

ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
20 hours ago


マーシー AI裁判 | Mercy (2026)
3.4/5.0 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ジュラシック・ワールド」シリーズに主演してきたクリス・プラットと「ドクター・スリープ」や「ミッション・インポッシブル」シリーズに出演してきたレベッカ・ファーガソンが共演するSFサスペンス。 監督作の「ウォンテッド」や製作として携わった「ハードコア」の個性的なアクションとエッジィな演出で注目を集めたティムール・ベクマンベトフが監督を担っている。 舞台は近未来の米国。凶悪犯罪の増加に対処するため、正確かつ迅速な裁判執行を可能にする司法制度「マーシー裁判所」が設立される。 マーシー裁判所ではAIが裁判官を務め、あらゆるメディアに記録された膨大なデータから被告の有罪率を随時算出し、被告にも自身の弁護のためにそれらのデータへのアクセス権限を与えながら、90分以内に有罪率を一定以下に下げなければその場で被告の処刑が行われる。 AIによる19番目の裁判にかけられることになった主人公は、マーシー裁判制度の強力な推進者だった、という導入。 現代においても既に、世界中のあらゆる場所にビデオや音声を記録するデバ
1 day ago


アストロノート | The Astronaut (2025)
2.1/5.0 「ファンタスティック・フォー (2015)」や「オデッセイ」に出演していたケイト・マーラが主人公を演じるSFスリラー。 監督のジェス・ヴァーリーにとって、この作品が長編デビュー作とのこと。 宇宙での任務から帰還した宇宙飛行士が、リハビリと世間からの隔離を兼ねたセーフハウスで過ごすうちに、身体の異変や謎の現象が発生しはじめる。 様々な現象の不気味さには惹き込まれるが、それらの全てが断続的で、根拠となりそうな内容の説明はいちおうあるものの、結局それらにどういう (物語を構成する要素としての) 意味があったのかについて納得ができず、うーんとなってしまう。 違う現象が次々と描かれながら似たような展開の繰り返しで、演出トーンも単調で物語もなかなか前に進まない。 後半にて物語が大きく反転する脚本設計になっているけれど、鑑賞している多くの人は途中でその仕掛けに気づきそうで、そこには驚きや巧みさを見つけることが難しい。 登場するほとんど全ての人物についての、本当はそれぞれ何を望んでいたのか? といったキャラクターの根本部分の設定がとても弱いように
1 day ago


アンティル・ドーン | Until Dawn (2025)
2.9/5.0 「ライト/オフ」や「アナベル 死霊人形の誕生」等のホラージャンルの映画で知られるデヴィッド・F・サンドバーグが手掛けた、ゲームを原作に製作したスラッシャーホラー。 1年前に失踪した女性の妹が、自身の元カレや友人達を連れて姉を探す旅に出る。 豪雨の悪路を抜けて辿り着いた山奥の観光案内所で、不気味な現象が発生する。 閉ざされた舞台で若者達が危険な目に遭うというプロット自体はスラッシャーホラーの典型でありながら、今作はタイムループの構造がそこに組み合わされているところが少し独特で、主人公達は空間と時間の両方で隔絶された同じ夜を何度も過ごすことになる。 よって同一人物が繰り返し様々な目にあうのだけれど、いくつか斬新だなと感じる演出はあるものの、使い古されたジャンプスケアの多用や全篇を通して緩急があまり感じられない展開がやや退屈。 また、主人公達を襲う奇怪な存在達が複数登場するものの、その背景に脈絡のなさを感じ、古典的なモチーフを悪い意味でマッシュアップしているだけのように感じてしまった。 主人公が最後に対峙する存在との決着のつけ方には少し
Mar 7


一瞬の出来事 | In the Blink of an Eye (2026)
4.0/5.0 ピクサーの草創期から同スタジオに所属し、数々のピクサー作品の原案・脚本・監督・製作総指揮を担ってきたアンドリュー・スタントンが手掛けるSF映画。 古代・現代・未来の3つの時代の出来事が並行して進行しながら、数千年の時を越えた物語が描かれる。 コメディアンとしてデビューしながら俳優・声優へと活躍の幅を広げるケイト・マッキノンが出演している。 古代では、故郷を追われたネアンデルタール人の家族が、安住の地を求めて旅をする。 石器や火の使い方を子どもに教え、生存を脅かされながらも支え合って生きる家族の姿が描かれる。 現代では、古代人類の遺物や骨を研究する女性が、自身の家族が迎えようとしている死と向き合うことになる。 避けがたい別れの辛さや、その状況を支えてくれようとする相手との関係構築の難しさが描かれる。 未来では、地球から遠く離れた惑星へ向かう移民船で、クルーの女性と船に搭載されたAIが、その生存環境を脅かすトラブルに直面する。 女性と船が運ぶ生命の種子は人類の未来であり、それを守り抜くために、女性は究極の選択を迫られる。...
Mar 1


