

ニュー・ミュータント | The New Mutants (2020)
3.6/5.0 旧20世紀FOX (現20世紀スタジオ) が製作してきたアメコミ映画原作「X-MEN」シリーズの13作目で、「ハッピーエンドが書けるまで (2012)」や「きっと、星のせいじゃない。(2014)」を手掛けたジョシュ・ブーンが脚本・監督を担っている。 X-MENシリーズの中心的存在であるウルヴァリン、サイクロップス、ジーン・グレイ、プロフェッサーXといったキャラクター達は登場せず、既存シリーズの物語との関連性もほとんどないが、世界観は共有されている。 ネイティヴ・アメリカンをルーツに持つ主人公を含む5人の若者達は、ある施設に隔離されることになる。 彼らはそれぞれ特殊能力を持つミュータントで、自らを医師と名乗る女性の管理下に置かれ、全てを監視された生活を余儀なくされる。 若者達ははじめ衝突しながらもお互いを理解していくが、やがて施設内で怪奇現象が発生しはじめる。 主人公を演じたブルー・ハントをはじめ、アニャ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートンといった新世代のスター俳優達の存在感が瑞々しく輝いており、作品のト
Jul 19


V/H/S/85 (2023)
2.8/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの第6弾。 製作予算は比較的抑えられながら、過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作は1985年当時のホームビデオ文化を軸に、それぞれの短篇が製作されている。 「Total Copy」監督: デヴィッド・ブルックナー 2.1/5.0 アンソロジーを横断して映画全体の冒頭・幕間・終盤に入るメインフレーム。 大学の研究チームが変身生物を確保し実験する様子が記録されていく。 怖がるべきか笑うべきか微妙な気持ちになる結末が印象的。 「No Wake」監督: マイク・P・ネルソン 2.7/5.0 人里離れた湖を訪れた若者グループが何者かによる銃撃のターゲットとなる。 若者達がどのように生き延びるかという話なのかなと思いきや、予想外の展開がある。 「God of Death」監督: ジジ・ソール・ゲレーロ 2.5/5.0 1985年に実際に発生したメキシコ大地震をモチーフとした1篇。 テレビ局での生放送中に地震が発生し、
Jul 11


カッコウ | Cuckoo (2024)
3.9/5.0 アルプス山奥のリゾート地を舞台とするドイツ・アメリカ合作の映画で、ハンター・シェイファー主演。 脚本・監督はドイツ出身のティルマン・シンガー。 あるきっかけで米国からドイツへ引っ越すことになった主人公とその家族が、一癖ある現地の人物達と親交していく中で、怪異と遭遇する。 アルバイトをすることになったリゾートホテルで宿泊者が異常な行動をとったり、主人公の妹が超音波のような高音を発したり… 外界と隔絶された世界に何が潜み、何が起きているのかを、主人公は目にしていくことになる。 ネタバレを避けるため詳しい内容を書くことは控えるが、スリラーやホラーといったひとつのジャンルに当てはめにくく、SF的な解釈も含め鑑賞者に想像の余地が大きく託される脚本で、その読後感がとてもユニーク。 ハンター・シェイファーの存在感や演技力の高さはもちろん、ティルマン・シンガーの独特な演出センスも全篇に渡り光っている。 白黒明快でいわゆるお手本的な物語の展開とは全然違う形の脚本で、鑑賞していてやや混乱する部分もあるけれど、その混乱の後味も含めての映画体験が設計され
Jul 5


