野生の島のロズ | The Wild Robot (2024)
- Shoji Taniguchi
- 11 時間前
- 読了時間: 2分
3.9/5.0
「ヒックとドラゴン」や「シュレック」シリーズを製作してきたドリームワークス・アニメーションが手掛けるSFアニメーション映画で、ピーター・ブラウンによる児童文学「野生のロボット (The Wild Robot)」を原作としている。
脚本・監督は、「ヒックとドラゴン」シリーズをはじめ多くのアニメーション映画に携わってきたクリス・サンダース。
主人公のロボットの声を演じるルピタ・ニョンゴをはじめ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、ビル・ナイ、ヴィング・レイムス、マーク・ハミルといった一流俳優達が声優として起用されている。
人間の生活をアシストするために製造されたロボットが、その輸送中の事故により、無人島に漂着してしまう。
起動したロボットのロッザム7134 (ロズ) は、島に生息する野生動物達を自分が仕える主人と勘違いするが… という導入が、チャーミングで微笑ましい。
主人公と多種多様な動物達のキャラクターを自然に紹介しながら展開する脚本も巧み。
何者かに仕えることを機械的にプログラムされていた主人公のロボットだが、自身が起こしてしまったアクシデントや動物達との交流をきっかけに、どんな行動を取るべきなのかを自律的に思考していくようになる。
動物達はやがて来る冬を越えるための準備に入り、主人公が母親代わりとなって育ててきた雁も、渡りへと旅立つ。
児童文学を原作としていることもあり、衝撃的な展開があるわけではないが、脚本の運びがとても丁寧で、アートディレクションや演出も上質で、自然と物語に惹き込まれる。
映像の美しさに目を奪われがちだが、ルピタ・ニョンゴをはじめとする俳優達の声の演技の素晴らしさが、高い演出レベルの要になっているように感じる。
無人島の動物達と主人公に終盤で訪れる危機と、結束してそれに立ち向かう主人公達の描き方には、事前に想像していた以上に感動させられてしまった。
全篇を通して子どもが鑑賞することを前提とした安心・丁寧な作りにはなっているけれど、大人の鑑賞にも十分に耐え得る、とても良質なアニメーション作品だった。