

ウォーフェア 戦地最前線 | Warfare (2025)
3.6/5.0 海兵としての従軍経験を持つレイ・メンドーサと、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドが共同で脚本・監督を担った、レイ・メンドーサ氏の実際の体験に基づく戦争映画。 舞台はイラク戦争中のラマディ。アルカイダ幹部の監視任務に就いていた通信兵のレイを含む8人の特殊部隊は、敵側にその動きを察知され、先制攻撃を受ける。 死亡者や負傷者が続出し救援もままならない状況下において、レイや指揮官達は極限の選択を迫られながら、戦場からの脱出を図る。 レイ監督とその同僚が体験した戦闘および実際の行動が、過度な演出を排したリアルなタッチで描かれており、その緊迫感は凄まじい。 ダイナミックなカメラワークや劇伴といった手法は存在しないが、その突き放すようにドライな演出が戦場の緊迫感の再現に寄与している。 加えて、兵士役の演技指導に実際の戦闘経験がある元兵士を多数起用したことも、画のリアリティを強化している。 物語のテーマについても同様で、ただひたすらに人々が殺し合う戦争という状況の再現に徹することで、かえってその残酷さと虚しさが読後感とし
15 hours ago


HELP -復讐島- | Send Help (2026)
3.9/5.0 「死霊のはらわた (1981・1987)」や「スパイダーマン (2002・2004・2007)」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督によるサバイバルスリラーで、同監督による「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に出演していたレイチェル・マクアダムスが主演を担っている。 コンサルティング企業で働く主人公は有能だが不器用で社交性が低く、上司から冷淡で不当な扱いを受けている。 その上司たちと主人公が出張のために搭乗した小型飛行機が墜落し、気づくと主人公は孤島の浜辺に打ち上げられていた。 しかし生き残ったのは主人公だけではなく、その上司も同じ島に流れ着いていたのだった… という導入。 孤立した舞台でのサバイバルと、支配する/される側の立場の逆転が巧みに組み合わされた脚本がとても面白い。 詳述は避けるが、そろそろ終幕が迫る雰囲気が出てきてからのさらなる物語展開に驚かされた。 弱々しく不潔にさえ見える冒頭の主人公が、孤島で優位に立つにつれてまるで別人のように強く美しく見えてくる描かれ方の変化も見事で、これは監督の熟練した演出力
3 days ago


All You Need is Kill (2026)
2.0/5.0 桜坂洋による小説を原作とする、ハリウッドにてトム・クルーズ主演で実写映画化されたSF戦争アクションを、アニメーションによって再映画化した作品。 「海獣の子供」のCGIや「漁港の肉子ちゃん」の演出を手掛けてきた秋元賢一郎が監督を担っている。 謎の地球外生命体に侵略された地球で、人類は統合防疫軍を組織し、パワードスーツや武器を開発のうえでその調査にあたっている。 ある日、主人公の女性兵士は異生物と対峙することになり死亡するが、死の瞬間にその日の朝へ戻るという現象を体験する。 死ぬ度に時を遡り、圧倒的な戦闘力を持つ異生物による絶望的な死の経験を何度も重ねるうち、主人公は闘い方を身に着けていく。 そして、その同じ日を何度も経験しているもうひとりの人物と出会う。 ハリウッド実写版で主人公だった男性は今作ではサブとなり、サブだった女性が今作の主人公となっているが、世界観設定や基本的な物語構造は同一。 アニメーションならではのアクロバティックな画づくりは面白く、個性的なキャラクター造形も個人的にはそれほど違和感なく見ることができたけれど、かとい
3 days ago


ランニング・マン | The Running Man (2025)
3.1/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で出版した小説を原案とするSFアクション。 1987年にいちど映画化されているが、リメイク版にあたる今作は原作に忠実な物語となっている。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 貧困層に向けた娯楽 (ガス抜き施策) として国家が提供する「ランニングマン」という過激なリアリティ番組が人気を博している。 全国民が視聴する中、殺人も厭わないハンターチームから30日間逃げ切れた挑戦者には高額な報酬が得られるというその番組に応募することになった主人公は、その番組が覆い隠してきた真実を知ることになる。 1987年版の主人公を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、今作では「トップガン マーヴェリック」や「エクスペンダブルズ3」に出演してきたグレン・パウエルが主演を担っている。 頭は切れるものの怒りを制御するのが苦手というキャラクターを魅力的に演じている。 2020年代の洗練された画づくりやエドガー・ライトの小気味よい演出力は確かにありながら、1987年版に漲っていたヤケ
3 days ago


ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
Mar 14


マーシー AI裁判 | Mercy (2026)
3.4/5.0 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ジュラシック・ワールド」シリーズに主演してきたクリス・プラットと「ドクター・スリープ」や「ミッション・インポッシブル」シリーズに出演してきたレベッカ・ファーガソンが共演するSFサスペンス。 監督作の「ウォンテッド」や製作として携わった「ハードコア」の個性的なアクションとエッジィな演出で注目を集めたティムール・ベクマンベトフが監督を担っている。 舞台は近未来の米国。凶悪犯罪の増加に対処するため、正確かつ迅速な裁判執行を可能にする司法制度「マーシー裁判所」が設立される。 マーシー裁判所ではAIが裁判官を務め、あらゆるメディアに記録された膨大なデータから被告の有罪率を随時算出し、被告にも自身の弁護のためにそれらのデータへのアクセス権限を与えながら、90分以内に有罪率を一定以下に下げなければその場で被告の処刑が行われる。 AIによる19番目の裁判にかけられることになった主人公は、マーシー裁判制度の強力な推進者だった、という導入。 現代においても既に、世界中のあらゆる場所にビデオや音声を記録するデバ
Mar 14


アストロノート | The Astronaut (2025)
2.1/5.0 「ファンタスティック・フォー (2015)」や「オデッセイ」に出演していたケイト・マーラが主人公を演じるSFスリラー。 監督のジェス・ヴァーリーにとって、この作品が長編デビュー作とのこと。 宇宙での任務から帰還した宇宙飛行士が、リハビリと世間からの隔離を兼ねたセーフハウスで過ごすうちに、身体の異変や謎の現象が発生しはじめる。 様々な現象の不気味さには惹き込まれるが、それらの全てが断続的で、根拠となりそうな内容の説明はいちおうあるものの、結局それらにどういう (物語を構成する要素としての) 意味があったのかについて納得ができず、うーんとなってしまう。 違う現象が次々と描かれながら似たような展開の繰り返しで、演出トーンも単調で物語もなかなか前に進まない。 後半にて物語が大きく反転する脚本設計になっているけれど、鑑賞している多くの人は途中でその仕掛けに気づきそうで、そこには驚きや巧みさを見つけることが難しい。 登場するほとんど全ての人物についての、本当はそれぞれ何を望んでいたのか? といったキャラクターの根本部分の設定がとても弱いように
Mar 14


アンティル・ドーン | Until Dawn (2025)
2.9/5.0 「ライト/オフ」や「アナベル 死霊人形の誕生」等のホラージャンルの映画で知られるデヴィッド・F・サンドバーグが手掛けた、ゲームを原作に製作したスラッシャーホラー。 1年前に失踪した女性の妹が、自身の元カレや友人達を連れて姉を探す旅に出る。 豪雨の悪路を抜けて辿り着いた山奥の観光案内所で、不気味な現象が発生する。 閉ざされた舞台で若者達が危険な目に遭うというプロット自体はスラッシャーホラーの典型でありながら、今作はタイムループの構造がそこに組み合わされているところが少し独特で、主人公達は空間と時間の両方で隔絶された同じ夜を何度も過ごすことになる。 よって同一人物が繰り返し様々な目にあうのだけれど、いくつか斬新だなと感じる演出はあるものの、使い古されたジャンプスケアの多用や全篇を通して緩急があまり感じられない展開がやや退屈。 また、主人公達を襲う奇怪な存在達が複数登場するものの、その背景に脈絡のなさを感じ、古典的なモチーフを悪い意味でマッシュアップしているだけのように感じてしまった。 主人公が最後に対峙する存在との決着のつけ方には少し
Mar 7


一瞬の出来事 | In the Blink of an Eye (2026)
4.0/5.0 ピクサーの草創期から同スタジオに所属し、数々のピクサー作品の原案・脚本・監督・製作総指揮を担ってきたアンドリュー・スタントンが手掛けるSF映画。 古代・現代・未来の3つの時代の出来事が並行して進行しながら、数千年の時を越えた物語が描かれる。 コメディアンとしてデビューしながら俳優・声優へと活躍の幅を広げるケイト・マッキノンが出演している。 古代では、故郷を追われたネアンデルタール人の家族が、安住の地を求めて旅をする。 石器や火の使い方を子どもに教え、生存を脅かされながらも支え合って生きる家族の姿が描かれる。 現代では、古代人類の遺物や骨を研究する女性が、自身の家族が迎えようとしている死と向き合うことになる。 避けがたい別れの辛さや、その状況を支えてくれようとする相手との関係構築の難しさが描かれる。 未来では、地球から遠く離れた惑星へ向かう移民船で、クルーの女性と船に搭載されたAIが、その生存環境を脅かすトラブルに直面する。 女性と船が運ぶ生命の種子は人類の未来であり、それを守り抜くために、女性は究極の選択を迫られる。...
Mar 1


