

Search Result
293 results found with an empty search
- ロングレッグス | Longlegs (2024)
3.8/5.0 ホラー映画界の新鋭とも評されるオズグッド (オズ)・パーキンスが脚本・監督を担い、米国にて記録的なヒットとなったホラー映画。 「神は銃弾」等に出演し、スポーツ選手としても活躍するマイカ・モンローが主人公のFBI捜査官を、名優であり怪優であるといってもいいであろうニコラス・ケイジが、タイトルにもなっている謎のシリアルキラー、ロングレッグス役を演じている。 舞台は1990年代の米国、未解決連続殺人事件の捜査任務についた主人公が、暗号を用いて記された「ロングレッグス」という署名入りの手紙をはじめとする謎だらけの手がかりをもとに、事件の真相に迫っていく… という筋書き。 主人公には霊感もしくは直感ともいえる超能力が備わっており、それを活かしながら事件の真相に近づく行為が、主人公自身も気づかなかった自身の過去と向き合っていく行為になっていく。 物語とは直接には関連しないが、動よりは静をベースに構築されている様々なカットのアングルやアートディレクションが見事で、その美しさと残虐な脚本展開のギャップをとても新鮮に感じた。 個人的には、かつて夢中になって楽しんだドラマ「ツイン・ピークス」が思い出されるような映像の質感と、奇妙な謎と、モチーフ達。 俳優達の演技も、映像のトーンと同じく抑制的でありながらレベルが高い。 シリアルキラーとして登場するニコラス・ケイジの存在感は、私のようなニコラス・ケイジ大好きの映画ファンには期待通りもしくはそれ以上。 そうでもない鑑賞者にとってもきっと充分なレベルで、この世のものとは思えない異物を目にする恐怖を感じることができる。 真相を書いてしまうと未鑑賞者の興を削ぐことになるので避けつつ、脚本上のツイストや伏線がしっかりあり結末にもモヤモヤするところは少ないのだけれど、今作のモチーフやテーマは日本人の宗教観や民族文化と少し遠いところにあり、日本では米国在住の人達と同じレベルでの恐怖を覚える人は多くないかも知れないと感じた。 「この10年で最も怖い映画」といった世間の評価もあると知りつつ、個人的にはそこまで恐怖度が高いとは感じられなかったが、上質な作品であることは間違いがない。 https://filmarks.com/movies/116103/reviews/202573229
- ミッション: インポッシブル / デッドレコニング | Mission: Impossible - Dead Reckoning (2023)
3.9/5.0 トム・クルーズのライフワークとも言える超有名シリーズで、ボディダブルやVFXを極力使わず俳優本人の身体演技や画のリアリティに極限までこだわりながら作られた様々なアクションシーンの凄みは唯一無二、他の追随を許さないといえるレベルで、流石としか言いようがない。 ただ、シリーズを重ねるごとに私たち鑑賞者や批評家のこのシリーズへの期待がどんどん高くなっているように思い、また目玉になるシーンのかなりの内容を予告篇で見せてしまっていることもあって、初鑑賞時の度肝を抜かれるような映画体験はあまり得られなかったところが残念だった。 これだけの超大作を制作するには当然ながら巨額の予算や長大な期間がかかるものだから、予告篇にて期待を最大まで高めることで興収を最大化する必要があることはもちろん分かりながら… シリーズ第1作目からの大ファンのひとりでありながら、クリストファー・マカリーが監督を担当するようになってからの脚本には少しだけ不満がある。 要所でのアクションの見せ場のイメージが先にあって、その前後のつなぎの脚本は撮影直前まで完全には固まっておらず、マクガフィンを軸にギリギリのところで接続するような形で制作するスタイルを取り入れていると知って、うーんなるほどだから劇を横断する伏線的な脚本にはなかなかならないのかと腑に落ちた。 自分自身は脚本に伏線がなければ良い映画にはならないという極端なスタンスではないけれど、ほぼアクションと画の力だけで映画を成立させるというのはなかなかな力業だなと感じ、脚本の巧みさと比類なきアクションのどちらも揃っていれば最高なんだけれどなぁ… と感じてしまう。 これだけのレベルのアクションを観せてもらいながら、そんな贅沢を求めてしまう鑑賞者や批評家がいる (しかも世界中に) ことも、また制作者たちにとってはプレッシャーになってしまうのだろうとも思いながら、次回はシリーズフィナーレということで、やはりいちファンとして期待したい。 https://filmarks.com/movies/86239/reviews/162876651
