

アバウト・タイム 愛おしい時間について | About time (2013)
4.2/5.0 「ブリジット・ジョーンズの日記」や「イエスタデイ」の脚本で知られるリチャード・カーティスが脚本・監督を手掛けた作品で、「エクス・マキナ」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に出演しているドーナル・グリーソンと、「ドクター・ストレンジ」や「HELP -復讐島-」に出演しているレイチェル・マクアダムスを中心に描かれるロマンティックSF。 主人公の男性が21歳の誕生日に父から告げられた秘密は、強く願えば自分自身の過去のある瞬間に戻ることができるという、タイムトラベルの能力を持つ家系だということだった。 その能力を恋人づくりに使おうと決めた主人公は、何度か失敗を繰り返しながら最愛の女性と両想いになるのだけれど、過去に戻ってそれを改変することには代償があり… という物語。 タイムトラベル系SFでよく語られるバタフライ効果 (些細な出来事の差異が未来に破局的な影響を及ぼすリスク) が今作でも取り扱われており、主人公はどのように能力と向き合い、どのように生きていくべきかを問われる。 何よりも、主演2人を初めとする俳優達の演技が素晴らしい。..
14 hours ago


スペースバンパイア | Lifeforce (1985)
3.3/5.0 コリン・ウィルソンのSF小説を原作に、「悪魔のいけにえ」を監督したトビー・フーパー、「エイリアン」の脚本を手掛けたダン・オバノン、「ティファニーで朝食を」や「刑事コロンボ」の劇伴を作曲したヘンリー・マンシーニといった大御所クリエイターを起用して製作された超大作級のSFホラー。 製作当時の予算としては破格級の2,500万ドルが費やされながら全米興収はその半分にも届かず、大赤字に終わったものの、カルトSFとして語られ続けている。 英国のスペースシャトルがハレー彗星を調査中に、未知の巨大な宇宙船と遭遇する。その内部にはコウモリのような姿をした無数の干からびたエイリアンと、3体の人型生命体が眠っていた。 地球へ持ち帰られた人型生命体が目覚めると、その警備をしていた人間の精気を吸い尽くし、逃亡する。 吸血鬼伝説に着想を得た物語が、当時最高レベルの特撮技術で大胆に表現されていて、進化したVFXに見慣れた今の眼で鑑賞してもその迫力に驚かされる。 「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」でメイクアップアーティストを担当したニック・メイレイが手掛けた
14 hours ago


All You Need is Kill (2026)
2.0/5.0 桜坂洋による小説を原作とする、ハリウッドにてトム・クルーズ主演で実写映画化されたSF戦争アクションを、アニメーションによって再映画化した作品。 「海獣の子供」のCGIや「漁港の肉子ちゃん」の演出を手掛けてきた秋元賢一郎が監督を担っている。 謎の地球外生命体に侵略された地球で、人類は統合防疫軍を組織し、パワードスーツや武器を開発のうえでその調査にあたっている。 ある日、主人公の女性兵士は異生物と対峙することになり死亡するが、死の瞬間にその日の朝へ戻るという現象を体験する。 死ぬ度に時を遡り、圧倒的な戦闘力を持つ異生物による絶望的な死の経験を何度も重ねるうち、主人公は闘い方を身に着けていく。 そして、その同じ日を何度も経験しているもうひとりの人物と出会う。 ハリウッド実写版で主人公だった男性は今作ではサブとなり、サブだった女性が今作の主人公となっているが、世界観設定や基本的な物語構造は同一。 アニメーションならではのアクロバティックな画づくりは面白く、個性的なキャラクター造形も個人的にはそれほど違和感なく見ることができたけれど、かとい
Apr 26


ランニング・マン | The Running Man (2025)
3.1/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で出版した小説を原案とするSFアクション。 1987年にいちど映画化されているが、リメイク版にあたる今作は原作に忠実な物語となっている。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 貧困層に向けた娯楽 (ガス抜き施策) として国家が提供する「ランニングマン」という過激なリアリティ番組が人気を博している。 全国民が視聴する中、殺人も厭わないハンターチームから30日間逃げ切れた挑戦者には高額な報酬が得られるというその番組に応募することになった主人公は、その番組が覆い隠してきた真実を知ることになる。 1987年版の主人公を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、今作では「トップガン マーヴェリック」や「エクスペンダブルズ3」に出演してきたグレン・パウエルが主演を担っている。 頭は切れるものの怒りを制御するのが苦手というキャラクターを魅力的に演じている。 2020年代の洗練された画づくりやエドガー・ライトの小気味よい演出力は確かにありながら、1987年版に漲っていたヤケ
Apr 26


