エミリー・ザ・クリミナル | Emily the Criminal (2022)
- Shoji Taniguchi
- 2月8日
- 読了時間: 2分
3.7/5.0
「アガサ・オール・アロング」の魔女役で鮮烈な印象を残したオーブリー・プラザが主演し、今作が長編デビューとなるジョン・パットン・フォードが脚本・監督を担う犯罪スリラー映画。
過去の犯罪歴があることから自身が望む職につけず非正規社員として働きながら借金をほそぼそ返済する生活を送る主人公が、いわゆる闇バイト (カード詐欺) を紹介され、少しずつ犯罪に手を染めていくという物語。
最初は軽い気持ちで… という、この手の話でよく聞かれる犯罪者側の心理が主人公を通して克明に描かれており、感情移入は難しいながらも、主人公が置かれている辛い境遇のリアリティもあって惹き込まれる。
劇中で描かれる犯罪のスケールは少しずつ大きくなっていくものの、絵空事のような規模までエスカレートすることはなく、フィクションながらも生々しく非情な展開が続く。
オーブリー・プラザならではともいえる意思を宿した眼の主人公の強さと、自身の行動と状況に恐怖し動揺する弱さの揺らぎの演技がとてもハイレベルで、一流俳優の力とはすごいものだなとあらためて驚いた。
終劇は意外な展開だったが、この主人公ならばそういう結末もふさわしいかも知れないと感じるものだった。
予算たっぷりでド派手なアクションやカメラワークがあるような作品ではないが、今作のように地に足のついた (我々の実生活の延長線上にあるような)世界観のスリラー映画も面白い。