の目的である妹の救出を果たしたうえでの脱出を試みる。 この映画のみどころは、やはりそのアクション演出の面白さだと言い切ってしまって差し支えないだろう。 血みどろでグロテスクな表現は多いものの、キレとケレン味に溢れるアングル・カッティング・ライティング・サウンドディレクション等の
Jul 5


パニック・フライト | Red Eye (2005)
3.5/5.0 ホラー映画シリーズの金字塔ともいえる「エルム街の悪夢」の創造者でもあり、「スクリーム」シリーズを手掛けたことでも有名なウェス・クレイヴンが監督を手掛けたスリラー映画。 「HELP / 復讐島」や「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムスが主演し、「オッペンハイマー」で主演を務めたキリアン・マーフィが共演している。 高級ホテルのフロントマネージャーを仕事とする主人公の女性は、その滞在地から自宅へ戻るために向かった空港で、ある男性と出会い親近感を持つ。 飛行機に搭乗すると、偶然にも臨席がその男性だった… という、まるでラブコメディのような導入。 しかし、ホラーの巨匠ウェス・クレイヴンの作品なので、物語がそのままのトーンで続くはずはなく、そこからショッキングな展開が続く。 様々な表情や役柄を演じ分けられるキリアン・マーフィの演技力の高さがよく分かる。 誰もが認めるであろうレイチェル・マクアダムスの美しさはさておき、その様々な表情の変化が面白い。ただか弱い女性を可哀想に演じるのではなく、飛行機内という限定空間で葛藤・勇気・使命感といっ
Jul 5


ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー | Solo: A Star Wars Story (2018)
3.9/5.0 「スター・ウォーズ」シリーズの重要な登場人物である密輸業者のハン・ソロが、いかにして相棒のチューバッカや愛機ミレニアム・ファルコンと出会い、アウトローとして生きていくことになったかが描かれるスピンオフ作品。 「スパイダーマン: スパイダーバース」シリーズを手掛けたフィル・ロード & クリス・ミラーが監督していたが途中降板となり、名匠ロン・ハワードがその座を引き継いでいる。 脚本は「スター・ウォーズ」映画版の脚本を手掛けてきたローレンス・カスダンと、その息子のジョナサン・カスダン。 孤児として苦しい生活を送るハンとキーラは、宇宙へと逃亡することで転機を狙うが、ハンだけが脱出に成功し、離ればなれになってしまう。 パイロットとなりキーラを迎えに行くことを誓うハンは入軍し、送り込まれた戦地であるギャング達と出会い、運命が急展開していく。 超有名SFシリーズの象徴のひとつともいえるハン・ソロと、ハリソン・フォードが演じたそのキャラクターを、違う俳優が引き継ぎ演じることには相当のプレッシャーがあっただろうと想像できる。 オールデン・エアエンラ
Jun 20


スター・ウォーズ / マンダロリアン・アンド・グローグー | Star Wars: The Mandalorian and Grogu (2026)
3.7/5.0 ジョージ・ルーカスが創造した超有名スペースオペラ映画シリーズのスピンオフとしてDisney+で配信された実写ドラマ「マンダロリアン」の劇場版。 ルーカスの最後の愛弟子でありその意思とビジョンを継ぐ者といわれるデイヴ・フィローニが脚本と製作を、フィローニと共にスター・ウォーズの数々のドラマシリーズの製作総指揮を務めてきたジョン・ファヴローが監督を担っている。 銀河帝国が反乱軍に打ち破られて崩壊し、まだ政情が安定しない時代。 厳しい掟に従って生きるマンダロリアンのディン・ジャリンと、まだ子どもながら50歳という長命種族のグローグーは、賞金稼ぎとして新共和国軍の依頼に応えることで生計を立てていた。 帝国の復権を狙う存在を察知した新共和国軍は、それを防ぐために2人へ新たな依頼をする。 スター・ウォーズといえばライトセーバー、ジェダイナイト、シスの暗黒卿、そしてフォースといった数々の神話的要素と、埃や汚れにまみれて生活感が感じられる宇宙船や戦艦というSF要素が掛け合わさった唯一無二の世界観が特徴だが、今作にはフォースを除いた前者の要素がほと
May 25


ザ・ボーイズ ファイナル・シーズン | The Boys Season 5 (2026)
3.2/5.0 エリック・クリプキが企画・製作総指揮を担うSFドラマ「ザ・ボーイズ」の最終シーズン。 DCやMARVEL等のスーパーヒーローものと現代社会を痛烈に風刺した同題のコミックを原作としつつ、ドラマ独自で展開してきた物語の完結篇。 巨大企業の管理下にあるスーパーヒーロー達が実は腐敗していて社会を揺るがす脅威となり、特殊能力を持たない一般人達がその打倒のために無謀な闘いを挑むという物語が遂に最終局面を迎える。 最強のヒーローでありながらその幼稚過ぎる頭脳で傍若無人に振る舞うホームランダーは、文字通りの神として米国に君臨しようとする。 ホームランダーへの復讐に命をかける「ザ・ボーイズ」のリーダー、ブッチャーは、スーパーヒーロー全員に死をもたらすウイルス兵器を完成させる。 シーズン1 第1話の衝撃的な開幕から強烈に心を掴まれ、毎シーズンが配信される度に鑑賞してきたドラマシリーズだったけれど、シーズン4あたりから少しずつその脚本や展開に綻びが目立つと感じてきた。 それでも今回のティザービジュアル達にはとてもワクワクして、最終シーズンにふさわしい怒
May 24