ゼイ・ウィル・キル・ユー | They Will Kill You (2026)
3.8/5.0 「IT」二部作や「ザ・フラッシュ」の監督を担ったアンディ・ムスキエティが製作し、ロシア出身のキリル・ソコロフが監督を務めた密閉空間からの脱出型ホラーアクション。 「デッドプール2」や「ジョーカー」に出演し鮮烈な印象を残したザジー・ビーツが、高度なアクションを主演で担っている。 主人公のメイドは、マンハッタンの超高級マンションに住み込みで働かせてもらうことになる。しかしそのマンションの実態は、ほぼ全ての住人が悪魔崇拝者で、悪魔に捧げる生贄を求めているという恐るべきものだった… という導入。 住人達は、悪魔との契約で不老不死の存在となっており、主人公が何度とどめを刺しても復活する。 そうではない生身の主人公はどんどん追い詰められながらも、マンションに潜入した本当の目的である妹の救出を果たしたうえでの脱出を試みる。 この映画のみどころは、やはりそのアクション演出の面白さだと言い切ってしまって差し支えないだろう。 血みどろでグロテスクな表現は多いものの、キレとケレン味に溢れるアングル・カッティング・ライティング・サウンドディレクション等の
Jul 5


テレビの中に入りたい | I Saw the TV Glow (2024)
3.8/5.0 その個性的かつ内省的な作風で近年注目を集めているジェーン・シェーンブルンが脚本と監督を務めたA24製作のサイコホラーで、「ブゴニア」や「哀れなるものたち」主演の俳優エマ・ストーンが製作に携わっている作品。 物語の始まりは90年代で、現実世界に居場所がないと感じている主人公の少年は、深夜に放送されていた「ピンク・オペーク」という番組に強く惹かれ、あるきっかけから出会った少し年上の少女の家でそれを一緒に観ることになる。 少女から「好きなのは女子? それとも男子?」と聞かれた少年は、「テレビ番組が好き」と答える。 トランスジェンダー女性でノンバイナリという自身のセクシャリティを公表するジェーン監督だからこそこれほど高い解像度で描けるのだろうと感じる、周囲と自身の間にある溝や息苦しさが、少年と少女の視点を通して可視化されている。 現実逃避の一環として深夜にTVを観るという誰にでも一度は経験がありそうな行為から、自己認識の揺らぎとの向き合いといった哲学的なテーマへ大きく飛躍する物語の展開が面白い。 物語の本筋とは強く関連しないけれど、大胆な
May 10


トランスミッション 観てはならない結末 | Transmission (2023)
3.3/5.0 英国出身のマイケル・ハーストが脚本・監督した実験的な作風のモキュメンタリホラー中篇。 様々なトーンの映像が交錯しながら物語が展開する、多重構造形式の作品。 ある老人が深夜にTVの電源を入れると、失われていたはずのSF映画が放送され始める。 「トランスミッション」というタイトルのその映画に登場する宇宙飛行士達は「虚空 (ヴォイド)」と呼ばれる現象の調査中に、長く行方不明となっていた宇宙船を発見する。 その船内に残されていた記録映像には、虚空からの謎の信号を受信してから乗組員達の様子がおかしくなっていったことが判明する… という導入。 70年代の懐かしいトーンを思い起こさせるSF劇中劇 (映画) を軸としながら、冒頭で登場した老人がTVのチャンネルをザッピングするように、その劇中劇製作にまつわるドキュメンタリや立てこもり事件現場からの生中継等の番組が映し出されるという、なかなか独特な構成となっている。 ネタバレは避けるが、断片的に感じられたそれらの映像群がやがてひとつの結末に収斂していく脚本は挑戦的で面白い。 粗が気になる部分があった
May 7


