

SISU/シス 復讐の血闘 | Sisu: Road to Revenge (2025)
3.7/5.0 フィンランド出身のヤルマリ・へランダーが脚本・監督を手掛けた戦争アクションの2作目で、その義理の弟でもあるヨルマ・トンミラが1作目に続き主演を担っている。 SISUとはフィンランド語で「困難を前にしても絶対に折れない不屈の精神」を指す、とのこと。 第二次世界大戦の終戦直後、1946年。 フィンランドの元特殊部隊員で、伝説の兵士として恐れられていた主人公は、ソ連領になった故郷へ戻り、戦争中に失った家族と共に暮らした家を解体して、フィンランドの安全な土地で再建することを目指す。 ソ連当局側は主人公の存在を危険視し、その宿敵ともいえる元軍人を利用して抹殺しようとする。 とことん寡黙でありながら、自身に迫る暴力にはそれを凌駕する超暴力で立ち向かう主人公が魅力的だった1作目のテンションはそのままに、今作でも戦闘機や戦車、終盤ではミサイルまで登場してのバイオレンスアクションが展開する。 一応のシリアスさが保たれていながらあまりのハチャメチャさに笑ってしまう作風だった1作目との違いは、2作目となる今作では演出がエスカレートしていて、製作者達が割
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ペリリュー -楽園のゲルニカ- | Peleliu: Guernica of Paradise (2025)
3.8/5.0 武田一義による同題の漫画作品を原作とするアニメーション映画で、武田は今作の脚本にも参加。 川井憲次が劇伴を手掛けている。 第二次世界大戦末期の1944年、漫画家になる夢を持つ主人公は、日本軍兵士として南国のペリリュー島へ派遣される。 ペリリューはサンゴ礁と森に囲まれた美しい島ながら、米軍の大規模な上陸作戦により、日米軍が激突する凄惨な戦場となる。 主人公は従軍中にできた友人達と協力しながら、戦場をくぐり抜けていく。 武田一義が戦争経験者から丁寧に取材した内容を基に形にされた原作漫画の内容をベースにしつつ、尺の制限がある映画用の脚本としてややダイジェスト的な物語展開に編集されてはいるが、それでも原作で描かれていた戦場の凄惨さや狂気は失われておらず、ただただ戦争という行為の愚かさと恐ろしさを感じる。 可愛い絵柄とグロテスクな描写のギャップが、この作品の個性であり描かれる風景のコントラストとなっている。 声優として出演している板垣李光人や中村倫也といった俳優達の誠実な好演もあり、キャラクターの存在感がしっかり立っている。...
1 day ago


ブルータル・ジャスティス | Dragged Across Concrete (2018)
4.1/5.0 ミュージシャンや小説家としても活躍するS・クレイグ・ザラーが脚本・監督・音楽を手掛けたクライムスリラー。 俳優や監督としての偉大な才能と過激な言動の両方で有名なメル・ギブソンが主演を担い、監督の前作「デンジャラス・プリズン (2017)」で主演したヴィンス・ヴォーンが共演している。 過激な捜査が原因で無給停職になった主人公の刑事とその相棒は、病気の妻や娘を守るための金を得るため、犯罪組織から金銭を強奪することを思いつく。 主人公達が狙う犯罪組織は銀行の金塊を奪うという大規模な計画を企てていた。 この作品の物語を動かす主要なキャラクター達には善悪の境目がほとんどなく、犯罪組織側の人物達も含め、誰もが切羽詰まった事情に追い詰められて暴力という手段をとる。 そしてその行動に巻き込まれた人々は、圧倒的に無慈悲な暴力のもとに容赦なく命を奪われていく。 全ての登場人物とその背景を丁寧過ぎるほど精緻に描きながら、同時に誰にも感情移入しない距離から突き放したような冷酷な温度で惨状を描くS・クレイグ・ザラーの演出スタイルには唯一無二ともいえる個性が
1 day ago


