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空の検索で264件の結果が見つかりました。
- 回路 | Pulse (2000)
4.3/5.0 「CURE」「クリーピー 偽りの隣人」等、ホラーやサスペンスジャンルで話題作を製作し続ける黒沢清が脚本・監督を手掛けたホラー映画で、カンヌ国際映画祭に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞、米国ではリメイクもされている作品。 主演の麻生久美子をはじめ、加藤晴彦、小雪、有坂来瞳といった (製作当時の) 若手俳優達が出演している。 観葉植物を販売する会社で働く主人公の同僚が不可解な自殺を遂げてから、その周辺では人々が黒い影を残して消え去るという怪現象が発生するようになる。 一方、加藤晴彦が演じる大学生は「幽霊に会いたいですか」と表示されるウェブサイトに遭遇し、PCの操作に詳しい友人を頼りながらその調査を進めるが、次第にその友人も異常な行動を取るようになっていく。 世界ではどんな異変が起きているのか、なぜそれが起き始めたのか、「幽霊」とは何なのか… 黒沢清監督の恐怖演出は、安直なジャンプスケア等に頼らず、俳優の身体演技、そして画の構図と明暗および音という、極めてオーセンティックな要素で構成されていて、他の映画監督とは一線を画するものを感じる。 その演出には、自分にはこの恐怖から逃げる場所がないと錯覚してしまうような圧倒的な力がある。 俳優達の好演 (その的確な演技づけも監督の力量によるものだろう) もあって、この作品の恐怖演出のレベルは極めて高い。 社会にまだインターネットが普及しきってておらず、一部の人達のものだった当時のネットが持っていた得体の知れない空気感が活かされた演出は、今の時代に観返してもすごく不気味。 結末について言及することは避けるが、いわゆるハリウッド映画的な大団円や勧善懲悪な構造はこの作品には存在せず、虚無感と深い余韻が残り、自分にはとても印象的で美しいものに感じられた。 https://filmarks.com/movies/18303/reviews/152638517
- Crevice (2024)
3.0/5.0 2001年生まれの新世代映像作家、福嶋颯太による短篇アニメーション。 原住民の少女と文明社会から来た男の交流と、予期しない展開が描かれる。 未開文明と現代文明の接触、摩擦、そして迎える悲劇の結末というストーリー構成は、手塚治虫氏の短篇漫画作品にも同様構成のものが複数あり、普遍的なテーマ性を感じる。 今作のストーリーからはそれほど驚きがあるといえるところは見つけられないが、ただ美しいアニメーションを観て終わるだけではない展開は面白い。 人物や意匠の造形にも取り立てて個性的と感じるところはなかったけれど、彩色のセンスは独特で、高彩度・多色相の複数色がぶつかるカラーリングのコンビネーションは、なかなか他の作品で観られる種類のものではなく、作家の強い個性が確かに感じられた。 https://filmarks.com/movies/118000/reviews/207551182
- グッドニュース | Good News (2025)
2.5/5.0 1970年に日本で発生した「よど号ハイジャック事件」をモチーフにしながらフィクションとして製作された、サスペンスジャンルのNETFLIX映画。 韓国からはソル・ギョング、ホン・ギョン、リュ・スンボム等の俳優が、日本からは山田孝之、椎名桔平、笠松将らが出演している。 革命を狙う日本の左翼グループが羽田空港を飛び立った旅客機をハイジャックし、乗客を人質にとって北朝鮮への亡命を要求する。 その旅客機は北朝鮮の平壌に向かうはずだったが、韓国・金浦空港へ着陸。 事件の裏では韓国と北朝鮮の管制官達の無線ジャックの闘いがあったり、韓国情報部が秘密作戦を進めていたり、国際的な駆け引きが同時に進行していく。 韓国と日本はどのようにこの事件と向き合い、解決をはかるのか? が、様々な思惑を持つ登場人物達の群像劇として描かれる。 韓国映画ならではというか、実際の事件が発生した日本主体ではきっとできなかっただろうというか、サスペンスフルなストーリー展開がただ深刻に重く描かれるのではなく、状況に翻弄される人々の混乱や悲哀をブラックユーモアのテイストで描く演出が独特。 ただ、個人的にはサスペンスとユーモアが絶妙に噛み合っているように感じられず、展開がやや散漫な印象をもった。 