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  • 大洪水 | The Great Flood (2025)

    3.7/5.0 韓国製作のNETFLIX映画で、「The Witch 魔女」や「梨泰院クラス」にて一躍注目を浴びたキム・ダミが主演している。 あえてジャンルを定義すればディザスターということになると思うけれど、様々なジャンルがミックスされているところが作品の個性になっている。 南極に小惑星が衝突した影響で海面が急激に上昇し、地球規模の超巨大津波が発生する。 AI研究者でシングルマザーの主人公は、ひとり息子を連れて自宅マンションの屋上を目指すが… という導入。 災害パニックものとしてのスリルの上手な描き方や演出の安定感はさすが韓国映画といった印象で、本物らしく描写することが難しいとされている水のVFXの品質も非常に高く、絶望的な状況に没入してしまう。 何よりも、キム・ダミの表情や身体演技のレベルの高さに惹きつけられ、思わず主人公に感情移入してしまう。 全ての韓国映画にあてはまることではないと思うけれど、家族の間に生まれる「情」の演出にかけては、やはり韓国の凄みを感じる。 脚本の核心部分について書こうとするとどうしてもネタバレになりそうで難しいが、単純なディザスターものではなく、SF的な大仕掛けが脚本の軸になっていて、物語の真相が少しずつ明らかになっていくところが面白い。 ただ、真相を意図的に曖昧にすることで観客側に想像 (解釈) の余地が残されているところもあり、その点は観る人によって賛否が分かれそう。 主要登場人物を絞って話が散らないようにしつつ、極めてSFかつ哲学的なテーマに真正面から取り組んでいるこの作品は、個人的にはとても興味深く鑑賞できた。 https://filmarks.com/movies/114746/reviews/209284445

  • Ostinato (2023)

    https://www.netflix.com/title/81923258 3.1/5.0 曲作りに苦心する音楽家を描くカナダ製作のNETFLIX短篇アニメーション。 音楽用語における「Ostinato (頑固な)」は、一定の短い音型を何度も繰り返すという意味。 楽曲における不協和音 (不安定で緊張感がある音の組み合わせ) を頑なに避けながら作曲をする音楽家が、次第にそれを取り入れることで、予想外にドラマチックな楽曲を形にしていく過程が描かれていく。 特筆すべき演出や展開はなかったけれど、上質で美しい小品だった。 https://filmarks.com/movies/120330/reviews/209284382

  • ヴァスト・オブ・ナイト | The Vast of Night (2019)

    3.5/5.0 映写技師として働いていたアンドリュー・パターソンが、自身で資金調達のうえ初監督作品として製作した長篇映画。 スラムダンス映画祭にて最優秀ナラティブ長編観客賞を受賞し注目されたSFミステリー。 1950年代、米国の小さな田舎町で発生する怪事件。 若きラジオDJの男と電話交換手の少女の視点から、隠されていた真相が明らかになる夜が描かれる。 SFジャンルではありながら (低予算のため) 派手なVFXによる見せ場はほとんどなく、もっぱら会話劇と「音」の演出に重心が置かれている。 また、俳優達の演技レベルがとても高いことと、会話シーンを中心に何度か使われている固定アングルの長回しが効果的で、物語の世界へ没入できる。 まるで「音」だけで物語を想像して楽しむラジオドラマを聴いているような、新鮮な感覚。 ただ、結末にはある程度のカタルシスはあるものの、全ての謎が解き明かされる脚本ではなく、良くも悪くも鑑賞者に解釈の余地を大きく残す形になっているため、物語の細部まで明快に理解したい派と想像の余韻を味わいたい派で好みが分かれそう。 個人的には、低予算でありながら工夫して丁寧に撮られている様々なシーンのアートディレクションの美しさと、主役の俳優2名の高い演技力に惹き込まれる、質の高い映画だと感じた。 https://filmarks.com/movies/89184/reviews/209437238

  • トロン: アレス | Tron: Ares (2025)

