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  • 一瞬の出来事 | In the Blink of an Eye (2026)

    4.0/5.0 ピクサーの草創期から同スタジオに所属し、数々のピクサー作品の原案・脚本・監督・製作総指揮を担ってきたアンドリュー・スタントンが手掛けるSF映画。 古代・現代・未来の3つの時代の出来事が並行して進行しながら、数千年の時を越えた物語が描かれる。 コメディアンとしてデビューしながら俳優・声優へと活躍の幅を広げるケイト・マッキノンが出演している。 古代では、故郷を追われたネアンデルタール人の家族が、安住の地を求めて旅をする。 石器や火の使い方を子どもに教え、生存を脅かされながらも支え合って生きる家族の姿が描かれる。 現代では、古代人類の遺物や骨を研究する女性が、自身の家族が迎えようとしている死と向き合うことになる。 避けがたい別れの辛さや、その状況を支えてくれようとする相手との関係構築の難しさが描かれる。 未来では、地球から遠く離れた惑星へ向かう移民船で、クルーの女性と船に搭載されたAIが、その生存環境を脅かすトラブルに直面する。 女性と船が運ぶ生命の種子は人類の未来であり、それを守り抜くために、女性は究極の選択を迫られる。 一見全く関連がないように感じられる3つの物語が、どのように接続されるのかが中盤あたりから見えてきて、その脚本構成がとても面白い。 時代を越えて登場するあるモチーフの存在は、ややありきたりかなとも感じたけれど、この物語のテーマの象徴としては、分かりやすいともいえる。 「一瞬の出来事 (In the Blink of an Eye = まばたきの間に)」というタイトルがとても秀逸で、人間個人にとっては生から死までとても長い旅に感じられても、惑星や宇宙の規模で見れば、それはまさしくまばたきする間に生まれて消える儚い存在でしかないことがタイトルに込められている。 しかしそれらの儚い存在達の出会いや別れ、全ての選択が、時を越えて影響・継承され続ける物語が詩的に描かれており、SFの本質がそこに秘められていると感じた。 派手なVFXや驚きのどんでん返しが含まれる映画ではないけれど、丁寧かつ巧みな脚本と演出に惹き付けられる、とても上質な作品だった。 https://filmarks.com/movies/126991/reviews/213375326

  • ウェポンズ | Weapons (2025)

    4.0/5.0 長編監督デビュー作の「バーバリアン (2022)」で一躍脚光を浴びたザック・クレッガーが脚本・製作・監督するホラー映画。 出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、ベネディクト・ウォン、オールデン・エアエンライクと豪華。 小学校のあるクラスの児童17人が、深夜2時17分に家を飛び出し、行方不明になるという事件が発生する。 そのクラスの担任だった教師、学校長、行方不明児の保護者といった様々な人物の視点と行動から、不可解な事件の真相が明らかになっていく。 何よりも、予告篇でも象徴的に使われていた「子どもたちが深夜に両手を広げて疾走する」画の不気味さが印象的。 伝統的な (ジャンプスケアも含む) 演出と、今まであまり観たことがない意外性たっぷりな恐怖演出の組み合わせが見事で、効果的なカメラワークやコントラスト設計および音効演出もあり、物語にぐっと惹き込まれる。 また、映画の視点が様々な登場人物に切り替わりつつタイムラインを何度か戻って同じシーンを違う角度から描くことで、全体の物語はもちろんのこと、それぞれの人物のバックグラウンドやドラマまで立体的に見えてくる構成がとても巧み。 ザック・クレッガー監督のホラージャンルにおける才能は、これからますます注目を浴び、まだまだ炸裂するように思う。 https://filmarks.com/movies/122932/reviews/212543508

  • V/H/S ビヨンド | V/H/S/Beyond (2025)