ウォー・マシーン: 未知なる侵略者 | War Machine (2026)
3.6/5.0 「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」や「ヒットマンズ・ボディガード」等のアクション映画を手掛けてきたパトリック・ヒューズが原案・脚本・製作・監督を務めたSFミリタリーアクション映画。 主演は「ハンガー・ゲーム2」や「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」に出演してきたアラン・リッチソン。 米陸軍のレンジャー選抜試験に挑戦中の部隊が、その最終過程の野外演習中に、巨大な多脚型戦闘マシンと遭遇する。 部隊はマシンから想定外かつ猛烈な攻撃を受け、野外演習は一瞬にして地獄の戦場と化す。 異星文明と人間達による軍隊の戦闘の映画は数多く製作されてきたが、今作もしっかりとその系譜の作品でありつつ、主人公をはじめとする登場人物の (心理的な背景と行動原理を含む) 紹介や、脅威が登場するまでの脚本展開がシンプルで、とてもテンポが良い。 また、マシンによる攻撃の無慈悲さと、なすすべもなく撤退戦を強いられる部隊の見せ方には圧倒される。 地球規模の危機的状況が発生しているであろうことが想像できつつ、本篇で描く世界をあくまでも1機のマシンと1つの部
Mar 14


マーシー AI裁判 | Mercy (2026)
3.4/5.0 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ジュラシック・ワールド」シリーズに主演してきたクリス・プラットと「ドクター・スリープ」や「ミッション・インポッシブル」シリーズに出演してきたレベッカ・ファーガソンが共演するSFサスペンス。 監督作の「ウォンテッド」や製作として携わった「ハードコア」の個性的なアクションとエッジィな演出で注目を集めたティムール・ベクマンベトフが監督を担っている。 舞台は近未来の米国。凶悪犯罪の増加に対処するため、正確かつ迅速な裁判執行を可能にする司法制度「マーシー裁判所」が設立される。 マーシー裁判所ではAIが裁判官を務め、あらゆるメディアに記録された膨大なデータから被告の有罪率を随時算出し、被告にも自身の弁護のためにそれらのデータへのアクセス権限を与えながら、90分以内に有罪率を一定以下に下げなければその場で被告の処刑が行われる。 AIによる19番目の裁判にかけられることになった主人公は、マーシー裁判制度の強力な推進者だった、という導入。 現代においても既に、世界中のあらゆる場所にビデオや音声を記録するデバ
Mar 14


アストロノート | The Astronaut (2025)
2.1/5.0 「ファンタスティック・フォー (2015)」や「オデッセイ」に出演していたケイト・マーラが主人公を演じるSFスリラー。 監督のジェス・ヴァーリーにとって、この作品が長編デビュー作とのこと。 宇宙での任務から帰還した宇宙飛行士が、リハビリと世間からの隔離を兼ねたセーフハウスで過ごすうちに、身体の異変や謎の現象が発生しはじめる。 様々な現象の不気味さには惹き込まれるが、それらの全てが断続的で、根拠となりそうな内容の説明はいちおうあるものの、結局それらにどういう (物語を構成する要素としての) 意味があったのかについて納得ができず、うーんとなってしまう。 違う現象が次々と描かれながら似たような展開の繰り返しで、演出トーンも単調で物語もなかなか前に進まない。 後半にて物語が大きく反転する脚本設計になっているけれど、鑑賞している多くの人は途中でその仕掛けに気づきそうで、そこには驚きや巧みさを見つけることが難しい。 登場するほとんど全ての人物についての、本当はそれぞれ何を望んでいたのか? といったキャラクターの根本部分の設定がとても弱いように
Mar 14