- Two (2021)
2.7/5.0 スペイン製作のNETFLIX映画で、約70分でコンパクトにまとまったサスペンス中篇。 面識のない男女がベッドで目覚めると、お互いの腹部が何者かによって縫合されており、両者ともなぜ自分達がそこにいるのか、誰に連れてこられたのか、なぜそんな状況に置かれたのかが分からないという導入。 目覚めると謎の状況に… といった物語の始まり方はサスペンスジャンルの定石でありながら、男女が物理的に離れることができないという制限の中で試行錯誤する演出は面白い。 映画のタイトルでもある「2」が物語のキーとなり、2人の過去や真実が次第に明らかになってくる展開にも面白さはあるが、真犯人の描写やその動機の説得力の部分で急にガクッと映画のレベルが下がり、もしかしてこれは真顔でボケる様式のギャグなのかと疑ってしまうところがあった。 サスペンス映画らしいミスリードのような仕掛けもなくはないものの、それもあまり上手くいっておらず、消化不良感が残る。 結末まで観ると、どうやらギャグではなく極めて真面目なスタイルだったことが分かって、予想外といえば予想外… エンドロール直前の印象的な終劇演出も含め、高尚かつ哲学的でアートな読後感を感じさせたいのであろう製作者達の心意気は受け取りつつも、何だかいろいろギクシャクしていた部分のノイズが気になり、駄作ではないにしても傑作とも秀作ともいえない、独特な味わいが残る作品だった。 https://filmarks.com/movies/100587/reviews/200746473
- 28年後... | 28 Years Later (2025)
3.8/5.0 ダニー・ボイル監督 x アレックス・ガーランド脚本による英国発のSFホラー「28日後…」シリーズの3作目で、ジャンルとしてはいわゆるゾンビものといえる映画作品。 タイトル通り、1作目の物語から28年後の物語が描かれる。 主人公の少年をアルフィー・ウィリアムズが、その父と母を英国出身のアーロン・テイラー=ジョンソンとジョディ・カマーが演じている。 生物を凶暴化するウイルスがチンパンジーから人類へ感染拡大し、文明が崩壊した未来。 ヨーロッパ大陸は感染者達を撃退し、英国本土に封じ込めることに成功したが、その結果英国は世界から孤立した。 感染から逃れた少数の英国の生存者達は孤島に身を潜め、その本土からも物理的に隔絶された小さな島の共同体で生き延びている。 あるきっかけから、主人公の少年とその母は、島を脱出し本土へ向かう旅に出ることになる。 シリーズ1作目の「28日後…」や2作目の「28週後…」はまだ文明が残る世界での物語だったが、今作は28年後という設定ゆえに、感染拡大前の文明は僅かに残るのみとなっており、その退廃的な描かれ方が新鮮。 社会基盤やインフラが崩壊した世界で人類はどうやって生きていくのか? という、SF視点でのセンス・オブ・ワンダーを感じられる。 主人公やその父が扱う武器が、銃などの近代的なものではなく弓矢であるという設定も面白い。 優れたゾンビ映画は単純なホラー映画のジャンルを越えて社会風刺/批評のテーマを含むといわれるが、今作もその系譜に属する脚本になっており、アレックス・ガーランドのストーリーテラーとしての才能を感じられた。 人間の心の拠り所となる信仰のあり方、終わりと始まりをそれぞれ迎える生命の価値、人間が人間らしく生きるとはどういうことか、といった重いテーマが、思考と解釈の余地を残す絶妙なバランスで提示されている。 ダニー・ボイルによる高い演出センスは全篇に冴え渡っているが、ゾンビが弓矢で射られる際に一瞬時間が止まりアングルが急転回する演出が何度か繰り返されるところは、他のシーケンスやアクションの描き方からやや浮いており、それほど画期的に新鮮な演出ともいえず、ん? と感じてしまった。 1作目と2作目は単作品として公開されたが、この3作目は3部作として企画されているとのことで、第1部となる今作だけでは物語が完結せず、今回提示された物語要素の多くの部分が次回作以降に持ち越されている。 2作目が公開された2007年から今回の3作目まで18年もの間が空いているので、次回作がいつ公開されるのか正直不安… 今作は待望の続篇として期待していた通りの面白さがあったが、終盤でのクリフハンガーやもやもやしたままの要素がたくさんあるので、早く次の物語が観られるといいなぁ… https://filmarks.com/movies/119234/reviews/202234249