また、韓国と日本を中心にたくさんの俳優が共演しているが、日本側の俳優の演技が単調かつ漫画的で安っぽく、明らかに映画作品としての品格を下げてしまっているように感じた点はとても残念だった。 旅客機の機長役の椎名桔平や政務次官役の山田孝之の演技にはプロフェッショナルの矜持や力量を感じたが、それ以外の出演者達の演技の引き出しの少なさや幼稚さには、物語への没入感を何度も妨げられ、終劇する頃にはすっかり興ざめしてしまった。 作品世界に没入することができれば、もっときちんと脚本構成やテーマそのものを楽しめたように思うのだけれど… 残念。 https://filmarks.com/movies/121111/reviews/207551054
- ANIMA (2019)
4.2/5.0 若くして「ブギーナイツ」や「マグノリア」等を手掛け、その後も芸術性の高い作品で高評価を獲得し続けているポール・トーマス・アンダーソン監督と、ロックバンドのレディオヘッドを率いるトム・ヨークが主演と音楽を担う形でコラボレーションして製作された、極めて詩的で実験的なミュージカル短篇。 地下鉄や都市を舞台に、夢と現実の狭間を彷徨う主人公が、電車内で偶然見かけた謎の女性に心を惹かれる。 女性が忘れていった鞄を追う主人公は、やがて超現実的な世界に迷いこんでいく。 明確なストーリーテリングがある映画というよりも、倦怠感に塗れ不安定な世界の描写と、そこに確からしきものを見出そうとするもどかしさのを追体験する映像作品と理解することが正しいように感じる。 完全に統率された集団演技と浮遊感あふれる音楽がシンクロしながら描かれるシーンの数々は、不気味ながらも美しく、素晴らしい完成度の芸術作品として仕上げられている。 観る人を確実に選ぶ種類の極めて先鋭的な作品ではあるものの、実験映像作品としては傑作と評価できるものだと感じる。 自分にとっては美術大学に在籍していた頃によく観て刺激を受けていた西欧のアニメーション作品や実験映像作品の数々が思い出される時間だった。 https://filmarks.com/movies/84870/reviews/207550993
- ウォー・オブ・ザ・ワールド | War of the Worlds (2025)
1.5/5.0 これまで幾度も映画やドラマ化されてきたH.G.ウェルズによる小説「宇宙戦争 | War of the Worlds」を原作とする、Amazon Prime独占配信映画。 ラッパー・俳優・映画監督としてマルチに活躍するアイス・キューブが主演を務め、「ウォンテッド」「ダーケストアワー」「ハードコア」等のアクションやSF映画でのエッジィな作風で知られるティムール・ベクマンベトフが製作として関わっている。 子どもの頃に読んだ原作小説と、2005年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の同タイトルが大好きなので、今作も鑑賞してみた。 異星文明の巨大なマシン達が突如世界各地で出没し圧倒的な攻撃と侵略が始まるという導入は、原作小説やこれまでの映画/ドラマと同様ながら、今作がこれまでの実写版と明らかに違うところは、その演出スタイル。 主人公はデータ監視の職についているという設定で、職場デスク上のPCからすぐに世界各地の映像や各種情報とアクセスできるのだが、ほぼ全篇を通してデスクに座って機器を操作し続け、そこから物理的に動くことがほとんどない。 職場の外では全世界的な危機が発生しており、主人公の家族や同僚も大変な状況に巻き込まれているのだけれど、主人公 (と映画の鑑賞者) は、家族や同僚とのFacetimeを通した映像と音声や、主人公がハックした監視カメラ・ドローン・航空機等のカメラの映像でしかその状況を知ることができない。 この演出スタイルは、映画全篇がPCの画面上で描かれるという斬新なスタイルが高い評価を得たサスペンス映画「サーチ | Search」と全く同じではと感じたところで、その「サーチ | Search」の製作にもティムール・ベクマンベトフが関わっていたことを思い出し、なるほどそういうことか… と納得した。 ただ、今作に関してはその空間限定な演出スタイルがほとんど上手くいっていないというか、描きたい物語のスケールとのギャップが大き過ぎて無理があると感じる。 