ミーガン 2.0 | M3GAN 2.0 (2025)
- Shoji Taniguchi

- 1 日前
- 読了時間: 3分
3.1/5.0
AIを搭載したハイテク人形のミーガンの暴走描写が話題になった1作目の高評価を受けて製作されたSF映画の続篇で、1作目で監督を担ったジェラルド・ジョンストンが監督・脚本を続投している。
製作会社も前作に引き続き、予算は抑えながらもクリエイターに創造の自由 (裁量) を大きく与えるスタイルで話題作を次々と送り出しているブラムハウス・プロダクション。
前作にて暴走の末に破壊されたAI人形ミーガンのアルゴリズムを秘密裏に転用して開発された軍用アンドロイドが、そのシミュレーション中に暴走し人々を殺害する。
ミーガンの開発者だった主人公とその姪も否応なくそのアンドロイドが引き起こす混乱に巻き込まれていくが、ミーガンがネットワーク上で生存していたことが分かる、という導入。
人型の殺人マシンが人間を襲うというプロットの傑作映画といえば「ターミネーター (1984)」および「ターミネーター2 (1991)」だが、今作は明らかに (確信犯的に) その設定を参照していることが分かる。
1作目では主人公を殺そうと襲ってきたキャラクターが2作目では頼もしい味方側につくという設定は、呆れてしまうぐらいターミネーターだ。
つまり、前作では悪役だったミーガンが、今作では主人公達を守るヒーローに変化する物語になっている。
ただ、ターミネーターシリーズ (特に1と2) が終始シリアスで重厚なトーンを保ちつつ極めてシンプルな物語構造だったのに対し、今作はコメディやカンフーアクションの要素もごちゃごちゃに盛り込まれていて、作品全体の演出トーンがギクシャクしているし、物語の展開もとっ散らかってしまっている。
また、全盛期のスティーヴン・セガール主演映画のネタがくどいほどに盛り込まれていて、脚本上の伏線としてはいちおう機能しているものの、それを面白がれる観客の年齢層はかなり限定されてしまって、10〜20代の若者達には何のことやら全然分からないのではと感じた。
そもそも、セガール関連のくだり全体のギャグのキレが悪く、面白いとも感じられない。
カンフー映画の特訓シーンでお馴染みの木人椿でミーガンがウォーミングアップするシーンは、ベタ過ぎだろうと思いつつもちょっとだけ笑えたけれど…
その他にも80〜90年代のアクション映画へのオマージュを感じる演出が多く、当時のアクション映画の緩めの楽しさを現代的な映像演出で再構築したかったのかなという印象。
スター・ウォーズのドラマ「アソーカ (2023)」に出演していたウクライナ出身の若手俳優イヴァンナ・ザクノが今作にも出演しており、表情や感情が読めないミステリアスなアンドロイドの役をしっかり演じきっていて好感が持てたが、そもそもの脚本や演出が良くないことがあって、俳優として損をしてしまっているように感じた。
1作目と比較して世間の評価が下がった (そして日本では劇場公開が急遽取りやめにまでなってしまった) ことにも納得できる内容だった。
物語の設定上はいくらでも続篇の脚本が書けそうだけれど、ターミネーターシリーズのように、続篇を製作する度に泥沼にハマっていくような予感も…



