- シンパシー・フォー・ザ・デビル | Sympathy for the Devil (2023)
3.5/5.0 みんな大好きニコラス・ケイジが主演と製作をしているスリラー映画で、イスラエル出身のユヴァル・アドラーが監督を担っている。 「ザ・スーサイド・スクワッド "極" 悪党、集結」や「オルタード・カーボン」「ロボコップ (2014)」等の激しめな映画やドラマで存在感を放ってきたジョエル・キナマンが、ニコラス・ケイジが扮する謎の男と対峙する会社員を演じている。 妻の出産に立ち会おうと病院へ急ぐ主人公が、目的地にたどり着く直前で謎の男に遭遇し、地獄のドライブが始まる… という導入にはドキドキさせられる。 これまで肉体的にも精神的にも屈強な男性を演じることが多かったジョエル・キナマンが、いかにも一般人という風情の男性を演じているところが印象的。 ニコラス・ケイジは相変わらずのニコラス・ケイジだけれど、真意が読めない狂気的な役柄を演じることにかけては天才的な俳優だとあらためて感じる。 謎の男の正体は何なのか、主人公が理不尽なまでに追い詰められる理由はどこにあるのかが、物語が展開していく中で次第に明らかになってくるが、それを描き出す演出のレベルは安定して高品質なものの、やや変化感に乏しい。 車中という限定空間を舞台の中心としているので画的な変化を作るのが簡単ではない中、丁寧な心理描写や緊迫感のある会話劇は楽しめるのだが… 2人の過去にまつわるエピソードの数々が、会話で語られるのみだからだろうか。 また、その真相と結末については、こういったスリラージャンルの物語の典型を越えていない印象で、やや期待値以下だった。 タイトルに「デビル」とあるので、もっと現世の枠を越えて超常的な、人間が背負う罪と罰とはといったところまで飛躍するのかなと期待していたのだけれど。 ニコラス・ケイジとジョエル・キナマンという2大スーパースターの素晴らしい演技力があって終劇まで退屈することなく鑑賞することができたが、傑作だというには届かない、やや惜しい映画だなという読後感が残った。 https://filmarks.com/movies/110524/reviews/202234221
- ブラック・ミラー シーズン7: 宇宙船カリスター号: インフィニティの中へ | Black Mirror Season 7: USS Callister: Into Infinity (2025)
3.8/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。 イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。 「宇宙船カリスター号: インフィニティの中へ」は、オンラインゲームと現実世界を往復しながら描かれる、ドタバタSFコメディ。 「FARGO/ファーゴ」や「ザ・ペンギン」等のドラマに出演し活躍するクリスティン・ミリオティが主人公を、「ブレイキング・バッド」や「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で強烈な印象を残した (マット・デイモンのそっくりさんとも言われる) 個性派俳優のジェシー・プレモンスが、ある重要人物を演じている。 ブラック・ミラーシリーズのエピソードは基本的に一話完結形式だけれど、今作はシリーズ史上初の続篇。 (前作でいろいろあって) スペースオペラな世界観のオンラインゲームの世界で密やかに生きている主人公達が、ゲーム内でも現実世界でも注目を集めてしまい、その存在が危ぶまれていく。 主人公達は物理的な肉体を持たないが、彼らは実在の人間達のDNAから生まれたデジタルクローンで、ゲーム世界と現実世界で違う人格の同一人物が同時に存在しているのだ。 オンラインゲームの世界観が名作SFシリーズ「スター・トレック」へのオマージュに満ちていることは前作から変わらずだけれど、今作ではあまりその設定が活用されず、表層的な部分にとどまってしまっていたところは少し残念。 ただ、主人公役のクリスティン・ミリオティをはじめとする俳優達の、2つの世界で全く違う人格の演じ分けはすごく面白い。 こちらの世界ではクズでもあちらの世界では違って、いやそうでもなくて、でもちょっとは違って… という複雑な展開が予測不能でニヤニヤしてしまった。 結末はまるで古典SF小説のオチにあるような内容で、そんな感じで終わるのか〜と意外だったが、なるほどとも感じた。 このエピソードの人気次第では、さらなる続篇もありそう。 https://filmarks.com/dramas/357/21821/reviews/18895022