ザ・モンキー | The Monkey (2025)
2.9/5.0 「ロングレッグス」を手掛けたオズグッド・パーキンスが脚本・監督し、「ソウ」シリーズや「M3GAN/ミーガン」等で知られるジェームズ・ワンが製作に携わった、スティーヴン・キングの短編「猿とシンバル」を原作とするホラー映画。 ある男が手に入れたゼンマイ式の猿の人形は、太鼓を叩き始めると「誰かが理不尽な死を迎える」という呪物だった。 その人形を遺品として受け継いだ主人公とその双子の兄弟の周囲で、不審死が連続発生していく。 主人公は人形を捨てたり破壊しようと試みるが、それは逃れられない呪いであることが分かってくる。 ジェームズ・ワンらしいショッキングかつポップな画づくりと、ホラージャンルの監督で注目されるオズグッド・パーキンスの個性が掛け合わさった演出は斬新で、恐怖するというより笑ってしまいそうになる様々な死に方が描かれる。 ほんの数分だけ出演しているイライジャ・ウッドの演技づけが奇妙で、他の俳優も程度の差はありながらどこか居心地の悪い読後感が残る存在として演出されている。 パーキンス監督にはやや独特でブラックなコメディのセンスがあるのか
May 6


28年後... 白骨の神殿 | 28 Years Later: The Bone Temple (2026)
3.7/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの4作目となる作品で、今作の監督は「キャンディマン」や「マーベルズ」のニア・ダコスタが担っている。 人間に感染すると凶暴化するウイルスが蔓延し人類文明が崩壊してから28年後の世界を舞台に描かれる、全3部作の2作目。 前作「28年後…」で生まれ育った孤島から英国本土へ行くと決意した主人公の少年は、カラフルなトラックスーツを着た謎の集団に命を救われるが、その集団は悪魔を崇拝するカルト教団だった。 主人公は、ウイルスによって凶暴化した感染者達だけでなく、狂信的な信仰と暴力によって他者を支配する人間達との向き合いも余儀なくされる。 主人公の少年の視点を中心に物語が展開していた前作と打って変わって、今作ではその役回りがかなり後退している。 その分、前作から引き続き登場する、崩壊した世界においても理性を保っている医師の行動が、物語を牽引する構造になっている。 その医師を演じるレイフ・ファインズの存在感はやはり素晴らしく、一流俳優ならではの演技の幅に
May 4


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
May 3


HELP -復讐島- | Send Help (2026)
3.9/5.0 「死霊のはらわた (1981・1987)」や「スパイダーマン (2002・2004・2007)」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督によるサバイバルスリラーで、同監督による「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に出演していたレイチェル・マクアダムスが主演を担っている。 コンサルティング企業で働く主人公は有能だが不器用で社交性が低く、上司から冷淡で不当な扱いを受けている。 その上司たちと主人公が出張のために搭乗した小型飛行機が墜落し、気づくと主人公は孤島の浜辺に打ち上げられていた。 しかし生き残ったのは主人公だけではなく、その上司も同じ島に流れ着いていたのだった… という導入。 孤立した舞台でのサバイバルと、支配する/される側の立場の逆転が巧みに組み合わされた脚本がとても面白い。 詳述は避けるが、そろそろ終幕が迫る雰囲気が出てきてからのさらなる物語展開に驚かされた。 弱々しく不潔にさえ見える冒頭の主人公が、孤島で優位に立つにつれてまるで別人のように強く美しく見えてくる描かれ方の変化も見事で、これは監督の熟練した演出力
Apr 26


アンティル・ドーン | Until Dawn (2025)
2.9/5.0 「ライト/オフ」や「アナベル 死霊人形の誕生」等のホラージャンルの映画で知られるデヴィッド・F・サンドバーグが手掛けた、ゲームを原作に製作したスラッシャーホラー。 1年前に失踪した女性の妹が、自身の元カレや友人達を連れて姉を探す旅に出る。 豪雨の悪路を抜けて辿り着いた山奥の観光案内所で、不気味な現象が発生する。 閉ざされた舞台で若者達が危険な目に遭うというプロット自体はスラッシャーホラーの典型でありながら、今作はタイムループの構造がそこに組み合わされているところが少し独特で、主人公達は空間と時間の両方で隔絶された同じ夜を何度も過ごすことになる。 よって同一人物が繰り返し様々な目にあうのだけれど、いくつか斬新だなと感じる演出はあるものの、使い古されたジャンプスケアの多用や全篇を通して緩急があまり感じられない展開がやや退屈。 また、主人公達を襲う奇怪な存在達が複数登場するものの、その背景に脈絡のなさを感じ、古典的なモチーフを悪い意味でマッシュアップしているだけのように感じてしまった。 主人公が最後に対峙する存在との決着のつけ方には少し
Mar 7