モータルコンバット/ネクストラウンド | Mortal Kombat II (2026)
3.1/5.0 バイオレンス描写が過激な格闘ゲームを原作とする実写映画化のシリーズ2作目で、脚本のジェレミー・スレーターと監督のサイモンマッコイドは1作目からの続投。 敗北した世界が勝者の世界に支配される格闘大会「モータルコンバット」で、人間界は魔界に追い詰められていた。 人間界の代表者達は、かつてハリウッドでアクションスターとして活躍しながら現在は落ちぶれた男を仲間に迎え、魔界勢力との最終決戦に挑む。 原作が格闘ゲームということもあり、世界観設定のガバガバさを気にしだすとキリがないのでこの映画はそういうものと受け止め、その緩さとは裏腹に容赦なくハードなアクションを深く考えずに楽しむタイプの作品。 2作目の今作で満を持して登場した原作ゲームの人気キャラクター、ジョニー・ケイジを演じるカール・アーバンのワイルドさや、前作から続投の浅野忠信が演じる守護神の神々しさ、そして今や世界のサナダとなった真田広之のここぞというタイミングでの登場など、楽しいシーンやド派手なアクションが盛りだくさん。 鑑賞後に心に残るものは何もないタイプのアホな映画ではあるけれど
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Nightborne (2026)
3.5/5.0 「第9地区 (2010)」や「チャッピー (2015)」等のバイオレンスSFを得意とする南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ監督による、全篇が生成AIで製作されているショートフィルム。 ピーター・ワッツによるSF小説「Echopraxia」の世界観が参照されている。 主人公の米軍兵士は、戦闘によって死亡するが、極秘の軍事プログラムによって「復活」する。 死者を兵器として再利用する非情な世界が描かれる。 ブロムカンプ監督が新たに設立したAI製作スタジオ「Barley Studios」からの初作品となる今作は、監督がこれまで手掛けてきた作品群で見られたドキュメンタリー風の証言映像や軍事記録映像と映画的ビジュアルのコラージュで構成されており、監督の持ち味が映像生成でも具現化されているところがとても興味深い。 生成にはSeedance 2.0が使われていながら、実在人物 (俳優) の顔と声や人間の手によるコンセプトアートが用いられており、表現の核の部分はAI任せになっていないという点が、映像のリアリティや全体的な品質の担保につながっている
Jul 23


ニュー・ミュータント | The New Mutants (2020)
3.6/5.0 旧20世紀FOX (現20世紀スタジオ) が製作してきたアメコミ映画原作「X-MEN」シリーズの13作目で、「ハッピーエンドが書けるまで (2012)」や「きっと、星のせいじゃない。(2014)」を手掛けたジョシュ・ブーンが脚本・監督を担っている。 X-MENシリーズの中心的存在であるウルヴァリン、サイクロップス、ジーン・グレイ、プロフェッサーXといったキャラクター達は登場せず、既存シリーズの物語との関連性もほとんどないが、世界観は共有されている。 ネイティヴ・アメリカンをルーツに持つ主人公を含む5人の若者達は、ある施設に隔離されることになる。 彼らはそれぞれ特殊能力を持つミュータントで、自らを医師と名乗る女性の管理下に置かれ、全てを監視された生活を余儀なくされる。 若者達ははじめ衝突しながらもお互いを理解していくが、やがて施設内で怪奇現象が発生しはじめる。 主人公を演じたブルー・ハントをはじめ、アニャ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートンといった新世代のスター俳優達の存在感が瑞々しく輝いており、作品のト
Jul 19