一瞬の出来事 | In the Blink of an Eye (2026)
4.0/5.0 ピクサーの草創期から同スタジオに所属し、数々のピクサー作品の原案・脚本・監督・製作総指揮を担ってきたアンドリュー・スタントンが手掛けるSF映画。 古代・現代・未来の3つの時代の出来事が並行して進行しながら、数千年の時を越えた物語が描かれる。 コメディアンとしてデビューしながら俳優・声優へと活躍の幅を広げるケイト・マッキノンが出演している。 古代では、故郷を追われたネアンデルタール人の家族が、安住の地を求めて旅をする。 石器や火の使い方を子どもに教え、生存を脅かされながらも支え合って生きる家族の姿が描かれる。 現代では、古代人類の遺物や骨を研究する女性が、自身の家族が迎えようとしている死と向き合うことになる。 避けがたい別れの辛さや、その状況を支えてくれようとする相手との関係構築の難しさが描かれる。 未来では、地球から遠く離れた惑星へ向かう移民船で、クルーの女性と船に搭載されたAIが、その生存環境を脅かすトラブルに直面する。 女性と船が運ぶ生命の種子は人類の未来であり、それを守り抜くために、女性は究極の選択を迫られる。...
Mar 1


バトルランナー | The Running Man (1987)
3.2/5.0 アメリカを代表する作家のスティーヴン・キングが別名義で発表した小説を原案とするSFアクション映画。 「ターミネーター (1984)」で一躍スーパースターとなったアーノルド・シュワルツェネッガーが主演している。 世界経済が崩壊し、資源不足と貧富格差が広がる近未来。 警察権力によって独裁統治されていたアメリカにおいて、国民に残された数少ない娯楽はTVショー、特に出場者の殺し合いを生中継するという過激なバラエティ番組「ランニングマン」だった。 無実の罪で拘束された主人公は、その番組のプロデューサーに目をつけられ、「ランニングマン」へ出場することに同意させられてしまう。 スティーヴン・キング (今作においてはリチャード・バックマンという名義) の作品といえば、多くの人が思い浮かべるのはやはりホラージャンルになりそうだけれど、今作は舞台設定こそディストピアなものの、とてもあっけらかんとした空気を帯びている。 良くも悪くも、80年代のハリウッド映画が持っていた軽さや勢いが映画全体に感じられる。 敵対する武装者達と主人公達の過激なバトルも、今観
Mar 1


V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)
3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッ
Feb 15


プレデター: バッドランド | Predator: Badlands (2025)
3.9/5.0 残虐描写が過激なSFアクション「プレデター」シリーズに属する作品で、同シリーズ復活の立役者ともいえるダン・トラクテンバーグが監督を務めており、有名俳優姉妹の妹、エル・ファニングが出演している。 誇り高い戦闘一族の若者の主人公が、掟を破ったことをきっかけに、最悪の地 (バッドランド) といわれる惑星へ送られる。 主人公はその惑星の頂点捕食生物を狩ることで真の戦士として一族に認められるために、試練に挑む。 これまでのシリーズで人間たちが対峙してきた異星人を主人公に設定するという、視点を逆転する着想が面白い。 相棒として登場するアンドロイド (シンセティック) が、機能はしているものの下半身を失っているという設定も斬新で、それが物語の展開や奇抜なアクションにしっかり活かされているところも上手い。 何より、陽気でチャーミングなアンドロイドと、冷酷で合理的な同型のアンドロイドの二役を演じるエル・ファニングの魅力が素晴らしい。 過去にクロスオーバーした「エイリアン」シリーズのファンにはたまらないであろう演出も後半にかけてたくさんあり、監督の作
Jan 12


ザ・メッセージ | I Still See You (2018)
3.5/5.0 モデル・歌手・俳優として様々活躍するベラ・ソーンが主演するSFサスペンス。 ダニエル・ウォーターズによる10代向けのYA (Young Adult) 小説「Break My Heart 1000 Times」を原作としているらしい。 ある研究をしていた施設が大爆発を起こし、数百万人が志望するという大惨事から10年後。 その後の世界では、犠牲者達の残像 (Remmnants = 残存者) が誰にでも見える形で出現し始める。 主人公は面識のない残存者が残した「逃げろ (RUN)」というメッセージに恐怖するが、その意味と真相を追求していく。 幽霊のような存在と生者が共存するようになった社会という設定が、SFとしてすごく面白い。 主要登場人物を絞って、小さな街を舞台に展開するサスペンスとしての面白さはある。 真相が見えてきたと思いきや何度かツイストする脚本の展開も、設定が活かされていて捻りがきいている。 現題の「I still see you」の意味が初めて分かるシーンではなるほどそういうことかと感じ、ラストシーンでそこに別の意味が生まれ
Dec 31, 2025


