

サイコ・キラー | Psycho Killer (2026)
1.8/5.0 サスペンス映画の傑作「セブン」の脚本を手掛けたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが脚本を担当したバイオレンススリラー。 サスペンスやホラージャンルの映画を中心に長くプロデューサーを手掛けてきたギャヴィン・ポロンの初監督作品。 主人公の女性警官とその夫が、パトロール中に不審な車を発見する。 夫がその不審車の運転手を取り調べていると、殺人鬼である運転手の凶行により夫が殺害されてしまう。 主人公は自分だけが生き残ったことに精神的な苦痛を抱え、夫を殺した犯人の足取りを追う。 脚本時点の構造の問題なのか、監督による演出力の問題なのか、犯人を追う主人公視点のパートと殺人鬼視点のパートの往復形式で展開する物語に緩急や緊張感が少なく、何となくだらだらと話が進んでいくので退屈になってしまう。 中盤では殺人鬼視点で悪魔崇拝者達が集まる場所へ赴き滞在する時間があるのだけれど、それらのシーンに物語上の必然性がほとんどないように思えて、文字通りの意味で寄り道になってしまっているのではと感じた。 オカルティックな信仰の恐ろしさや殺人鬼の心の拠り所等がそこで描
5 days ago


ラスト・サバイバー | The Dog Stars (2026)
3.2/5.0 ピーター・ヘラーによる小説「The Dog Stars / いつかぼくが帰る場所」を原作とするポストアポカリプスSFで、巨匠リドリー・スコットが監督を担っている。 「サブスタンス」で鮮烈な印象を残したマーガレット・クアリー、「アベンジャーズ」シリーズでスーパーヴィランを演じたジョシュ・ブローリン、「アイアンマン3」や「エイリアン: コヴェナント」に出演したガイ・ピアースといったスター俳優達に加え、若手俳優として知名度を上げつつあるジェイコブ・エロルディが主演を務めている。 世界的な疫病によって人類のほとんどが死滅し、生存した僅かな人々が極小単位のコミュニティを形成しながら細々と生きる近未来。 主人公とその愛犬は、人里離れた山中に住みながら、セスナ機を使って都市部へ赴き生活物資を拾い集めながら暮らしていた。 ある日受信した途切れとぎれの無線から、主人公はその発信源に何かがあるように感じ、その地を目指して旅に出る。 言わずと知れたカルトSF「ブレードランナー」や「エイリアン」シリーズといった超大作SFを手掛けてきたリドリー・スコットの
5 days ago


オークストリートの異変 | The End of Oak Street (2026)
3.8/5.0 「イット・フォローズ (2014)」を手掛けたデヴィッド・ロバート・ミッチェルが脚本と監督を担ったSFサバイバルで、J・J・エイブラムスがプロデューサーとして、J・Jが率いるバッド・ロボットが製作として関わっている。 1982年、米国郊外にある街オークストリートの夜に謎の光と突風が発生する。翌朝、住民たちが外に出ると、なぜか街一帯だけが恐竜のいる世界へ移動してしまったことが分かってくる。主人公の家族は、凶暴な恐竜たちから逃れながら、現象が発生した理由と、元の時代へ戻る方法を探る。 スピルバーグを始めとする監督たちが80年代に手掛けたダイナミックな映画の数々を熱烈に愛するJ・J・エイブラムスが製作に関わっていることもあり、当時のハリウッド映画の主流だった豪快なSFアドベンチャー (細かい設定はともかく驚きのある画だぜ!) を観ているような懐かしい気持ちになる。 容赦ないほど残酷なシーンと展開が突然に差し込まれるところまでフォローされていて、ある意味徹底されていると感じるほど。 主演のアン・ハサウェイとユアン・マクレガーの存在感はいわ
Oct 18


トイ・ストーリー 5 | Toy Story 5 (2026)
3.3/5.0 ピクサーの初長編映画「トイ・ストーリー」シリーズの5作目で、シリーズ第1作から原案・脚本で関わるアカデミー賞や金獅子賞受賞監督のアンドリュー・スタントンが脚本・監督を担っている。 アンディからボニーへと受け継がれたおもちゃ達が暮らす家庭に、子ども向けタブレットのリリーパッドがやってくる。 想像力豊かながら恥ずかしがりで友達づくりが苦手なボニーは、タブレットのゲームやチャットに夢中になり、おもちゃ達は自分達がもう必要とされないのかもと不安になる。 そこに、かつておもちゃ達のリーダー (シリーズの主人公) でありながらボニーの元を去ったカウボーイ人形のウッディが帰ってくる。 ピクサー作品の素晴らしい点は、普遍的な物語の型を丁寧に踏襲しながら、常に時代の潮流や変化に応じたテーマや問いを設定し、それに対する回答をしっかり提示するところにある。 あらゆるコミュニケーションがデジタル前提となった時代において、子どもが健全に育つために親は何ができるか、何をすべきか、または何をすべきでないのか。 おもちゃ達の視点、少女の視点、親の視点から描かれる
Oct 18


