

アンキャニー 不気味の谷 | Uncanny (2019)
3.7/5.0 人間と見分けがつかないほどの精巧な肉体と知能を持ったAIと、共に過ごすことになった2人の人間の会話劇を中心に展開するサスペンスSFの中篇。 出演者は「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」に出演していたマーク・ウェバーと、日本では知名度が低いが米国のドラマに出演しているデヴィッド・クレイトン・ロジャース、ルーシー・グリフィスのほぼ3名。 監督のマシュー・ルートワイラーは、ジェームズ・ガンが今のように超メジャーになる以前に脚本・監督を手掛けた密かな名作「スーパー!」で製作総指揮を担っていたらしい。 テクノロジー雑誌の記者の女性が、独占取材として訪れた極秘AI研究施設にて、天才研究者とその研究者が生み出した人型AIと出会う。 記者は人型AIとして紹介された人物の挙動にとまどいながらも、3人で過ごす時間を通してその研究成果を観察・記録していく。 劇中に何度か登場する、研究者と人型AIが行うチェスを行うシーンを通して物語のテーマが隠喩的に見えてくる脚本が面白い。 SFジャンルながら派手なVFXは全くといっていいほど存在せず、低予
11月30日


タイムマシン | Time Machine (2019)
3.2/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 過去の出来事と自身の振る舞いを悔いて生きる男と、彼が大切に思っていた者たちを巡る物語。 性暴力を受けた主人公の友人がとった悲劇的な行動を止めるために、タイムマシンを開発して時を遡りたいと願う男。 苦く忘れがたい過去の記憶と、友人が受けた屈辱が描かれる。 監督の作劇の軸として、人間の加虐 / 被虐の残酷さとの向き合いがあるのだろうと感じられる。 物語自体には大きなツイストは見つけられないものの、今作の画づくりには独特なアートディレクションのセンスで惹きつける力を感じる。 スタッフロール後の幻想的なラストシーンも美しい。 ただ、近未来SFな世界観からは物語との実質的な関連や必然性を見つけられず、その描かれ方もやや凡庸で、ちぐはぐな印象を覚えた。 https://filmarks.com/movies/86342/reviews/208222344
11月30日


マニブスの種 | manibus seeds (2021)
2.1/5.0 俳優 兼 映画監督の芦原健介による短篇で、新型コロナ禍にあった2021年に製作された作品。 工場で働き質素に暮らす主人公のもとに届いた差出人不明の封筒には、謎の植物の種が入っていて… という導入。 あえてジャンルを区別すればSFホラーということになるのかなと思うが、結末には少し意外性があり、面白かった。 コロナ禍という、人類史上体験したことのない規模の環境激変によって起きたコミュニケーションのあり方の変化が、脚本に反映されているように感じる。 ただ、おそらく限定された予算でたくさん工夫して製作されたものであろうと想像はしつつも、種が成長して出現する生物のチープさにはうーんと感じてしまった。VFXがどうこうではなくて、単純に演技づけに問題があるような… 主人公を演じる菅野貴夫は寡黙な主人公を好演していると感じたし、職場の同僚の女性を演じる小島彩乃の存在感も良かった。 が、俳優達の表情の変化や身体の演技で十分に表現できるだろうと思える些細な内容まで、全てを台詞にして喋らせてしまう演出は、とても気になってしまった。 芦原監督の演出力の不
11月30日


ジョディ | Jodie (2021)
2.4/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 所持者から虐待を受け続け、その度に修理されて所持者のもとへ戻される女性型ロボットと、その修理を行う女性の会話劇を中心に構成されている。 今ではSF映画の金字塔ともいわれる「ブレードランナー (1982)」で描かれていた、生命や個人のアイデンティティの構築または揺らぎといったテーマに、現代的なフェミニズムが重ねられたように見える脚本からは、作家としての軸があると感じる。 ただ、アニメーション作品としての演出全般は退屈で、アングルと構図の作り方、台詞と演技の間、人物達の細かい表情の変化といった部分でハッと驚かされるところが見つけられなかった。 人物達の奥に見えるレトロフューチャーな世界観はとても魅力的だったが、それが単なる書き割りになってしまっていて変化がなく、そこに奥行きが感じられなかったところも残念。 https://filmarks.com/movies/110272/reviews/208217710
11月30日