    3.8/5.0 世界で初めてCGを表現に取り入れた (公開当時は) 革新的な映像で、今でもカルト的な人気を誇るSF映画「トロン (1982)」シリーズの第3作で、「デアデビル: ビーン・アゲイン」や「エラゴン 遺志を継ぐ者」等に関わったジェシー・ウィグトウが脚本を、「マレフィセント2」等を手掛けたヨアヒム・ローニングが監督を担っている。 サイバー空間上で活動する人工知能プログラムを現実世界に実体化する技術が発明された未来。 ディリンジャー社は無限のリソースから何度でも複製できる実体のAI兵士を世間に発表し軍需産業で覇権を握ろうとするが、その技術は未完成で、現実世界では29分で実体が活動限界を迎え崩壊してしまうという不都合な事実が隠されていた。 一方、ディリンジャー社の競合であるエンコム社を率いる研究者は、その29分の壁を打破する「永続コード」を発見する。 AI兵士のアレスはディリンジャー社の指令に従い、その「永続コード」をエンコム社から奪おうとする。 主人公のAI兵士を演じるジャレッド・レトは、紛れもない名俳優でありながら割と役を選ばない印象もあるが、今作でもその高い演技力を存分に発揮している。 受け取った指令を淡々と実行するだけだったAIに自主性や感情が芽生え、物語が展開するにつれてどんどんと人間的な表情や声の演技に変化していく演出は、ベタといえばそうだけれど明快で面白い。 もうひとりの主人公であるエンコム社のCEO役を演じたグレタ・リーと、ディリンジャー社のCEO役で出演しているエヴァン・ピーターズも、それぞれのキャラクターが俳優の高い演技力でしっかりと造形されている。 ただ、脚本と物語にはあまり意外性がなく、ほぼ想定内の展開に収まってしまっているように感じた。 「トロン」シリーズといえば革新的な映像表現が期待されることはやはり宿命で、1作目・2作目ともに楽しく鑑賞した自分もワクワクしながら今作を鑑賞したが、ある意味では期待通りではあったものの、革新的というまでには至らないかなぁ… という印象。 伝説的ともいえる1作目は別格として、「オブリビオン」や「トップガン マーヴェリック」を手掛けたジョセフ・コシンスキーによる2作目「トロン: レガシー (2010)」の画期的な映像と、ダフト・パンクによる同作の劇伴のかけ合わせが生み出した衝撃にはいま一歩届かないという感じ… ダフト・パンクの後を継ぐ形で劇伴を担当したナイン・インチ・ネイルズのスコアはどれもすごく良かったのだけれど… アングルやカッティングの演出に思い切りやケレン味が感じられず、どのシーンもそつなく無難な画づくりに収まっていたからだろうか。 1作目への敬意溢れるオマージュや、80年代カルチャーへのリスペクト (日本映画の「AKIRA (1988)」で観られる画期的な決めの構図や映像演出の数々も含まれていそう) が分かるシーンの数々はとても楽しかっただけに、少しだけ残念。 https://filmarks.com/movies/115270/reviews/208955071

  • 罪人たち | Sinners (2025)

    4.2/5.0 「クリード チャンプを継ぐ男」や「ブラックパンサー」シリーズの脚本・監督を手掛けたライアン・クーグラーによるホラー映画で、同監督作の多数で主演もしくは重要な役柄で出演してきたマイケル・B・ジョーダンが今作でも1人2役で主演している。 1930年代のアメリカを舞台に、単なるホラーとしてではなく、人種差別や黒人文化についてのテーマが組み込まれた物語になっていて、さすがはライアン・クーグラーと感じる。 マイケル・B・ジョーダンが演じる双子の兄弟はギャングとして生きてきたが、故郷のミシシッピに戻り、黒人たちが自由に集えるダンスホールを立ち上げる。 当時の米国は禁酒法と白人至上主義によって黒人の娯楽が著しく制限されており、黒人達は宗教と音楽、特にブルースとゴスペルによって自己を支えてきたという実際の歴史的背景が重い。 黒人のために作られたそのダンスホールに白人の音楽家の一団が現れるが… というところから、映画のジャンルが複雑に転回していく。 表層的にこの作品を見れば吸血鬼が登場するホラー映画ということになるが、今作の設定やモチーフはあくまでも物語のテーマを描く上で用いられているに過ぎない。 「吸血」は白人の支配階級によって行われた非白人に対しての搾取のメタファーであり、「富・文化・命の収奪の過去」が語り直されているのだと解釈するべきだろう。 ライアン・クーグラーが手掛ける作品は常に重厚なテーマが描かれており、鑑賞後にずっしりと重い読後感が残るものが多いが、決してそれだけではなく、俳優や監督をはじめとする製作スタッフ達による卓越した撮影・演出・編集技術によって非常に質の高いエンタテインメントに仕上がっている点には、いつも感心してしまう。 その中でも今作は特に、楽器演奏や歌唱シーンを中心とする音響演出のダイナミズムが、比類なきレベルの素晴らしさだった。 https://filmarks.com/movies/119046/reviews/206364074

