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Cinema Review

回路 | Pulse (2000)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 11月16日
  • 読了時間: 2分

4.3/5.0

「CURE」「クリーピー 偽りの隣人」等、ホラーやサスペンスジャンルで話題作を製作し続ける黒沢清が脚本・監督を手掛けたホラー映画で、カンヌ国際映画祭に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞、米国ではリメイクもされている作品。

主演の麻生久美子をはじめ、加藤晴彦、小雪、有坂来瞳といった (製作当時の) 若手俳優達が出演している。


観葉植物を販売する会社で働く主人公の同僚が不可解な自殺を遂げてから、その周辺では人々が黒い影を残して消え去るという怪現象が発生するようになる。

一方、加藤晴彦が演じる大学生は「幽霊に会いたいですか」と表示されるウェブサイトに遭遇し、PCの操作に詳しい友人を頼りながらその調査を進めるが、次第にその友人も異常な行動を取るようになっていく。

世界ではどんな異変が起きているのか、なぜそれが起き始めたのか、「幽霊」とは何なのか…


黒沢清監督の恐怖演出は、安直なジャンプスケア等に頼らず、俳優の身体演技、そして画の構図と明暗および音という、極めてオーセンティックな要素で構成されていて、他の映画監督とは一線を画するものを感じる。

その演出には、自分にはこの恐怖から逃げる場所がないと錯覚してしまうような圧倒的な力がある。

俳優達の好演 (その的確な演技づけも監督の力量によるものだろう) もあって、この作品の恐怖演出のレベルは極めて高い。

社会にまだインターネットが普及しきってておらず、一部の人達のものだった当時のネットが持っていた得体の知れない空気感が活かされた演出は、今の時代に観返してもすごく不気味。


結末について言及することは避けるが、いわゆるハリウッド映画的な大団円や勧善懲悪な構造はこの作品には存在せず、虚無感と深い余韻が残り、自分にはとても印象的で美しいものに感じられた。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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