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Cinema Review

バーバラと心の巨人 | I Kill Giants (2017)


3.9/5.0

グラフィックノベルを原作とするファンタジー映画で、イラストレーターとしてのキャリアを持つアンダース・ウォルターが監督を担っていることもあり、全篇を通して色彩や構図の設計にセンスを感じる作品。


独自に構築した空想世界の設定に入り込み、現実世界との折り合いをつけられない主人公が、どのようにその状況と向き合って成長していくのかが描かれる。

主人公の境遇を慮って手を差し伸べる者もいれば、異物として排除しようとする者もいて、ファンタジーとリアルな世界が目まぐるしく入れ替わる。

子どもの頃に現実逃避の手段として小説や映画の世界へ没頭していた自分は、主人公の境遇や葛藤に強く共感できながら、懐かしくも辛い記憶が思い出されてしまった。


主人公が粛々と準備しながらいつか対峙しなければいけないと語り続ける巨人とは一体何なのか?

主人公が目を向け続ける空想の世界の物語が進展する一方で、目を逸らし続ける現実の世界では何が起きているのか?

終盤でそれらが全て提示され、ファンタジーとリアルの2つの世界を俯瞰した物語が分かる。

子どもにとってはこれ以上辛いことはないといえるほど過酷な現実との向き合いと、空想世界との訣別の演出が、悲壮ながら美しい。


派手な画づくりやダイナミックなスペクタクルがある作品ではなく、小さな街に暮らす少女の成長物語といったスケールではあるが、明確なテーマがあり結末までしっかり描き切る脚本と空想世界の美しさもあり、とても上質な作品にまとまっていると感じた。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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Kazari
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