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Cinema Review

イヤー・テン | Year10 (2022)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 7月17日
  • 読了時間: 2分

3.3/5.0

イギリス製作のポストアポカリプス映画で、今作が初の長編作品となるベン・グッガーが監督を担っている。


何らかの理由で文明が崩壊して10年が経過し、かろうじて生き残った僅かな人間たちは、極少人数単位でそれぞれ過酷な生活を送っている。

主人公の青年は父とともに生活拠点を離れ食料確保のために探索するが、暴力的な集団と遭遇し… という形で物語が展開する。

主人公とその父と共に暮らしてきた主人公の恋人の命が危ぶまれる状況で、青年は危険な旅に出る。


この映画にはいくつか特徴があるが、最も分かりやすいのは、劇中の登場人物達全員が台詞を一切発しないこと。

その理由についての説明すらないので鑑賞する側が推測するしかなく、聴覚が優れた野生動物達との共存が否応なく求められる環境で、発声する行為が禁忌となったのだろうか… とか、そもそも文明が崩壊した世界において、言語のコミュニケーションは不要になってしまったのだろうか… といった、SF視点の面白さはある。

台詞がないため、登場人物達の名前も分からないし、そもそも役名もない。

あるのは映像・劇伴・そして俳優達の身体演技だけで、未来の話ながらVFXすらほぼ全く使わないというストイックな演出には、珍しさと面白さがある。


ただ、何だか色々惜しいなぁ… と感じてしまった部分もいくつかある。

ひとつは、山間部の雄大なロケーションを舞台にしながらも、スケール感のあるカットや静謐を感じるカットがあまりなく、勿体ないと感じること。

もうひとつは、どの登場人物もリアリティを欠くほど不注意で油断した行動が多く、過酷な環境を生き伸びてきた人間達という設定の説得力が弱いと感じたこと。


とはいえ、多くを語らないことで想像の余白が生まれる設定の斬新さはあるし、キャラクターアークの変遷も描かれていて、個性的なSF (ただし大自然100% / VFXほぼ0%) の佳作として楽しむことができた。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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