

パラレル 多次元世界 | Parallel (2018)
3.3/5.0 メキシコ出身のアイザック・エスバンが監督を担ったカナダ製作のSFスリラー。 シェアハウスで生活するソフトウェア開発者とその友人の4人の若者達は、屋根裏部屋で奇妙な大鏡を発見する。 鏡の向こう側には並行世界が存在し、自分達や知人とそっくりな人々もそちらの世界で暮らしていた。 並行世界の時間が自分達の世界よりも180倍早く進むことを知った4人は、その "時差" を利用してビジネスや夢の実現を成功させようとする。 並行世界という設定はSFとしてベタなものの、そこに時間の速度差が存在するという点にアイデアがあり、物語の展開方法が面白い。 別世界としながら描かれるシチュエーションはほぼ共通なため、画づくりにかける予算を抑えられるという製作観点での工夫も賢いなと感じる。 導入・危機・発見・成功・より大きな危機… という定石が丁寧におさえられている脚本構成と演出がある。 終盤にかけて登場人物達の欲望がエスカレートしていく展開には面白さがありながら、鑑賞中にある程度予想がつく内容を越えない、凡庸な印象もある。 そして、それぞれの世界や人物の視点の
9 hours ago


移動都市 / モータル・エンジン | Mortal Engines (2018)
3.8/5.0 フィリップ・リーヴによるYA小説を原作に、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで映画史に名を刻んだピーター・ジャクソンが脚本・製作を手掛け、ジャクソンの作品の多くでストーリーボードアーティストや視覚効果スーパーバイザーを担当してきたクリスチャン・リヴァースが初監督を担ったSF大作。 「アンブレラ・アカデミー」で印象的な役どころを演じたロバート・シーハンや、「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ等の著名作品で活躍するヒューゴ・ウィーヴィングが出演している。 超兵器による最終戦争で文明社会が崩壊してから1,000年以上が経過した地球で、人類は移動する都市を建造し、大都市が小型都市を "捕食" することで支配する世界を生きていた。 巨大移動都市ロンドンは、他の都市を捕食しながら、東方にあり強固な壁で守られている固定都市シャングオの支配を目論んでいる。 そのロンドンの歴史学長であり開拓者でもあるサディアスに復讐を誓う少女と、歴史学ギルドの見習い青年は、巨大な陰謀と争いに巻き込まれていく。 何よりも特筆すべきは、原作で描かれた
6 days ago


The Moon (2023)
3.9/5.0 韓国映画界のヒットメーカー、キム・ヨンファが脚本・監督を手掛けたSF映画で、韓国では屈指の人気を誇る俳優のソル・ギョングが主演を担っている。 韓国初となる有人月面探査ロケットが3名のクルーを乗せて宇宙へ飛び立ったが、太陽風の影響で地上との通信トラブルが発生し、その対応中の事故によって危機的状況に陥る。 宇宙に孤立したクルーを救出するため、過去に有人ロケット爆発事故の責任を取ってKASC (韓国航空宇宙センター) を去っていた責任者が呼び戻される。 冒頭での主要登場人物のキャラクターや物語設定の説明が、とても洗練されていて分かりやすい。 また、科学考証やリアリティを突き詰めて考えればツッコミどころもあるのだろうけれど、鑑賞している間はそのあたりを気にせずに物語へ没入してしまう脚本の巧みさがある。 SFでありつつアクションは控えめでヒューマンドラマ中心、かつ分かりやすい敵役や大規模な闘いが存在しないながらも、宇宙と地上の両方で物語が次々と展開していき、それぞれ力量ある俳優達の演技にも惹きつけられて、退屈する時間がほぼない。...
Jul 11