ウェポンズ | Weapons (2025)
4.0/5.0 長編監督デビュー作の「バーバリアン (2022)」で一躍脚光を浴びたザック・クレッガーが脚本・製作・監督するホラー映画。 出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、ベネディクト・ウォン、オールデン・エアエンライクと豪華。 小学校のあるクラスの児童17人が、深夜2時17分に家を飛び出し、行方不明になるという事件が発生する。 そのクラスの担任だった教師、学校長、行方不明児の保護者といった様々な人物の視点と行動から、不可解な事件の真相が明らかになっていく。 何よりも、予告篇でも象徴的に使われていた「子どもたちが深夜に両手を広げて疾走する」画の不気味さが印象的。 伝統的な (ジャンプスケアも含む) 演出と、今まであまり観たことがない意外性たっぷりな恐怖演出の組み合わせが見事で、効果的なカメラワークやコントラスト設計および音効演出もあり、物語にぐっと惹き込まれる。 また、映画の視点が様々な登場人物に切り替わりつつタイムラインを何度か戻って同じシーンを違う角度から描くことで、全体の物語はもちろんのこと、それぞれの人物のバックグラウンドや
Feb 15


V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)
3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッ
Feb 15


フロッグ | I See You (2019)
3.9/5.0 俳優でもあるデヴォン・グレイが脚本を執筆したクライムサスペンス。 NETFLIX映画「iBOY」や「ナイトティース」を手掛けたアダム・ランドールによる監督作品。 15年前に連続少年誘拐殺人事件が発生した小さな町で、再び同様の事件が相次いで発生する。 過去の事件の犯人は逮捕されていることから、混乱する警察。 事件を捜査することになった刑事の家庭は、パートナーの不倫をきっかけに家族関係が崩壊している。 そして刑事の家では超常現象のような不可解な出来事が起こり始める… 舞台を限定した小規模のサスペンスを思わせる序盤から、中盤にある視点の大転換、そして終盤で真相が明らかになる展開と、何度もツイストする脚本の構成が巧み。 ネタバレを避けるため細かい部分への言及は避けるが、前半での様々な違和感や恐怖が後半で納得や別の恐怖に変化する演出が見事だと感じた。 出演している俳優達は誰もが知る著名な人物達ではないけれど、それぞれがそれぞれの役回りを理解しながら高い演技力を発揮することで、真相が明らかになった際の強い衝撃に結実している。...
Jan 4


マニブスの種 | manibus seeds (2021)
2.1/5.0 俳優 兼 映画監督の芦原健介による短篇で、新型コロナ禍にあった2021年に製作された作品。 工場で働き質素に暮らす主人公のもとに届いた差出人不明の封筒には、謎の植物の種が入っていて… という導入。 あえてジャンルを定義すればSFホラーということになるのかなと思うが、結末には少し意外性があり、面白かった。 新型コロナ禍という、人類史上体験したことのない規模の環境激変によって起きたコミュニケーションのあり方の変化が、脚本に反映されているように感じる。 ただ、おそらく限定された予算でたくさん工夫して製作されたものであろうと想像はしつつも、種が成長して出現する生物のチープさにはうーんと感じてしまった。VFXがどうこうではなく、単純に演技づけに問題があるような… 主人公を演じる菅野貴夫は寡黙な役を好演していると感じたし、その職場の同僚の女性を演じる小島彩乃の存在感も良かった。 が、俳優達の表情の変化や身体演技で十分に表現 (意図伝達) できるだろうと思える些細な内容まで、その全てを台詞にして喋らせてしまう演出は、やはり気になってしまった。.
Nov 30, 2025























