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Cinema Review

迷宮物語 | Manie-Manie (1987)



4.4/5.0

日本を代表するアニメーション作家といっても過言ではないであろう、りんたろう・川尻善昭・大友克洋が監督を担ったオムニバス形式のアニメ映画で、遠い昔に観賞したおぼろげな記憶があったが、あらためてしっかり観賞した。


20世紀後半、特に1970〜90年代における日本のアニメーション製作の技術の高さは突出していたといわれるけれど、1984〜85年にかけて製作されたこの映画は、作画・構成・演出が究極的ともいえるレベルで作品として結実している。


ヌルヌル動くとか神作画などの安っぽい言葉に基づいた評価基準が溢れている昨今のアニメーション業界が製作している作品達とはまた全然違って、作画枚数や描き込みよりも重要な "何をどのように見せてどんな感情を鑑賞者に抱いてもらうか" といった創作者達の根源的な挑戦が、作品の中に存在している。


オムニバス形式の3篇いずれも、その世界に思わず没入してしまうほどのアニメーション表現の強さがあり、描かれていない余白の部分も含めた想像が広がって、それこそ果てが見えない迷宮に踏み込んでしまったような、楽しくも不安で落ち着かない映画体験ができる。

ただそこには万人受けするような分かりやすさや明快さはほとんどなく、かなりダークでビターなので、作風との相性が良くないと感じてしまう人も多いだろうなとも感じる。

作品は完成したものの、マニアック過ぎてヒットしないだろうという経営的な判断でいったんお蔵入りして長く寝かされることになったという当時のエピソードにも納得してしまう。


個人的にはやはり、この作品が完成したほぼ直後に長編アニメーション「AKIRA」を製作することになる大友克洋監督が手掛けた3篇めの「工事中止命令」が最も面白かった。

人工物や重機械で構築されながら自然に侵食され退廃したSFな世界観や、シリアスとユーモアの奇妙な同居感といった大友監督独特の演出はもとより、キャラクターのセリフ回しやその声優の抑揚のつけかたといった細かい演出にまで「AKIRA」と共通する部分をたくさん発見でき、「AKIRA」のプロトタイプ的な見方で楽しむこともできる。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