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  • ガンズ・アキンボ | Guns Akimbo (2019)

    3.3/5.0 いかにも荒唐無稽で漫画的な設定と脚本だが、映画のかなり序盤でこの作品のリアリティラインはここでーすという提示があるので、そういうものだと理解したうえで楽しめる作品だった。暴力描写はけっこうエグいので、観る人を選びそうなところはあるけれど… ネット社会の風刺的な要素も多少ありながら、深い読後感を残すというよりは、あまり考え込まずにガンアクションやデスゲームを存分に楽しんでくださいよ、命の扱いは軽いですがこれはそういうリアリティラインの作品ですからね、といわんばかりの振り切った演出で、製作者達のスタンスが明快でいいなと感じた。 主演のダニエル・ラドクリフの俳優としての力量はいわずもがな、主人公の役割を誠実に担っており、キャラクターアークもしっかりと描出されていてさすが。 が、ハリー・ポッターのパブリックイメージからの脱却もしくは進化のために、必要以上に無茶苦茶な役のオファーばかり無理して受けているのではないだろうか… という、映画本篇とは全く関係のない雑念的な心配の感情が湧いてしまった。 個人的に注目しているナターシャ・リュー・ボルディッゾが、この作品では脇役ながらも次期スターになりそうな存在感を発揮していて、とても良かった。 https://filmarks.com/movies/86355/reviews/170872660

  • ダムゼル / 運命を拓きし者 | Damsel (2024)

    2.8/5.0 この映画は「勇敢な王子と可憐な姫」だったり「闘う男たちと守られる女たち」といった前時代的な物語ではない、と冒頭ではっきりと前置きされる通り、搾取される立場に甘んじてきた女性の主人公 (と他の女性たち) がいかにしてその逆境を乗り越えるか、というところにフォーカスされたファンタジー映画だった。 ジェンダー問題についての旧来的な価値観の打破を目的としたフェミニズム的な思想が含まれた脚本なのだろうと思うが、そういったテーマを持つ物語の主役と製作総指揮を、次代のスターになるであろうミリー・ボビー・ブラウンが担っているというところが (メタ的な見方にはなってしまうが) 象徴的。 主人公の様々な感情がミリーによって充分に表現されていて、その成長と内面のドラスティックな変化も明快に描かれている。 脇を固める俳優達も、やや書き割り的ではあるが、それぞれの役割をしっかりと演じていて、物語としてきちんとまとまっていた。 ただ、終盤にかけて少し脚本と場面転換がガチャついた印象があり、何か事情があってかなり端折ったのかな? という想像をしてしまった。 個人的には、いち映画好きとしては何より面白い映画体験ができることが重要で、ジェンダーだったりフェミニズムだったりの議論について極端な思想は持たない (性別不平等などなくなった方がいいに決まっている) ようにしているのだが、映画そのものの体験よりもその思想的な部分が強く感じられ過ぎると、やや説教をされているような気持ちになってしまって冷めてしまうな… というのが、正直な感想だった。 この作品のように冒頭から製作者達のスタンスをメタ的に表明したりせずとも、女性が前時代的な価値観にとどまらず、なんなら男性を圧倒するほど活躍する名画が、これまでにもたくさん作られてきている。 作品として面白ければ、登場人物達の性別や人種は、個人的には全く関係がない。 といった話はさておき… ミリー・ボビー・ブラウンは、次代の価値観をその演技で体現し世界へ啓発していく、とても重要な存在になっていくのだろうと確信した。 https://filmarks.com/movies/107745/reviews/171028627

  • ミッドナイト・スカイ | The Midnight Sky (2020)

    3.0/5.0 俳優やプロデューサーとしては多くの人に超一流と認められつつ、監督すると常に微妙ともいわれがちなジョージ・クルーニーが手掛けた作品ということで、期待と不安と半分ずつで鑑賞した。 ジャンルはSF、既に文明の終末を迎えてしまった地球という設定ながらも、斬新だったり驚くような画づくりはほとんどなく、演出も終始抑制的。 ただ、物語としてはコンパクトに破綻なくまとまっている。 傑作とは評価されにくいだろうけれど、観て損したぞという気持ちにはならなかった。 宇宙船と北極という2つの舞台で並行して物語が進むが、宇宙船の方のパートについては、実力のある俳優達の好演と、総じて丁寧な演出がありながらも、全体的に既視感があってやや凡庸。 北極の方のパートは、SFというよりロードムービーのような枯れた味わいがあり、地味ではあるがこれはこれで面白いと感じた。 総じて、監督 兼 主演のジョージ・クルーニーにおける (役柄上の) 人生の総括的な旅といった趣で、自身が老齢を迎えたからこそこの役を演じたい、この原作 (「世界の終わりの天文台」というSF小説)を映画にしたいと考えたのかも知れないと想像した。 https://filmarks.com/movies/93129/reviews/170945002