バトルランナー | The Running Man (1987)
3.2/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で発表した小説を原案とするSFアクション映画。 「ターミネーター (1984)」で一躍スーパースターとなったアーノルド・シュワルツェネッガーが主演している。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 警察権力によって独裁統治されていたアメリカにおいて、国民に残された数少ない娯楽はTVショー、特に出場者の殺し合いを生中継するという過激なバラエティ番組「ランニングマン」だった。 無実の罪で拘束された主人公は、その番組のプロデューサーに目をつけられ、「ランニングマン」へ出場することに同意させられてしまう。 スティーヴン・キング (今作においてはリチャード・バックマンという名義) の作品といえば、多くの人が思い浮かべるのはやはりホラージャンルになりそうだけれど、今作は舞台設定こそディストピアなものの、とてもあっけらかんとした空気を帯びている。 良くも悪くも、80年代のハリウッド映画が持っていた軽さや勢いが映画全体に感じられる。 敵対する武装者達と主人公達の過激なバトルも、今観
Mar 1


ウェポンズ | Weapons (2025)
4.0/5.0 長編監督デビュー作の「バーバリアン (2022)」で一躍脚光を浴びたザック・クレッガーが脚本・製作・監督するホラー映画。 出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、ベネディクト・ウォン、オールデン・エアエンライクと豪華。 小学校のあるクラスの児童17人が、深夜2時17分に家を飛び出し、行方不明になるという事件が発生する。 そのクラスの担任だった教師、学校長、行方不明児の保護者といった様々な人物の視点と行動から、不可解な事件の真相が明らかになっていく。 何よりも、予告篇でも象徴的に使われていた「子どもたちが深夜に両手を広げて疾走する」画の不気味さが印象的。 伝統的な (ジャンプスケアも含む) 演出と、今まであまり観たことがない意外性たっぷりな恐怖演出の組み合わせが見事で、効果的なカメラワークやコントラスト設計および音効演出もあり、物語にぐっと惹き込まれる。 また、映画の視点が様々な登場人物に切り替わりつつタイムラインを何度か戻って同じシーンを違う角度から描くことで、全体の物語はもちろんのこと、それぞれの人物のバックグラウンドや
Feb 15


V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)
3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッ
Feb 15


夢追いウサギ | Burrow (2020)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 マイホームを手に入れようと頑張るけれどなかなか上手くいかないウサギの物語。 人付き合い (動物付き合い) が苦手で、作り笑顔で他者と距離を置きつつひとりで何でも行おうとするウサギの性分が痛いほど分かる。 誰の心にも多かれ少なかれあるであろうそういった部分の描き方が本当に上手だなと感じる。 また、ウサギが描いたマイホームの設計図が信じられないほどアホ過ぎて可愛く、それが提示される冒頭から笑ってしまいつつ、ぐっと心を掴まれる。 監督のユーモアのセンスが自分だけに特別強く刺さる種類のものなのかも知れないけれど、他にも1箇所すごく笑える短いシーンがあった。 かと思えば、焦るあまりに自分だけでなく他者も巻き込むトラブルを招いてしまったウサギの悲しい表情がとても切なく、涙が出そうになった。 テーマや結末は特別に斬新なものではないかもしれないけれど、短い時間で演出レベルの高さが何度も味わえる秀作。 https://filmarks.com/movies/94715/reviews/2
Jan 31


猫とピットブル | Kitbull (2019)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 野良猫とピットブルの闘犬の出会いと転機を描くアニメーション短篇。 猫が暮らす廃材の段ボールの家の近くに、ピットブルが連れてこられる。当初警戒していた猫は、夜になって傷を負い戻ってきたピットブルを見る。 人間側の都合や背景が描かれることはなく想像するしかないというところが、主人公である猫と犬が置かれた状況の疑似体験になっており、演出が上手だなと感じる。 テーマは特別に新しいものではないけれど、犬猫好きの自分としては、必要最小限の枚数で十分魅力的に描かれる猫や犬のいかにもな動きと、2匹がたどり着く結末にとても心を打たれた。 ピクサー製作の長篇アニメーションには素晴らしい作品がたくさんあるが、必要最小限の要素と展開で描かれる短篇の完成度の高さにも驚かされる。 https://filmarks.com/movies/83033/reviews/211675617
Jan 31


誕生日シンドローム | Twenty Something (2021)
3.8/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 21歳の誕生日を迎え、姉に連れられ初めてクラブへ行くことになった女性が主人公。 主人公が感じる不安な心理が、アニメーション表現ならではの手法で描かれており、そのチャーミングなアイデアが面白い。 ひとりの人間だから思考も成熟度も単一ということではなく、様々な自分が内面に存在している。 自分に比べると随分大人に見える他者もひょっとすると同じなのではないか、自分だけが未成熟で場違いな存在だと思う必要はないのかもしれない。 主人公の葛藤と心境変化の描かれ方がとてもスマートで、温かい読後感が残る素敵な短篇だった。 https://filmarks.com/movies/99398/reviews/211675565
Jan 31