    3.5/5.0 怪奇現象や超常現象が記録されたビデオテープ (ファウンド・フッテージ) というテイのホラーアンソロジーシリーズの1篇で、予算は抑えめながらかなり過激なグロテスク描写やショッキングな展開が特徴。 今作はSFホラー (異生物との遭遇) を共通テーマに、それぞれの短篇が製作されている。 「ABDUCTION / ADDUCTION」監督: ジェイ・チール 2.7/5.0 ドキュメンタリーの製作班が事故物件に入り、記録撮影を行う。 アンソロジーの縦軸として幕間に入るが、それっぽい雰囲気以上でも以下でもなく、特には印象に残らない。 「STORK」監督: ジョーダン・ダウニー 3.5/5.0 幼児誘拐事件の真相究明・解決のために武装して廃屋へ乗り込む警官達のボディカメラ映像。 めちゃくちゃ過激でド派手なガンバトルと、VFXに頼り過ぎない手作り感溢れる怪物の造形が見どころ。 「DREAM GIRL」監督: ヴィラット・パル 3.4/5.0 インドの映画製作現場に突入したメイキングビデオの撮影スタッフによる記録映像。 人気女優に迫ろうとするスタッフが、隠された真実に直面する。 ボリウッド映画へのリスペクト溢れるダンスシーンの高い完成度としつこさにちょっと笑ってしまう。 「LIVE AND LET DIVE」監督: ジャスティン・マルティネス 3.9/5.0 スカイダイビングに挑戦する若者グループのアクションカム映像。 UFO x 飛行機墜落 x スカイダイビング x 宇宙人というかけ合わせは今まで観たことがなく、とても新鮮。 舞台が地上に移ってからの展開がやや凡庸に感じ、惜しい印象。 「FUR BABIES」監督: クリスチャン & ジャスティン・ロング 2.7/5.0 ちょっと過激な動物愛護団体が乗り込んだある施設の主の正体が明らかになるフッテージ。 他篇と比較して明らかに演出や造形の品質が低く、ギャグとホラーのバランスが悪い。 展開にも意外性を見つけられない。 「STOWAWAY」監督: ケイト・シーゲル 4.1/5.0 砂漠にてUFO追跡をテーマにドキュメンタリーを撮影する女性が体験する超常現象の記録。 この1篇のみ演出や物語の展開のレベルが頭ひとつ抜けて高く、フィクションと分かっていながら何度もゾッとした。 マイク・フラナガンが脚本を担当したと知って納得。 https://filmarks.com/movies/119208/reviews/212543462

  • 夢追いウサギ | Burrow (2020)

    3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 マイホームを手に入れようと頑張るけれどなかなか上手くいかないウサギの物語。 人付き合い (動物付き合い) が苦手で、作り笑顔で他者と距離を置きつつひとりで何でも行おうとするウサギの性分が痛いほど分かる。 誰の心にも多かれ少なかれあるであろうそういった部分の描き方が本当に上手だなと感じる。 また、ウサギが描いたマイホームの設計図が信じられないほどアホ過ぎて可愛く、それが提示される冒頭から笑ってしまいつつ、ぐっと心を掴まれる。 監督のユーモアのセンスが自分だけに特別強く刺さる種類のものなのかも知れないけれど、他にも1箇所すごく笑える短いシーンがあった。 かと思えば、焦るあまりに自分だけでなく他者も巻き込むトラブルを招いてしまったウサギの悲しい表情がとても切なく、涙が出そうになった。 テーマや結末は特別に斬新なものではないかもしれないけれど、短い時間で演出レベルの高さが何度も味わえる秀作。 https://filmarks.com/movies/94715/reviews/211675664

  • 猫とピットブル | Kitbull (2019)

