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火の鳥 羽衣編 | Phoenix: The Feathered Robe (2004)
- Shoji Taniguchi
- 8 時間前
- 読了時間: 2分
1.2/5.0
手塚治虫による原作漫画をもとに、手塚プロダクションが製作した短篇アニメーション映画で、一般劇場公開はされていない希少な作品。
原作となる短篇漫画の、舞台で演じられる芝居を客席から見るような特殊なコマ割り (アングルが終始固定されている) と、日本で古くから伝わる「羽衣伝説」をモチーフにしながらSF的な解釈とストーリーテリングが行われる物語に衝撃を受けた自分としては、その原作がどのようにアニメーションとして再構成されるのかすごく期待したのだが、アングルも脚本も大幅に改変されていて、原作のオリジナリティを活かしているようには思えず、残念だった。
加えて、全般的な演出もどこかおざなりかつ淡白で余韻がなく、その世界観に没入できない。
手塚治虫本人は逝去されているとはいえ、その遺志を最も正しく継いでいるはずの手塚プロダクションが手掛けていてなぜこんな仕上がりに? というガッカリな読後感。
手塚氏とその原作漫画が偉大過ぎることに理由があるのかもしれないが、今作に限らず「火の鳥」のアニメーション作品は多かれ少なかれ同様に、原作がもつ神々しいまでの素晴らしさを正しく昇華できていないように感じる。
人知を超越した「火の鳥」を巡って無益な争いを繰り返したり、「火の鳥」と対峙しながらもその超然とした振る舞いに翻弄されて破滅する原作の登場キャラクター達と同じように、手塚治虫氏以外の人物には決して物にすることができない孤高の作品なのかも知れない。