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- OATS STUDIOS: 密林の悪魔 | Firebase (2017)
3.7/5.0 ニール・ブロムカンプ監督と、彼が立ち上げた「OATS STUDIO」の製作による、実験的SF短篇集の1篇。 起承転結というよりは、核になるSF的着想や世界観設定の部分の具現化に焦点を絞ったスケッチのようなスタイルだが、どの短篇にも監督の独創性の高さと着想の原典を見ることができる。 戦時下のベトナムにおいて、怪奇現象の発生と謎の生命体の出現があり、その攻撃によって壊滅的な被害を受けた米軍はその脅威にどう立ち向かうのか… という物語。 私達が知っている史実とは全く違ったベトナム戦争が描かれるところに、架空戦記のようなif発想の魅力があり、そのリアリティある画にも見どころがある。 ある兵士の回想シーンで一瞬だけ登場する未知の戦闘機や不気味な超巨大戦車の描かれ方には、不条理な悪夢のような禍々しさがあってとても面白い。 主人公の軍人が持っているらしい謎の能力をもって脅威と向き合い反撃する… といったところで幕切れになり、その能力についても想像の余地が残りまくるので、(良い意味で) もっと観せてよ! という読後感が残る。 https://filmarks.com/movies/99454?mark_id=152700372
- OATS STUDIOS: 融合体 | Zygote (2017)
3.9/5.0 ニール・ブロムカンプ監督と、彼が立ち上げた「OATS STUDIO」の製作による、実験的SF短篇集の1篇。 起承転結というよりは、核になるSF的着想や世界観設定の部分の具現化に焦点を絞ったスケッチのようなスタイルだが、どの短篇にも監督の独創性の高さと着想の原典を見ることができる。 この作品は、極寒地域にある閉鎖的環境の炭鉱を舞台として、生物を殺害・融合し巨大化する怪物の脅威から逃げる2名の人物を描く物語。 その設定にはジョン・カーペンター監督による名作SFホラー「遊星からの物体X (The Thing)」に対するリスペクトが全篇から感じられながら、緊迫感溢れる演出の部分ではジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」シリーズへのオマージュに感じられるところもある。 なおかつニール・ブロムカンプ監督ならではのSFガジェットの質量感と、破壊者の容赦ない暴力性もあって、とても濃度が高い短篇になっている。 主人公を演じるのは、子役時代からハリウッドで活躍しながらすっかり大人になったダコタ・ファニングで、そのキャスティングのセンスがとてもいい。 ダコタ・ファニングが放つ無垢な存在としての美しさが際立つ前半と、ある真実が明らかになってからの後半の演技の変化がとても面白く、一流の俳優が持ちうる演技の説得力はすごいものだなと再確認した。 約20分の短篇では少し物足りず、2時間の長篇で観てみたいとも感じたが、もしかしたら1時間程度の中篇ぐらいが丁度いいのかも知れない。 https://filmarks.com/movies/81782/reviews/152700351
- GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 | Ghost in The Shell (1995)
4.9/5.0 士郎正宗によるSF漫画を原作に、伊藤和典が脚本を、押井守が監督を手掛けた1995年公開のアニメ映画。 大友克洋が自身の漫画を原作に製作した「AKIRA (1988)」と並んで、SFアニメーションの歴史の転換点となり世界中の製作者に大きな影響を与え、多くのフォロワーを生んだ作品。 綺羅びやかなだけではなく、カオティックで退廃的な未来都市の風景の描写は、それそのものに主役のような強烈な存在感と、唯一無二の美しさがある。 作品の公開から約30年 (漫画原作の初出からは35年) 経った今観ても、21世紀の現在とこの先の未来を予見していたかのようなテーマの強さは古びていない。 作中で「義体」と呼ばれる人工身体が普及した世界において、人間や生命の定義とは何か、どこまでサイボーグ化されたらそれは人間と呼べなくなるのかといった哲学的で重い問いが提示される。 また、個人が一生をかけても習得できない膨大な情報 (人類の集合知ともいえる) が既にネットにアップロードされている現在において、原始の海から私達の祖先となる物理生命が発生したように、情報の海から自律的な意識という生命体が生まれる可能性を誰も否定できないのではないかという問いもまた重い。 押井守は原作の内容を大幅に脚色する作風でよく知られ、よくいえば換骨奪胎、あるいは解釈の暴走だという批評もある。 この作品においては、原作の再解釈や演出的な拡張はありながらも、その世界観や展開に則った絶妙なバランスの構成が、伊藤和典の脚本によって成功している。 川井憲次による劇伴も素晴らしく、マシンやサイボーグが日常的に存在する未来における「ゴースト (生命の意識や魂を指す)」の存在を信じさせてしまうような力をもった、土着的で有機的な質感がある。 この映画の鑑賞後にずっしりと残る読後感は、画や音の演出の素晴らしさだけではない、SFと哲学が限りなく近接することで形を成した、遠からず人類が直面し回答しなければならない問いの重量なのだろうと思う。 主人公の草薙素子の声を素晴らしい存在感で演じられた田中敦子さんの、ご冥福をお祈りします。 https://filmarks.com/movies/12523/reviews/152629372
