

ラスト・サバイバー | The Dog Stars (2026)
3.2/5.0 ピーター・ヘラーによる小説「The Dog Stars / いつかぼくが帰る場所」を原作とするポストアポカリプスSFで、巨匠リドリー・スコットが監督を担っている。 「サブスタンス」で鮮烈な印象を残したマーガレット・クアリー、「アベンジャーズ」シリーズでスーパーヴィランを演じたジョシュ・ブローリン、「アイアンマン3」や「エイリアン: コヴェナント」に出演したガイ・ピアースといったスター俳優達に加え、若手俳優として知名度を上げつつあるジェイコブ・エロルディが主演を務めている。 世界的な疫病によって人類のほとんどが死滅し、生存した僅かな人々が極小単位のコミュニティを形成しながら細々と生きる近未来。 主人公とその愛犬は、人里離れた山中に住みながら、セスナ機を使って都市部へ赴き生活物資を拾い集めながら暮らしていた。 ある日受信した途切れとぎれの無線から、主人公はその発信源に何かがあるように感じ、その地を目指して旅に出る。 言わずと知れたカルトSF「ブレードランナー」や「エイリアン」シリーズといった超大作SFを手掛けてきたリドリー・スコットの
5 days ago


オーヴァーロード | Overlord (2018)
3.6/5.0 「ヴァチカンのエクソシスト (2023)」や「サマリタン (2022)」のジュリアス・エイヴァリーが監督を手掛けた戦争ホラーで、J・J・エイブラムスがプロデューサーとして、J・Jが率いるバッド・ロボットが製作として関わっている。 1944年、第二次世界大戦の時代。 米国の空挺部隊が、フランスにある教会の通信妨害施設を破壊するミッションを受け、敵地へ降下する。 兵士達を輸送する飛行機は激烈な対空砲火を受け、部隊は壊滅状態になるが、生存した数名の兵士達が合流し、教会のある村へ向かう。 教会はナチスドイツにとって重要な軍事拠点であるだけでなく、その地下に人体実験施設を持つ場所だった… あえてざっくり分類すると戦争xゾンビものということになるけれど、その設定がなかなか独特で面白い。 J・Jが製作に関わっていることもあり、ショッキング描写や画のケレン味も多めで、退屈する時間がない。 主人公の若い米兵を演じるジョヴァン・アデボや、部隊のリーダーを演じるワイアット・ラッセルの演技は素晴らしく、その仲間の米兵役として出演するジョン・マガロやドミニ
Oct 18


スターシップ・トゥルーパーズ 2 | Starship Troopers 2: Hero of the Federation (2003)
2.5/5.0 SF小説の巨匠ロバート・A・ハインラインによる「宇宙の戦士」を原作とする戦争SF映画シリーズの2作めで、第1作を手掛けたポール・バーホーヴェン監督は降板し、伝説のストップモーション・アニメーターであるフィル・ティペットが監督を務めている。 民主主義が崩壊し、軍部を中心とする地球全体の統一政府が築かれた未来。植民先の惑星で遭遇した昆虫型異星生物、通称バグズとの間で全面戦争が勃発し、その闘いには終わりが見えない。 ある惑星でバグズに包囲された人類の部隊が、遠い昔に放棄された建物へ逃げ込む。 味方の救助を待ちながら籠城戦を続ける部隊の間で、異変が起き始める。 当時誰も観たことがなかったレベルの特大スケールと圧巻の演出 (しかも痛烈な風刺) によって宇宙戦争を描ききった第1作と比較すると、あまりにも物語のスケールが小さく、予算の事情があっただろうとは思いつつも、やはりがっかりしてしまう。 特撮やVFXによる派手な画づくりができない分、人間達の疑心暗鬼によるサスペンスを軸に物語が展開し、その演出自体には悪目立ちする稚拙さはないにしても、さす
Oct 18