  • エターナル・サンシャイン | Eternal Sunshine of the Spotless Mind (2004)

    4.2/5.0 名作といわれるミュージックビデオやTV-CMを多数手がけてきたミシェル・ゴンドリーの監督作品ということで、監督の持ち味であるシュールなアナログセットを用いた大胆な演出に期待して鑑賞したが、期待通りの画的な驚きを得られて、とても価値のある映画体験だった。 ジャンルで分類すればラブストーリーではあるが、失恋の心の痛みを記憶ごと消去する装置という寓話的なマクガフィンを脚本の軸に用いることで、その記憶 (思考) を断片的に巡るカオスな旅と精神的な苦悩が見事な構成力の画と編集で可視化されており、これはなかなか他の映画監督に真似できない強烈な才能だなとあらためて感じる。 クレイジーな役を演じられることの第一人者といってもいいであろう俳優のジム・キャリーが、この作品では全く冴えない一般的な人間として主演しているが、物語が進んでいくにつれ、なぜ彼がこの映画の主演に抜擢されたのか、それが最適なキャスティングだったのかが分かってくるところがとても面白い。 共演のケイト・ウィンスレットも、奇妙な人物だと自他ともに認められながらも、真実の自分はどんな人物なのかと悩む複雑な人間の内面を高い演技力で表現していて、人間性とは一面的に語れるものではないのだという部分に共感する人も多そう。 監督の奇抜な演出の面白さと俳優達の高い演技力により高いレベルで完成された映画だと感じつつ、個人的には、装置のギミックがない風景的なシーンを手持ちカメラでやや客観的に捉えた画の叙情感が、とても心に沁みた。 https://filmarks.com/movies/34849/reviews/152645116

  • ダークシティ | DARK CITY (1998)

    4.5/5.0 「アイ・ロボット」や「ノウイング」といった、極めて通好みなSF映画を手掛けてきているアレックス・プロヤス監督の1998年の作品で、大好きな映画なので久しぶりに再鑑賞した。 SF的な設定があることは物語が始まってすぐに分かりながら、その始まり方や世界感のトーンは完全に1940年代のフィルムノワールを下敷きにしていて、その異物感や融合感がとても独特で面白い。 ただ、物語の展開はとてもスピーディで、退屈するような冗長なシーンはほとんどなく、現代的なテンポの演出でストレスが少ない。 マニアにしか受けないカルト映画という評価もありながら、この映画の翌年に公開された「マトリックス」をはじめ様々な作品に大きな影響を与えたとも言われているが、確かにこの映画には思わず参考にしたくなるような魅力的で個性的な世界観・モチーフ・アングル・セットほか様々な要素があると感じる。 特に中盤で主人公が目にする、映画の舞台である街が「調整 (チューン)」されるシーンの異常なオリジナリティは、SFファンではなくとも一見の価値があると思う。 また、終盤で明らかになるこの物語の壮大な全貌には、古典SF小説が好きな人なら予想できてしまいそうだけれど、それでも度肝を抜かれるであろうレベルの飛躍があり、SFファンの自分としてはそのぶっ飛び加減がとても楽しい。 再鑑賞して初めて気付いたが、映画冒頭から終劇まで、劇伴がほとんど途切れることなく、かつやかましいぐらいの圧で聴こえてくる。 演出要素のひとつとして人物達の感情の変遷を音で描いたり、劇的な展開感を支えたりで貢献しているのだけれど、それにしてもやかまし過ぎるかも。 いちどそれを意識してしまうと払拭することが難しく、あまりにも劇伴の主張が強い演出にちょっと笑ってしまう人もいるかも知れない。 俳優としては、2001年から放映が始まった「24 -Twenty Four-」で大当たりな主人公役と巡り合う前の、キャリア的に全く恵まれていない頃のキーファー・サザーランドを見ることができて面白い。 「24」の主役であるジャック・バウアーのキャラクターが世界的に認知されてからはキーファーが自分の演技を同役に寄せてしまっているように感じるが、この作品ではジャック・バウアーとは似ても似つかない、得体の知れない博士を絶妙な不気味さで演じており、その存在感はとても強い。 また、若かりし頃のジェニファー・コネリーの奇跡的なレベルの美貌が、この映画の美しく奇妙な世界の中に永遠に残るという点でも、この映画には大変な価値がある。 https://filmarks.com/movies/21036/reviews/152693993

