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Cinema Review

スター・ウォーズ: スケルトン・クルー | Skeleton Crew (2024)


3.7/5.0

MARVELの「スパイダーマン」ホームシリーズ3部作を大成功に導いた監督・脚本家のジョン・ワッツがショーランナーを担うスター・ウォーズのドラマシリーズ。

これまでの映画やドラマシリーズでは主要なキャラクターのほとんどが大人だったが、このドラマシリーズは4人の少年少女が中心人物で、いわゆるジュヴナイル (少年少女の冒険もの) なSFアドベンチャーになっている。


映画シリーズを中心に描かれた帝国と共和国 (反乱同盟) の戦争が終結した時代の物語で、スター・ウォーズといえばでお馴染みのジェダイやシスといったヒーロー / ダークヒーローはほぼ登場しないが、スター・ウォーズの世界観設定に準拠しつつ過去シリーズの焼き直しではない新鮮な物語が展開されていて、シリーズのファンとしてはこんな作り方もあったのかと驚かされ、嬉しく感じた。

製作者達が公言している通り、誰がどう観ても「E.T. (1982)」や「グーニーズ (1985)」といった80年代のアドベンチャー映画が参照されていることが明快ながら、その表層部分の剽窃ではなく、冒険のスリルや興奮といったエッセンシャルな部分が正しく受け継がれ、それらがスター・ウォーズの世界観の中で輝いている。


4人の少年少女のキャラクターはいずれも魅力的だが、特に印象的だったのは子役のキリアナ・クラッターが演じた「KB」で、今作の続篇があればもちろんのこと、スター・ウォーズの他シリーズでも登場が期待される人気のキャラクターになりそうと感じた。

善人か悪人かを判断することが難しい、絶妙に信用ならない人物を演じたジュード・ロウの複雑な演技も素晴らしく、粗暴だが頼りになるアンドロイドの声優として出演しているニック・フロストの演技もすごく楽しい。

ニック・フロストが演じたアンドロイドは全篇を通してキャラクターが立っていて面白かったが、特に声の演技でめちゃくちゃ笑えるシーンが数か所あり、さすがはニック・フロスト、声だけでもすごい存在感だと感じた。


スター・ウォーズシリーズもまたMARVEL (MCU) と同じくファンの期待に応えながら作品世界が拡張し続ける一方で、品質低下や粗製乱造といったことも言われており、ファンのひとりとしては複雑な心境。

ただ、今作のように作品のコンセプトがしっかりあり、独自の世界観の構築もあり、完結感・納得感のある脚本が練られた作品であれば、製作される価値も鑑賞する価値も大いにあると感じる。

シーズン2が製作されるかどうかはさておき、このシーズン1の全8話は、起承転結がきちんと描かれた単独の物語として上質にまとまっている。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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