オブセッション 災愛 | Obsession (2025)
4.0/5.0 YouTubeで映像作品を発表してきた新鋭クリエイター、カリー・バーカーの初長編監督作品となるホラー映画。 低予算で製作されながらトロント国際映画祭にて観客賞を受賞し、大きな興行収入を記録している。 今後のマーベル「X-MEN」シリーズにおける超有名キャラクターを演じるのではと噂されているインディ・ナバレッテが出演。 楽器店でアルバイトとして働く冴えない主人公のベアは、バイト仲間のニッキーに想いを寄せている。 ニッキーへ贈るプレゼントを探そうと主人公が入った雑貨店で見つけたのは、使用者の願いが1度だけ叶うといわれるうさんくさい玩具だった。 ニッキーに誰よりも自分を愛してほしいと願いそれを使った主人公とニッキーの関係性が、劇的に変化していく。 ニッキーを演じたインディ・ナバレッテの超越的に強烈な演技が何よりも印象に残る。 怪演とか体当たりの演技などの安易な言葉ではとても形容できない、悪夢のような実在感。 美しい存在が段々と崩壊していきながらもかろうじて作動し続けることの恐怖は、他の映画ではなかなか体験できない。 その演技力が認められ
Sep 13


スキナマリンク | Skinamarink (2022)
1.0/5.0 YouTubeでホラー短篇を発表していたカナダ出身の映像作家カイル・エドワード・ボールによる実験的ホラー映画で、今作がボール監督の初長編監督作品とのこと。 兄妹の子ども達が夜中に自宅で目を覚ますと、親がいないことに気づく。 消えたのは親だけでなく、窓やドアも次々と消失していき、兄妹は自宅に取り残される。 製作難易度の低さからYouTubeで一定流行しているリアリズム系のホラー映像の系譜に位置する作品であることは理解しつつ、そのあまりにもレベルの低いアングルの作り方や脚本設計を放棄したような展開の不在に、逆に驚かされた。 ひと昔前のホームビデオカメラで撮影したようなザラついた質感には懐かしさだけでなくやんわりとした違和感や恐怖を感じさせる効果があるが、この作品はその「雰囲気」しかなく、映画作品としての最低限のストーリーテリングもアートディレクションも皆無。 そもそもこの懐かしい質感のホームビデオは誰がどんな理由で撮影しているのか? きっと製作者側には理屈も何もないのだろう。 多くの人が多感な子ども時代に覚えた不安の再現と解釈すること
Sep 6


レディ・オア・ノット | Ready or Not (2019)
3.3/5.0 近頃注目を浴びているサマラ・ウィーヴィング (「マトリックス」のエージェント・スミスを演じた名優ヒューゴ・ウィーヴィングの姪) が主演する、ブラックコメディ感のあるサバイバルホラー。 YouTubeで作品を発表してきた映像制作チーム「Radio Silence」のスタッフが中心となって製作を手掛け、同チームに所属するマット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレットが共同で監督を担っている。 結婚を控えた主人公が、パートナーの生家である大富豪一族の伝統儀式に参加することになる。 ギャンブルやゲームに関わる商売で財を成した一族の儀式には、独特なルールがあって… という導入。 何よりも、新世代のスクリーム・クイーン (恐怖演技が印象的な俳優) ともいわれるサマラ・ウィーヴィングの存在感が作品の屋台骨になっている。 叔父によく似たそれぞれ大きな顔のパーツはインパクトが抜群で、状況に応じて様々に変化する表情や身体演技も素晴らしい。 命を狙われる密閉空間でのサバイバルという設定自体は特別斬新なものではないけれど、無駄なくテンポ良く物語が展開
Aug 22


ザ・ラストハウス | The Last House (2026)
2.9/5.0 「グランド・イリュージョン」シリーズを手掛けたルイ・レテリエが監督したNETFLIX映画で、「トロン: アレス (2025)」や「ハウス・オブ・ダイナマイト (2025)」等に出演するグレタ・リーと、「ナルコス」シリーズや「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で強烈な印象を残したワグネル・モウラが主演している。 シアトル近郊で暮らす主人公一家は、ある日突然自宅に閉じ込められる。 扉も窓も開かず、電話もインターネットも通じず、近隣の家族も同様で、外では雨が降り続く。 一家は備蓄食料を頼りに状況の変化を待ち続けるが、やがて物資が尽きはじめ、何とかして生存方法を作り出そうとする。 多くの人が思い出すのが、まだ有効なワクチンが開発されておらず世界中が恐怖と混乱の中にあった新型コロナ禍初期のロックダウンだろう。 脚本を手掛けたマシュー・ロビンソンや監督のルイ・レテリエは、物語の着想そのものはロックダウンではなかったとしつつ、他者との関係断絶や見通しが立たない未来への不安を描くための装置として、隔離された自宅という舞台を設定したとのこと。...
Aug 11


