

スパイダーマン: ブランド・ニュー・デイ | Spider-Man: Brand New Day (2026)
3.9/5.0 マーベル・スタジオが製作・展開するマーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) に属する大人気キャラクターを主人公とするシリーズの4作目で、監督は前作までの3部作を手掛けたジョン・ワッツから「シャン・チー/テン・リングスの伝説 (2021)」を手掛けたデスティン・ダニエル・クレットンに交代している。 今や誰もが認める若きスーパースターのトム・ホランドとゼンデイヤに加え、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で注目を浴びたセイディー・シンクが重要なキャラクター役で出演している。 前作にて恋人や親友を含む世界中の人々から自身についての記憶が消去され、スパイダーマン/ピーター・パーカーは再び正体不明のスーパーヒーローとしてニューヨークの平和を守り続けている。 ピーターが前作で選択した結果は、恋人と親友に平穏な日々をもたらしたものの、愛する家族も失ってしまったピーターは孤独。 そんな時、他者の心と身体に入り込み操作する強大な能力を持つ謎の存在が街を襲う。 前作「スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム (2021)」の物語や登場キャラ
Aug 9


SISU/シス 復讐の血闘 | Sisu: Road to Revenge (2025)
3.7/5.0 フィンランド出身のヤルマリ・へランダーが脚本・監督を手掛けた戦争アクションの2作目で、その義理の弟でもあるヨルマ・トンミラが1作目に続き主演を担っている。 SISUとはフィンランド語で「困難を前にしても絶対に折れない不屈の精神」を指す、とのこと。 第二次世界大戦の終戦直後、1946年。 フィンランドの元特殊部隊員で、伝説の兵士として恐れられていた主人公は、ソ連領になった故郷へ戻り、戦争中に失った家族と共に暮らした家を解体して、フィンランドの安全な土地で再建することを目指す。 ソ連当局側は主人公の存在を危険視し、その宿敵ともいえる元軍人を利用して抹殺しようとする。 とことん寡黙でありながら、自身に迫る暴力にはそれを凌駕する超暴力で立ち向かう主人公が魅力的だった1作目のテンションはそのままに、今作でも戦闘機や戦車、終盤ではミサイルまで登場してのバイオレンスアクションが展開する。 一応のシリアスさが保たれていながらあまりのハチャメチャさに笑ってしまう作風だった1作目との違いは、2作目となる今作では演出がエスカレートしていて、製作者達が割
Aug 9


DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン | Daicon Film’s Return of Ultraman (1983)
3.5/5.0 「エヴァンゲリオン」を生み出したアニメ制作会社ガイナックスの母体となった同人製作集団、DAICON FILMによる「ウルトラマン」のパロディ短篇。 総監督と主演を庵野秀明が、脚本を岡田斗司夫が担っている。 地方都市ヒラツネ市に隕石が落下し、同市は壊滅。 隕石と共に宇宙怪獣が現れ、地球防衛軍は戦闘機で迎撃するが刃が立たない。 熱核兵器による怪獣の追撃がやむなく決定し、さらに大規模な被害と汚染が避けられない状況になった時、ウルトラマンが登場する。 物語やその展開はパロディ元のウルトラマンをなぞった形になっており、そこに斬新さがあるとはいえないが、驚かされるのは、今や巨匠となった庵野秀明や、後にガイナックスの重要人物となる、今作では特技監督として関わった赤井孝美といったクリエイター達の、特撮へのリスペクトとその再現技術の高さ。 8mmフィルムによる自主製作でありながら、基地や戦闘機のミニチュア撮影、市街地の爆発演出、そしてウルトラマンと怪獣のスケール感表現は見事で、彼らの当時の情熱がフィルムに焼き付けられているといっていいだろう。...
Aug 9


ペリリュー -楽園のゲルニカ- | Peleliu: Guernica of Paradise (2025)
3.8/5.0 武田一義による同題の漫画作品を原作とするアニメーション映画で、武田は今作の脚本にも参加。 川井憲次が劇伴を手掛けている。 第二次世界大戦末期の1944年、漫画家になる夢を持つ主人公は、日本軍兵士として南国のペリリュー島へ派遣される。 ペリリューはサンゴ礁と森に囲まれた美しい島ながら、米軍の大規模な上陸作戦により、日米軍が激突する凄惨な戦場となる。 主人公は従軍中にできた友人達と協力しながら、戦場をくぐり抜けていく。 武田一義が戦争経験者から丁寧に取材した内容を基に形にされた原作漫画の内容をベースにしつつ、尺の制限がある映画用の脚本としてややダイジェスト的な物語展開に編集されてはいるが、それでも原作で描かれていた戦場の凄惨さや狂気は失われておらず、ただただ戦争という行為の愚かさと恐ろしさを感じる。 可愛い絵柄とグロテスクな描写のギャップが、この作品の個性であり描かれる風景のコントラストとなっている。 声優として出演している板垣李光人や中村倫也といった俳優達の誠実な好演もあり、キャラクターの存在感がしっかり立っている。...
Aug 9


