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Cinema Review

ヴェノム: ザ・ラストダンス | Venom: The Last Dance (2024)



2.0/5.0

MARVEL COMICSの人気キャラクター「ヴェノム」を主人公とする、SONY配給のSSU (Sony's Spider-Man Universe) に属する映画シリーズの3作目にして完結篇で、Disneyが展開するMCU (Marvel Cinematic Universe) との関連性はありそうでなさそうという微妙な立ち位置にある作品。

脚本と監督を担ったのはケリー・マーセルで、主演のトム・ハーディとの親交が長く、シリーズの1作目と2作目の脚本や製作にも携わってきて、今作が監督デビューとのこと。


人間等に寄生し共生する能力を持つ地球外生物と寄生された主人公の、文字通り一心同体的なバディムービーだが、残虐な寄生生物の性質が引き起こすハチャメチャなトラブルやアクションが見どころではある。

ただ、3作目ともなってくると新鮮味がそれほど感じられず、主人公と寄生生物の会話劇中心のコメディパートにもあまりキレがなく、画のド派手さがあってもなかなか没入できず、退屈してしまった。


脚本や登場人物の設定については、どうにもフォローできないレベルの粗さがある。

おおらかだった2000年代のSFアクションを思い出させるともいえるが、もう少し何とかならなかったのだろうか… という気持ちになってしまった。

様々な人物が登場し、そのバックストーリーについて印象的に描写される人物もいながら、そのあたりの設定がほとんど物語の展開に活かされていなかったり、主人公以外の寄生生物も終盤でたくさん登場しながら、それらの扱いがことごとく雑だったり…


何より、SSUとMCUの間に複雑なビジネス事情が存在することは (MARVELのファンなので) 映画外の情報として知っていつつも、MCUでけっこう重要な役柄を演じた俳優 (キウェテル・イジョフォーやリス・エヴァンス) がSSUに属する今作で全く別の役にて登場していながらそのあたりが本来の物語と全く関係なかったり、かつその行動原理がほとんど理解不能だったりで、何だこれはと呆れてしまった。

マーケティングの観点から、SSUとMCUの関連性想起 (いわゆる匂わせ) 目的でキャスティングとキャラクターの用意がされたのだとしたら、MARVELの映画をずっと追ってきたファン達を小馬鹿にしているとも言えるし、ファンのひとりとして愉快ではない。


作品を鑑賞して感想を述べるだけの気楽な立場からは見ることができない、映画産業という巨大なビジネスならではの事情が様々あるのだろうとは思いながら… いち鑑賞者の自分としてはただシンプルに映画やドラマそのものを楽しみたいだけなので、ビジネスの裏側が表出してしまっているような歪な作品に直面することは、とても残念。

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Shoji Taniguchi profile photo

Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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