  • 回路 | Pulse (2000)

    4.3/5.0 「CURE」「クリーピー 偽りの隣人」等、ホラーやサスペンスジャンルで話題作を製作し続ける黒沢清が脚本・監督を手掛けたホラー映画で、カンヌ国際映画祭に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞、米国ではリメイクもされている作品。 主演の麻生久美子をはじめ、加藤晴彦、小雪、有坂来瞳といった (製作当時の) 若手俳優達が出演している。 観葉植物を販売する会社で働く主人公の同僚が不可解な自殺を遂げてから、その周辺では人々が黒い影を残して消え去るという怪現象が発生するようになる。 一方、加藤晴彦が演じる大学生は「幽霊に会いたいですか」と表示されるウェブサイトに遭遇し、PCの操作に詳しい友人を頼りながらその調査を進めるが、次第にその友人も異常な行動を取るようになっていく。 世界ではどんな異変が起きているのか、なぜそれが起き始めたのか、「幽霊」とは何なのか… 黒沢清監督の恐怖演出は、安直なジャンプスケア等に頼らず、俳優の身体演技、そして画の構図と明暗および音という、極めてオーセンティックな要素で構成されていて、他の映画監督とは一線を画するものを感じる。 その演出には、自分にはこの恐怖から逃げる場所がないと錯覚してしまうほどの圧倒的な力がある。 俳優達の好演 (その的確な演技づけも監督の力量によるものだろう) もあって、今作の恐怖演出のレベルは極めて高い。 社会にまだインターネットが普及しきっておらず、一部の人達のものだった当時のネットが持っていた得体の知れない空気感が活かされた演出は、今の時代に観返してもすごく不気味。 結末について言及することは避けるが、いわゆるハリウッド映画的な大団円や勧善懲悪な構造はこの作品には存在せず、虚無感と深い余韻が残り、自分にはとても印象的で美しいものに感じられた。 https://filmarks.com/movies/18303/reviews/152638517

  • アンキャニー 不気味の谷 | Uncanny (2019)

    3.7/5.0 人間と見分けがつかないほどの精巧な肉体と知能を持ったAIと、共に過ごすことになった2人の人間の会話劇を中心に展開するサスペンスSFの中篇。 出演者は「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」に出演していたマーク・ウェバーと、日本では知名度が低いが米国のドラマに出演しているデヴィッド・クレイトン・ロジャース、ルーシー・グリフィスのほぼ3名。 監督のマシュー・ルートワイラーは、ジェームズ・ガンが今のように超メジャーになる以前に脚本・監督を手掛けた密かな名作「スーパー!」で製作総指揮を担っていたらしい。 テクノロジー雑誌の記者の女性が、独占取材として訪れた極秘AI研究施設にて、天才研究者とその研究者が生み出した人型AIと出会う。 記者は人型AIとして紹介された人物の挙動にとまどいながらも、3人で過ごす時間を通してその研究成果を観察・記録していく。 劇中に何度か登場する、研究者と人型AIが行うチェスを行うシーンを通して物語のテーマが隠喩的に見えてくる脚本が面白い。 SFジャンルながら派手なVFXは全くといっていいほど存在せず、低予算で製作されたことは明らかだけれど、俳優達それぞれの演技レベルの高さや、地味ながらもしっかり安定した構図づくり、丁寧に施された明暗のカラーグレーディングがあり、物語の没入感を妨げる安っぽさはほとんど見られない。 米国においては (まだ) 一流という評価を得ていない俳優であっても、これほどハイレベルで繊細な演技ができる人材がたくさんいるのだという層の厚さを感じた。 SF映画やドラマのファンであれば脚本に組み込まれたツイストに序盤〜中盤あたりで気づく人も多そうで、会話劇中心な作劇の弱点ともいえる画の変化の乏しさがそのままこの作品の弱点でもあるけれど、この映画には導入から結末まで退屈に感じるシーンはなかった。 結末や真実を知った上でもういちど最初から観てみたいと思える映画は、シンプルに良い映画だといえるだろう。 https://filmarks.com/movies/87117/reviews/208244693

  • タイムマシン | Time Machine (2019)

