

夢追いウサギ | Burrow (2020)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 マイホームを手に入れようと頑張るけれどなかなか上手くいかないウサギの物語。 人付き合い (動物付き合い) が苦手で、作り笑顔で他者と距離を置きつつひとりで何でも行おうとするウサギの性分が痛いほど分かる。 誰の心にも多かれ少なかれあるであろうそういった部分の描き方が本当に上手だなと感じる。 また、ウサギが描いたマイホームの設計図が信じられないほどアホ過ぎて可愛く、それが提示される冒頭から笑ってしまいつつ、ぐっと心を掴まれる。 監督のユーモアのセンスが自分だけに特別強く刺さる種類のものなのかも知れないけれど、他にも1箇所すごく笑える短いシーンがあった。 かと思えば、焦るあまりに自分だけでなく他者も巻き込むトラブルを招いてしまったウサギの悲しい表情がとても切なく、涙が出そうになった。 テーマや結末は特別に斬新なものではないかもしれないけれど、短い時間で演出レベルの高さが何度も味わえる秀作。 https://filmarks.com/movies/94715/reviews/2
Jan 31


猫とピットブル | Kitbull (2019)
3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 野良猫とピットブルの闘犬の出会いと転機を描くアニメーション短篇。 猫が暮らす廃材の段ボールの家の近くに、ピットブルが連れてこられる。当初警戒していた猫は、夜になって傷を負い戻ってきたピットブルを見る。 人間側の都合や背景が描かれることはなく想像するしかないというところが、主人公である猫と犬が置かれた状況の疑似体験になっており、演出が上手だなと感じる。 テーマは特別に新しいものではないけれど、犬猫好きの自分としては、必要最小限の枚数で十分魅力的に描かれる猫や犬のいかにもな動きと、2匹がたどり着く結末にとても心を打たれた。 ピクサー製作の長篇アニメーションには素晴らしい作品がたくさんあるが、必要最小限の要素と展開で描かれる短篇の完成度の高さにも驚かされる。 https://filmarks.com/movies/83033/reviews/211675617
Jan 31


誕生日シンドローム | Twenty Something (2021)
3.8/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 21歳の誕生日を迎え、姉に連れられ初めてクラブへ行くことになった女性が主人公。 主人公が感じる不安な心理が、アニメーション表現ならではの手法で描かれており、そのチャーミングなアイデアが面白い。 ひとりの人間だから思考も成熟度も単一ということではなく、様々な自分が内面に存在している。 自分に比べると随分大人に見える他者もひょっとすると同じなのではないか、自分だけが未成熟で場違いな存在だと思う必要はないのかもしれない。 主人公の葛藤と心境変化の描かれ方がとてもスマートで、温かい読後感が残る素敵な短篇だった。 https://filmarks.com/movies/99398/reviews/211675565
Jan 31


心をつむいで | Purl (2018)
3.6/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 金融企業に入社した毛糸玉の女性を主人公にして描かれる、社会と個人の関わり方についての物語。 意気揚々と新しい職場に乗り込む主人公だったが、男性ばかり (しかも全員が同じようなスーツと顔つき) の空気やカルチャーに圧倒され、無理やりにでも自分を合わせていく。 一連のシーンがピクサーらしいユーモラスな演出で描かれていて楽しいけれど、社会人ならば誰でも一度は味わったことがありそうな状況に、心が痛くなる。 本来の人間性や個性を抑圧してまでも組織や社会に溶け込むことが本当に必要なのか? という重めの問いとそれについての製作者からの回答を、15分程度の時間と軽妙な演出を通して鮮やかに提示できているところに、ピクサーという集団のクリエイティビティの高さをあらためて感じた。 https://filmarks.com/movies/87749/reviews/211675526
Jan 31