マーズ・エクスプレス | Mars Express (2023)
3.9/5.0 フランス製作のSFアニメーション映画で、監督は今作が初監督作となるジェレミー・ペランが担っている。 カンヌ国際映画祭で初上映され、後に劇場公開もされた作品。 舞台は23世紀の火星。 地球から火星に戻った主人公の私立探偵とアンドロイドの相棒は、行方不明になった大学生の捜索という依頼を受ける。 調査が進むにつれて、主人公達が探っている真相が単なる失踪事件ではないことが分かってくる。 典型的な探偵ものの導入で始まりつつ、火星移住やロボットの進化が実現した超未来の世界が描かれながら展開する物語が面白く、美女や美男といった類型的な造形ではなくリアリティとドライさが重視されたキャラクター達が描かれるアニメーションの質感がとても魅力的。 「AKIRA (1988)」「攻殻機動隊 (1995)」「パプリカ (2006)」等の日本のSFアニメーションや、それらに影響を受けて製作された映画「マトリックス (1999)」シリーズへのオマージュが明らかに感じられるが、浅い剽窃ではなく敬意をもって承継された新たな作品という印象がある。 主人公達がたどり着く
Jul 19


V/H/S/85 (2023)
2.8/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの第6弾。 製作予算は比較的抑えられながら、過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作は1985年当時のホームビデオ文化を軸に、それぞれの短篇が製作されている。 「Total Copy」監督: デヴィッド・ブルックナー 2.1/5.0 アンソロジーを横断して映画全体の冒頭・幕間・終盤に入るメインフレーム。 大学の研究チームが変身生物を確保し実験する様子が記録されていく。 怖がるべきか笑うべきか微妙な気持ちになる結末が印象的。 「No Wake」監督: マイク・P・ネルソン 2.7/5.0 人里離れた湖を訪れた若者グループが何者かによる銃撃のターゲットとなる。 若者達がどのように生き延びるかという話なのかなと思いきや、予想外の展開がある。 「God of Death」監督: ジジ・ソール・ゲレーロ 2.5/5.0 1985年に実際に発生したメキシコ大地震をモチーフとした1篇。 テレビ局での生放送中に地震が発生し、
Jul 11


ザ・ボーイズ ファイナル・シーズン | The Boys Season 5 (2026)
3.2/5.0 エリック・クリプキが企画・製作総指揮を担うSFドラマ「ザ・ボーイズ」の最終シーズン。 DCやMARVEL等のスーパーヒーローものと現代社会を痛烈に風刺した同題のコミックを原作としつつ、ドラマ独自で展開してきた物語の完結篇。 巨大企業の管理下にあるスーパーヒーロー達が実は腐敗していて社会を揺るがす脅威となり、特殊能力を持たない一般人達がその打倒のために無謀な闘いを挑むという物語が遂に最終局面を迎える。 最強のヒーローでありながらその幼稚過ぎる頭脳で傍若無人に振る舞うホームランダーは、文字通りの神として米国に君臨しようとする。 ホームランダーへの復讐に命をかける「ザ・ボーイズ」のリーダー、ブッチャーは、スーパーヒーロー全員に死をもたらすウイルス兵器を完成させる。 シーズン1 第1話の衝撃的な開幕から強烈に心を掴まれ、毎シーズンが配信される度に鑑賞してきたドラマシリーズだったけれど、シーズン4あたりから少しずつその脚本や展開に綻びが目立つと感じてきた。 それでも今回のティザービジュアル達にはとてもワクワクして、最終シーズンにふさわしい怒
May 24


ワーキングマン | A Working Man (2025)
3.2/5.0 「フューリー」や「エンド・オブ・ウォッチ」等で知られるデヴィッド・エアーが脚本・監督し、シルヴェスター・スタローンが共同脚本と製作を担ったアクション映画。 「エクスペンダブルズ」シリーズでスタローンと長く共演してきたジェイソン・ステイサムが主演している。 建設現場で働く退役軍人の主人公は、同僚や娘の安全を何よりも大切にしながら生活している。 現場上司の一人娘が失踪し、主人公はその捜索をする中で、人身売買組織の存在に気づいていく。 エアー監督 x ステイサム主演の「ビーキーパー」を鑑賞したことがあるアクション映画ファンにはほとんど同じ映画に見えるのではと思うほど、直球で混じり気なしのステイサム映画。 ステイサムはもはやどの作品でもステイサム以外の人物には見えず、そういう言外の約束があるかのよう。 脚本からはスタローン独特の美学が感じられるがそれも僅かで、深く考えずに鑑賞できるB級映画といえる。 主人公が救いに向かう女性役が、ただ泣いたり叫んだりするステレオタイプな弱者としての描かれ方ではなく、脅威に対して勇敢に立ち向かう形で描かれて
May 6


