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Cinema Review

動物界 | Le règne animal / The Animal Kingdom (2023)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 4月26日
  • 読了時間: 2分


4.0/5.0

フランス発のSFスリラー映画で、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品に選出されたり、フランス国内では観客動員が100万人を超える大ヒットを記録した作品。


ほぼ現代と変わらないぐらいの近未来、人間が様々な動物へと突然変異するという原因特定不明の奇病が蔓延した世界を舞台にしながら、国家や全世界規模での混乱や恐怖をパニックムービーとして描くのではなく、フランスの田舎に慎ましく暮らすひとつの家族とその周辺の人々の物語を描くことにフォーカスがあてられている。

そして、そのミニマルなスタイルとマクロな世界観設定のかけ合わせがこの作品の個性になっている。

全世界規模の戦争が発生しながら主人公とその家族周辺だけで全篇が作劇されていたスピルバーグ版の「宇宙戦争」に近いスタイル。


奇病の発端やその原因等については本篇内でほとんど語られず、究明されることもない。

病気が蔓延した状況が元通りに戻ることがこの作品の脚本のゴールではないからだ。

奇病とは何か (何を寓意しているのか) とあえて言語化するならば、それは移民問題や人種差別問題、そしてそれらによって分断され続けている現代社会のメタファーなのだろう。


息子・父・母の3者がそれぞれに向けて一生懸命に示す愛の形が、儚く痛ましくそしてとても美しく、胸に突き刺さる。

特に主人公の父役を演じたフランス人俳優のロマン・デュリスの名演には心を打たれた。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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Kazari
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