ニュー・ミュータント | The New Mutants (2020)
3.6/5.0 旧20世紀FOX (現20世紀スタジオ) が製作してきたアメコミ映画原作「X-MEN」シリーズの13作目で、「ハッピーエンドが書けるまで (2012)」や「きっと、星のせいじゃない。(2014)」を手掛けたジョシュ・ブーンが脚本・監督を担っている。 X-MENシリーズの中心的存在であるウルヴァリン、サイクロップス、ジーン・グレイ、プロフェッサーXといったキャラクター達は登場せず、既存シリーズの物語との関連性もほとんどないが、世界観は共有されている。 ネイティヴ・アメリカンをルーツに持つ主人公を含む5人の若者達は、ある施設に隔離されることになる。 彼らはそれぞれ特殊能力を持つミュータントで、自らを医師と名乗る女性の管理下に置かれ、全てを監視された生活を余儀なくされる。 若者達ははじめ衝突しながらもお互いを理解していくが、やがて施設内で怪奇現象が発生しはじめる。 主人公を演じたブルー・ハントをはじめ、アニャ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートンといった新世代のスター俳優達の存在感が瑞々しく輝いており、作品のト
Jul 19


V/H/S/85 (2023)
2.8/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの第6弾。 製作予算は比較的抑えられながら、過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作は1985年当時のホームビデオ文化を軸に、それぞれの短篇が製作されている。 「Total Copy」監督: デヴィッド・ブルックナー 2.1/5.0 アンソロジーを横断して映画全体の冒頭・幕間・終盤に入るメインフレーム。 大学の研究チームが変身生物を確保し実験する様子が記録されていく。 怖がるべきか笑うべきか微妙な気持ちになる結末が印象的。 「No Wake」監督: マイク・P・ネルソン 2.7/5.0 人里離れた湖を訪れた若者グループが何者かによる銃撃のターゲットとなる。 若者達がどのように生き延びるかという話なのかなと思いきや、予想外の展開がある。 「God of Death」監督: ジジ・ソール・ゲレーロ 2.5/5.0 1985年に実際に発生したメキシコ大地震をモチーフとした1篇。 テレビ局での生放送中に地震が発生し、
Jul 11


カッコウ | Cuckoo (2024)
3.9/5.0 アルプス山奥のリゾート地を舞台とするドイツ・アメリカ合作の映画で、ハンター・シェイファー主演。 脚本・監督はドイツ出身のティルマン・シンガー。 あるきっかけで米国からドイツへ引っ越すことになった主人公とその家族が、一癖ある現地の人物達と親交していく中で、怪異と遭遇する。 アルバイトをすることになったリゾートホテルで宿泊者が異常な行動をとったり、主人公の妹が超音波のような高音を発したり… 外界と隔絶された世界に何が潜み、何が起きているのかを、主人公は目にしていくことになる。 ネタバレを避けるため詳しい内容を書くことは控えるが、スリラーやホラーといったひとつのジャンルに当てはめにくく、SF的な解釈も含め鑑賞者に想像の余地が大きく託される脚本で、その読後感がとてもユニーク。 ハンター・シェイファーの存在感や演技力の高さはもちろん、ティルマン・シンガーの独特な演出センスも全篇に渡り光っている。 白黒明快でいわゆるお手本的な物語の展開とは全然違う形の脚本で、鑑賞していてやや混乱する部分もあるけれど、その混乱の後味も含めての映画体験が設計され
Jul 5


ゼイ・ウィル・キル・ユー | They Will Kill You (2026)
3.8/5.0 「IT」二部作や「ザ・フラッシュ」の監督を担ったアンディ・ムスキエティが製作し、ロシア出身のキリル・ソコロフが監督を務めた密閉空間からの脱出型ホラーアクション。 「デッドプール2」や「ジョーカー」に出演し鮮烈な印象を残したザジー・ビーツが、高度なアクションを主演で担っている。 主人公のメイドは、マンハッタンの超高級マンションに住み込みで働かせてもらうことになる。しかしそのマンションの実態は、ほぼ全ての住人が悪魔崇拝者で、悪魔に捧げる生贄を求めているという恐るべきものだった… という導入。 住人達は、悪魔との契約で不老不死の存在となっており、主人公が何度とどめを刺しても復活する。 そうではない生身の主人公はどんどん追い詰められながらも、マンションに潜入した本当の目的である妹の救出を果たしたうえでの脱出を試みる。 この映画のみどころは、やはりそのアクション演出の面白さだと言い切ってしまって差し支えないだろう。 血みどろでグロテスクな表現は多いものの、キレとケレン味に溢れるアングル・カッティング・ライティング・サウンドディレクション等の
Jul 5