エイペックス・プレデター | Apex (2026)
3.1/5.0 自然 x サバイバルな映画を手掛けてきたアイスランド出身のバルタザール・コルマウクルによる、NETFLIX配信のサバイバルアクション。 「マッド・マックス 怒りのデスロード」や「アトミック・ブロンド」へ出演してきたシャーリーズ・セロンと、「キングスマン」シリーズの主演で知られるタロン・エガートンという、2大アクション俳優が出演。 主人公の女性は、クライミング中の事故でパートナーを失い、そのトラウマを抱えたまま日常生活へ戻れずに過ごしている。 辛い過去から逃れたい思いから訪れた荒野にて、一見親切だが不審に感じる男と遭遇する。 物語はとてもシンプルで、厳しい大自然を舞台にした人間 vs 人間のサバイバルが描かれる。 主人公を演じるシャーリーズ・セロンの衰えを知らないフィジカルアクションは見どころがあり、それを殺人鬼としてハントする役のタロン・エガートンは、そのアクションだけではなく、これまで多く演じてきたヒーロー役とは真逆の狂気に染まった悪役を演じており、俳優としての新境地を感じた。 ただ、物語の結末まで退屈したり粗が気になったりはし
May 4


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4


ウォーフェア 戦地最前線 | Warfare (2025)
3.6/5.0 海兵としての従軍経験を持つレイ・メンドーサと、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドが共同で脚本・監督を担った、レイ・メンドーサ氏の実際の体験に基づく戦争映画。 舞台はイラク戦争中のラマディ。アルカイダ幹部の監視任務に就いていた通信兵のレイを含む8人の特殊部隊は、敵側にその動きを察知され、先制攻撃を受ける。 死亡者や負傷者が続出し救援もままならない状況下において、レイや指揮官達は極限の選択を迫られながら、戦場からの脱出を図る。 レイ監督とその同僚が体験した戦闘および実際の行動が、過度な演出を排したリアルなタッチで描かれており、その緊迫感は凄まじい。 ダイナミックなカメラワークや劇伴といった手法は存在しないが、その突き放すようにドライな演出が戦場の緊迫感の再現に寄与している。 加えて、兵士役の演技指導に実際の戦闘経験がある元兵士を多数起用したことも、画のリアリティを強化している。 物語のテーマについても同様で、ただひたすらに人々が殺し合う戦争という状況の再現に徹することで、かえってその残酷さと虚しさが読後感とし
Apr 29


HELP -復讐島- | Send Help (2026)
3.9/5.0 「死霊のはらわた (1981・1987)」や「スパイダーマン (2002・2004・2007)」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督によるサバイバルスリラーで、同監督による「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に出演していたレイチェル・マクアダムスが主演を担っている。 コンサルティング企業で働く主人公は有能だが不器用で社交性が低く、上司から冷淡で不当な扱いを受けている。 その上司たちと主人公が出張のために搭乗した小型飛行機が墜落し、気づくと主人公は孤島の浜辺に打ち上げられていた。 しかし生き残ったのは主人公だけではなく、その上司も同じ島に流れ着いていたのだった… という導入。 孤立した舞台でのサバイバルと、支配する/される側の立場の逆転が巧みに組み合わされた脚本がとても面白い。 詳述は避けるが、そろそろ終幕が迫る雰囲気が出てきてからのさらなる物語展開に驚かされた。 弱々しく不潔にさえ見える冒頭の主人公が、孤島で優位に立つにつれてまるで別人のように強く美しく見えてくる描かれ方の変化も見事で、これは監督の熟練した演出力
Apr 26


ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
Mar 14























