

スター・ウォーズ / マンダロリアン・アンド・グローグー | Star Wars: The Mandalorian and Grogu (2026)
3.7/5.0 ジョージ・ルーカスが創造した超有名スペースオペラ映画シリーズのスピンオフとしてDisney+で配信された実写ドラマ「マンダロリアン」の劇場版。 ルーカスの最後の愛弟子でありその意思とビジョンを継ぐ者といわれるデイヴ・フィローニが脚本と製作を、フィローニと共にスター・ウォーズの数々のドラマシリーズの製作総指揮を務めてきたジョン・ファヴローが監督を担っている。 銀河帝国が反乱軍に打ち破られて崩壊し、まだ政情が安定しない時代。 厳しい掟に従って生きるマンダロリアンのディン・ジャリンと、まだ子どもながら50歳という長命種族のグローグーは、賞金稼ぎとして新共和国軍の依頼に応えることで生計を立てていた。 帝国の復権を狙う存在を察知した新共和国軍は、それを防ぐために2人へ新たな依頼をする。 スター・ウォーズといえばライトセーバー、ジェダイナイト、シスの暗黒卿、そしてフォースといった数々の神話的要素と、埃や汚れにまみれて生活感が感じられる宇宙船や戦艦というSF要素が掛け合わさった唯一無二の世界観が特徴だが、今作にはフォースを除いた前者の要素がほと
May 25


ザ・ボーイズ ファイナル・シーズン | The Boys Season 5 (2026)
3.2/5.0 エリック・クリプキが企画・製作総指揮を担うSFドラマ「ザ・ボーイズ」の最終シーズン。 DCやMARVEL等のスーパーヒーローものと現代社会を痛烈に風刺した同題のコミックを原作としつつ、ドラマ独自で展開してきた物語の完結篇。 巨大企業の管理下にあるスーパーヒーロー達が実は腐敗していて社会を揺るがす脅威となり、特殊能力を持たない一般人達がその打倒のために無謀な闘いを挑むという物語が遂に最終局面を迎える。 最強のヒーローでありながらその幼稚過ぎる頭脳で傍若無人に振る舞うホームランダーは、文字通りの神として米国に君臨しようとする。 ホームランダーへの復讐に命をかける「ザ・ボーイズ」のリーダー、ブッチャーは、スーパーヒーロー全員に死をもたらすウイルス兵器を完成させる。 シーズン1 第1話の衝撃的な開幕から強烈に心を掴まれ、毎シーズンが配信される度に鑑賞してきたドラマシリーズだったけれど、シーズン4あたりから少しずつその脚本や展開に綻びが目立つと感じてきた。 それでも今回のティザービジュアル達にはとてもワクワクして、最終シーズンにふさわしい怒
May 24


プロジェクト・ヘイル・メアリー | Project Hail Mary (2026)
4.3/5.0 「火星の人 (The Martian)」で一躍注目を浴びた米国の小説家、アンディ・ウィアーによる小説を原作とするSF映画で、「スパイダーマン: スパイダーバース」の製作・脚本を手掛けたフィル・ロード & クリス・ミラーが監督を、「ブレードランナー 2049」や「ファースト・マン」で主演したライアン・ゴズリングが主人公を演じている。 主人公が目覚めると、自分が記憶を失っていることに気づく。 そこは地球から約12光年も離れた場所にある宇宙船の中で、同乗したとみられるクルーは既に死んでいた。 主人公は自分が何者だったのか、なぜ宇宙船に乗り込むことになったのかを思い出そうとする。 そして、太陽の温度が謎の現象によって低下し、人類が数十年内に滅亡する危機にあるという記憶がよみがえってくる。 その回避方法発見のため孤独な探索を続ける主人公は、人類文明によるものではない宇宙船を発見する… 回想シーンで描かれる地球での日々以外の宇宙パートのほぼ全部がライアン・ゴズリング (と、その相棒となる異星人) の芝居で構成されていながら、楽観主義と物悲しさ
May 17