ミーガン 2.0 | M3GAN 2.0 (2025)
3.1/5.0 AIを搭載したハイテク人形のミーガンの暴走描写が話題になった1作目の高評価を受けて製作されたSF映画の続篇で、1作目で監督を担ったジェラルド・ジョンストンが監督・脚本を続投している。 製作会社も前作に引き続き、予算は抑えながらもクリエイターに創造の自由 (裁量) を大きく与えるスタイルで話題作を次々と送り出しているブラムハウス・プロダクション。 前作にて暴走の末に破壊されたAI人形ミーガンのアルゴリズムを秘密裏に転用して開発された軍用アンドロイドが、そのシミュレーション中に暴走し人々を殺害する。 ミーガンの開発者だった主人公とその姪も否応なくそのアンドロイドが引き起こす混乱に巻き込まれていくが、ミーガンがネットワーク上で生存していたことが分かる、という導入。 人型の殺人マシンが人間を襲うというプロットの傑作映画といえば「ターミネーター (1984)」および「ターミネーター2 (1991)」だが、今作は明らかに (確信犯的に) その設定を参照していることが分かる。 1作目では主人公を殺そうと襲ってきたキャラクターが2作目では頼もしい
10月25日


ジェン・ブイ シーズン2 | Gen V Season 2 (2025)
4.1/5.0 エリック・クリプキが企画・製作総指揮を担うSFドラマ「ザ・ボーイズ」のスピンオフシリーズのシーズン2。 「ザ・ボーイズ」の世界設定や登場人物を共有しながら、こちらのドラマではスーパーヒーローを養成するための学校を舞台に物語が展開される。 「ザ・ボーイズ」のコミック原作やドラマシリーズの世界は、マーベルやDCの映画シリーズのように超人達が存在しながらも、それらの大半の本質がヒーローではなくヴィランであるという大きな特徴がある。 堕落と腐敗、あるいは狂気に塗れた世界の描写は凄まじくも、ただ悪趣味にふざけるだけではなくその描写自体が米国の現状の強烈な風刺になっているところがとても面白いのだけれど、今作は主な舞台を学校に限定しながら脚本が構成されていることもあり、ややスケール感がこじんまりしている。 ただ、主人公とその仲間や周辺人物達それぞれに丁寧な背景設定や苦悩が用意されていて、若者達の成長ストーリーとしてきちんと成立しているところに脚本の巧みさを感じる。 また、それぞれ個性的な超人的能力 (超能力) が発揮されるシーンはダイナミックで
10月25日


エイリアン: アース | Alien: Earth (2025)
3.6/5.0 「SHOGUN 将軍」の製作で一躍注目を集めたFXが製作した「エイリアン」シリーズ初のドラマで、タイトルの通り地球を舞台に「エイリアン」の物語が展開するSFホラー。 「ファーゴ」や「レギオン」の原案と脚本で高い評価を得たノア・ホーリーがショウランナーを担い、...
10月11日


ピースメイカー シーズン2 | Peacemaker Season2 (2025)
3.4/5.0 これまでのDC映画に登場し人気を博したキャラクターの、ジョン・シナが演じる「ピースメイカー」を主人公に、DCEU (DCエクステンデッドユニバース) のシリーズとして製作されたシーズン1から新生DCU (DCユニバース)...
10月11日


野生の島のロズ | The Wild Robot (2024)
3.9/5.0 「ヒックとドラゴン」や「シュレック」シリーズを製作してきたドリームワークス・アニメーションが手掛けるSFアニメーション映画で、ピーター・ブラウンによる児童文学「野生のロボット (The Wild Robot)」を原作としている。...
9月14日


アリータ: バトル・エンジェル | Alita: Battle Angel (2018)
3.8/5.0 木城ゆきとによるSF漫画「銃夢」を原作とするサイバーパンクアクション映画で、巨匠ジェームズ・キャメロンが脚本・製作を、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」「シン・シティ」「グラインドハウス」等のアグレッシブなアクション演出で評価が高いロバート・ロドリゲスが監督...
9月1日


ブラック・ミラー シーズン7: 宇宙船カリスター号: インフィニティの中へ | Black Mirror Season 7: USS Callister: Into Infinity (2025)
3.8/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月11日


ブラック・ミラー シーズン7: ユーロジー | Black Mirror Season 7: Eulogy (2025)
4.3/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月11日


ブラック・ミラー シーズン7: おもちゃの一種 | Black Mirror Season 7: Plaything (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月8日


ブラック・ミラー シーズン7: ホテル・レヴェリー | Black Mirror Season 7: Hotel Reverie (2025)
3.9/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月8日


ブラック・ミラー シーズン7: ベット・ノワール | Black Mirror Season 7: Bête Noire (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作...
8月6日



