- ブラック・ミラー シーズン7: ユーロジー | Black Mirror Season 7: Eulogy (2025)
4.3/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。 イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。 「ユーロジー」は、ひとりの老人と保管されていた写真達を通して描かれる、とある人物の人生の回顧録。 「プライベート・ライアン」や「トゥルーマン・ショー」等に出演してきた名優ポール・ジアマッティが主人公を、「ミッキー17」に出演していたパッツィ・フェランがその対話相手かつ重要な役回りとなる存在を演じている。 かつて共に過ごした恋人の訃報を知った主人公が、ある画期的なサービスを用いてその記憶を辿ることを決意する。 それは、現存する写真の世界へ入り込み、再現された過去世界の中で曖昧だった記憶を思い出すという心の旅だった… という導入は、極めてSF的な仕掛けでありながらクラシックな趣もあってぐっと惹き込まれる。 封印していた記憶が甦ってくるにつれ、主人公の心情と物語が大きく動いていく。 現代社会への皮肉と風刺がベースにあってバッドエンドが多いブラック・ミラーのシリーズの中では、このエピソードはとても異色。 ハッピーエンドとはいえないけれど、人生とは何なのかという重いテーマにまで勇敢に踏み込んでいて、苦みや哀しみだけではない複雑な読後感がある。 成功や幸せな瞬間といったハイライトだけでなく、失敗や後悔といったローライトもあってこそ、人生が立体的になり、そこに意味が生まれるということなのだろう。 ポール・ジアマッティとパッツィ・フェランの名演が、それを静かに語りかけてくる。 静かな感動と余韻が残る、とても素敵なSF中篇だった。 https://filmarks.com/dramas/357/21821/reviews/18895022
- ブラック・ミラー シーズン7: おもちゃの一種 | Black Mirror Season 7: Plaything (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。 イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。 「おもちゃの一種」は、ゲームの世界を通して描かれる、生命の定義についての問いとその進化についての物語。 「ザ・スーサイド・スクワッド "極" 悪党、集結」や「ドクター・フー」のピーター・カパルディとスコットランド出身の若手俳優ルイス・グリッベンが、年老いた主人公と若き日の主人公を2人1役で演じている。 万引き未遂をきっかけに逮捕されたみすぼらしい男が、警察の取り調べに対し、何十年にもわたる自身の物語を "自供" する。 ゲーム雑誌の記者として働いていた彼は、カリスマ的な人気を誇るゲーム開発者への取材時に、その開発者の最新作を出来心で持ち帰ってしまう。 それはゲームの新作という枠を大きく越えた、デジタル生命体をPC内で育成するソフトウェアだった… という導入は、SF好きの自分にはゾクゾクするほど面白かった。 今やすっかり老人となった男は、デジタル生命体達との対話を通して何を知り、どのような使命を自身に課したのか。 彼が過去に犯した罪とは何か。まるで意図的に逮捕されたようにも思える彼の、本当の願いとは何なのか。 現在と過去を往復しながら少しずつ真相が見えてくる脚本構成が巧み。 結末は予想がついたけれど、そこに至るまでの展開やミステリー演出の上手さもあって、上質なSF小説短篇を読み終えた時のような読後感が残った。 https://filmarks.com/dramas/357/21821/reviews/18895022
- ブラック・ミラー シーズン7: ベット・ノワール | Black Mirror Season 7: Bête Noire (2025)
