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- エターナル・サンシャイン | Eternal Sunshine of the Spotless Mind (2004)
4.2/5.0 名作といわれるミュージックビデオやTV-CMを多数手がけてきたミシェル・ゴンドリーの監督作品ということで、監督の持ち味であるシュールなアナログセットを用いた大胆な演出に期待して鑑賞したが、期待通りの画的な驚きを得られて、とても価値のある映画体験だった。 ジャンルで分類すればラブストーリーではあるが、失恋の心の痛みを記憶ごと消去する装置という寓話的なマクガフィンを脚本の軸に用いることで、その記憶 (思考) を断片的に巡るカオスな旅と精神的な苦悩が見事な構成力の画と編集で可視化されており、これはなかなか他の映画監督に真似できない強烈な才能だなとあらためて感じる。 クレイジーな役を演じられることの第一人者といってもいいであろう俳優のジム・キャリーが、この作品では全く冴えない一般的な人間として主演しているが、物語が進んでいくにつれ、なぜ彼がこの映画の主演に抜擢されたのか、それが最適なキャスティングだったのかが分かってくるところがとても面白い。 共演のケイト・ウィンスレットも、奇妙な人物だと自他ともに認められながらも、真実の自分はどんな人物なのかと悩む複雑な人間の内面を高い演技力で表現していて、人間性とは一面的に語れるものではないのだという部分に共感する人も多そう。 監督の奇抜な演出の面白さと俳優達の高い演技力により高いレベルで完成された映画だと感じつつ、個人的には、装置のギミックがない風景的なシーンを手持ちカメラでやや客観的に捉えた画の叙情感が、とても心に沁みた。 https://filmarks.com/movies/34849/reviews/152645116
- ダークシティ | DARK CITY (1998)
4.5/5.0 「アイ・ロボット」や「ノウイング」といった、極めて通好みなSF映画を手掛けてきているアレックス・プロヤス監督の1998年の作品で、大好きな映画なので久しぶりに再鑑賞した。 SF的な設定があることは物語が始まってすぐに分かりながら、その始まり方や世界感のトーンは完全に1940年代のフィルムノワールを下敷きにしていて、その異物感や融合感がとても独特で面白い。 ただ、物語の展開はとてもスピーディで、退屈するような冗長なシーンはほとんどなく、現代的なテンポの演出でストレスが少ない。 マニアにしか受けないカルト映画という評価もありながら、この映画の翌年に公開された「マトリックス」をはじめ様々な作品に大きな影響を与えたとも言われているが、確かにこの映画には思わず参考にしたくなるような魅力的で個性的な世界観・モチーフ・アングル・セットほか様々な要素があると感じる。 特に中盤で主人公が目にする、映画の舞台である街が「調整 (チューン)」されるシーンの異常なオリジナリティは、SFファンではなくとも一見の価値があると思う。 また、終盤で明らかになるこの物語の壮大な全貌には、古典SF小説が好きな人なら予想できてしまいそうだけれど、それでも度肝を抜かれるであろうレベルの飛躍があり、SFファンの自分としてはそのぶっ飛び加減がとても楽しい。 再鑑賞して初めて気付いたが、映画冒頭から終劇まで、劇伴がほとんど途切れることなく、かつやかましいぐらいの圧で聴こえてくる。 演出要素のひとつとして人物達の感情の変遷を音で描いたり、劇的な展開感を支えたりで貢献しているのだけれど、それにしてもやかまし過ぎるかも。 いちどそれを意識してしまうと払拭することが難しく、あまりにも劇伴の主張が強い演出にちょっと笑ってしまう人もいるかも知れない。 俳優としては、2001年から放映が始まった「24 -Twenty Four-」で大当たりな主人公役と巡り合う前の、キャリア的に全く恵まれていない頃のキーファー・サザーランドを見ることができて面白い。 「24」の主役であるジャック・バウアーのキャラクターが世界的に認知されてからはキーファーが自分の演技を同役に寄せてしまっているように感じるが、この作品ではジャック・バウアーとは似ても似つかない、得体の知れない博士を絶妙な不気味さで演じており、その存在感はとても強い。 また、若かりし頃のジェニファー・コネリーの奇跡的なレベルの美貌が、この映画の美しく奇妙な世界の中に永遠に残るという点でも、この映画には大変な価値がある。 https://filmarks.com/movies/21036/reviews/152693993
- バッドランド・ハンターズ | Badland Hunters (2024)
