邪悪なるもの | When Evil Lurks (2023)
- Shoji Taniguchi
- 6月28日
- 読了時間: 2分
1.9/5.0
アルゼンチンとアメリカの合作になるオカルト・ホラー映画で、アルゼンチン出身のデミアン・ルグナが脚本と監督を担っている。
今作は2023年のシッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀長編映画賞を獲得している。
「エクソシスト」等で有名な悪魔憑きがモチーフになっているが、今作が少し独特なのは、悪魔憑きもので悪魔と対峙する神父や教会といった聖職の権威が (作品内では語られない何らかの理由で) 失墜していて、しかも悪魔憑き自体が伝染病のように拡散していくという、ディストピアな世界観の物語であるところ。
田舎街に住む兄弟を主人公に、悪魔に憑かれた人間との遭遇やそれへの対処、家族を半ば無理やりに連れての逃亡が描かれていくが… とにかく冒頭から終劇まで、一切の救いがないといっても大げさではないほどに絶望的な物語が続く。
序盤は重く不穏な空気の演出が上手ながらややスローで退屈だが、あるタイミングからは容赦なくショッキングな描写が連続し、いったいこの物語はどこに着地するのだろうと不安になるほど。
ただ、脚本も作風もすごく個性的であることは確かだけれど、主人公たちの決断や行動のほぼ全てが報われない展開が続き過ぎて、むしろ退屈に感じてしまう。
また、悪魔と対峙する際の「7つのルール」といったものがけっこう大仰に劇中で語られるのだが、それがほとんど脚本上の重要な要素として機能しておらず、むしろ登場人物たちが (わざとやってんのかとツッコミたくなるぐらい) そのルールを破りまくるので、う〜んどういうこと…? という気持ちになってしまった。
デミアン・ルグナは脚本・監督を手掛けた「テリファイド」という作品で一躍注目を浴びたホラー映画界の期待の新人とのことで、同作はハリウッドでのリメイクも決定しているらしい。
少し興味が湧いたのでそちらも観てみようかなと思う。