  • バッドランド・ハンターズ | Badland Hunters (2024)

    3.6/5.0 冒頭から終劇まで安定感のある面白さで、茶目っ気のある笑いどころも含めて楽しみながら鑑賞した。 序盤で何箇所か微妙に演出が軽いかなと感じるところがあり、ハードな世界観とこの軽妙さのギャップでコント的にならないかなと不安になったが、全体を通して観れば些細なことかなと思う。 ポストアポカリプスな世界の物語でありながらその脚本の軸に家族的情念がしっかり関連し、それが登場人物達の行動原理に説得力を与えているところが実に良い意味で韓国映画らしいというか、民族的な強いコンテクストがやはりその根底部分にあるのだろう。 それはともかく、今や世界中に多くのファンを持つマ・ドンソクの画力というかオーラというかは、やはり桁違いだなと再確認した。 スクリーンやディスプレイを通してでもその質量が伝わってくるかのような、正に唯一無二の存在感。スーパースターだなあ。 マ氏のみならず他の俳優達 (とスタント) も重量感のあるハイレベルなアクションを演じ切っていて感銘を受けたが、特にクロースアップと手持ち撮影を多用した格闘戦のカメラワークだけは、戦闘の臨場感を演出したかったのであろうことは想像できつつ、少し揺れ過ぎではないかと思ってしまった。 あんなに揺らさず、寄り過ぎず、何なら少し引きめのアングルからほぼ固定のカメラでどっしり撮るぐらいでも、マ氏の迫力はきっと充分過ぎるほど鑑賞者に伝わってくるはず。 https://filmarks.com/movies/113221/reviews/170278683

  • ファンボーイズ | Fanboys (2008)

    4.7/5.0 スター・ウォーズシリーズと、ジョージ・ルーカス監督がこれまで世に送り出してきた映画のファンであればあるほど、この映画が愛しく感じられ、高く評価するはず。 加えてスター・トレックシリーズも好きな人であれば、なおさらだろう。 逆に、どちらのシリーズについても特にファンではないという人にとっては、観てもほとんど劇中のネタの意味が分からず、置いてけぼりに感じてしまうだろうから、おすすめできない。 そんな自分は、スター・ウォーズもスター・トレックも大好きで、映画の原体験がスター・ウォーズ エピソードIVという人間なので、すごく楽しく鑑賞することができた。 演出やアングルは総じてチープだし、派手なVFXもほとんどないし、ギークな主人公たちの極めてダサいロードムービーでありながら、逆にその味わいが居心地良く思えてくるという不思議な感覚をおぼえた。 主人公たちの、情熱はあるものの不器用かつコミュ障なやりとりを通して、人が何かに夢中でいることの尊さと、それが過剰なあまり他の全てが疎かになって人生や性格が少し歪になってしまうことの悲哀が、絶妙なバランスで描かれている。 スター・ウォーズに関連する小ネタが絶え間なしに続くので見逃しそうになるが、とても心に沁みる台詞が要所にあり、そして全篇を通した脚本の骨格はとてもしっかりしているところがまた面白い。 スタッフロールに入る直前の台詞と俳優たちの表情には、彼らが劇中でついに辿り着いたある劇的瞬間を同じ時期に実際に経験していた自分の感情が瞬時に思い出されて、大笑いしてしまった。 そして、劇中で主人公たちが突きつけられていたスター・ウォーズマニア向けのクイズの数々については、自分は即答かつ全問正解だった。 だから自分も、間違いなく主人公と同じ側の人間のひとりなのだ。 https://filmarks.com/movies/4926/reviews/171250430

  • 隔たる世界の2人 | Two Distant Strangers (2020)