3.6/5.0 冒頭から終劇まで安定感のある面白さで、茶目っ気のある笑いどころも含めて楽しみながら鑑賞した。 序盤で何箇所か微妙に演出が軽いかなと感じるところがあり、ハードな世界観とこの軽妙さのギャップでコント的にならないかなと不安になったが、全体を通して観れば些細なことかなと思う。 ポストアポカリプスな世界の物語でありながらその脚本の軸に家族的情念がしっかり関連し、それが登場人物達の行動原理に説得力を与えているところが実に良い意味で韓国映画らしいというか、民族的な強いコンテクストがやはりその根底部分にあるのだろう。 それはともかく、今や世界中に多くのファンを持つマ・ドンソクの画力というかオーラというかは、やはり桁違いだなと再確認した。 スクリーンやディスプレイを通してでもその質量が伝わってくるかのような、正に唯一無二の存在感。スーパースターだなあ。 マ氏のみならず他の俳優達 (とスタント) も重量感のあるハイレベルなアクションを演じ切っていて感銘を受けたが、特にクロースアップと手持ち撮影を多用した格闘戦のカメラワークだけは、戦闘の臨場感を演出したかったのであろうことは想像できつつ、少し揺れ過ぎではないかと思ってしまった。 あんなに揺らさず、寄り過ぎず、何なら少し引きめのアングルからほぼ固定のカメラでどっしり撮るぐらいでも、マ氏の迫力はきっと充分過ぎるほど鑑賞者に伝わってくるはず。 https://filmarks.com/movies/113221/reviews/170278683
- 隔たる世界の2人 | Two Distant Strangers (2020)
4.3/5.0 人類がいつか乗り越えなければいけない人種差別問題について、理想とはほど遠い現状を鑑賞者に叩きつけ、これが私達がいま生きている世界なんだと訴えかけてくる映画だった。 主人公に痛ましい結末が訪れる度に時間が巻き戻されるという設定を用いながら、その設定自体が、毎日のようにどこかでこのような悲劇が繰り返されているのだという事実の隠喩と解釈することもできる。 目には目をで武力を用いて闘争するのではなく、自身に憎しみを向けてくる相手とも対話をすることで悲劇からの脱却をはかろうとする主人公の気高い精神に、心を打たれる。 そして、その精神すら踏みにじられるほどの圧倒的な暴力もまた世の中に数多く存在しているという事実の恐ろしさにも、気付かされる。 主人公と相対する警官の内面と良心が、主人公の懸命な努力によって現出してきたのではと期待した先にあった終盤の衝撃的な展開には、時にその理由の解釈すら難しいほどの邪悪が我々の “隣人” として存在している可能性もあるのだと思わされた。 それでも私達は諦めずに対話をし続け、互いのコンテクストを想像し続け、相互理解する努力を続けなければいけない。 あの時代の自分達は愚かだったと誰もが (あらゆる人種と国籍の人間が) 言えるようになる時まで、その努力を放棄していはいけないのだと、心にしっかり受け止めた。 https://filmarks.com/movies/96288/reviews/171248218
- ファンボーイズ | Fanboys (2008)
4.7/5.0 スター・ウォーズシリーズと、ジョージ・ルーカス監督がこれまで世に送り出してきた映画のファンであればあるほど、この映画が愛しく感じられ、高く評価するはず。 加えてスター・トレックシリーズも好きな人であれば、なおさらだろう。 逆に、どちらのシリーズについても特にファンではないという人にとっては、観てもほとんど劇中のネタの意味が分からず、置いてけぼりに感じてしまうだろうから、おすすめできない。 そんな自分は、スター・ウォーズもスター・トレックも大好きで、映画の原体験がスター・ウォーズ エピソードIVという人間なので、すごく楽しく鑑賞することができた。 演出やアングルは総じてチープだし、派手なVFXもほとんどないし、ギークな主人公たちの極めてダサいロードムービーでありながら、逆にその味わいが居心地良く思えてくるという不思議な感覚をおぼえた。 主人公たちの、情熱はあるものの不器用かつコミュ障なやりとりを通して、人が何かに夢中でいることの尊さと、それが過剰なあまり他の全てが疎かになって人生や性格が少し歪になってしまうことの悲哀が、絶妙なバランスで描かれている。 スター・ウォーズに関連する小ネタが絶え間なしに続くので見逃しそうになるが、とても心に沁みる台詞が要所にあり、そして全篇を通した脚本の骨格はとてもしっかりしているところがまた面白い。 スタッフロールに入る直前の台詞と俳優たちの表情には、彼らが劇中でついに辿り着いたある劇的瞬間を同じ時期に実際に経験していた自分の感情が瞬時に思い出されて、大笑いしてしまった。 そして、劇中で主人公たちが突きつけられていたスター・ウォーズマニア向けのクイズの数々については、自分は即答かつ全問正解だった。 だから自分も、間違いなく主人公と同じ側の人間のひとりなのだ。 https://filmarks.com/movies/4926/reviews/171250430
