マイ・オールド・アス 〜2人のワタシ~ | My Old Ass (2024)
3.6/5.0
カナダ出身の俳優でもあり映画監督でもあるミーガン・パークによるドラマ映画で、「アガサ・オール・アロング」で鮮烈な印象を残したオーブリー・プラザが出演していると知り鑑賞した。
主演のメイジー・ステラもカナダ出身で、これからスターとして輝いていきそうなオーラがある。
18歳の主人公が友人達とマジックマッシュルームでトリップすると、未来に生きる39歳の自分自身が目の前に現れ、幻覚だろうと思ったがそうではなく、今後の人生についての忠告を受ける… という導入が面白い。
未来の自分から過去の自分への警告というフォーマットはSF物語の基本型のひとつでもあるが、今作はタイムスリップ等のSF要素はほとんどなく、現代で暮らす18歳の主人公がこの先どういった決断をしていくかに物語の焦点があたる。
自分が正しいと信じる道を選択することで、未来における悲劇の発生が確定すると知った時、その選択を本当にすべきなのか? といった問が物語の大きなテーマで、オーブリーが演じる未来側の主人公の、明るく振る舞いながらも影が落ちるシーンがとても印象的。
その問に対して現代における18歳の主人公が自身の進む道を逡巡しながら決断する流れがとても青春で、その主人公の良き理解者である友人達や家族の存在もあたたかい。
未来の39歳の主人公がどんな世界に生きているのかについて、僅かなヒントはありつつほぼ描かれなかった点がやや消化不良に感じたが、現代の主人公及びその周辺人物の物語に焦点を絞って描き切るという意味では、90分弱という比較的短い時間でコンパクトな物語にまとまっていて良かった。