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Cinema Review

ブラック・ミラー シーズン7: ユーロジー | Black Mirror Season 7: Eulogy (2025)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 39 分前
  • 読了時間: 2分

4.3/5.0

脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。

イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。


「ユーロジー」は、ひとりの老人と保管されていた写真達を通して描かれる、とある人物の人生の回顧録。

「プライベート・ライアン」や「トゥルーマン・ショー」等に出演してきた名優ポール・ジアマッティが主人公を、「ミッキー17」に出演していたパッツィ・フェランがその対話相手かつ重要な役回りとなる存在を演じている。


かつて共に過ごした恋人の訃報を知った主人公が、ある画期的なサービスを用いてその記憶を辿ることを決意する。

それは、現存する写真の世界へ入り込み、再現された過去世界の中で曖昧だった記憶を思い出すという心の旅だった… という導入は、極めてSF的な仕掛けでありながらクラシックな趣もあってぐっと惹き込まれる。

封印していた記憶が甦ってくるにつれ、主人公の心情と物語が大きく動いていく。


現代社会への皮肉と風刺がベースにあってバッドエンドが多いブラック・ミラーのシリーズの中では、このエピソードはとても異色。

ハッピーエンドとはいえないけれど、人生とは何なのかという重いテーマにまで勇敢に踏み込んでいて、苦みや哀しみだけではない複雑な読後感がある。

成功や幸せな瞬間といったハイライトだけでなく、失敗や後悔といったローライトもあってこそ、人生が立体的になり、そこに意味が生まれるということなのだろう。

ポール・ジアマッティとパッツィ・フェランの名演が、それを静かに語りかけてくる。


静かな感動と余韻が残る、とても素敵なSF中篇だった。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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