トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 | Twilight of the Warriors: Walled In (2024)
- Shoji Taniguchi

- 9月6日
- 読了時間: 2分
4.0/5.0
かつて香港に実在した巨大なスラム街「九龍城砦 (九龍城寨)」を舞台とするアクション映画で、香港映画史上最大の観客動員数を記録した大作。
余兒 (Yuyi) による小説「九龍城寨」を原作に、香港映画界で高い評価を得ているソイ・チェンが監督を担っている。
香港の若きアクション俳優達が多数出演しているが、ジャッキー・チェンの盟友でもあるサモ・ハン (サモ・ハン・キンポー) も重要な役柄で出演。
1980年代、当時まだ存在していた九龍城砦は、英国・中国のどちらにも属さず法の力も及ばない無法地帯だった。
香港へ密入国した主人公の青年は、裏社会の掟に逆らってしまい、その抗争に巻き込まれながらも、九龍城砦で出会った人々との絆を深めていく。
ただ、無法地帯での安息の日々は束の間に終わり、主人公とその仲間達は命がけの闘いに挑むことになる。
何といってもこの作品の見どころは、アクション演出のレベルの高さ。
かつてジャッキー・チェンやジェット・リー、ドニー・イェン等の超人的なアクションスターが主演する香港アクション映画にあった驚きと興奮、そして情熱が、この作品にも溢れるほど詰まっている。
アクション監督を務めた谷垣健治の貢献はもちろん、ただアクションが美しく激しいだけでなく登場人物達の感情が (やや分かりやす過ぎるほどに) 見える演出として形になっていることには、劇伴を担当した川井憲次の貢献もとても大きいのではないか。
アクションだけでなく、舞台美術もまた素晴らしい。
九龍城砦や軍艦島といった文化遺産にロマンを感じる自分としては、今は自分の目で見ることが叶わない九龍城砦とそこで暮らした人々の姿が、その息遣いやにおいまで伝わってくるようなレベルの作り込みで隅々まで描かれていることに感動した。
当時の実際の風景よりも多少の画的な脚色はされているとは思うけれど、それでも、この映画が作りあげた風景の価値は変わらない。
終盤にいたるにつれ人物達の設定や特技に関する「そんな馬鹿な!」の度合いが高まり続けるが、画の迫力と説得力が終劇まで謎に継続するのは、やはりCGに頼らず俳優やスタントによる身体演技をベースとした画づくりがあるからなのだろう。
今作は香港のみならず世界中で高い評価を受けたこともあり、前日譚や後日譚といった続篇が製作される予定とのことで、楽しみに待ちたい。



