    3.9/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 野良猫とピットブルの闘犬の出会いと転機を描くアニメーション短篇。 猫が暮らす廃材の段ボールの家の近くに、ピットブルが連れてこられる。当初警戒していた猫は、夜になって傷を負い戻ってきたピットブルを見る。 人間側の都合や背景が描かれることはなく想像するしかないというところが、主人公である猫と犬が置かれた状況の疑似体験になっており、演出が上手だなと感じる。 テーマは特別に新しいものではないけれど、犬猫好きの自分としては、必要最小限の枚数で十分魅力的に描かれる猫や犬のいかにもな動きと、2匹がたどり着く結末にとても心を打たれた。 ピクサー製作の長篇アニメーションには素晴らしい作品がたくさんあるが、必要最小限の要素と展開で描かれる短篇の完成度の高さにも驚かされる。 https://filmarks.com/movies/83033/reviews/211675617

  • 誕生日シンドローム | Twenty Something (2021)

    3.8/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 21歳の誕生日を迎え、姉に連れられ初めてクラブへ行くことになった女性が主人公。 主人公が感じる不安な心理が、アニメーション表現ならではの手法で描かれており、そのチャーミングなアイデアが面白い。 ひとりの人間だから思考も成熟度も単一ということではなく、様々な自分が内面に存在している。 自分に比べると随分大人に見える他者もひょっとすると同じなのではないか、自分だけが未成熟で場違いな存在だと思う必要はないのかもしれない。 主人公の葛藤と心境変化の描かれ方がとてもスマートで、温かい読後感が残る素敵な短篇だった。 https://filmarks.com/movies/99398/reviews/211675565

  • 心をつむいで | Purl (2018)

    3.6/5.0 ピクサー製作による「SPARKSHORTS」シリーズの1篇。 金融企業に入社した毛糸玉の女性を主人公にして描かれる、社会と個人の関わり方についての物語。 意気揚々と新しい職場に乗り込む主人公だったが、男性ばかり (しかも全員が同じようなスーツと顔つき) の空気やカルチャーに圧倒され、無理やりにでも自分を合わせていく。 一連のシーンがピクサーらしいユーモラスな演出で描かれていて楽しいけれど、社会人ならば誰でも一度は味わったことがありそうな状況に、心が痛くなる。 本来の人間性や個性を抑圧してまでも組織や社会に溶け込むことが本当に必要なのか? という重めの問いとそれについての製作者からの回答を、15分程度の時間と軽妙な演出を通して鮮やかに提示できているところに、ピクサーという集団のクリエイティビティの高さをあらためて感じた。 https://filmarks.com/movies/87749/reviews/211675526

  • マニブスの種 | manibus seeds (2021)

    2.1/5.0 俳優 兼 映画監督の芦原健介による短篇で、新型コロナ禍にあった2021年に製作された作品。 工場で働き質素に暮らす主人公のもとに届いた差出人不明の封筒には、謎の植物の種が入っていて… という導入。 あえてジャンルを定義すればSFホラーということになるのかなと思うが、結末には少し意外性があり、面白かった。 新型コロナ禍という、人類史上体験したことのない規模の環境激変によって起きたコミュニケーションのあり方の変化が、脚本に反映されているように感じる。 ただ、おそらく限定された予算でたくさん工夫して製作されたものであろうと想像はしつつも、種が成長して出現する生物のチープさにはうーんと感じてしまった。VFXがどうこうではなく、単純に演技づけに問題があるような… 主人公を演じる菅野貴夫は寡黙な役を好演していると感じたし、その職場の同僚の女性を演じる小島彩乃の存在感も良かった。 が、俳優達の表情の変化や身体演技で十分に表現 (意図伝達) できるだろうと思える些細な内容まで、その全てを台詞にして喋らせてしまう演出は、やはり気になってしまった。 芦原監督の演出経験の不足もあるのかもしれないが、それよりは邦画全体にある悪しき慣習というか… 伝わらなかったらどうしよう… からの全部喋らせよう病のように感じる。 製作者達が、俳優達が持つ本来の表現力を信じていないのか? 観客の鑑賞力・読解力を信じていないのか? それとも両方なのだろうか… 短篇ながら冗長に感じる間も多く、そこに演出の意図を見つけにくかった (これ何の時間? と感じてしまった) ところもやや残念。 https://filmarks.com/movies/103411/reviews/208217720