    4.3/5.0 人類がいつか乗り越えなければいけない人種差別問題について、理想とはほど遠い現状を鑑賞者に叩きつけ、これが私達がいま生きている世界なんだと訴えかけてくる映画だった。 主人公に痛ましい結末が訪れる度に時間が巻き戻されるという設定を用いながら、その設定自体が、毎日のようにどこかでこのような悲劇が繰り返されているのだという事実の隠喩と解釈することもできる。 目には目をで武力を用いて闘争するのではなく、自身に憎しみを向けてくる相手とも対話をすることで悲劇からの脱却をはかろうとする主人公の気高い精神に、心を打たれる。 そして、その精神すら踏みにじられるほどの圧倒的な暴力もまた世の中に数多く存在しているという事実の恐ろしさにも、気付かされる。 主人公と相対する警官の内面と良心が、主人公の懸命な努力によって現出してきたのではと期待した先にあった終盤の衝撃的な展開には、時にその理由の解釈すら難しいほどの邪悪が我々の “隣人” として存在している可能性もあるのだと思わされた。 それでも私達は諦めずに対話をし続け、互いのコンテクストを想像し続け、相互理解する努力を続けなければいけない。 あの時代の自分達は愚かだったと誰もが (あらゆる人種と国籍の人間が) 言えるようになる時まで、その努力を放棄していはいけないのだと、心にしっかり受け止めた。 https://filmarks.com/movies/96288/reviews/171248218

  • 10 クローバーフィールド・レーン | 10 Cloverfield Lane (2016)

    3.7/5.0 クリフハンガー的に物語の風呂敷を広げる手法が天才的に上手い (ただし畳むのはそれほど上手くない) J・J・エイブラムスが仕掛け人のクローバーフィールドシリーズには、他篇との世界観的な繋がりが示唆されながらも、それぞれ独立して楽しめるSF映画の楽しさがある。 2作目となるこちらも、POV視点のモキュメンタリー演出だった1作目と大きくスタイルを変えながら、(ほぼ) 密室スリラーとして楽しむことができた。 主演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドはキャリア初期からホラー映画への出演が多く、スクリームクイーンとして有名になっていった俳優だが、絶叫する演技ばかりでははなく、重い緊迫感の中での精神的な揺れのような微細な部分も演じる力量がある。 本篇の大半は地下室、登場人物はほぼ3人という相当に限定された舞台設定で、その空間のキーパーソンを演じるジョン・グッドマンの不気味な役づくりには圧倒される。人間の内面に潜む暗黒面や不安定な精神性を、漫画的ではない実存感のある演技で体現しており、まさに変幻自在の名優といった感じ。 もう1人の人物も含めて3人の間で行われる心理的な駆け引きには、画的にはとても地味ながら、終始ドキドキさせられる。 終盤でのあまりにも劇的な超展開には驚かされるが、そうだったこれはクローバーフィールドだった! と思い出す興奮がある。 終劇直前の画づくりの構図は、映画本篇の後の物語がどう展開するのかの想像が広がる演出があり、とても決まっている。 映画全篇を通して、監督を担ったダン・トラクテンバーグの演出のセンスの鋭さを感じ取ることができる。 シリーズで物語がつながっているようで微妙につながっていない、だから前作や次回作を気にせず単品で楽しめる、でも映画の精神性としてはやはりクローバーフィールド、という特殊なシリーズではあるが、個人的には1・2・3作目のどれも違った魅力のあるSFスリラーだと感じている。 この先に4作目が製作・公開されるとして、ほとんど予備知識なく映画館で1作目を鑑賞した時の衝撃的な体験を更新することは難しそうだけれど… https://filmarks.com/movies/66341/reviews/152619341

  • Search / #サーチ2 | Missing (2023)

    3.3/5.0 映画全篇がラップトップ・スマホ・スマートウォッチ・監視カメラ等のウィンドウの中で描かれるという、仮にひらめいても誰もやらないような演出を本気でやってみた的なシリーズの2作目。 よくそんな描き方が思いつくなぁと驚くような演出手法は1作目と同じく健在で、それはいくらなんでもやや強引かもと感じてしまう部分もあったが、総じて面白く鑑賞することができた。 連絡がつかなくなった母を、様々な機器を駆使しながら、基本的に自宅から離れずに捜索する主人公を軸としつつ、その周辺の登場人物も関連しながら、なかなか予想できない展開が連続する脚本になっており、これもまたよく思いつくなぁという感想を抱いた。 鑑賞した後に特に強い読後感や学びが残るタイプの作品ではないけれど、娯楽作品としてしっかり面白く作られている映画だと思う。 https://filmarks.com/movies/107716/reviews/172129768

© 1998-2026 Shoji Taniguchi

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