- 10 クローバーフィールド・レーン | 10 Cloverfield Lane (2016)
3.7/5.0 クリフハンガー的に物語の風呂敷を広げる手法が天才的に上手い (ただし畳むのはそれほど上手くない) J・J・エイブラムスが仕掛け人のクローバーフィールドシリーズには、他篇との世界観的な繋がりが示唆されながらも、それぞれ独立して楽しめるSF映画の楽しさがある。 2作目となるこちらも、POV視点のモキュメンタリー演出だった1作目と大きくスタイルを変えながら、(ほぼ) 密室スリラーとして楽しむことができた。 主演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドはキャリア初期からホラー映画への出演が多く、スクリームクイーンとして有名になっていった俳優だが、絶叫する演技ばかりでははなく、重い緊迫感の中での精神的な揺れのような微細な部分も演じる力量がある。 本篇の大半は地下室、登場人物はほぼ3人という相当に限定された舞台設定で、その空間のキーパーソンを演じるジョン・グッドマンの不気味な役づくりには圧倒される。人間の内面に潜む暗黒面や不安定な精神性を、漫画的ではない実存感のある演技で体現しており、まさに変幻自在の名優といった感じ。 もう1人の人物も含めて3人の間で行われる心理的な駆け引きには、画的にはとても地味ながら、終始ドキドキさせられる。 終盤でのあまりにも劇的な超展開には驚かされるが、そうだったこれはクローバーフィールドだった! と思い出す興奮がある。 終劇直前の画づくりの構図は、映画本篇の後の物語がどう展開するのかの想像が広がる演出があり、とても決まっている。 映画全篇を通して、監督を担ったダン・トラクテンバーグの演出のセンスの鋭さを感じ取ることができる。 シリーズで物語がつながっているようで微妙につながっていない、だから前作や次回作を気にせず単品で楽しめる、でも映画の精神性としてはやはりクローバーフィールド、という特殊なシリーズではあるが、個人的には1・2・3作目のどれも違った魅力のあるSFスリラーだと感じている。 この先に4作目が製作・公開されるとして、ほとんど予備知識なく映画館で1作目を鑑賞した時の衝撃的な体験を更新することは難しそうだけれど… https://filmarks.com/movies/66341/reviews/152619341
- オリー | Lost Ollie (2022)
4.6/5.0 持ち主だった少年と離れ、孤独な迷子になってしまった人形のオリーと、同じく孤独に過ごしてきた人形たちが、それぞれの帰る場所へと果敢に向かう旅の物語。 概要だけだとワクワクするアドベンチャーのように思えるが、その主役達の過去と現在の辛い体験の描かれ方はとてもビターで、ダークファンタジーと形容する方がより正確かもしれない。 ピクサーのトイ・ストーリーシリーズと比較する人も少なからずいそうだけれど、個人的には、全年齢向けの作品づくりを前提とするピクサーがなかなか踏み込めない領域にまで踏み込んでいる作品だと感じた。 主役の人形たち側の物語の展開がとてもダイナミックかつドラマティックで惹きつけられるが、もう一方の、オリーの持ち主だった少年とその家族の物語にもしっかりとした展開があり、思わず涙がにじんでしまうシーンが何度もあった。 脚本上の緻密な仕掛けも丁寧に仕込まれていて、物語の全体像や人物とモチーフの関係性が明らかになってくる終盤には、その構成の巧みさにとても驚かされた。 自分がいるべき場所、帰るべき場所はどこなのか、人間は何を心の拠りどころにして生きていくのか、といった強いテーマ性があり、世代を越えて受け継がれていく想いの尊さも描かれていて、心を強く打たれてしまった。 もっと注目されてもいい、これは隠れた傑作だと思う。 https://filmarks.com/dramas/12523/17268/reviews/13817142
- Search / #サーチ2 | Missing (2023)