ブルータル・ジャスティス | Dragged Across Concrete (2018)
4.1/5.0 ミュージシャンや小説家としても活躍するS・クレイグ・ザラーが脚本・監督・音楽を手掛けたクライムスリラー。 俳優や監督としての偉大な才能と過激な言動の両方で有名なメル・ギブソンが主演を担い、監督の前作「デンジャラス・プリズン (2017)」で主演したヴィンス・ヴォーンが共演している。 過激な捜査が原因で無給停職になった主人公の刑事とその相棒は、病気の妻や娘を守るための金を得るため、犯罪組織から金銭を強奪することを思いつく。 主人公達が狙う犯罪組織は銀行の金塊を奪うという大規模な計画を企てていた。 この作品の物語を動かす主要なキャラクター達には善悪の境目がほとんどなく、犯罪組織側の人物達も含め、誰もが切羽詰まった事情に追い詰められて暴力という手段をとる。 そしてその行動に巻き込まれた人々は、圧倒的に無慈悲な暴力のもとに容赦なく命を奪われていく。 全ての登場人物とその背景を丁寧過ぎるほど精緻に描きながら、同時に誰にも感情移入しない距離から突き放したような冷酷な温度で惨状を描くS・クレイグ・ザラーの演出スタイルには唯一無二ともいえる個性が
Aug 9


モータルコンバット/ネクストラウンド | Mortal Kombat II (2026)
3.1/5.0 バイオレンス描写が過激な格闘ゲームを原作とする実写映画化のシリーズ2作目で、脚本のジェレミー・スレーターと監督のサイモンマッコイドは1作目からの続投。 敗北した世界が勝者の世界に支配される格闘大会「モータルコンバット」で、人間界は魔界に追い詰められていた。 人間界の代表者達は、かつてハリウッドでアクションスターとして活躍しながら現在は落ちぶれた男を仲間に迎え、魔界勢力との最終決戦に挑む。 原作が格闘ゲームということもあり、世界観設定のガバガバさを気にしだすとキリがないのでこの映画はそういうものと受け止め、その緩さとは裏腹に容赦なくハードなアクションを深く考えずに楽しむタイプの作品。 2作目の今作で満を持して登場した原作ゲームの人気キャラクター、ジョニー・ケイジを演じるカール・アーバンのワイルドさや、前作から続投の浅野忠信が演じる守護神の神々しさ、そして今や世界のサナダとなった真田広之のここぞというタイミングでの登場など、楽しいシーンやド派手なアクションが盛りだくさん。 鑑賞後に心に残るものは何もないタイプのアホな映画ではあるけれど
Aug 9


マスターズ・オブ・ユニバース | Masters Of The Universe (2026)
4.0/5.0 米国の玩具メーカー、マテル社が創作したキャラクターと世界設定を原作とするSFアクションで、「KUBO 二本の弦の秘密 (2016)」や「バンブルビー (2018)」を手掛けたトラヴィス・ナイトが監督を担っている。 1987年にも一度映画が製作されていて、今作が2回目の実写映画化。 主人公の青年は、幼少期に故郷の惑星エターニアで起きた戦火から逃れ、地球で育つ。 自身と共に地球へ送られならが手放してしまった宝剣を探し続ける主人公のもとに、刺客と故郷の幼馴染が現れる。 とにかくバカバカしいほど壮大な世界観と軽快な展開が楽しめる、80年代ハリウッドのような冒険活劇で、トラヴィス・ナイト監督の演出センスが全篇に冴え渡っている。 主人公を演じたニコラス・ガリツィンやその幼馴染役のカミラ・メンデスといった若きスター俳優達の鮮烈な存在感と、イドリス・エルバやジャレッド・レトといったベテラン俳優達の安定感、そしてそれらのアンサンブルが楽しい。 完全に笑わせにきているギャグの数々も強引さはなく意外性のセンスがあって、まんまと笑ってしまった。...
Aug 9