心をつむいで | Purl (2018)
3.6/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 金融企業に入社した毛糸玉の女性を主人公にして描かれる、社会と個人の関わり方についての物語。 意気揚々と新しい職場に乗り込む主人公だったが、男性ばかり (しかも全員が同じようなスーツと顔つき) の空気やカルチャーに圧倒され、無理やりにでも自分を合わせていく。 一連のシーンがピクサーらしいユーモラスな演出で描かれていて楽しいけれど、社会人ならば誰でも一度は味わったことがありそうな状況に、心が痛くなる。 本来の人間性や個性を抑圧してまでも組織や社会に溶け込むことが本当に必要なのか? という重めの問いとそれについての製作者からの回答を、15分程度の時間と軽妙な演出を通して鮮やかに提示できているところに、ピクサーという集団のクリエイティビティの高さをあらためて感じた。 https://filmarks.com/movies/87749/reviews/211675526
Jan 31


ドロップ | Drop (2025)
3.5/5.0 「ハッピー・デス・デイ」シリーズの監督や「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本・製作を担ってきたクリストファー・ランドンが監督を担ったシチュエーションスリラー。 予算は限定しながらも製作者の創造的自由を最大限に重視する方針のブラムハウス・プロダクションズ製作。 レストランでの初デートへ赴いた主人公のスマートフォンに、AirDrop (作品内ではDigiDrop) で匿名のメッセージと画像が送られてくる。 最初はいたずらのように思えたそれは、段々と脅迫めいた内容に変わっていき、やがて妹に託して自宅に置いてきた息子の情報が届くようになる。 DigiDropで通信できる距離はせいぜい15m程度で、脅迫者は主人公のすぐそばにいる誰か。その正体と意図は何なのか… という導入がスリラーとして斬新で、その状況設定に惹き込まれる。 デートの相手をはじめ、自分以外の誰かに助けを求めることが犯人に止められている状況で、主人公がその場を取り繕いつつどのように状況を打破するのかという展開は面白い。 当然ながら犯人は誰だろうと考えながら登場人物全員
Jan 12


プレデター: バッドランド | Predator: Badlands (2025)
3.9/5.0 残虐描写が過激なSFアクション「プレデター」シリーズに属する作品で、同シリーズ復活の立役者ともいえるダン・トラクテンバーグが監督を務めており、有名俳優姉妹の妹、エル・ファニングが出演している。 誇り高い戦闘一族の若者の主人公が、掟を破ったことをきっかけに、最悪の地 (バッドランド) といわれる惑星へ送られる。 主人公はその惑星の頂点捕食生物を狩ることで真の戦士として一族に認められるために、試練に挑む。 これまでのシリーズで人間たちが対峙してきた異星人を主人公に設定するという、視点を逆転する着想が面白い。 相棒として登場するアンドロイド (シンセティック) が、機能はしているものの下半身を失っているという設定も斬新で、それが物語の展開や奇抜なアクションにしっかり活かされているところも上手い。 何より、陽気でチャーミングなアンドロイドと、冷酷で合理的な同型のアンドロイドの二役を演じるエル・ファニングの魅力が素晴らしい。 過去にクロスオーバーした「エイリアン」シリーズのファンにはたまらないであろう演出も後半にかけてたくさんあり、監督の作
Jan 12


フロッグ | I See You (2019)
3.9/5.0 俳優でもあるデヴォン・グレイが脚本を執筆したクライムサスペンス。 NETFLIX映画「iBOY」や「ナイトティース」を手掛けたアダム・ランドールによる監督作品。 15年前に連続少年誘拐殺人事件が発生した小さな町で、再び同様の事件が相次いで発生する。 過去の事件の犯人は逮捕されていることから、混乱する警察。 事件を捜査することになった刑事の家庭は、パートナーの不倫をきっかけに家族関係が崩壊している。 そして刑事の家では超常現象のような不可解な出来事が起こり始める… 舞台を限定した小規模のサスペンスを思わせる序盤から、中盤にある視点の大転換、そして終盤で真相が明らかになる展開と、何度もツイストする脚本の構成が巧み。 ネタバレを避けるため細かい部分への言及は避けるが、前半での様々な違和感や恐怖が後半で納得や別の恐怖に変化する演出が見事だと感じた。 出演している俳優達は誰もが知る著名な人物達ではないけれど、それぞれがそれぞれの役回りを理解しながら高い演技力を発揮することで、真相が明らかになった際の強い衝撃に結実している。...
Jan 4