大規模なSF映画に必須ともいえるVFXに関しては、脚本や演出が面白ければその品質はそれほど気にしない自分が見ても明らかに貧相で、予算があるのかないのかよく分からんな… と困惑してしまうレベル。 加えて、主演のアイス・キューブはその舞台設定上の制約が大きくありながら (何せほとんどのシーンがカメラ目線でモニタ越しに話したりキーボードを操作するだけなのだ) 健闘していたと感じるけれど、終盤では本当にやる気があるのかないのか判断がつかないVFXとの共演シーンがあり、笑うシーンではないと分かっていながら笑ってしまった。 SF好きなら誰もが知っているであろう「宇宙戦争」という物語の意外な結末についてはここでは言及しないが、基本設定としてはそれを踏襲しつつ、良くいえばそれが現代風にアップデートされていた。 ただ、脚本全般に陳腐な設定やアラが多く、シリアスムードで展開する物語に没入することが終始難しかった。 「宇宙戦争」が何度も実写化されるのは、物語規模の大きさやSFとしてのスペクタクルといった魅力がたくさん詰まっているからだと思うけれど、今のところ自分にとってのマスターピースは、スティーヴン・スピルバーグ x トム・クルーズの2005年版だ。 今作は世間的にはほとんど話題にされないような予感がするが、マニアックな珍品としてSF映画の歴史に名を残しそうではある。 ティムール・ベクマンベトフが関わっている映画は、やはり油断ならない! https://filmarks.com/movies/124243/reviews/204306618
- ハウス・オブ・ダイナマイト | A House of Dynamite (2025)
4.2/5.0 「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」等、戦争を題材にした超重量級の作風で有名なキャスリン・ビグローが監督を手掛けた政治スリラー映画。 レベッカ・ファーガソン、ジャレッド・ハリス、イドリス・エルバ他の一流俳優達が出演している。 発射元が不明な大陸間弾道ミサイルが米国本土へ向けて放たれ、それが到達するまでの十数分に米国政府や米軍がどのようにその事態と向き合い対処していくかが、群像劇で描かれる。 フィクションでありながら、まるで鑑賞者もその状況下に巻き込まれているような緊迫感を生み出す撮影・劇伴・編集の全てが凄まじい。 絶望の状況に置かれた時、それぞれの関係者が何を選択し行動するのか、あるいはしないのかが重く描かれていくが、この作品が特徴的なのは、中心的に描かれる人物を変えながら、ミサイルが発射されてから米国へ到達する瞬間までの十数分が3回に渡って繰り返されるところ。 ひとつの事実に対し語る人物 (主観) を変えて物語を複層的に描き、それによって逆に真相が見えにくくなる作劇手法は、黒澤明監督の「羅生門 (1950)」から羅生門スタイルとも呼ばれるが、今作では焦点が当たる人物が移り変わりながら、ミサイルが米国に到達するという非情な事実だけが覆らない。 誰にとっても避けがたい悲劇を描くにあたり、それらを感傷的に描くのではなく、あくまでもドキュメンタリのような一定の距離感で描くというハードな演出が、キャスリン・ビグローの監督作品ならでは。 この映画は、ミサイルによって甚大な被害を受けると知った米国がどのような行動を取るのかについて描いたり、勧善懲悪的にやられたらやり返すといった行為を描くといった戦争アクションでは全くなく、米国をはじめとする人々が「爆弾が詰まった家」に住んでいるということをただ鑑賞者に強烈に思い出させ、その爆弾が炸裂したらどうなるのかを否応なく想像させる装置として製作されている。 核兵器と隣合わせな現代社会の黙示録として、より多くの人が鑑賞するべき映画だと感じる。 https://filmarks.com/movies/123658/reviews/206432331
- ミーガン 2.0 | M3GAN 2.0 (2025)
