マーズ・エクスプレス | Mars Express (2023)
3.9/5.0
フランス製作のSFアニメーション映画で、監督は今作が初監督作となるジェレミー・ペランが担っている。
カンヌ国際映画祭で初上映され、後に劇場公開もされた作品。
舞台は23世紀の火星。
地球から火星に戻った主人公の私立探偵とアンドロイドの相棒は、行方不明になった大学生の捜索という依頼を受ける。
調査が進むにつれて、主人公達が探っている真相が単なる失踪事件ではないことが分かってくる。
典型的な探偵ものの導入で始まりつつ、火星移住やロボットの進化が実現した超未来の世界が描かれながら展開する物語が面白く、美女や美男といった類型的な造形ではなくリアリティとドライさが重視されたキャラクター達が描かれるアニメーションの質感がとても魅力的。
「AKIRA (1988)」「攻殻機動隊 (1995)」「パプリカ (2006)」等の日本のSFアニメーションや、それらに影響を受けて製作された映画「マトリックス (1999)」シリーズへのオマージュが明らかに感じられるが、浅い剽窃ではなく敬意をもって承継された新たな作品という印象がある。
主人公達がたどり着く事件の真相には意外性があり、その結末も鑑賞中の予想を越えるもので驚きがあった。
ロボットの機能や思考力が人間に限りなく近づいた時に立ち上がるであろう形而上学的テーマ (自身の存在理由を問い葛藤する) について描かれている点は、「ブレードランナー (1982)」の原作者フィリップ・K・ディックが遺した古典SF小説達にも通ずる深い読後感があった。
「AKIRA」の作者・大友克洋はフランスの漫画文化であるバンド・デシネやその代表的作家メビウスに強い影響を受けたと公言しており、漫画やアニメーションのミームが日・仏で時代を経ながら相互進化していることが興味深く、素晴らしいことだと感じる。