オーヴァーロード | Overlord (2018)
3.6/5.0 「ヴァチカンのエクソシスト (2023)」や「サマリタン (2022)」のジュリアス・エイヴァリーが監督を手掛けた戦争ホラーで、J・J・エイブラムスがプロデューサーとして、J・Jが率いるバッド・ロボットが製作として関わっている。 1944年、第二次世界大戦の時代。 米国の空挺部隊が、フランスにある教会の通信妨害施設を破壊するミッションを受け、敵地へ降下する。 兵士達を輸送する飛行機は激烈な対空砲火を受け、部隊は壊滅状態になるが、生存した数名の兵士達が合流し、教会のある村へ向かう。 教会はナチスドイツにとって重要な軍事拠点であるだけでなく、その地下に人体実験施設を持つ場所だった… あえてざっくり分類すると戦争xゾンビものということになるけれど、その設定がなかなか独特で面白い。 J・Jが製作に関わっていることもあり、ショッキング描写や画のケレン味も多めで、退屈する時間がない。 主人公の若い米兵を演じるジョヴァン・アデボや、部隊のリーダーを演じるワイアット・ラッセルの演技は素晴らしく、その仲間の米兵役として出演するジョン・マガロやドミニ
Oct 18


スターシップ・トゥルーパーズ 2 | Starship Troopers 2: Hero of the Federation (2003)
2.5/5.0 SF小説の巨匠ロバート・A・ハインラインによる「宇宙の戦士」を原作とする戦争SF映画シリーズの2作めで、第1作を手掛けたポール・バーホーヴェン監督は降板し、伝説のストップモーション・アニメーターであるフィル・ティペットが監督を務めている。 民主主義が崩壊し、軍部を中心とする地球全体の統一政府が築かれた未来。植民先の惑星で遭遇した昆虫型異星生物、通称バグズとの間で全面戦争が勃発し、その闘いには終わりが見えない。 ある惑星でバグズに包囲された人類の部隊が、遠い昔に放棄された建物へ逃げ込む。 味方の救助を待ちながら籠城戦を続ける部隊の間で、異変が起き始める。 当時誰も観たことがなかったレベルの特大スケールと圧巻の演出 (しかも痛烈な風刺) によって宇宙戦争を描ききった第1作と比較すると、あまりにも物語のスケールが小さく、予算の事情があっただろうとは思いつつも、やはりがっかりしてしまう。 特撮やVFXによる派手な画づくりができない分、人間達の疑心暗鬼によるサスペンスを軸に物語が展開し、その演出自体には悪目立ちする稚拙さはないにしても、さす
Oct 18


オブセッション 災愛 | Obsession (2025)
4.0/5.0 YouTubeで映像作品を発表してきた新鋭クリエイター、カリー・バーカーの初長編監督作品となるホラー映画。 低予算で製作されながらトロント国際映画祭にて観客賞を受賞し、大きな興行収入を記録している。 今後のマーベル「X-MEN」シリーズにおける超有名キャラクターを演じるのではと噂されているインディ・ナバレッテが出演。 楽器店でアルバイトとして働く冴えない主人公のベアは、バイト仲間のニッキーに想いを寄せている。 ニッキーへ贈るプレゼントを探そうと主人公が入った雑貨店で見つけたのは、使用者の願いが1度だけ叶うといわれるうさんくさい玩具だった。 ニッキーに誰よりも自分を愛してほしいと願いそれを使った主人公とニッキーの関係性が、劇的に変化していく。 ニッキーを演じたインディ・ナバレッテの超越的に強烈な演技が何よりも印象に残る。 怪演とか体当たりの演技などの安易な言葉ではとても形容できない、悪夢のような実在感。 美しい存在が段々と崩壊していきながらもかろうじて作動し続けることの恐怖は、他の映画ではなかなか体験できない。 その演技力が認められ
Sep 13