3.1/5.0 AIを搭載したハイテク人形のミーガンの暴走描写が話題になった1作目の高評価を受けて製作されたSF映画の続篇で、1作目で監督を担ったジェラルド・ジョンストンが監督・脚本を続投している。 製作会社も前作に引き続き、予算は抑えながらもクリエイターに創造の自由 (裁量) を大きく与えるスタイルで話題作を次々と送り出しているブラムハウス・プロダクション。 前作にて暴走の末に破壊されたAI人形ミーガンのアルゴリズムを秘密裏に転用して開発された軍用アンドロイドが、そのシミュレーション中に暴走し人々を殺害する。 ミーガンの開発者だった主人公とその姪も否応なくそのアンドロイドが引き起こす混乱に巻き込まれていくが、ミーガンがネットワーク上で生存していたことが分かる、という導入。 人型の殺人マシンが人間を襲うというプロットの傑作映画といえば「ターミネーター (1984)」および「ターミネーター2 (1991)」だが、今作は明らかに (確信犯的に) その設定を参照していることが分かる。 1作目では主人公を殺そうと襲ってきたキャラクターが2作目では頼もしい味方側につくという設定は、呆れてしまうぐらいターミネーターだ。 つまり、前作では悪役だったミーガンが、今作では主人公達を守るヒーローに変化する物語になっている。 ただ、ターミネーターシリーズ (特に1と2) が終始シリアスで重厚なトーンを保ちつつ極めてシンプルな物語構造だったのに対し、今作はコメディやカンフーアクションの要素もごちゃごちゃに盛り込まれていて、作品全体の演出トーンがギクシャクしているし、物語の展開もとっ散らかってしまっている。 また、全盛期のスティーヴン・セガール主演映画のネタがくどいほどに盛り込まれていて、脚本上の伏線としてはいちおう機能しているものの、それを面白がれる観客の年齢層はかなり限定されてしまって、10〜20代の若者達には何のことやら全然分からないのではと感じた。 そもそも、セガール関連のくだり全体のギャグのキレが悪く、面白いとも感じられない。 カンフー映画の特訓シーンでお馴染みの木人椿でミーガンがウォーミングアップするシーンは、ベタ過ぎだろうと思いつつもちょっとだけ笑えたけれど… その他にも80〜90年代のアクション映画へのオマージュを感じる演出が多く、当時のアクション映画の緩めの楽しさを現代的な映像演出で再構築したかったのかなという印象。 スター・ウォーズのドラマ「アソーカ (2023)」に出演していたウクライナ出身の若手俳優イヴァンナ・ザクノが今作にも出演しており、表情や感情が読めないミステリアスなアンドロイドの役をしっかり演じきっていて好感が持てたが、そもそもの脚本や演出が良くないことがあって、俳優として損をしてしまっているように感じた。 1作目と比較して世間の評価が下がった (そして日本では劇場公開が急遽取りやめにまでなってしまった) ことにも納得できる内容だった。 物語の設定上はいくらでも続篇の脚本が書けそうだけれど、ターミネーターシリーズのように、続篇を製作する度に泥沼にハマっていくような予感も… https://filmarks.com/movies/110560/reviews/206375197
- 罪人たち | Sinners (2025)
4.2/5.0 「クリード チャンプを継ぐ男」や「ブラックパンサー」シリーズの脚本・監督を手掛けたライアン・クーグラーによるホラー映画で、同監督作の多数で主演もしくは重要な役柄で出演してきたマイケル・B・ジョーダンが今作でも1人2役で主演している。 1930年代のアメリカを舞台に、単なるホラーとしてではなく、人種差別や黒人文化についてのテーマが組み込まれた物語になっていて、さすがはライアン・クーグラーと感じる。 マイケル・B・ジョーダンが演じる双子の兄弟はギャングとして生きてきたが、故郷のミシシッピに戻り、黒人たちが自由に集えるダンスホールを立ち上げる。 当時の米国は禁酒法と白人至上主義によって黒人の娯楽が著しく制限されており、黒人達は宗教と音楽、特にブルースとゴスペルによって自己を支えてきたという実際の歴史的背景が重い。 黒人のために作られたそのダンスホールに白人の音楽家がの一団が現れるが… というところから、映画のジャンルが複雑に転回していく。 表層的にこの作品を見れば吸血鬼が登場するホラー映画ということになるが、今作での設定やモチーフはあくまでも物語のテーマを描く上で用いられているに過ぎない。 「吸血」は白人の支配階級によって行われた非白人に対しての搾取のメタファーであり、「富・文化・命の収奪の過去」が語り直されているのだと解釈するべきだろう。 ライアン・クーグラーが手掛ける作品は常に重厚なテーマが描かれており、鑑賞後にずっしりと重い読後感が残るものが多いが、決してそれだけではなく、俳優や監督をはじめとする製作スタッフ達による卓越した撮影・演出・編集技術によって非常に質の高いエンタテインメントに仕上がっているという点には、いつも感心してしまう。 その中でも今作は特に、楽器演奏や歌唱シーンを中心とする音響演出のダイナミズムが、比類なきレベルの素晴らしさだった。 https://filmarks.com/movies/119046/reviews/206364074
