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Cinema Review

罪人たち | Sinners (2025)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

4.2/5.0

「クリード チャンプを継ぐ男」や「ブラックパンサー」シリーズの脚本・監督を手掛けたライアン・クーグラーによるホラー映画で、同監督作の多数で主演もしくは重要な役柄で出演してきたマイケル・B・ジョーダンが今作でも1人2役で主演している。


1930年代のアメリカを舞台に、単なるホラーとしてではなく、人種差別や黒人文化についてのテーマが組み込まれた物語になっていて、さすがはライアン・クーグラーと感じる。

マイケル・B・ジョーダンが演じる双子の兄弟はギャングとして生きてきたが、故郷のミシシッピに戻り、黒人たちが自由に集えるダンスホールを立ち上げる。

当時の米国は禁酒法と白人至上主義によって黒人の娯楽が著しく制限されており、黒人達は宗教と音楽、特にブルースとゴスペルによって自己を支えてきたという実際の歴史的背景が重い。

黒人のために作られたそのダンスホールに白人の音楽家がの一団が現れるが… というところから、映画のジャンルが複雑に転回していく。


表層的にこの作品を見れば吸血鬼が登場するホラー映画ということになるが、今作での設定やモチーフはあくまでも物語のテーマを描く上で用いられているに過ぎない。

「吸血」は白人の支配階級によって行われた非白人に対しての搾取のメタファーであり、「富・文化・命の収奪の過去」が語り直されているのだと解釈するべきだろう。


ライアン・クーグラーが手掛ける作品は常に重厚なテーマが描かれており、鑑賞後にずっしりと重い読後感が残るものが多いが、決してそれだけではなく、俳優や監督をはじめとする製作スタッフ達による卓越した撮影・演出・編集技術によって非常に質の高いエンタテインメントに仕上がっているという点には、いつも感心してしまう。

その中でも今作は特に、楽器演奏や歌唱シーンを中心とする音響演出のダイナミズムが、比類なきレベルの素晴らしさだった。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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