    3.2/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 過去の出来事と自身の振る舞いを悔いて生きる男と、彼が大切に思っていた者たちを巡る物語。 性暴力を受けた主人公の友人がとった悲劇的な行動を止めるために、タイムマシンを開発して時を遡りたいと願う男。 苦く忘れがたい過去の記憶と、友人が受けた屈辱が描かれる。 監督の作劇の軸として、人間の加虐 / 被虐の残酷さとの向き合いがあるのだろうと感じられる。 物語自体には大きなツイストは見つけられないものの、今作の画づくりには独特なアートディレクションのセンスで惹きつける力を感じる。 スタッフロール後の幻想的なラストシーンも美しい。 ただ、近未来SFな世界観からは物語との実質的な関連や必然性を見つけられず、その描かれ方もやや凡庸で、ちぐはぐな印象を覚えた。 https://filmarks.com/movies/86342/reviews/208222344

  • ロスト・バス | The Lost Bus (2025)

    3.9/5.0 2018年に米国で発生した史上最悪級の大規模山火事「キャンプファイア」に着想を得た、事実に基づくサバイバル映画。 リジー・ジョンソンの著書「Paradise: One Town's Struggle to Survive an American Wildfire」を原作として、「ボーン・アイデンティティ」シリーズや「ユナイテッド93」等でリアリティが高い作風に定評のあるポール・グリーングラスが脚本・監督を担う。 山火事を生き延びた実在のバス運転手をマシュー・マコノヒーが、教師をアメリカ・フェレーラが演じている。 カリフォルニア州の小さな街で発生した山火事が、強風と乾燥で瞬く間に街を飲み込み、住民たちは混乱に陥る。 経済面や家族との関係においてどん底にいたスクールバス運転手の主人公は、臨時運転手依頼を受けて小学生たち22名と教師1名を乗せ避難を開始するが、街から脱出するための経路は炎と煙で閉ざされ、外部との通信手段も絶たれ、主人公たちは炎が取り囲む状況に閉じ込められてしまう。 さすがポール・グリーングラスの演出力というべきか、まるで自分もその危機的状況に放り込まれたと錯覚してしまうような没入感があり、ハラハラしながら鑑賞してしまう。 事実を扱うドキュメンタリー番組の製作に携わってきたキャリアを持つ監督の文脈の力が、今作においても存分に発揮されていると感じる。 VFXも効果的に使用されていながら、撮影時間帯をマジックアワーのみに限定したり、バス車内のライティングもリアリティを重視し設置せずに撮影するといった随所でのプロフェッショナルなこだわりが、映像のリアリティを飛躍的に高めている。 配役についても同様で、実際の山火事発生時に消防活動の責任者だった人物やその同僚といった人々を本人役として出演させることが、リアリティの向上に寄与している。 主人公役を担ったマシュー・マコノヒーの「落ちぶれてしまった人間」を演じる俳優力も素晴らしく、映画が始まってしばらくの間は、無名だが相当に演技力のある俳優が主人公を演じているのだと勘違いしてしまったほど。 八方塞がりな状況にある主人公が究極の選択を迫られるシーンは、自分のことのように身につまされたし、その選択の結果と行動には感動させられてしまった。 浮世離れしたスマートでスーパーヒーローだけが世界を救うのではなく、現実世界のヒーローは私たちと同じような悩みと苦しみを抱えながら生きる小さな人間だったのだ。 映画的脚色はありながらも事実に基づいた脚本構成のため、前半部分の物語展開が少しゆっくりめに感じるが、映画全体で俯瞰すると、その前半も必要不可欠だったと感じる。 実際の山火事の当事国である米国以外においてはどれほどの興味喚起力がある作品かは分からないが、映画作品としての完成度はとても高い秀作。 https://filmarks.com/movies/123348/reviews/208220219

  • ジョディ | Jodie (2021)

    2.4/5.0 映像作家の袴田くるみによる、SFアニメーション短篇。 所持者から虐待を受け続け、その度に修理されて所持者のもとへ戻される女性型ロボットと、その修理を行う女性の会話劇を中心に構成されている。 今ではSF映画の金字塔ともいわれる「ブレードランナー (1982)」で描かれていた、生命や個人のアイデンティティの構築または揺らぎといったテーマに、現代的なフェミニズムが重ねられたように見える脚本からは、作家としての軸があると感じる。 ただ、アニメーション作品としての演出全般は退屈で、アングルと構図の作り方、台詞と演技の間、人物達の細かい表情の変化といった部分でハッと驚かされるところが見つけられなかった。 人物達の奥に見えるレトロフューチャーな世界観はとても魅力的だったが、それが単なる書き割りになってしまっていて変化がなく、そこに奥行きが感じられなかったところも残念。 https://filmarks.com/movies/110272/reviews/208217710

© 1998-2026 Shoji Taniguchi

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