Ostinato (2023)
https://www.netflix.com/title/81923258 3.1/5.0 曲作りに苦心する音楽家を描くカナダ製作のNETFLIX短篇アニメーション。 音楽用語における「Ostinato (頑固な)」は、一定の短い音型を何度も繰り返すという意味。 楽曲における不協和音 (不安定で緊張感がある音の組み合わせ) を頑なに避けながら作曲をする音楽家が、次第にそれを取り入れることで、予想外にドラマチックな楽曲を形にしていく過程が描かれていく。 特筆すべき演出や展開はなかったけれど、上質で美しい小品だった。 https://filmarks.com/movies/120330/reviews/209284382
Dec 21, 2025


タイムマシン | Time Machine (2019)
3.2/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 過去の出来事と自身の振る舞いを悔いて生きる男と、彼が大切に思っていた者たちを巡る物語。 性暴力を受けた主人公の友人がとった悲劇的な行動を止めるために、タイムマシンを開発して時を遡りたいと願う男。 苦く忘れがたい過去の記憶と、友人が受けた屈辱が描かれる。 監督の作劇の軸として、人間の加虐 / 被虐の残酷さとの向き合いがあるのだろうと感じられる。 物語自体には大きなツイストは見つけられないものの、今作の画づくりには独特なアートディレクションのセンスで惹きつける力を感じる。 スタッフロール後の幻想的なラストシーンも美しい。 ただ、近未来SFな世界観からは物語との実質的な関連や必然性を見つけられず、その描かれ方もやや凡庸で、ちぐはぐな印象を覚えた。 https://filmarks.com/movies/86342/reviews/208222344
Nov 30, 2025


マニブスの種 | manibus seeds (2021)
2.1/5.0 俳優 兼 映画監督の芦原健介による短篇で、新型コロナ禍にあった2021年に製作された作品。 工場で働き質素に暮らす主人公のもとに届いた差出人不明の封筒には、謎の植物の種が入っていて… という導入。 あえてジャンルを定義すればSFホラーということになるのかなと思うが、結末には少し意外性があり、面白かった。 新型コロナ禍という、人類史上体験したことのない規模の環境激変によって起きたコミュニケーションのあり方の変化が、脚本に反映されているように感じる。 ただ、おそらく限定された予算でたくさん工夫して製作されたものであろうと想像はしつつも、種が成長して出現する生物のチープさにはうーんと感じてしまった。VFXがどうこうではなく、単純に演技づけに問題があるような… 主人公を演じる菅野貴夫は寡黙な役を好演していると感じたし、その職場の同僚の女性を演じる小島彩乃の存在感も良かった。 が、俳優達の表情の変化や身体演技で十分に表現 (意図伝達) できるだろうと思える些細な内容まで、その全てを台詞にして喋らせてしまう演出は、やはり気になってしまった。.
Nov 30, 2025


ジョディ | Jodie (2021)
2.4/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 所持者から虐待を受け続け、その度に修理されて所持者のもとへ戻される女性型ロボットと、その修理を行う女性の会話劇を中心に構成されている。 今ではSF映画の金字塔ともいわれる「ブレードランナー (1982)」で描かれていた、生命や個人のアイデンティティの構築または揺らぎといったテーマに、現代的なフェミニズムが重ねられたように見える脚本からは、作家としての軸があると感じる。 ただ、アニメーション作品としての演出全般は退屈で、アングルと構図の作り方、台詞と演技の間、人物達の細かい表情の変化といった部分でハッと驚かされるところが見つけられなかった。 人物達の奥に見えるレトロフューチャーな世界観はとても魅力的だったが、それが単なる書き割りになってしまっていて変化がなく、そこに奥行きが感じられなかったところも残念。 https://filmarks.com/movies/110272/reviews/208217710
Nov 30, 2025


