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Cinema Review

アニアーラ | Aniara (2018)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 4月30日
  • 読了時間: 2分


3.5/5.0

ノーベル文学賞作家ハリー・マーティンソンによる叙事詩「アニアーラ」を原作とするスウェーデン製作のSF映画。

回復不可能なほど環境が破壊された地球から火星への移住を目指し飛び立った巨大な宇宙船、アニアーラ号とその乗組員および乗客達の物語。


作品のジャンルで区分すればSF映画だが、この作品はそのSFの中でも極北といっていいほどテーマと物語が重く、暗い。

映画が始まって早々に主人公たちが乗る宇宙船が事故で燃料を失い、目的地への軌道からも大きく外れ、二度と安住の地へ辿り着くことはないという絶望的な状況が明らかになるからだ。

むしろこの映画は、絶望しか残存していない世界にあって、人間は何にどういった希望を見いだせるのか、あるいは見いだせず破滅していくのか、という究極的な問がテーマになっている。

この映画が製作されたのは2018年ながら、人間達が残酷過ぎる現実と向き合うことを放棄しAIによる癒やしに依存するというシーンがあり、AIが加速度的に進化・台頭してきたここ数年が鋭く予見されていたようにも感じる。


物語の起伏はほとんどなく、ひたすらに絶望だけが描かれ続けるという特殊な作品なので、明快な起承転結やハッピーエンドを望む人には絶対におすすめできないが、人間や文明社会の限界についての思考実験のような映画体験に興味がある人にとっては、一見の価値がある作品かもしれない。

ただ、ただ、よくもここまで… と驚くほどに暗く、一切の救いがないので、元気がない時は鑑賞しない方がいい。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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Kazari
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