ワーキングマン | A Working Man (2025)
3.2/5.0 「フューリー」や「エンド・オブ・ウォッチ」等で知られるデヴィッド・エアーが脚本・監督し、シルヴェスター・スタローンが共同脚本と製作を担ったアクション映画。 「エクスペンダブルズ」シリーズでスタローンと長く共演してきたジェイソン・ステイサムが主演している。 建設現場で働く退役軍人の主人公は、同僚や娘の安全を何よりも大切にしながら生活している。 現場上司の一人娘が失踪し、主人公はその捜索をする中で、人身売買組織の存在に気づいていく。 エアー監督 x ステイサム主演の「ビーキーパー」を鑑賞したことがあるアクション映画ファンにはほとんど同じ映画に見えるのではと思うほど、直球で混じり気なしのステイサム映画。 ステイサムはもはやどの作品でもステイサム以外の人物には見えず、そういう言外の約束があるかのよう。 脚本からはスタローン独特の美学が感じられるがそれも僅かで、深く考えずに鑑賞できるB級映画といえる。 主人公が救いに向かう女性役が、ただ泣いたり叫んだりするステレオタイプな弱者としての描かれ方ではなく、脅威に対して勇敢に立ち向かう形で描かれて
May 6


エイペックス・プレデター | Apex (2026)
3.1/5.0 自然 x サバイバルな映画を手掛けてきたアイスランド出身のバルタザール・コルマウクルによる、NETFLIX配信のサバイバルアクション。 「マッド・マックス 怒りのデスロード」や「アトミック・ブロンド」へ出演してきたシャーリーズ・セロンと、「キングスマン」シリーズの主演で知られるタロン・エガートンという、2大アクション俳優が出演。 主人公の女性は、クライミング中の事故でパートナーを失い、そのトラウマを抱えたまま日常生活へ戻れずに過ごしている。 辛い過去から逃れたい思いから訪れた荒野にて、一見親切だが不審に感じる男と遭遇する。 物語はとてもシンプルで、厳しい大自然を舞台にした人間 vs 人間のサバイバルが描かれる。 主人公を演じるシャーリーズ・セロンの衰えを知らないフィジカルアクションは見どころがあり、それを殺人鬼としてハントする役のタロン・エガートンは、そのアクションだけではなく、これまで多く演じてきたヒーロー役とは真逆の狂気に染まった悪役を演じており、俳優としての新境地を感じた。 ただ、物語の結末まで退屈したり粗が気になったりはし
May 4


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4


ウォーフェア 戦地最前線 | Warfare (2025)
3.6/5.0 海兵としての従軍経験を持つレイ・メンドーサと、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドが共同で脚本・監督を担った、レイ・メンドーサ氏の実際の体験に基づく戦争映画。 舞台はイラク戦争中のラマディ。アルカイダ幹部の監視任務に就いていた通信兵のレイを含む8人の特殊部隊は、敵側にその動きを察知され、先制攻撃を受ける。 死亡者や負傷者が続出し救援もままならない状況下において、レイや指揮官達は極限の選択を迫られながら、戦場からの脱出を図る。 レイ監督とその同僚が体験した戦闘および実際の行動が、過度な演出を排したリアルなタッチで描かれており、その緊迫感は凄まじい。 ダイナミックなカメラワークや劇伴といった手法は存在しないが、その突き放すようにドライな演出が戦場の緊迫感の再現に寄与している。 加えて、兵士役の演技指導に実際の戦闘経験がある元兵士を多数起用したことも、画のリアリティを強化している。 物語のテーマについても同様で、ただひたすらに人々が殺し合う戦争という状況の再現に徹することで、かえってその残酷さと虚しさが読後感とし
Apr 29


All You Need is Kill (2026)
2.0/5.0 桜坂洋による小説を原作とする、ハリウッドにてトム・クルーズ主演で実写映画化されたSF戦争アクションを、アニメーションによって再映画化した作品。 「海獣の子供」のCGIや「漁港の肉子ちゃん」の演出を手掛けてきた秋元賢一郎が監督を担っている。 謎の地球外生命体に侵略された地球で、人類は統合防疫軍を組織し、パワードスーツや武器を開発のうえでその調査にあたっている。 ある日、主人公の女性兵士は異生物と対峙することになり死亡するが、死の瞬間にその日の朝へ戻るという現象を体験する。 死ぬ度に時を遡り、圧倒的な戦闘力を持つ異生物による絶望的な死の経験を何度も重ねるうち、主人公は闘い方を身に着けていく。 そして、その同じ日を何度も経験しているもうひとりの人物と出会う。 ハリウッド実写版で主人公だった男性は今作ではサブとなり、サブだった女性が今作の主人公となっているが、世界観設定や基本的な物語構造は同一。 アニメーションならではのアクロバティックな画づくりは面白く、個性的なキャラクター造形も個人的にはそれほど違和感なく見ることができたけれど、かとい
Apr 26


ランニング・マン | The Running Man (2025)
3.1/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で出版した小説を原案とするSFアクション。 1987年にいちど映画化されているが、リメイク版にあたる今作は原作に忠実な物語となっている。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 貧困層に向けた娯楽 (ガス抜き施策) として国家が提供する「ランニングマン」という過激なリアリティ番組が人気を博している。 全国民が視聴する中、殺人も厭わないハンターチームから30日間逃げ切れた挑戦者には高額な報酬が得られるというその番組に応募することになった主人公は、その番組が覆い隠してきた真実を知ることになる。 1987年版の主人公を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、今作では「トップガン マーヴェリック」や「エクスペンダブルズ3」に出演してきたグレン・パウエルが主演を担っている。 頭は切れるものの怒りを制御するのが苦手というキャラクターを魅力的に演じている。 2020年代の洗練された画づくりやエドガー・ライトの小気味よい演出力は確かにありながら、1987年版に漲っていたヤケ
Apr 26


ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
Mar 14