テレビの中に入りたい | I Saw the TV Glow (2024)
3.8/5.0 その個性的かつ内省的な作風で近年注目を集めているジェーン・シェーンブルンが脚本と監督を務めたA24製作のサイコホラーで、「ブゴニア」や「哀れなるものたち」主演の俳優エマ・ストーンが製作に携わっている作品。 物語の始まりは90年代で、現実世界に居場所がないと感じている主人公の少年は、深夜に放送されていた「ピンク・オペーク」という番組に強く惹かれ、あるきっかけから出会った少し年上の少女の家でそれを一緒に観ることになる。 少女から「好きなのは女子? それとも男子?」と聞かれた少年は、「テレビ番組が好き」と答える。 トランスジェンダー女性でノンバイナリという自身のセクシャリティを公表するジェーン監督だからこそこれほど高い解像度で描けるのだろうと感じる、周囲と自身の間にある溝や息苦しさが、少年と少女の視点を通して可視化されている。 現実逃避の一環として深夜にTVを観るという誰にでも一度は経験がありそうな行為から、自己認識の揺らぎとの向き合いといった哲学的なテーマへ大きく飛躍する物語の展開が面白い。 物語の本筋とは強く関連しないけれど、大胆な
May 10


トランスミッション 観てはならない結末 | Transmission (2023)
3.3/5.0 英国出身のマイケル・ハーストが脚本・監督した実験的な作風のモキュメンタリホラー中篇。 様々なトーンの映像が交錯しながら物語が展開する、多重構造形式の作品。 ある老人が深夜にTVの電源を入れると、失われていたはずのSF映画が放送され始める。 「トランスミッション」というタイトルのその映画に登場する宇宙飛行士達は「虚空 (ヴォイド)」と呼ばれる現象の調査中に、長く行方不明となっていた宇宙船を発見する。 その船内に残されていた記録映像には、虚空からの謎の信号を受信してから乗組員達の様子がおかしくなっていったことが判明する… という導入。 70年代の懐かしいトーンを思い起こさせるSF劇中劇 (映画) を軸としながら、冒頭で登場した老人がTVのチャンネルをザッピングするように、その劇中劇製作にまつわるドキュメンタリや立てこもり事件現場からの生中継等の番組が映し出されるという、なかなか独特な構成となっている。 ネタバレは避けるが、断片的に感じられたそれらの映像群がやがてひとつの結末に収斂していく脚本は挑戦的で面白い。 粗が気になる部分があった
May 7


ワーキングマン | A Working Man (2025)
3.2/5.0 「フューリー」や「エンド・オブ・ウォッチ」等で知られるデヴィッド・エアーが脚本・監督し、シルヴェスター・スタローンが共同脚本と製作を担ったアクション映画。 「エクスペンダブルズ」シリーズでスタローンと長く共演してきたジェイソン・ステイサムが主演している。 建設現場で働く退役軍人の主人公は、同僚や娘の安全を何よりも大切にしながら生活している。 現場上司の一人娘が失踪し、主人公はその捜索をする中で、人身売買組織の存在に気づいていく。 エアー監督 x ステイサム主演の「ビーキーパー」を鑑賞したことがあるアクション映画ファンにはほとんど同じ映画に見えるのではと思うほど、直球で混じり気なしのステイサム映画。 ステイサムはもはやどの作品でもステイサム以外の人物には見えず、そういう言外の約束があるかのよう。 脚本からはスタローン独特の美学が感じられるがそれも僅かで、深く考えずに鑑賞できるB級映画といえる。 主人公が救いに向かう女性役が、ただ泣いたり叫んだりするステレオタイプな弱者としての描かれ方ではなく、脅威に対して勇敢に立ち向かう形で描かれて
May 6


ザ・モンキー | The Monkey (2025)
2.9/5.0 「ロングレッグス」を手掛けたオズグッド・パーキンスが脚本・監督し、「ソウ」シリーズや「M3GAN/ミーガン」等で知られるジェームズ・ワンが製作に携わった、スティーヴン・キングの短編「猿とシンバル」を原作とするホラー映画。 ある男が手に入れたゼンマイ式の猿の人形は、太鼓を叩き始めると「誰かが理不尽な死を迎える」という呪物だった。 その人形を遺品として受け継いだ主人公とその双子の兄弟の周囲で、不審死が連続発生していく。 主人公は人形を捨てたり破壊しようと試みるが、それは逃れられない呪いであることが分かってくる。 ジェームズ・ワンらしいショッキングかつポップな画づくりと、ホラージャンルの監督で注目されるオズグッド・パーキンスの個性が掛け合わさった演出は斬新で、恐怖するというより笑ってしまいそうになる様々な死に方が描かれる。 ほんの数分だけ出演しているイライジャ・ウッドの演技づけが奇妙で、他の俳優も程度の差はありながらどこか居心地の悪い読後感が残る存在として演出されている。 パーキンス監督にはやや独特でブラックなコメディのセンスがあるのか
May 6


