ファンタスティック4: ファースト・ステップ | The Fantastic Four: First Steps (2025)
- Shoji Taniguchi

- 8月1日
- 読了時間: 3分
3.8/5.0
マーベル・スタジオが製作・展開するマーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) に属する37作品目の映画で、同タイトルはこれまで何度か20世紀FOXによって実写映画化されてきたが、マーベル・スタジオによって製作されるのは今回が初めて。
ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クインといった豪華なスター俳優達が出演し、MCUドラマ「ワンダヴィジョン」を手掛けたマット・シャクマンが監督を担っている。
マルチバース (並行宇宙) 設定が取り入れられている現在のMCUならではだなと感じたが、今作の主な舞台は地球ではあるものの、これまでのMCUで舞台になってきた地球とは別の世界で、1960年代風のファッションやカルチャーと超未来的な科学技術が同時に存在している。
「アイアンマン (2008)」から現在まで長大な歴史を描いてきたMCUの世界に、マーベルコミックスにおける最古参のヒーローチームであるファンタスティック4の存在が今から入り込む余地などないように思えたが、この設定の活用の仕方は上手いなと感じた。
MCUの世界に既に多数存在する他のキャラクター達やシリーズのこれまでの歴史との整合性を気にすることなく、独立性の高い物語を描くことができるからだ。
実際、今作の物語の展開はとてもシンプルだし、昨今何かと (主にネガティブな) 話題にされがちな「作品鑑賞前に他の作品群を山ほど予習しなければいけない問題」を回避できている。
シルバーサーファーやギャラクタスといった、マーベルコミックスにおける人気キャラクターがヴィランとして登場する脚本やその描かれ方にはケレン味があって楽しかったが、良くも悪くもウェルメイドで優等生的でもあるなぁという印象。
期待通りの面白さや満足感はあったのだけれど、期待を越える興奮があったとまではいえないというか…
画づくりについては、これまでのMCU作品とはひと味違ったポップでビビッドなカラーリングや、懐かしくも新しいガジェットやメカのデザインに原初的な楽しさがあったが、ビシッとクールなアングルで決めて欲しいタイミングで緩くダレたアングルのカットが続いたりで、少しもったいないなと感じるシーンがいくつかあった。
MCU映画シリーズの展開としては、現在MCUで進行しているマルチバースサーガの大型クロスオーバーにして総決算Part1となる「アベンジャーズ: ドゥームズデイ」の公開が2026年12月と近づいてきているが、今作で登場したキャラクター達がどのような形でそこへ参加していくのか、どんな物語が展開するのかが楽しみだ。
期待通りの面白さ、だと長年のファンとしては寂しいので、期待を越えてほしい… できれば大きく越えてほしい。



