3.3/5.0 映画全篇がラップトップ・スマホ・スマートウォッチ・監視カメラ等のウィンドウの中で描かれるという、仮にひらめいても誰もやらないような演出を本気でやってみた的なシリーズの2作目。 よくそんな描き方が思いつくなぁと驚くような演出手法は1作目と同じく健在で、それはいくらなんでもやや強引かもと感じてしまう部分もあったが、総じて面白く鑑賞することができた。 連絡がつかなくなった母を、様々な機器を駆使しながら、基本的に自宅から離れずに捜索する主人公を軸としつつ、その周辺の登場人物も関連しながら、なかなか予想できない展開が連続する脚本になっており、これもまたよく思いつくなぁという感想を抱いた。 鑑賞した後に特に強い読後感や学びが残るタイプの作品ではないけれど、娯楽作品としてしっかり面白く作られている映画だと思う。 https://filmarks.com/movies/107716/reviews/172129768
- 三体 | 3 Body Problem (2023)
4.7/5.0 SF界のノーベル賞とも呼ばれるヒューゴー賞を獲得している原作小説の三部作を読み終えた時、これほど巨大で圧倒的なスケールのSFはほとんど読んだことがないと度肝を抜かれたが、その物語が遂に実写ドラマ化されるということで、期待と不安が半分ずつで鑑賞した。 人類と他文明のファーストコンタクトについて描く映画やドラマはこれまでにも多く作られてきているが、この作品のそれでは、かつて描かれたことがなかったレベルの、背筋が凍るような未知の存在への恐怖が描かれている。 現実世界でいつかファーストコンタクトが起きるとしたら、もしかしたらこの作品と同じようなことになるのではないか… と信じてしまいそうになるほどの、これまでの典型的な地球外文明の描かれ方を遥かに超越した、圧倒的な説得力と恐怖がある。 原作に登場する主要人物が担っていた役割が複数の登場人物に分割されていたり、数百年を越える長大な期間に渡る三部作の全体を通して構成が大胆に組み変わったりしているが、結果的にそれが成功しているように思う。 原作未読の大多数の鑑賞者にとって、前提的な科学知識がなくとも物語に入り込みやすい再構成になっているので、ハードSF小説等に普段から慣れ親しんでいるタイプのSFファンはもちろん、そうでなくとも楽しめそう。 大長編の三部作を1シーズンで描き切ることは難しいだろうなと予想していたが、シーズン1の最後はものすごく微妙なところで区切られていて、特にクリフハンガー的な演出もないので、ここで終わり? という消化不良感が残る人もいるかもしれない。 原作において物語の規模が加速的に拡大展開していくこの続きを、ぜひシーズン2以降で描ききって欲しいと強く願う。 https://filmarks.com/dramas/12738/17551/reviews/13817225
- 月影の下で | In the Shadow of the Moon (2019)
2.9/5.0 9年ごとに起きる不可解な殺人事件の犯人を捉えようとする警官を主人公にした追跡劇にSF的設定を組み込んだ脚本で、最初の事件が発生する冒頭パートの掴みの演出がとても上質で惹きつけられた。 が、全篇に渡りいろいろ微妙に惜しいと感じるところがあり、もう少しスッキリ驚かされたかったなーという観賞の読後感だった。 SFは文字通りサイエンス “フィクション” なので、リアリティ至上主義で細かい突っ込みどころを探すよりは、製作者達がどんな話を展開しどんな画を見て欲しいと思っているのかを積極的に楽しむ方がより健全な観賞姿勢だと考えるタイプの自分だが、それにしてもこの映画は少し設定の粗の方が目立っているように感じてしまった。 伏線的な仕掛けもいくつかありなるほどと感じる部分もあるのだが、熱心な映画ファンではなくとも予想がつく内容のようにも思える。 「月影の下で (In the Shadow of the Moon)」というタイトルも詩的で掴みがよく、本篇でもそれに関連するSF的設定についての言及があるにはあるのだが、物語を大きく動かすドライバーにはなっておらず、ならないんかいという気持ちになってしまった。 くわえて、終盤で明らかになる脚本的な真実に、それほど大きな驚きを感じられなかったところがやや残念だった。 演出スタイルには驚くような斬新さはないが全篇を通して手堅い安定感があり、俳優達の演技も総じて上質で、そういった意味ではきちんとした作品に仕上がっている。 特に、主演のボイド・ホルブルックはこの映画に限らずここ数年の様々な映画で目にするが、主人公役も脇役も、また悪役から善人役まで、しっかりそれぞれのキャラクターをものにして演じられるいい俳優だなと思う。 素晴らしい映画だよと万人におすすめすることは難しいけれど、設定の緩さや細けえことは気にせず楽しんでくれや的な大味な展開が、自分にとっては懐かしい80年代のハリウッドSF映画 (B級) に似ているように感じられ、こういう映画を観賞して何だかもやもやするのもまた楽しい映画体験のひとつだなと感じた。 https://filmarks.com/movies/86049/reviews/172457962









