OATS STUDIOS: 密林の悪魔 | Firebase (2017)
3.7/5.0
ニール・ブロムカンプ監督と、彼が立ち上げた「OATS STUDIO」の製作による、実験的SF短篇集の1篇。
起承転結というよりは、核になるSF的着想や世界観設定の部分の具現化に焦点を絞ったスケッチのようなスタイルだが、どの短篇にも監督の独創性の高さと着想の原典を見ることができる。
戦時下のベトナムにおいて、怪奇現象の発生と謎の生命体の出現があり、その攻撃によって壊滅的な被害を受けた米軍はその脅威にどう立ち向かうのか… という物語。
私達が知っている史実とは全く違ったベトナム戦争が描かれるところに、架空戦記のようなif発想の魅力があり、そのリアリティある画にも見どころがある。
ある兵士の回想シーンで一瞬だけ登場する未知の戦闘機や不気味な超巨大戦車の描かれ方には、不条理な悪夢のような禍々しさがあってとても面白い。
主人公の軍人が持っているらしい謎の能力をもって脅威と向き合い反撃する… といったところで幕切れになり、その能力についても想像の余地が残りまくるので、(良い意味で) もっと観せてよ! という読後感が残る。