タイムハント 時間操作 | Riot for the Dove (2023)
1.2/5.0 監督・脚本・主演をマイケル・ラザールが務めた低予算のSF映画。 メキシコの犯罪組織に監禁されている少女は、特殊な能力を持っていた。 組織はその能力をある特殊装置の入手のために利用している。 特殊な装置とは、時間を数秒だけ巻き戻せるという異星文明由来の代物だった。 米政府長官はある探偵に少女の救出を依頼する。 超能力 x タイムトラベルものという好きなジャンルだったため鑑賞したが、低予算で製作された作品であることを大前提として理解していても、そのあまりにも稚拙な演出と編集に驚かされた。 VFXを多用した派手な画がなくとも、しっかり準備されたストーリーボードがあっての撮影や編集がされていれば絶対こんなことにはならないだろうと感じる雑な作り。 まず全般的にカット割りがめちゃくちゃ過ぎて、そのシーンで誰がどこに配置されていて誰と何をしているのかがほとんど全く分からないという編集に、作品の世界に没入することを著しく妨げられてしまった。 台詞の音質もカットや話者ごとで明らかにブレがあり気になってしまうし、楽曲や音効の入り方も終わり方も笑ってし
Jul 11


V/H/S/85 (2023)
2.8/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの第6弾。 製作予算は比較的抑えられながら、過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作は1985年当時のホームビデオ文化を軸に、それぞれの短篇が製作されている。 「Total Copy」監督: デヴィッド・ブルックナー 2.1/5.0 アンソロジーを横断して映画全体の冒頭・幕間・終盤に入るメインフレーム。 大学の研究チームが変身生物を確保し実験する様子が記録されていく。 怖がるべきか笑うべきか微妙な気持ちになる結末が印象的。 「No Wake」監督: マイク・P・ネルソン 2.7/5.0 人里離れた湖を訪れた若者グループが何者かによる銃撃のターゲットとなる。 若者達がどのように生き延びるかという話なのかなと思いきや、予想外の展開がある。 「God of Death」監督: ジジ・ソール・ゲレーロ 2.5/5.0 1985年に実際に発生したメキシコ大地震をモチーフとした1篇。 テレビ局での生放送中に地震が発生し、
Jul 11


人間農場 | Human Farm (2024)
3.0/5.0 山田玄徳による8分程度の短篇で、48時間で映画を制作するThe 48 Hour Film Projectというイベントで制作・上映されたものとのこと。 社会人養殖場で出荷される時を待つ人々と、その管理人についての物語。 テーマはいわゆる「指示待ち人間」が増えているという社会批評とその風刺だということは、分かりやすいほどに分かる。 その描かれ方も、48時間という限られた時間 (と当然ながらロケーションや予算も) の中で具現化するという意味では、成功しているように見える。 制約が多い条件下だと中途半端なVFXや小手先の編集テクニックに走って画が安っぽくなりがちだけれど、今作はそうはせずに可能な限り撮ったままの画づくりをベースに成立させようという作り手達のスタンスを感じられた。 これは自分の好みの問題なのかも知れないと思うけれど、邦画ならではの俳優達の演技のわざとらしさや稚拙さが、どうしても時々垣間見えてしまうところが物語への没入の妨げになり、そこを残念に感じてしまう。 今作の出演者達は舞台演劇の俳優中心だろうか、ややオーバーアクトで戯
Jun 20


ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー | Solo: A Star Wars Story (2018)
3.9/5.0 「スター・ウォーズ」シリーズの重要な登場人物である密輸業者のハン・ソロが、いかにして相棒のチューバッカや愛機ミレニアム・ファルコンと出会い、アウトローとして生きていくことになったかが描かれるスピンオフ作品。 「スパイダーマン: スパイダーバース」シリーズを手掛けたフィル・ロード & クリス・ミラーが監督していたが途中降板となり、名匠ロン・ハワードがその座を引き継いでいる。 脚本は「スター・ウォーズ」映画版の脚本を手掛けてきたローレンス・カスダンと、その息子のジョナサン・カスダン。 孤児として苦しい生活を送るハンとキーラは、宇宙へと逃亡することで転機を狙うが、ハンだけが脱出に成功し、離ればなれになってしまう。 パイロットとなりキーラを迎えに行くことを誓うハンは入軍し、送り込まれた戦地であるギャング達と出会い、運命が急展開していく。 超有名SFシリーズの象徴のひとつともいえるハン・ソロと、ハリソン・フォードが演じたそのキャラクターを、違う俳優が引き継ぎ演じることには相当のプレッシャーがあっただろうと想像できる。 オールデン・エアエンラ
Jun 20