ヴァスト・オブ・ナイト | The Vast of Night (2019)
3.5/5.0 映写技師として働いていたアンドリュー・パターソンが、自身で資金調達のうえ初監督作品として製作した長篇映画。 スラムダンス映画祭にて最優秀ナラティブ長編観客賞を受賞し注目されたSFミステリー。 1950年代、米国の小さな田舎町で発生する怪事件。 若きラジオDJの男と電話交換手の少女の視点から、隠されていた真相が明らかになる夜が描かれる。 SFジャンルではありながら (低予算のため) 派手なVFXによる見せ場はほとんどなく、もっぱら会話劇と「音」の演出に重心が置かれている。 また、俳優達の演技レベルがとても高いことと、会話シーンを中心に何度か使われている固定アングルの長回しが効果的で、物語の世界へ没入できる。 まるで「音」だけで物語を想像して楽しむラジオドラマを聴いているような、新鮮な感覚。 ただ、結末にはある程度のカタルシスはあるものの、全ての謎が解き明かされる脚本ではなく、良くも悪くも鑑賞者に解釈の余地を大きく残す形になっているため、物語の細部まで明快に理解したい派と想像の余韻を味わいたい派で好みが分かれそう。...
Dec 25, 2025


大洪水 | The Great Flood (2025)
3.7/5.0 韓国製作のNETFLIX映画で、「The Witch 魔女」や「梨泰院クラス」にて一躍注目を浴びたキム・ダミが主演している。 あえてジャンルを定義すればディザスターということになると思うけれど、様々なジャンルがミックスされているところが作品の個性になっている。 南極に小惑星が衝突した影響で海面が急激に上昇し、地球規模の超巨大津波が発生する。 AI研究者でシングルマザーの主人公は、ひとり息子を連れて自宅マンションの屋上を目指すが… という導入。 災害パニックものとしてのスリルの上手な描き方や演出の安定感はさすが韓国映画といった印象で、本物らしく描写することが難しいとされている水のVFXの品質も非常に高く、絶望的な状況に没入してしまう。 何よりも、キム・ダミの表情や身体演技のレベルの高さに惹きつけられ、思わず主人公に感情移入してしまう。 全ての韓国映画にあてはまることではないと思うけれど、家族の間に生まれる「情」の演出にかけては、やはり韓国の凄みを感じる。 脚本の核心部分について書こうとするとどうしてもネタバレになりそうで難しいが、単
Dec 21, 2025


トロン: アレス | Tron: Ares (2025)
3.8/5.0 世界で初めてCGを表現に取り入れた (公開当時は) 革新的な映像で、今でもカルト的な人気を誇るSF映画「トロン (1982)」シリーズの第3作で、「デアデビル: ビーン・アゲイン」や「エラゴン 遺志を継ぐ者」等に関わったジェシー・ウィグトウが脚本を、「マレフィセント2」等を手掛けたヨアヒム・ローニングが監督を担っている。 サイバー空間上で活動する人工知能プログラムを現実世界に実体化する技術が発明された未来。 ディリンジャー社は無限のリソースから何度でも複製できる実体のAI兵士を世間に発表し軍需産業で覇権を握ろうとするが、その技術は未完成で、現実世界では29分で実体が活動限界を迎え崩壊してしまうという不都合な事実が隠されていた。 一方、ディリンジャー社の競合であるエンコム社を率いる研究者は、その29分の壁を打破する「永続コード」を発見する。 AI兵士のアレスはディリンジャー社の指令に従い、その「永続コード」をエンコム社から奪おうとする。 主人公のAI兵士を演じるジャレッド・レトは、紛れもない名俳優でありながら割と役を選ばない印象もあ
Dec 15, 2025