テレビの中に入りたい | I Saw the TV Glow (2024)
3.8/5.0 その個性的かつ内省的な作風で近年注目を集めているジェーン・シェーンブルンが脚本と監督を務めたA24製作のサイコホラーで、「ブゴニア」や「哀れなるものたち」主演の俳優エマ・ストーンが製作に携わっている作品。 物語の始まりは90年代で、現実世界に居場所がないと感じている主人公の少年は、深夜に放送されていた「ピンク・オペーク」という番組に強く惹かれ、あるきっかけから出会った少し年上の少女の家でそれを一緒に観ることになる。 少女から「好きなのは女子? それとも男子?」と聞かれた少年は、「テレビ番組が好き」と答える。 トランスジェンダー女性でノンバイナリという自身のセクシャリティを公表するジェーン監督だからこそこれほど高い解像度で描けるのだろうと感じる、周囲と自身の間にある溝や息苦しさが、少年と少女の視点を通して可視化されている。 現実逃避の一環として深夜にTVを観るという誰にでも一度は経験がありそうな行為から、自己認識の揺らぎとの向き合いといった哲学的なテーマへ大きく飛躍する物語の展開が面白い。 物語の本筋とは強く関連しないけれど、大胆な
May 10


トランスミッション 観てはならない結末 | Transmission (2023)
3.3/5.0 英国出身のマイケル・ハーストが脚本・監督した実験的な作風のモキュメンタリホラー中篇。 様々なトーンの映像が交錯しながら物語が展開する、多重構造形式の作品。 ある老人が深夜にTVの電源を入れると、失われていたはずのSF映画が放送され始める。 「トランスミッション」というタイトルのその映画に登場する宇宙飛行士達は「虚空 (ヴォイド)」と呼ばれる現象の調査中に、長く行方不明となっていた宇宙船を発見する。 その船内に残されていた記録映像には、虚空からの謎の信号を受信してから乗組員達の様子がおかしくなっていったことが判明する… という導入。 70年代の懐かしいトーンを思い起こさせるSF劇中劇 (映画) を軸としながら、冒頭で登場した老人がTVのチャンネルをザッピングするように、その劇中劇製作にまつわるドキュメンタリや立てこもり事件現場からの生中継等の番組が映し出されるという、なかなか独特な構成となっている。 ネタバレは避けるが、断片的に感じられたそれらの映像群がやがてひとつの結末に収斂していく脚本は挑戦的で面白い。 粗が気になる部分があった
May 7


ザ・モンキー | The Monkey (2025)
2.9/5.0 「ロングレッグス」を手掛けたオズグッド・パーキンスが脚本・監督し、「ソウ」シリーズや「M3GAN/ミーガン」等で知られるジェームズ・ワンが製作に携わった、スティーヴン・キングの短編「猿とシンバル」を原作とするホラー映画。 ある男が手に入れたゼンマイ式の猿の人形は、太鼓を叩き始めると「誰かが理不尽な死を迎える」という呪物だった。 その人形を遺品として受け継いだ主人公とその双子の兄弟の周囲で、不審死が連続発生していく。 主人公は人形を捨てたり破壊しようと試みるが、それは逃れられない呪いであることが分かってくる。 ジェームズ・ワンらしいショッキングかつポップな画づくりと、ホラージャンルの監督で注目されるオズグッド・パーキンスの個性が掛け合わさった演出は斬新で、恐怖するというより笑ってしまいそうになる様々な死に方が描かれる。 ほんの数分だけ出演しているイライジャ・ウッドの演技づけが奇妙で、他の俳優も程度の差はありながらどこか居心地の悪い読後感が残る存在として演出されている。 パーキンス監督にはやや独特でブラックなコメディのセンスがあるのか
May 6


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4























