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Cinema Review

ターミネーター4 | Terminator Salvation (2009)



3.6/5.0

有名過ぎるほど有名なSF映画シリーズの4作目で、「チャーリーズ・エンジェル」や「アグリーズ」を手掛けたマックGが監督を担っている。


「ターミネーター」シリーズは2024年現在まで計6作の映画が製作されているが、その創造主ともいえるジェームズ・キャメロンが監督を担った1作目と2作目の完成度があまりにも高いことから次回作へのファンの期待も大きくなり、新作が公開される度にネガティブな評価の方が目立ってしまうという、製作者達にとって挑戦の難易度が限りなく高いシリーズになっている。

自分自身もそのファンのひとりなので新作が公開される度に必ず観ていて、この4作目もやはり1作目・2作目と同じレベルの完成度には届いていないと感じながら、不思議と何度も観直してしまう魅力がある。


未来において高度な知能を得たマシンが反乱を起こし人類との全面戦争が勃発するという設定は、1作目が公開された1984年当時は新鮮だったし、AI技術が加速度的に進化している現在を予見していたテーマともいえる。

また、未来世界のセットを製作したり精密なマシンをたくさん動かす予算がなかったことからの逆転の発想から生まれた、人間に擬態したマシンが1体だけ現代に送り込まれてくるという1作目の設定は、制約をアイデアの跳躍に変えることにおいて類まれなる才能を持っていたジェームズ・キャメロンならではのものだった。


4作目の今作では、シリーズを通してはじめて、未来世界での戦争が全面的に描かれている。

ポストアポカリプスな世界の完全構築が簡単ではなかったことは明らかで、意地悪な視点で観れば突っ込みどころがないわけではないけれども、個人的には面白いと感じるモチーフやカットやアングルがたくさんあって、製作者達の挑戦心とセンス・オブ・ワンダーを感じることができた。

過去作品へのオマージュも主張し過ぎないバランスで物語に組み込まれていて、シリーズをずっと観てきたファンの自分には嬉しかった。


シリーズを通したキーパーソンとなるレジスタンスの部隊長のジョン・コナーと、マシンとの全面戦争よりも前の時代で重要な存在となるカイル・リースが物語の軸になってはいるが、今作品ではもう一人、一切の記憶を失って未来世界に目覚めた謎の男マーカス・ライトの存在が物語の展開を牽引する役目を担っている。

ジョンを演じたクリスチャン・ベールの迫真の演技はもちろん、マーカスを演じたサム・ワーシントンの俳優としての力量を感じることができる。

(サム・ワーシントンの絶叫演技がすごく個性的で個人的に好きなのだ)

脚本構成の完成度が高いとは言えないかも知れないが、冒頭の導入部分から終劇まで伏線やツイストがしっかり効いていて、娯楽作品としては十分に面白いレベルになっていると感じる。


カイル・リースを演じたアントン・イェルチンもまたサム・ワーシントンと同じぐらい魅力的で大好きな俳優だったが、2016年に不慮の事故で若くしてこの世を去ってしまったことが、とても悲しい。

たくさんの映画作品の中でこれからも生き続ける彼を、折に触れて観直していきたい。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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