プロジェクト・サイレンス | Project Silence (2024)
3.3/5.0 「新感染 ファイナル・エクスプレス」の脚本を手掛けたパク・ジュソクの脚本によるパニックスリラーで、「パラサイト 半地下の家族」に出演したイ・ソンギュンが主演を担う。 国家安保室の行政官として働く主人公が、娘を空港へ送る途中の大橋で玉突き事故に巻き込まれる。 濃霧の中で足止めされたのは人だけでなく、軍が秘密裏に開発した凶暴な動物達も、その輸送の途中で事故に巻き込まれていたのだった。 制御不能な動物という脅威の設定はやや凡庸に感じるけれど、濃霧の中にある大橋という閉鎖空間の状況設定が面白い。 登場人物達はよくも悪くもキャラクターや役割が明快で、脚本が群像劇として丁寧に設計されている。 韓国映画ならではの家族の情念要素は今作にもしっかりあるが、展開の根幹に関わるほどではなく、少し薄めな印象。 同じく韓国映画に頻出する汚れた政治要素や主人公の葛藤もありながら、その要素も主軸ではない。 鑑賞後に何か強い読後感が残るタイプの作品ではないけれど、様々な設定やキャラクターがバランス良く配置されている、エンタテイメントとして丁寧にまとめられたパニッ
Sep 13


スキナマリンク | Skinamarink (2022)
1.0/5.0 YouTubeでホラー短篇を発表していたカナダ出身の映像作家カイル・エドワード・ボールによる実験的ホラー映画で、今作がボール監督の初長編監督作品とのこと。 兄妹の子ども達が夜中に自宅で目を覚ますと、親がいないことに気づく。 消えたのは親だけでなく、窓やドアも次々と消失していき、兄妹は自宅に取り残される。 製作難易度の低さからYouTubeで一定流行しているリアリズム系のホラー映像の系譜に位置する作品であることは理解しつつ、そのあまりにもレベルの低いアングルの作り方や脚本設計を放棄したような展開の不在に、逆に驚かされた。 ひと昔前のホームビデオカメラで撮影したようなザラついた質感には懐かしさだけでなくやんわりとした違和感や恐怖を感じさせる効果があるが、この作品はその「雰囲気」しかなく、映画作品としての最低限のストーリーテリングもアートディレクションも皆無。 そもそもこの懐かしい質感のホームビデオは誰がどんな理由で撮影しているのか? きっと製作者側には理屈も何もないのだろう。 多くの人が多感な子ども時代に覚えた不安の再現と解釈すること
Sep 6


さよなら地球!スマホを切ったら世界が終わってた | Save Yourselves! (2020)
1.3/5.0 サンダンス映画祭のグランプリにノミネートされたSFコメディ中篇で、アレックス・ヒューストン・フィッシャーとエレノア・ウィルソンによる共同脚本・監督作品。 都会で暮らす男女の主人公は、いつもスマホが気になる典型的な現代人。 SNSの通知や仕事の連絡が気になり、お互い向き合って会話することさえ疎かになってしまっている。 2人は1週間だけスマホの電源を切って外部との連絡を断ち、山に籠もって自分達だけの時間を過ごすと決め、実行する。 そうやって2人がデジタルデトックスをしている間に、地球規模での異変が発生していて… という導入。 いわゆる異星人の侵略ものではあるが、ハードなSFではなく、オフビートなコメディのトーンが全篇に漂う。 作品内で起きている極めてシリアスな状況にそぐわない意図的な画づくりのチープさを面白がれる人もいるだろうとは思うけれど、自分には全然合わなかった。 風刺や冗談として製作しているんだから、こんなもんでいいだろ? 逆にこの安っぽさが皮肉っぽくて笑えるだろ? と押し付けられているように感じ、それに乗れない。...
Sep 6


エクステリトリアル | Exterritorial (2025)
3.0/5.0 ドイツ出身のクリスティアン・ツバートが脚本・監督を担ったNETFLIX製作のアクション・サスペンス映画。 同じくドイツ出身のジャンヌ・グルソーとロシア/シベリア出身のレラ・アボヴァが出演している。 元ドイツ特殊部隊所属の退役軍人である主人公は、アフガニスタンでの戦闘で夫を失い、精神疾患を抱えながらひとり息子を育てている。 米国での就職の手続きをするため母子は2人でフランクフルトにある米国領事館を訪れるが、主人公は館内の待ち時間で僅かに目を離した隙に息子を見失ってしまう。 主人公は職員へ迷子になった息子の捜索を訴えるが、精神疾患の影響 (息子が存在するという幻覚) を疑われ、拘束されてしまう。 舞台や設定は違うけれど、導入部分のプロットからジョディ・フォスター主演の「フライトプラン (2005)」を思い出すサスペンス映画好きが多いのではないか。 ただ、今作は主人公が元軍人という設定もあり、サスペンスだけでなく地に足のついた肉弾戦が比較的多くあって画づくりの展開には退屈しない。 主人公を演じたジャンヌ・グルソーの出演作品を観るのはこの
Sep 6