スター・ウォーズ / マンダロリアン・アンド・グローグー | Star Wars: The Mandalorian and Grogu (2026)
3.7/5.0 ジョージ・ルーカスが創造した超有名スペースオペラ映画シリーズのスピンオフとしてDisney+で配信された実写ドラマ「マンダロリアン」の劇場版。 ルーカスの最後の愛弟子でありその意思とビジョンを継ぐ者といわれるデイヴ・フィローニが脚本と製作を、フィローニと共にスター・ウォーズの数々のドラマシリーズの製作総指揮を務めてきたジョン・ファヴローが監督を担っている。 銀河帝国が反乱軍に打ち破られて崩壊し、まだ政情が安定しない時代。 厳しい掟に従って生きるマンダロリアンのディン・ジャリンと、まだ子どもながら50歳という長命種族のグローグーは、賞金稼ぎとして新共和国軍の依頼に応えることで生計を立てていた。 帝国の復権を狙う存在を察知した新共和国軍は、それを防ぐために2人へ新たな依頼をする。 スター・ウォーズといえばライトセーバー、ジェダイナイト、シスの暗黒卿、そしてフォースといった数々の神話的要素と、埃や汚れにまみれて生活感が感じられる宇宙船や戦艦というSF要素が掛け合わさった唯一無二の世界観が特徴だが、今作にはフォースを除いた前者の要素がほと
May 25


ザ・ボーイズ ファイナル・シーズン | The Boys Season 5 (2026)
3.2/5.0 エリック・クリプキが企画・製作総指揮を担うSFドラマ「ザ・ボーイズ」の最終シーズン。 DCやMARVEL等のスーパーヒーローものと現代社会を痛烈に風刺した同題のコミックを原作としつつ、ドラマ独自で展開してきた物語の完結篇。 巨大企業の管理下にあるスーパーヒーロー達が実は腐敗していて社会を揺るがす脅威となり、特殊能力を持たない一般人達がその打倒のために無謀な闘いを挑むという物語が遂に最終局面を迎える。 最強のヒーローでありながらその幼稚過ぎる頭脳で傍若無人に振る舞うホームランダーは、文字通りの神として米国に君臨しようとする。 ホームランダーへの復讐に命をかける「ザ・ボーイズ」のリーダー、ブッチャーは、スーパーヒーロー全員に死をもたらすウイルス兵器を完成させる。 シーズン1 第1話の衝撃的な開幕から強烈に心を掴まれ、毎シーズンが配信される度に鑑賞してきたドラマシリーズだったけれど、シーズン4あたりから少しずつその脚本や展開に綻びが目立つと感じてきた。 それでも今回のティザービジュアル達にはとてもワクワクして、最終シーズンにふさわしい怒
May 24


プロジェクト・ヘイル・メアリー | Project Hail Mary (2026)
4.3/5.0 「火星の人 (The Martian)」で一躍注目を浴びた米国の小説家、アンディ・ウィアーによる小説を原作とするSF映画で、「スパイダーマン: スパイダーバース」の製作・脚本を手掛けたフィル・ロード & クリス・ミラーが監督を、「ブレードランナー 2049」や「ファースト・マン」で主演したライアン・ゴズリングが主人公を演じている。 主人公が目覚めると、自分が記憶を失っていることに気づく。 そこは地球から約12光年も離れた場所にある宇宙船の中で、同乗したとみられるクルーは既に死んでいた。 主人公は自分が何者だったのか、なぜ宇宙船に乗り込むことになったのかを思い出そうとする。 そして、太陽の温度が謎の現象によって低下し、人類が数十年内に滅亡する危機にあるという記憶がよみがえってくる。 その回避方法発見のため孤独な探索を続ける主人公は、人類文明によるものではない宇宙船を発見する… 回想シーンで描かれる地球での日々以外の宇宙パートのほぼ全部がライアン・ゴズリング (と、その相棒となる異星人) の芝居で構成されていながら、楽観主義と物悲しさ
May 17