  • プレデター: バッドランド | Predator: Badlands (2025)

    3.9/5.0 残虐描写が過激なSFアクション「プレデター」シリーズに属する作品で、同シリーズ復活の立役者ともいえるダン・トラクテンバーグが監督を務めており、有名俳優姉妹の妹、エル・ファニングが出演している。 誇り高い戦闘一族の若者の主人公が、掟を破ったことをきっかけに、最悪の地 (バッドランド) といわれる惑星へ送られる。 主人公はその惑星の頂点捕食生物を狩ることで真の戦士として一族に認められるために、試練に挑む。 これまでのシリーズで人間たちが対峙してきた異星人を主人公に設定するという、視点を逆転する着想が面白い。 相棒として登場するアンドロイド (シンセティック) が、機能はしているものの下半身を失っているという設定も斬新で、それが物語の展開や奇抜なアクションにしっかり活かされているところも上手い。 何より、陽気でチャーミングなアンドロイドと、冷酷で合理的な同型のアンドロイドの二役を演じるエル・ファニングの魅力が素晴らしい。 過去にクロスオーバーした「エイリアン」シリーズのファンにはたまらないであろう演出も後半にかけてたくさんあり、監督の作家性担保とファンサービスのバランスの上手さが光っている。 これまでのシリーズでは割と寡黙だったプレデターが、今作では主人公だからとはいえなかなか饒舌だったところは好みが分かれそうだけれど、個人的にはそれほど気になるものではなかった。 高尚だったり哲学的だったりな要素はほぼないけれど、大衆向けのエンタテインメントに振り切った作品として高い完成度を誇る娯楽作品だった。 ダン・トラクテンバーグ監督には、これからも「プレデター」シリーズの世界をどんどん広げていってくれることを、シリーズのファンとして期待したい。 https://filmarks.com/movies/120063/reviews/210603168

  • ドロップ | Drop (2025)

    3.5/5.0 「ハッピー・デス・デイ」シリーズの監督や「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本・製作を担ってきたクリストファー・ランドンが監督を担ったシチュエーションスリラー。 予算は限定しながらも製作者の創造的自由を最大限に重視する方針のブラムハウス・プロダクションズ製作。 レストランでの初デートへ赴いた主人公のスマートフォンに、AirDrop (作品内ではDigiDrop) で匿名のメッセージと画像が送られてくる。 最初はいたずらのように思えたそれは、段々と脅迫めいた内容に変わっていき、やがて妹に託して自宅に置いてきた息子の情報が届くようになる。 DigiDropで通信できる距離はせいぜい15m程度で、脅迫者は主人公のすぐそばにいる誰か。その正体と意図は何なのか… という導入がスリラーとして斬新で、その状況設定に惹き込まれる。 デートの相手をはじめ、自分以外の誰かに助けを求めることが犯人に止められている状況で、主人公がその場を取り繕いつつどのように状況を打破するのかという展開は面白い。 当然ながら犯人は誰だろうと考えながら登場人物全員を見ることになるわけだけれど、サーバー、バーテンダー、ピアニスト、そしてデートの相手といった人物達のそれぞれに個性というかクセがあり、誰もが犯人に見えてきてしまうという (主人公の心理と同じ) 焦燥を味わえる。 真犯人の正体とその動機について書くことはネタバレになるので避けるとして、やや拍子抜けに感じてしまったことと、それが判明してからの展開に意外性があまりなかったところが残念ではあったけれど、現代的な状況設定の斬新さが光るコンパクトサイズのスリラーといった読後感で、娯楽作品として楽しむことができた。 https://filmarks.com/movies/121290/reviews/210603228

© 1998-2026 Shoji Taniguchi

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