- ファイナル・デッドブラッド | Final Destination: Bloodlines (2025)
3.8/5.0 惨劇を予見して回避した主人公やその周辺人物達がその後も見えない死神に命を付け狙われるという「ファイナル・デスティネーション」シリーズの6作目で、今作が初メジャー作品の監督となるアダム・スタインとザック・リポフスキーが手掛けたホラー映画。 基本的な物語の導入は前述の通りで、氏の描かれ方もこれまでのシリーズの「ピタゴラスイッチ」的な仕掛けを踏襲していて怖いが、今作が過去作と明らかに違っていて面白いと感じたのは、ただこれまでの基本設定だけを踏襲したマンネリな続篇としてではなく、過去作で起きた全ての惨劇に理由と起源があり、それらが俯瞰的につながる巧妙な脚本になっていたところ。 もちろんそれは後付けの設定ではあるが、ただ人間が死神に追われて大変な目に遭うというパニック映画を越えた物語の語られ方になっていたところには感心した。 とはいえ、恐怖と笑いは紙一重であるとはよく言われるが、今作でも思わず笑ってしまいそうになるほどの趣向を凝らした仕掛けの連鎖とグロテスクさで死が描かれるので、痛い描写が苦手な人には鑑賞をおすすめできない。 過去シリーズに共通して登場してきた俳優トニー・トッドの遺作ともなった今作では、彼が演じてきたキャラクターが重要なタイミングで登場し主人公たちに向けて死生観を語るシーンがある。 その台詞はこのシリーズの世界観を越え、トニー・トッド自身の辞世の言葉のように聞こえて、心に残った。 トニー・トッドが自身に残された時間を僅かであると理解していたからこそ生まれたであろう、とても重量のあるシーンだった。 14年ぶりに復活したシリーズの6作目となる今作は興行・評価ともに大成功し、シリーズ復活の火花となったそうで、7作目の製作も進行中だという。 またマンネリにはなって欲しくないけれど、次回作の公開も楽しみに待ちたい。 https://filmarks.com/movies/120294/reviews/206364134
- マキシーン | MaXXXine (2024)
3.4/5.0 ホラー作品を多く手掛けてきたタイ・ウェストが脚本・監督を担う「X3部作」の完結篇で、1作目の「X (2022)」と2作目の「Pearl (2022)」に続き、新世代の俳優達の中でも個性がひときわ輝くミア・ゴスが主演するホラー映画。 シリーズ3作目となる今作の主人公は、「X (2022)」の主人公でもあったマキシーン。 ポルノビデオへの出演で人気を得ながらもハリウッドで真のスター俳優になることを夢見る主人公が、新作ホラー映画のオーディションに挑み、見事主演の座を勝ち取る。 一方で、ハリウッドでは連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」による凶悪な事件が続発しており、主人公の周辺でも俳優達が次々と殺害されていく。 やがて主人公の前に、彼女が経験した惨劇を知る者が現れる。 ここ10年ほどずっと繰り返されているような印象もある、映画やドラマにおける80年代カルチャーの再現は、特に目新しい部分はない。 が、タイ・ウェストによる演出は丁寧かつ安定的で、物語の世界観構築が上手だなと感じる。 なんといっても主人公役を担っているミア・ゴスの強烈な存在感やカリスマ性が、作品を支える軸となっている。 その強烈さは、脇役として出演しているケヴィン・ベーコン、エリザベス・デビッキ、ジャンカルロ・エスポジートといった大御所俳優達の存在感すらやや霞んで見えるほど。 単なるスラッシャーホラーにとどまらず、過去の2作から通底して描かれてきた「欲望」や「女性の自己実現」にまつわるテーマ性を感じることはできるものの、今作を単品として鑑賞すると、物語の展開に大きな驚きやツイストが感じられず、少し残念だった。 3部作を連続で鑑賞すればそれぞれに関連する部分で面白さが増しそうではあるけれど… ホラー映画の伝統的な部分はしっかりと踏襲しながら、前述のようなテーマ性が組み込まれた米国ならではの暗黒寓話として3部作が仕立てられているところには、ちょっと感心した。 https://filmarks.com/movies/115383/reviews/206049941