トランスミッション 観てはならない結末 | Transmission (2023)
3.3/5.0 英国出身のマイケル・ハーストが脚本・監督した実験的な作風のモキュメンタリホラー中篇。 様々なトーンの映像が交錯しながら物語が展開する、多重構造形式の作品。 ある老人が深夜にTVの電源を入れると、失われていたはずのSF映画が放送され始める。 「トランスミッション」というタイトルのその映画に登場する宇宙飛行士達は「虚空 (ヴォイド)」と呼ばれる現象の調査中に、長く行方不明となっていた宇宙船を発見する。 その船内に残されていた記録映像には、虚空からの謎の信号を受信してから乗組員達の様子がおかしくなっていったことが判明する… という導入。 70年代の懐かしいトーンを思い起こさせるSF劇中劇 (映画) を軸としながら、冒頭で登場した老人がTVのチャンネルをザッピングするように、その劇中劇製作にまつわるドキュメンタリや立てこもり事件現場からの生中継等の番組が映し出されるという、なかなか独特な構成となっている。 ネタバレは避けるが、断片的に感じられたそれらの映像群がやがてひとつの結末に収斂していく脚本は挑戦的で面白い。 粗が気になる部分があった
May 7


アバウト・タイム 愛おしい時間について | About time (2013)
4.2/5.0 「ブリジット・ジョーンズの日記」や「イエスタデイ」の脚本で知られるリチャード・カーティスが脚本・監督を手掛けた作品で、「エクス・マキナ」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に出演しているドーナル・グリーソンと、「ドクター・ストレンジ」や「HELP -復讐島-」に出演しているレイチェル・マクアダムスを中心に描かれるロマンティックSF。 主人公の男性が21歳の誕生日に父から告げられた秘密は、強く願えば自分自身の過去のある瞬間に戻ることができるという、タイムトラベルの能力を持つ家系だということだった。 その能力を恋人づくりに使おうと決めた主人公は、何度か失敗を繰り返しながら最愛の女性と両想いになるのだけれど、過去に戻ってそれを改変することには代償があり… という物語。 タイムトラベル系SFでよく語られるバタフライ効果 (些細な出来事の差異が未来に破局的な影響を及ぼすリスク) が今作でも取り扱われており、主人公はどのように能力と向き合い、どのように生きていくべきかを問われる。 何よりも、主演2人を初めとする俳優達の演技が素晴らしい。..
May 3


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
May 3


All You Need is Kill (2026)
2.0/5.0 桜坂洋による小説を原作とする、ハリウッドにてトム・クルーズ主演で実写映画化されたSF戦争アクションを、アニメーションによって再映画化した作品。 「海獣の子供」のCGIや「漁港の肉子ちゃん」の演出を手掛けてきた秋元賢一郎が監督を担っている。 謎の地球外生命体に侵略された地球で、人類は統合防疫軍を組織し、パワードスーツや武器を開発のうえでその調査にあたっている。 ある日、主人公の女性兵士は異生物と対峙することになり死亡するが、死の瞬間にその日の朝へ戻るという現象を体験する。 死ぬ度に時を遡り、圧倒的な戦闘力を持つ異生物による絶望的な死の経験を何度も重ねるうち、主人公は闘い方を身に着けていく。 そして、その同じ日を何度も経験しているもうひとりの人物と出会う。 ハリウッド実写版で主人公だった男性は今作ではサブとなり、サブだった女性が今作の主人公となっているが、世界観設定や基本的な物語構造は同一。 アニメーションならではのアクロバティックな画づくりは面白く、個性的なキャラクター造形も個人的にはそれほど違和感なく見ることができたけれど、かとい
Apr 26


ランニング・マン | The Running Man (2025)
3.1/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で出版した小説を原案とするSFアクション。 1987年にいちど映画化されているが、リメイク版にあたる今作は原作に忠実な物語となっている。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 貧困層に向けた娯楽 (ガス抜き施策) として国家が提供する「ランニングマン」という過激なリアリティ番組が人気を博している。 全国民が視聴する中、殺人も厭わないハンターチームから30日間逃げ切れた挑戦者には高額な報酬が得られるというその番組に応募することになった主人公は、その番組が覆い隠してきた真実を知ることになる。 1987年版の主人公を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、今作では「トップガン マーヴェリック」や「エクスペンダブルズ3」に出演してきたグレン・パウエルが主演を担っている。 頭は切れるものの怒りを制御するのが苦手というキャラクターを魅力的に演じている。 2020年代の洗練された画づくりやエドガー・ライトの小気味よい演出力は確かにありながら、1987年版に漲っていたヤケ
Apr 26