ロングウォーク | The Long Walk (2025)
4.0/5.0 ホラー小説の帝王スティーヴン・キングがリチャード・バックマンという別名義で発表した小説を原作とするサバイバル映画で、「コンスタンティン (2005)」や「ハンガー・ゲーム」シリーズを手掛けてきたフランシス・ローレンスが監督を担っている。 「リコリス・ピザ (2021)」に出演したクーパー・ホフマンと、「エイリアン: ロムルス (2024)」で強烈な印象を残し「ブラックパンサー3 (2028公開予定)」の主演に抜擢されたデヴィッド・ジョンソンが中心的なキャラクターを演じている。 「スター・ウォーズ」シリーズにおける伝説的キャラクター、ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルも、重要なキャラクターとして元気に登場している。 壊滅的な内戦を経て、全体主義の軍事政権が支配する米国。 戦争の傷跡として残る不況の打破のために国民の愛国心と労働意欲を活性化することを目的として、米国中から集められた若者達50人が、たった一人が生き残るまで不眠不休で歩き続けるという狂気のイベント「ロングウォーク」に招集される。 設定された速度で歩き続けられな
Aug 22


スーパーガール | Supergirl (2026)
3.0/5.0 DCコミックスの実写映画シリーズ (DCエクステンデッドユニバース = DCEU) がリブートされ、DCユニバース = DCUとして再スタートした実写映画シリーズの第2作目。 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル (2017)」のクレイグ・ギレスピーが監督を務め、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン (2022)」等に出演していたミリー・オールコックがタイトルロールを演じている。 崩壊する故郷の惑星から脱出した主人公のカーラ / スーパーガールは、同じく生き延びて地球に暮らす従兄弟 (クラーク・ケント / スーパーマン) の元に身を寄せていたが、地球を離れ放浪生活を送っていた。 共に過ごす唯一の存在である愛犬クリプトに命の危機が迫り、カーラはクリプトを救うべく新たな旅に出る。 DCU映画の1作目「スーパーマン (2025)」の終盤で僅かに登場し、その魅力が話題となったミリー演じるスーパーガールが主役ということで、すごく期待しながら鑑賞したが、なかなか没入できず残念な読後感が残ってしまった。 要所で展開するダイナミックなアクションは面白
Aug 22


レディ・オア・ノット | Ready or Not (2019)
3.3/5.0 近頃注目を浴びているサマラ・ウィーヴィング (「マトリックス」のエージェント・スミスを演じた名優ヒューゴ・ウィーヴィングの姪) が主演する、ブラックコメディ感のあるサバイバルホラー。 YouTubeで作品を発表してきた映像制作チーム「Radio Silence」のスタッフが中心となって製作を手掛け、同チームに所属するマット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレットが共同で監督を担っている。 結婚を控えた主人公が、パートナーの生家である大富豪一族の伝統儀式に参加することになる。 ギャンブルやゲームに関わる商売で財を成した一族の儀式には、独特なルールがあって… という導入。 何よりも、新世代のスクリーム・クイーン (恐怖演技が印象的な俳優) ともいわれるサマラ・ウィーヴィングの存在感が作品の屋台骨になっている。 叔父によく似たそれぞれ大きな顔のパーツはインパクトが抜群で、状況に応じて様々に変化する表情や身体演技も素晴らしい。 命を狙われる密閉空間でのサバイバルという設定自体は特別斬新なものではないけれど、無駄なくテンポ良く物語が展開
Aug 22


ザ・ラストハウス | The Last House (2026)
2.9/5.0 「グランド・イリュージョン」シリーズを手掛けたルイ・レテリエが監督したNETFLIX映画で、「トロン: アレス (2025)」や「ハウス・オブ・ダイナマイト (2025)」等に出演するグレタ・リーと、「ナルコス」シリーズや「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で強烈な印象を残したワグネル・モウラが主演している。 シアトル近郊で暮らす主人公一家は、ある日突然自宅に閉じ込められる。 扉も窓も開かず、電話もインターネットも通じず、近隣の家族も同様で、外では雨が降り続く。 一家は備蓄食料を頼りに状況の変化を待ち続けるが、やがて物資が尽きはじめ、何とかして生存方法を作り出そうとする。 多くの人が思い出すのが、まだ有効なワクチンが開発されておらず世界中が恐怖と混乱の中にあった新型コロナ禍初期のロックダウンだろう。 脚本を手掛けたマシュー・ロビンソンや監督のルイ・レテリエは、物語の着想そのものはロックダウンではなかったとしつつ、他者との関係断絶や見通しが立たない未来への不安を描くための装置として、隔離された自宅という舞台を設定したとのこと。...
Aug 11