Nightborne (2026)
3.5/5.0 「第9地区 (2010)」や「チャッピー (2015)」等のバイオレンスSFを得意とする南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ監督による、全篇が生成AIで製作されているショートフィルム。 ピーター・ワッツによるSF小説「Echopraxia」の世界観が参照されている。 主人公の米軍兵士は、戦闘によって死亡するが、極秘の軍事プログラムによって「復活」する。 死者を兵器として再利用する非情な世界が描かれる。 ブロムカンプ監督が新たに設立したAI製作スタジオ「Barley Studios」からの初作品となる今作は、監督がこれまで手掛けてきた作品群で見られたドキュメンタリー風の証言映像や軍事記録映像と映画的ビジュアルのコラージュで構成されており、監督の持ち味が映像生成でも具現化されているところがとても興味深い。 生成にはSeedance 2.0が使われていながら、実在人物 (俳優) の顔と声や人間の手によるコンセプトアートが用いられており、表現の核の部分はAI任せになっていないという点が、映像のリアリティや全体的な品質の担保につながっている
Jul 23


ニュー・ミュータント | The New Mutants (2020)
3.6/5.0 旧20世紀FOX (現20世紀スタジオ) が製作してきたアメコミ映画原作「X-MEN」シリーズの13作目で、「ハッピーエンドが書けるまで (2012)」や「きっと、星のせいじゃない。(2014)」を手掛けたジョシュ・ブーンが脚本・監督を担っている。 X-MENシリーズの中心的存在であるウルヴァリン、サイクロップス、ジーン・グレイ、プロフェッサーXといったキャラクター達は登場せず、既存シリーズの物語との関連性もほとんどないが、世界観は共有されている。 ネイティヴ・アメリカンをルーツに持つ主人公を含む5人の若者達は、ある施設に隔離されることになる。 彼らはそれぞれ特殊能力を持つミュータントで、自らを医師と名乗る女性の管理下に置かれ、全てを監視された生活を余儀なくされる。 若者達ははじめ衝突しながらもお互いを理解していくが、やがて施設内で怪奇現象が発生しはじめる。 主人公を演じたブルー・ハントをはじめ、アニャ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートンといった新世代のスター俳優達の存在感が瑞々しく輝いており、作品のト
Jul 19


マーズ・エクスプレス | Mars Express (2023)
3.9/5.0 フランス製作のSFアニメーション映画で、監督は今作が初監督作となるジェレミー・ペランが担っている。 カンヌ国際映画祭で初上映され、後に劇場公開もされた作品。 舞台は23世紀の火星。 地球から火星に戻った主人公の私立探偵とアンドロイドの相棒は、行方不明になった大学生の捜索という依頼を受ける。 調査が進むにつれて、主人公達が探っている真相が単なる失踪事件ではないことが分かってくる。 典型的な探偵ものの導入で始まりつつ、火星移住やロボットの進化が実現した超未来の世界が描かれながら展開する物語が面白く、美女や美男といった類型的な造形ではなくリアリティとドライさが重視されたキャラクター達が描かれるアニメーションの質感がとても魅力的。 「AKIRA (1988)」「攻殻機動隊 (1995)」「パプリカ (2006)」等の日本のSFアニメーションや、それらに影響を受けて製作された映画「マトリックス (1999)」シリーズへのオマージュが明らかに感じられるが、浅い剽窃ではなく敬意をもって承継された新たな作品という印象がある。 主人公達がたどり着く
Jul 19


入国審査 | Upon Entry (2023)
4.3/5.0 ベネズエラ出身のアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケスが共同で脚本・監督を手掛けたサスペンス。 移民としてバルセロナで暮らす2人の実体験から着想を得たという、ほぼワンシチュエーションで展開する低予算映画。 主人公はバルセロナ在住のベネズエラ人のディエゴとスペイン人のエレナで、事実婚の関係にある。 エレナが米国のグリーンカード抽選に当選し、移民ビザを取得できたことをきっかけに、2人は米国への移住を決意する。 しかし、2人が降り立ったニューヨークの空港での入国審査カウンターで、別室へ連行され、移民局の審査官に尋問されることになる。 海外旅行をしたことがある人ならば誰でも経験があるといってもいいだろう、入国審査カウンターで味わう緊張。 この映画ではその瞬間から事態がどんどんと悪化していき、その展開に息が詰まる。 審査官による鋭い尋問によってエレナが知らされていなかったディエゴの過去が明らかになる脚本と、ぐらつき始める主人公2人の関係性。 過剰な劇伴もVFXもカメラワークも使わず、丁寧でオーソドックスなアングルと俳優達の演技
Jul 18


