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Cinema Review

ミッキー17 | Mickey 17 (2025)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 5月17日
  • 読了時間: 3分


3.8/5.0

エドワード・アシュトンによる小説「ミッキー7」を原作に、「パラサイト 半地下の家族」でアカデミー賞を受賞したポン・ジュノが脚本・監督を担ったSF映画。

映画製作会社「プランB」を率いるブラッド・ピットが製作総指揮に名を連ねており、「テネット」や「THE BATMAN -ザ・バットマン-」等の大作映画に出演し活躍するロバート・パティンソンが主人公を演じている。


人体複製技術が確立され宇宙開拓が活発化する未来において、不遇な環境にある主人公が、そこからの脱却のためにある契約を交わし、危険な任務へ志願する。

ただその契約内容には「エクスペンダブル (使い捨て)」と書いてあり… という導入が面白く、SF映画らしいワクワクがある。

これまでハンサムでスマートな役柄が多かったロバート・パティンソンが演じる主人公の、救いようがないほどのアホさがとても新鮮。

こんな役まで演じられるなんて、一流俳優の能力はやはりとんでもないな… という驚きがある。


主人公以外の出演者達も豪華で、ナオミ・アッキー、マーク・ラファロ、トニ・コレット、スティーヴン・ユァンといった俳優達が、それぞれ強い個性を持つキャラクターを演じている。

独裁的かつ俗物的な権力者役のマーク・ラファロの演技は特にクセが強く、その大仰さがやや気になる部分もあるけれど、SFの世界観で繰り広げられるブラックコメディとしては正解なのだろう。

スティーヴン・ユァンの (もちろん演技としての) 飄々としていて軽薄なキャラクターづくりも素晴らしい。


今作の物語とテーマにも、これまでのポン・ジュノ監督作品と同様に、ブラックな世界観の中に普遍的な社会問題への批評が鋭く盛り込まれている。

ハリウッド大作映画の風格がありながらも、ものすごく重要なシーンでえげつない下ネタが展開の鍵になるといった (韓国らしい) 悪趣味なギャグも光っている。

そして間抜けなシーンで笑うという行為の後に、「笑う側にいることが正しいのだろうか」と内省を促すような構造になっているところが、やはりひと味違うなと感じる。


ポン・ジュノ監督の作品には、監督の母国である韓国で製作されていた初期の頃からハリウッドに進出して以降まで、常に何かオリジナルな魅力がある。

今作は「パラサイト 半地下の家族」での快挙後に初めて製作・公開された作品ということもあって世間や評論家からの事前の期待が大き過ぎたのか、一般的な評価が高くないようだけれど、単独のSF映画として観ればとても面白い作品としてまとまっていると感じる。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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