- ベラ・ボーンの監督作 | A Film By Vera Vaughn (2015)
2.2/5.0 ワンアイデア10分のホラー短篇。 映画監督の主人公が自宅で作品の編集をしていると、届いたメールに自分自身の姿が映った動画があり… という導入は面白い。 中盤で脚本的に大きな飛躍があり驚きはしたのだが、そこには意外性はあっても納得感があまりなく、終盤や結末も同様。 ただ、設定のアイデアに驚かされてもっとこの物語を深く知りたいと感じたところで終劇するという点は、短篇映画ならではの面白さでもある。 https://filmarks.com/movies/102306/reviews/181171637
- 野獣 | Fauve (2018)
4.1/5.0 15分程度の短篇ながら、強い読後感が残るカナダの映画。 2人の少年の演技とは思えないほど自然でリアリティのある演技、色彩が抑えられた風景、狙いが明確で強い構図、どれもレベルが高い。 無垢な生物だけが持つ唯一無二な美しさと危うさは、いつそのバランスが崩れてもおかしくない状態で共存していて、だからこそ尊いということなのだろうか。 誰もがかつてそういう存在であったことを多くの鑑賞者に思い出させ、複雑な内省を促す力を秘めている作品だと感じた。 https://filmarks.com/movies/82427/reviews/181171591
- モンスターズ | Monsters (2015)
3.1/5.0 ワンアイデアで勝負といった感じの、15分ほどの短篇。 生まれた時からずっと地下で生活してきた10歳の主人公と、怪物達に支配された地上に出ていいのは大人だけなのだと諭すその家族。 自立心と好奇心から家族の目を盗んで地上に出ようとする主人公が目にしたのは… という物語。 序盤で示された設定やタイトルに関しては、終盤に提示されるSF的な真実によって回収され、納得感がある。 何十年も昔からSF系の短編小説や漫画で何度も使われているアイデアの変奏曲的な短篇ではあるが、そつなくまとまった佳作といった印象だった。 https://filmarks.com/movies/102372?mark_id=165856128
- ハッピー・デス・デイ 2U | Happy Death Day 2U (2019)
3.4/5.0 ブラムハウス・プロダクションズのジェイソン・ブラム製作によるホラーコメディの続篇で、主な舞台や登場人物達は変わらずだが、ジャンルはホラーというよりもSFコメディに変化している。 1作目で監督を担ったクリストファー・B・ランドンが、2作目の今作では脚本と監督を兼任。 前作はタイムループという設定を用いたシンプルかつ工夫が効いた脚本だったが、今作はそれにパラレルワールド (並行世界) の設定も加わり、物語の運びがやや複雑になっている。 1作目では省略されていた、タイムループが起きた原因は何かといった部分を、主人公を取り巻く環境や周辺人物の設定を用いながら描いており、後付感が少ない脚本構成の巧みさに驚く。 前作の製作時から今作の物語までを含めた全体の構想が製作者達の中にあったのだとしたら、それも驚き。 ループする最悪の日の繰り返しという点は前作のスタイルを踏襲しつつ、ループに入る前の世界とは似ているようで違う世界が舞台になっているところが今作のポイントで、元の世界に戻りたいという願望だけではない主人公の葛藤の描き方が面白い。 脚本がやや複雑化したことの影響か、1作目より設定の粗が気になるところもあるにはあったが、それでも比較的低予算なSFコメディの娯楽作品として十分に楽しめる映画だった。 https://filmarks.com/movies/81434/reviews/181142019
- ハッピー・デス・デイ | Happy Death Day (2017)
