悪魔と夜ふかし | Late Night with the Devil (2023)
- Shoji Taniguchi
- 2月8日
- 読了時間: 2分
4.0/5.0
いわゆるファウンド・フッテージスタイルのオーストラリア映画で、同国出身のキャメロン & コリン・ケアンズ兄弟が脚本・監督を担った作品。
「アントマン」シリーズや「ザ・スーサイド・スクワッド "極" 悪党、集結」等のビッグバジェット映画で脇役ながらも強烈な存在感を放ってきたデヴィッド・ダストマルチャンが主人公を演じている。
1970年代後半、米国にて深夜に放送されていたという生放送のトークバラエティ番組の実際の放送とその舞台裏の記録映像が発掘されたというテイが面白く、当時のテレビ番組の視覚的+音響的な再現はもちろん、その時代特有の空気感の再現レベルまでがとても高く、映画の導入部分から惹き込まれる。
カメラの前では軽妙な語り口の主人公が、自身の成功のために何を犠牲にしてきてしまったのかが少しずつ見えてくる脚本がとても巧み。
ライバル番組との視聴率競争に勝ちたいあまり、番組内容がどんどん過激になっていくが、その行き着く果てには… といった、マスコミカルチャーへの風刺要素もある。
今やホラージャンルのひとつとして確立されたファウンド・フッテージものだが、製作者によってその完成度にムラがあり、作品によっては結局何を語りたかったのか良く分からないだけでなく、何が映っていたのかすら分かりにくいものも少なからずある。
が、この作品にはそういったモヤモヤな読後感はなく、テレビ番組として放送された映像という設定ということもあって、観たい (怖いけれど知りたい) と感じていたものがハッキリと観られて、かつその演出のセンスもハイレベルで、ゾッとする瞬間が何度もある。
巨匠スティーヴン・キングが絶賛することにも納得できる、とても面白いホラー映画だった。
インディーズ育ちのケアンズ兄弟は低予算のホラー映画が得意ジャンルとのことで、次回作も楽しみだ。