Crevice (2024)
3.0/5.0 2001年生まれの新世代映像作家、福嶋颯太による短篇アニメーション。 原住民の少女と文明社会から来た男の交流と、予期しない展開が描かれる。 未開文明と現代文明の接触、摩擦、そして迎える悲劇の結末というストーリー構成は、手塚治虫氏の短篇漫画作品にも同様構成のものが複数あり、普遍的なテーマ性を感じる。 今作のストーリーからはそれほど驚きがあるといえるところは見つけられないが、ただ美しいアニメーションを観て終わるだけではない展開は面白い。 人物や意匠の造形にも取り立てて個性的と感じるところはなかったけれど、彩色のセンスは独特で、高彩度・多色相の複数色がぶつかるカラーリングのコンビネーションは、なかなか他の作品で観られる種類のものではなく、作家の強い個性が確かに感じられた。 https://filmarks.com/movies/118000/reviews/207551182
Nov 16, 2025


ANIMA (2019)
4.2/5.0 若くして「ブギーナイツ」や「マグノリア」等を手掛け、その後も芸術性の高い作品で高評価を獲得し続けているポール・トーマス・アンダーソン監督と、ロックバンドのレディオヘッドを率いるトム・ヨークが主演と音楽を担う形でコラボレーションして製作された、極めて詩的で実験的なミュージカル短篇。 地下鉄や都市を舞台に、夢と現実の狭間を彷徨う主人公が、電車内で偶然見かけた謎の女性に心を惹かれる。 女性が忘れていった鞄を追う主人公は、やがて超現実的な世界に迷いこんでいく。 明確なストーリーテリングがある映画というよりも、倦怠感に塗れ不安定な世界の描写と、そこに確からしきものを見出そうとするもどかしさのを追体験する映像作品と理解することが正しいように感じる。 完全に統率された集団演技と浮遊感あふれる音楽がシンクロしながら描かれるシーンの数々は、不気味ながらも美しく、素晴らしい完成度の芸術作品として仕上げられている。 観る人を確実に選ぶ種類の極めて先鋭的な作品ではあるものの、実験映像作品としては傑作と評価できるものだと感じる。 自分にとっては美術大学に在
Nov 16, 2025


終末のイヴ | Eve at World’s End (2019)
1.0/5.0 特撮系のテレビ番組や映画で脚本・監督を担う中川和博によるショートフィルム。 中川氏はNETFLIX映画「新幹線大爆破 (2025)」の脚本も担当しているらしい。 人類史上初のタイムトラベルに成功した主人公がたどり着いた未来は荒廃していて…...
Jun 21, 2025


ラブ、デス&ロボット シーズン4 | Love, Death & Robots Season 4 (2025)
3.8/5.0 エッジィな作風で知られる映画監督のティム・ミラーとデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮として携わり、ミラーが設立したブラー・スタジオが製作する、NETFLIX配信のショートアニメーションシリーズ。 どの作品も数分から数十分程度の短篇ながら、それぞれに強烈な世...
May 24, 2025


スター・ウォーズ: テイルズ・オブ・アンダーワールド | Star Wars: Tales of the Underworld (2025)
3.6/5.0 超有名SF「スター・ウォーズ」の短篇アニメーションシリーズ第3弾で、ジョージ・ルーカスの意思を最も忠実に受け継いだシリーズの後継者ともいわれるデイヴ・フィローニが企画・製作を担っている。 主人公はアサージ・ヴェントレスとキャド・ベインの2人で、いずれもデイヴ...
May 17, 2025


火の鳥 羽衣編 | Phoenix: The Feathered Robe (2004)
1.2/5.0 手塚治虫による原作漫画をもとに、手塚プロダクションが製作した短篇アニメーション映画で、一般劇場公開はされていない希少な作品。 原作となる短篇漫画の、舞台で演じられる芝居を客席から見るような特殊なコマ割り (アングルが終始固定されている)...
May 4, 2025


ジャックは一体何をした? | What Did Jack Do? (2017)
3.7/5.0 惜しまれながらも2025年1月に逝去した「カルトの帝王」ことデヴィッド・リンチによるモノクロ短篇。 ほとんどのシーンがリンチ自身が演じる刑事とその刑事に尋問されるジャックという猿の会話で構成されており、17分程度の短篇ながら、奇妙で不条理なリンチワールドを体...
Apr 12, 2025




