ブゴニア | Bugonia (2025)
4.0/5.0 「ミッドサマー」や「ヘレディタリー」を監督したアリ・アスターが製作し、「哀れなるものたち」を手掛けたヨルゴス・ランティモスが監督した、ジャンルの分類が難しいサスペンスでありブラックコメディ。 2003年に韓国で製作された「地球を守れ!」のリメイク作品。 エマ・ストーンが演じる主人公は巨大製薬企業のCEOで、社会的な成功者ではありながら、その非情さから悪の象徴と見做されている。 そのCEOを誘拐・監禁するのが、ジェシー・プレモンスが演じる養蜂家で、密かに地球を支配しているアンドロメダ星人が存在するという陰謀論に取り憑かれている。 養蜂家とその従兄弟はCEOを追い詰め、4日後の月食の夜に地球を訪れるアンドロメダ皇帝に自分達を会わせろと要求するが、知恵が回るCEOとの対話を重ねるうちに、言いくるめられそうになる。 「女王陛下のお気に入り」や「哀れなるものたち」でヨルゴス・ランティモス作品に出演してきたエマ・ストーンと、「ブレイキング・バッド」や「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で一度観たら忘れられないほどの静かな狂気を秘めた演技で注目
May 5


エイペックス・プレデター | Apex (2026)
3.1/5.0 自然 x サバイバルな映画を手掛けてきたアイスランド出身のバルタザール・コルマウクルによる、NETFLIX配信のサバイバルアクション。 「マッド・マックス 怒りのデスロード」や「アトミック・ブロンド」へ出演してきたシャーリーズ・セロンと、「キングスマン」シリーズの主演で知られるタロン・エガートンという、2大アクション俳優が出演。 主人公の女性は、クライミング中の事故でパートナーを失い、そのトラウマを抱えたまま日常生活へ戻れずに過ごしている。 辛い過去から逃れたい思いから訪れた荒野にて、一見親切だが不審に感じる男と遭遇する。 物語はとてもシンプルで、厳しい大自然を舞台にした人間 vs 人間のサバイバルが描かれる。 主人公を演じるシャーリーズ・セロンの衰えを知らないフィジカルアクションは見どころがあり、それを殺人鬼としてハントする役のタロン・エガートンは、そのアクションだけではなく、これまで多く演じてきたヒーロー役とは真逆の狂気に染まった悪役を演じており、俳優としての新境地を感じた。 ただ、物語の結末まで退屈したり粗が気になったりはし
May 4


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4


アバウト・タイム 愛おしい時間について | About time (2013)
4.2/5.0 「ブリジット・ジョーンズの日記」や「イエスタデイ」の脚本で知られるリチャード・カーティスが脚本・監督を手掛けた作品で、「エクス・マキナ」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に出演しているドーナル・グリーソンと、「ドクター・ストレンジ」や「HELP -復讐島-」に出演しているレイチェル・マクアダムスを中心に描かれるロマンティックSF。 主人公の男性が21歳の誕生日に父から告げられた秘密は、強く願えば自分自身の過去のある瞬間に戻ることができるという、タイムトラベルの能力を持つ家系だということだった。 その能力を恋人づくりに使おうと決めた主人公は、何度か失敗を繰り返しながら最愛の女性と両想いになるのだけれど、過去に戻ってそれを改変することには代償があり… という物語。 タイムトラベル系SFでよく語られるバタフライ効果 (些細な出来事の差異が未来に破局的な影響を及ぼすリスク) が今作でも取り扱われており、主人公はどのように能力と向き合い、どのように生きていくべきかを問われる。 何よりも、主演2人を初めとする俳優達の演技が素晴らしい。..
May 3


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
May 3