バトルランナー | The Running Man (1987)
3.2/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で発表した小説を原案とするSFアクション映画。 「ターミネーター (1984)」で一躍スーパースターとなったアーノルド・シュワルツェネッガーが主演している。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 警察権力によって独裁統治されていたアメリカにおいて、国民に残された数少ない娯楽はTVショー、特に出場者の殺し合いを生中継するという過激なバラエティ番組「ランニングマン」だった。 無実の罪で拘束された主人公は、その番組のプロデューサーに目をつけられ、「ランニングマン」へ出場することに同意させられてしまう。 スティーヴン・キング (今作においてはリチャード・バックマンという名義) の作品といえば、多くの人が思い浮かべるのはやはりホラージャンルになりそうだけれど、今作は舞台設定こそディストピアなものの、とてもあっけらかんとした空気を帯びている。 良くも悪くも、80年代のハリウッド映画が持っていた軽さや勢いが映画全体に感じられる。 敵対する武装者達と主人公達の過激なバトルも、今観
Mar 1


ウェポンズ | Weapons (2025)
4.0/5.0 長編監督デビュー作の「バーバリアン (2022)」で一躍脚光を浴びたザック・クレッガーが脚本・製作・監督するホラー映画。 出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、ベネディクト・ウォン、オールデン・エアエンライクと豪華。 小学校のあるクラスの児童17人が、深夜2時17分に家を飛び出し、行方不明になるという事件が発生する。 そのクラスの担任だった教師、学校長、行方不明児の保護者といった様々な人物の視点と行動から、不可解な事件の真相が明らかになっていく。 何よりも、予告篇でも象徴的に使われていた「子どもたちが深夜に両手を広げて疾走する」画の不気味さが印象的。 伝統的な (ジャンプスケアも含む) 演出と、今まであまり観たことがない意外性たっぷりな恐怖演出の組み合わせが見事で、効果的なカメラワークやコントラスト設計および音効演出もあり、物語にぐっと惹き込まれる。 また、映画の視点が様々な登場人物に切り替わりつつタイムラインを何度か戻って同じシーンを違う角度から描くことで、全体の物語はもちろんのこと、それぞれの人物のバックグラウンドや
Feb 15


V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)
3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッ
Feb 15


夢追いウサギ | Burrow (2020)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 マイホームを手に入れようと頑張るけれどなかなか上手くいかないウサギの物語。 人付き合い (動物付き合い) が苦手で、作り笑顔で他者と距離を置きつつひとりで何でも行おうとするウサギの性分が痛いほど分かる。 誰の心にも多かれ少なかれあるであろうそういった部分の描き方が本当に上手だなと感じる。 また、ウサギが描いたマイホームの設計図が信じられないほどアホ過ぎて可愛く、それが提示される冒頭から笑ってしまいつつ、ぐっと心を掴まれる。 監督のユーモアのセンスが自分だけに特別強く刺さる種類のものなのかも知れないけれど、他にも1箇所すごく笑える短いシーンがあった。 かと思えば、焦るあまりに自分だけでなく他者も巻き込むトラブルを招いてしまったウサギの悲しい表情がとても切なく、涙が出そうになった。 テーマや結末は特別に斬新なものではないかもしれないけれど、短い時間で演出レベルの高さが何度も味わえる秀作。 https://filmarks.com/movies/94715/reviews/2
Jan 31


猫とピットブル | Kitbull (2019)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 野良猫とピットブルの闘犬の出会いと転機を描くアニメーション短篇。 猫が暮らす廃材の段ボールの家の近くに、ピットブルが連れてこられる。当初警戒していた猫は、夜になって傷を負い戻ってきたピットブルを見る。 人間側の都合や背景が描かれることはなく想像するしかないというところが、主人公である猫と犬が置かれた状況の疑似体験になっており、演出が上手だなと感じる。 テーマは特別に新しいものではないけれど、犬猫好きの自分としては、必要最小限の枚数で十分魅力的に描かれる猫や犬のいかにもな動きと、2匹がたどり着く結末にとても心を打たれた。 ピクサー製作の長篇アニメーションには素晴らしい作品がたくさんあるが、必要最小限の要素と展開で描かれる短篇の完成度の高さにも驚かされる。 https://filmarks.com/movies/83033/reviews/211675617
Jan 31


誕生日シンドローム | Twenty Something (2021)
3.8/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 21歳の誕生日を迎え、姉に連れられ初めてクラブへ行くことになった女性が主人公。 主人公が感じる不安な心理が、アニメーション表現ならではの手法で描かれており、そのチャーミングなアイデアが面白い。 ひとりの人間だから思考も成熟度も単一ということではなく、様々な自分が内面に存在している。 自分に比べると随分大人に見える他者もひょっとすると同じなのではないか、自分だけが未成熟で場違いな存在だと思う必要はないのかもしれない。 主人公の葛藤と心境変化の描かれ方がとてもスマートで、温かい読後感が残る素敵な短篇だった。 https://filmarks.com/movies/99398/reviews/211675565
Jan 31























