コード・エイト | Code 8 (2019)
3.6/5.0
あまり観たことがなかったカナダのSF映画なので、期待と不安半分ずつで鑑賞した。ハリウッド映画のような景気のいい爆発やスペクタクルはほとんどなかったが、世界観や脚本、登場人物達の背景がしっかり実直に作られていて最後まで面白く観ることができた。
特殊能力を持って生まれた人々とそうではない人々の共生または諍いをテーマに据えた物語といえば、多くの映画好きはX-MENを思い浮かべるだろうけれど、初期のX-MENシリーズでは描かれていたが最近の同シリーズはド派手な演出方面に重きを置きぎみで影が薄くなってきているその根源的なテーマが、このカナダ発のSF映画には静かに宿っているように感じた。
主人公や周辺の登場人物が虐げられたり疎まれたりしている点はX-MENと同様だが、この作品は決して正義のヒーロー的なステレオタイプの描き方になっておらず、むしろ犯罪に手を染める集団として描かれているところが少し画期的で、その視点が面白い。
映像のトーンも含めてカラッと明るい映画では決してないので好みは分かれそうだけれど、ほとんど晴れ間が見えないその渋い空気感が物語にマッチしているところも含めて、個人的には好ましく感じたSFだった。
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