ブラック・ミラー シーズン7: ベット・ノワール | Black Mirror Season 7: Bête Noire (2025)
- Shoji Taniguchi
- 5 日前
- 読了時間: 2分
更新日:21 分前
3.7/5.0
脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。
イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。
「ベット・ノワール」は、製菓会社で商品開発として働く女性を主人公に描かれる、現実と自我の崩壊についての恐怖。
主人公の職場に中途採用で入社してきた女性は、主人公の高校時代の同級生だったが、2人の間にはある苦い過去が… という不穏な導入。
その後、主人公に些細な記憶違いが増え、それが原因で職場での立場がどんどん危うくなっていく。
記憶していた単語のつづりが間違っていたり、存在を信じて疑わなかったものが全く存在していなかったりといった納得しがたい体験は、多くの人にあるはず。
自分が間違っているとはどうしても思えないのに他者と自分で記憶されている内容が違うと感じる、そんな体験は「マンデラ効果」と呼ばれるが、このエピソードではまさにそのマンデラ効果の違和感が脚本に組み込まれている。
いかにもSFアンソロジーらしい真相が終盤に用意されているが、それに触れることは控えておきたい。
何よりも面白いと感じたのは、このエピソードに出てくるファストフードチェーンの店名のつづりが、視聴する人によってランダムに切り替わる仕掛けが施されているということだ。
映像配信サービスのNETFLIXならではともいえる挑戦的な演出アイデアだし、第四の壁を越える斬新な仕掛けともいえて、とても面白い。
私が視聴した時は、主人公が記憶していたそのチェーン名のつづりは「BARNIES (バーニーズ)」で、主人公以外が持っている記憶は「BERNIES (べーニーズ)」だったが、そのように記憶している視聴者は、もしかしたら私だけなのかも知れない… この文章を読んでいるあなたの体験はどうだろう。