3.7/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。 イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。 「ベット・ノワール」は、製菓会社で商品開発として働く女性を主人公に描かれる、現実と自我の崩壊についての恐怖。 主人公の職場に中途採用で入社してきた女性は、主人公の高校時代の同級生だったが、2人の間にはある苦い過去が… という不穏な導入。 その後、主人公に些細な記憶違いが増え、それが原因で職場での立場がどんどん危うくなっていく。 記憶していた単語のつづりが間違っていたり、存在を信じて疑わなかったものが全く存在していなかったりといった納得しがたい体験は、多くの人にあるはず。 自分が間違っているとはどうしても思えないのに他者と自分で記憶されている内容が違うと感じる、そんな体験は「マンデラ効果」と呼ばれるが、このエピソードではまさにそのマンデラ効果の違和感が脚本に組み込まれている。 いかにもSFアンソロジーらしい真相が終盤に用意されているが、それに触れることは控えておきたい。 何よりも面白いと感じたのは、このエピソードに出てくるファストフードチェーンの店名のつづりが、視聴する人によってランダムに切り替わる仕掛けが施されているということだ。 映像配信サービスのNETFLIXならではともいえる挑戦的な演出アイデアだし、第四の壁を越える斬新な仕掛けともいえて、とても面白い。 私が視聴した時は、主人公が記憶していたそのチェーン名のつづりは「BARNIES (バーニーズ)」で、主人公以外が持っている記憶は「BERNIES (べーニーズ)」だったが、そのように記憶している視聴者は、もしかしたら私だけなのかも知れない… この文章を読んでいるあなたの体験はどうだろう。 https://filmarks.com/dramas/357/21821/reviews/18895022
- ブラック・ミラー シーズン7: ホテル・レヴェリー | Black Mirror Season 7: Hotel Reverie (2025)
3.9/5.0 脚本家・プロデューサー・社会評論家としてマルチな才能を発揮する英国出身のクリエイター、チャーリー・ブルッカーが原案と製作総指揮を手掛けるSFアンソロジーで、もともとは英国TV局のChannel 4で放送されていたが、シーズン3からはNETFLIXによって製作・配信されているドラマシリーズ。 イギリス発の作品ということで、いかにもなブリティッシュ・ジョークが効いた巧みな脚本構成が特徴的。 「ホテル・レヴェリー」は、映画業界を舞台に描かれる、時代と次元を越える愛の可能性についての物語。 「バービー」や「スパイダーマン: アクロス・ザ・スパイダーバース (声優)」に出演していたイッサ・レイが主人公を、「デッドプール&ウルヴァリン」でヴィランを演じたエマ・コリンがその相手役を、「シャン・チー / テン・リングスの伝説」のオークワフィナがいかがわしい映画プロデューサーを演じており、出演俳優達が豪華。 モノクロフィルム時代のロマンス映画として有名な「ホテル・レヴェリー」のリメイク企画が立ち上がり、俳優としてハリウッドで働く主人公が契約内容をよく確認せずそれに参加するが、そのリメイクの手法は従来のやり方と全く異なった画期的なもので… という導入に、ぐっと惹き込まれる。 その手法とは、映画の舞台セットをまるごとバーチャル空間内に構築し、その世界に存在するAIベースで挙動する人物達と共演するというものだった。 ただ、画期的過ぎるその製作手法には予測不能なリスクもあり、製作者達が思い描いていた通りには撮影が進まず、現実世界と映画世界をまたいだ混乱が拡大していく。 結末はある程度予想がつき、脚本にいくつか粗があるなとも感じたけれど、往年の名作映画へのオマージュと少し先の未来で実現しそうなテクノロジーが掛け合わされた物語構造には斬新さがあり、演出スタイルにも気品が感じられた。 進化し続けるテクノロジーの在り方への問いが重く残る、SFアンソロジーらしい結末も印象的。 それにしても、オークワフィナは相変わらず画面に登場するだけで強烈な存在感を放つスター性がある俳優だと再確認したが、今作においてはそのキャラクターが存分に活かされておらず、少し損な役回りを担っているようにも感じた。 映画世界の中で可憐なマダム (だと自身を信じて疑わないAI) を演じるエマ・コリンの美しさと存在感は圧倒的で、オードリー・ヘップバーンといった伝説級の俳優を想起させるほどの力があった。 https://filmarks.com/dramas/357/21821/reviews/18895022









