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Cinema Review

ウォー・オブ・ザ・ワールド | War of the Worlds (2025)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 8月2日
  • 読了時間: 3分

1.5/5.0

これまで幾度も映画やドラマ化されてきたH.G.ウェルズによる小説「宇宙戦争 | War of the Worlds」を原作とする、Amazon Prime独占配信映画。

ラッパー・俳優・映画監督としてマルチに活躍するアイス・キューブが主演を務め、「ウォンテッド」「ダーケストアワー」「ハードコア」等のアクションやSF映画でのエッジィな作風で知られるティムール・ベクマンベトフが製作として関わっている。

子どもの頃に読んだ原作小説と、2005年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の同タイトルが大好きなので、今作も鑑賞してみた。


異星文明の巨大なマシン達が突如世界各地で出没し圧倒的な攻撃と侵略が始まるという導入は、原作小説やこれまでの映画/ドラマと同様ながら、今作がこれまでの実写版と明らかに違うところは、その演出スタイル。

主人公はデータ監視の職についているという設定で、職場デスク上のPCからすぐに世界各地の映像や各種情報とアクセスできるのだが、ほぼ全篇を通してデスクに座って機器を操作し続け、そこから物理的に動くことがほとんどない。

職場の外では全世界的な危機が発生しており、主人公の家族や同僚も大変な状況に巻き込まれているのだけれど、主人公 (と映画の鑑賞者) は、家族や同僚とのFacetimeを通した映像と音声や、主人公がハックした監視カメラ・ドローン・航空機等のカメラの映像でしかその状況を知ることができない。

この演出スタイルは、映画全篇がPCの画面上で描かれるという斬新なスタイルが高い評価を得たサスペンス映画「サーチ | Search」と全く同じではと感じたところで、その「サーチ | Search」の製作にもティムール・ベクマンベトフが関わっていたことを思い出し、なるほどそういうことか… と納得した。

ただ、今作に関してはその空間限定な演出スタイルがほとんど上手くいっていないというか、描きたい物語のスケールとのギャップが大き過ぎて無理があると感じる。


大規模なSF映画に必須ともいえるVFXに関しては、脚本や演出が面白ければその品質はそれほど気にしない自分が見ても明らかに貧相で、予算があるのかないのかよく分からんな… と困惑してしまうレベル。

加えて、主演のアイス・キューブはその舞台設定上の制約が大きくありながら (何せほとんどのシーンがカメラ目線でモニタ越しに話したりキーボードを操作するだけなのだ) 健闘していたと感じるけれど、終盤では本当にやる気があるのかないのか判断がつかないVFXとの共演シーンがあり、笑うシーンではないと分かっていながら笑ってしまった。


SF好きなら誰もが知っているであろう「宇宙戦争」という物語の意外な結末についてはここでは言及しないが、基本設定としてはそれを踏襲しつつ、良くいえばそれが現代風にアップデートされていた。

ただ、脚本全般に陳腐な設定やアラが多く、シリアスムードで展開する物語に没入することが終始難しかった。


「宇宙戦争」が何度も実写化されるのは、物語規模の大きさやSFとしてのスペクタクルといった魅力がたくさん詰まっているからだと思うけれど、今のところ自分にとってのマスターピースは、スティーヴン・スピルバーグ x トム・クルーズの2005年版だ。

今作は世間的にはほとんど話題にされないような予感がするが、マニアックな珍品としてSF映画の歴史に名を残しそうではある。

ティムール・ベクマンベトフが関わっている映画は、やはり油断ならない!

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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