パラレル 多次元世界 | Parallel (2018)
3.3/5.0 メキシコ出身のアイザック・エスバンが監督を担ったカナダ製作のSFスリラー。 シェアハウスで生活するソフトウェア開発者とその友人の4人の若者達は、屋根裏部屋で奇妙な大鏡を発見する。 鏡の向こう側には並行世界が存在し、自分達や知人とそっくりな人々もそちらの世界で暮らしていた。 並行世界の時間が自分達の世界よりも180倍早く進むことを知った4人は、その "時差" を利用してビジネスや夢の実現を成功させようとする。 並行世界という設定はSFとしてベタなものの、そこに時間の速度差が存在するという点にアイデアがあり、物語の展開方法が面白い。 別世界としながら描かれるシチュエーションはほぼ共通なため、画づくりにかける予算を抑えられるという製作観点での工夫も賢いなと感じる。 導入・危機・発見・成功・より大きな危機… という定石が丁寧におさえられている脚本構成と演出がある。 終盤にかけて登場人物達の欲望がエスカレートしていく展開には面白さがありながら、鑑賞中にある程度予想がつく内容を越えない、凡庸な印象もある。 そして、それぞれの世界や人物の視点の
Jul 18


移動都市 / モータル・エンジン | Mortal Engines (2018)
3.8/5.0 フィリップ・リーヴによるYA小説を原作に、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで映画史に名を刻んだピーター・ジャクソンが脚本・製作を手掛け、ジャクソンの作品の多くでストーリーボードアーティストや視覚効果スーパーバイザーを担当してきたクリスチャン・リヴァースが初監督を担ったSF大作。 「アンブレラ・アカデミー」で印象的な役どころを演じたロバート・シーハンや、「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ等の著名作品で活躍するヒューゴ・ウィーヴィングが出演している。 超兵器による最終戦争で文明社会が崩壊してから1,000年以上が経過した地球で、人類は移動する都市を建造し、大都市が小型都市を "捕食" することで支配する世界を生きていた。 巨大移動都市ロンドンは、他の都市を捕食しながら、東方にあり強固な壁で守られている固定都市シャングオの支配を目論んでいる。 そのロンドンの歴史学長であり開拓者でもあるサディアスに復讐を誓う少女と、歴史学ギルドの見習い青年は、巨大な陰謀と争いに巻き込まれていく。 何よりも特筆すべきは、原作で描かれた
Jul 12


The Moon (2023)
3.9/5.0 韓国映画界のヒットメーカー、キム・ヨンファが脚本・監督を手掛けたSF映画で、韓国では屈指の人気を誇る俳優のソル・ギョングが主演を担っている。 韓国初となる有人月面探査ロケットが3名のクルーを乗せて宇宙へ飛び立ったが、太陽風の影響で地上との通信トラブルが発生し、その対応中の事故によって危機的状況に陥る。 宇宙に孤立したクルーを救出するため、過去に有人ロケット爆発事故の責任を取ってKASC (韓国航空宇宙センター) を去っていた責任者が呼び戻される。 冒頭での主要登場人物のキャラクターや物語設定の説明が、とても洗練されていて分かりやすい。 また、科学考証やリアリティを突き詰めて考えればツッコミどころもあるのだろうけれど、鑑賞している間はそのあたりを気にせずに物語へ没入してしまう脚本の巧みさがある。 SFでありつつアクションは控えめでヒューマンドラマ中心、かつ分かりやすい敵役や大規模な闘いが存在しないながらも、宇宙と地上の両方で物語が次々と展開していき、それぞれ力量ある俳優達の演技にも惹きつけられて、退屈する時間がほぼない。...
Jul 11


タイムハント 時間操作 | Riot for the Dove (2023)
1.2/5.0 監督・脚本・主演をマイケル・ラザールが務めた低予算のSF映画。 メキシコの犯罪組織に監禁されている少女は、特殊な能力を持っていた。 組織はその能力をある特殊装置の入手のために利用している。 特殊な装置とは、時間を数秒だけ巻き戻せるという異星文明由来の代物だった。 米政府長官はある探偵に少女の救出を依頼する。 超能力 x タイムトラベルものという好きなジャンルだったため鑑賞したが、低予算で製作された作品であることを大前提として理解していても、そのあまりにも稚拙な演出と編集に驚かされた。 VFXを多用した派手な画がなくとも、しっかり準備されたストーリーボードがあっての撮影や編集がされていれば絶対こんなことにはならないだろうと感じる雑な作り。 まず全般的にカット割りがめちゃくちゃ過ぎて、そのシーンで誰がどこに配置されていて誰と何をしているのかがほとんど全く分からないという編集に、作品の世界に没入することを著しく妨げられてしまった。 台詞の音質もカットや話者ごとで明らかにブレがあり気になってしまうし、楽曲や音効の入り方も終わり方も笑ってし
Jul 11