3.6/5.0 話題作を次々と世に送り出す製作会社の常連となったブラムハウス・プロダクションズによるホラーコメディで、「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本や製作を担ってきたクリストファー・B・ランドンが、今作の監督を手掛けている。 性悪な主人公が仮面をつけた謎の人物に殺されると、なぜか時間が巻き戻されてその日の朝に戻ってしまい、主人公は何度もその最悪の日を繰り返し過ごしながら自身を手に掛けた犯人の正体に迫るという、シンプルながら工夫が効いた設定。 同じ風景や状況が繰り返し使われることになるので、必然的に撮影の効率が上がって予算を抑えられるという製作観点でのアイデアの巧みさも、予算は少ないが製作者には最大限の創作的裁量を与えるというポリシーのブラムハウスならではと感心する。 自身が死ぬ日を繰り返す中で、序盤では最悪の人格にしか思えなかった主人公の内面が少しずつ見えてきて、事件の真相に迫る筋書きと主人公のキャラクターアークの変遷が同時進行していく脚本は、とても完成度が高い。 主人公の性悪な振る舞いが酷いこともあって、主人公に恨みを持つであろう人の思い当たりがあり過ぎ、登場人物の誰もが犯人に思えてしまうところは笑えるが、終盤ではけっこうひねりの効いたツイストがあり、序盤から丁寧に仕組まれていた伏線が鮮やかに回収されていく面白さがある。 大予算をかけて名俳優を起用したりド派手で豪華なVFXが山盛りな映画を観る楽しさはもちろんあるが、この作品のように、予算が限られていても設定や脚本次第で面白いものを製作することはできるのだと証明するような映画は、個人的にとても好みだ。 https://filmarks.com/movies/74951/reviews/152628584
- アップグレード | Upgrade (2018)
3.5/5.0 「ソウ」シリーズの脚本からキャリアをはじめ、自身で脚本と監督の両方を担うようになったリー・ワネルが手掛けたSFアクション映画。 ホラー映画の実績が多い監督ということもあり、脚本の面白さに加えて恐怖の描き方も安定感がある。 交通事故とその直後の悪党の襲撃によって妻を失い、自身も四肢麻痺という重大な後遺症を負った主人公が、超高性能のAIチップを体内に埋め込むことで身体能力を取り戻し、妻を手に掛けた犯人を追うという筋書き。 SF映画らしい発想の飛躍があるが、もしかしたら近い将来にこのような科学技術が実用化されるかも… と想像が広がる面白さがある。 リー・ワネルと、「ソウ」シリーズや他作品でもタッグを組んでいるジェームズ・ワンに共通する才能として、大胆でオリジナリティが高いアングルとカメラワークがある。 どちらもホラー映画出身でありながら、出身ジャンルに全くとどまらない演出スタイルを目にすることができる。 この作品では、アクションの主体は人間でありながら、その動作を制御しているのはAIであるという設定を、人間的にあり得ない (仮に思いついても誰もやらない) ような奇抜なカメラワークで表現しており、その不気味さが抜群に面白い。 人間が演じているアクション自体も、AI制御によって生まれる効率的過ぎてやや滑稽ともいえる身体動作は一見の価値がある。 犯人探しと復讐という定番的な物語を踏襲しつつ堅実に展開する脚本でありながら、終盤においてはなかなか面白いツイストがあり、鑑賞者によって好みが分かれそうな結末でもあるが、個人的には意外性があり面白い脚本だと感じた。 80〜90年代の古き良きB級SFアクション映画を最新の演出や設定で "アップグレード" したような、どこか懐かしくも斬新な読後感のある良作だった。 https://filmarks.com/movies/79356/reviews/152618724
- ミッション: 8ミニッツ | Source Code (2011)
4.1/5.0 伝説的ロックスターのデヴィッド・ボウイを父に持つダンカン・ジョーンズが監督を担ったSF映画。 陸軍で働いていた主人公が目覚めるとそこは見覚えのない通勤電車の中で、混乱しながら鏡を見ると自分自身とは違う人間の顔が映る。 主人公が状況を把握できずにいると電車に仕掛けられた爆弾が起動し、主人公も含む乗客全員が死亡するという、衝撃的な導入で一気に引き込まれる。 主人公が何度も目覚める通勤電車は、既に起きてしまった列車爆破事件で死亡した乗客達の「最期の8分間」の記憶を繋ぎ合わせて再構成された並行世界で、主人公は現実世界からその8分間の並行世界に送り込まれた存在であることが序盤で明らかになる。 主人公は、爆弾を仕掛けた犯人を特定することで次の悲劇を防ぐという任務を果たさなければいけない。 ほとんどのシーンが8分間の通勤電車と主人公に指令を出す人々が存在する基地で構成されていて、とても限定的でありながら、無駄のない脚本と見せ方に工夫のある演出で約90分にしっかりまとまっており、中弛みや退屈するところがない。 繰り返される8分間の世界も、主人公がその仕組みを理解し行動を変えることで周囲の人々の行動も少しずつ変化していく演出が面白く、巧みな設定だと感じる。 主演のジェイク・ギレンホールの演技はやはりこの作品でも素晴らしくハイレベルで、突飛な設定や状況の描かれ方に説得力を持たせている。 その恋人役を助演するミシェル・モナハンも、慎ましくありながら確かな存在感があり、名優であることをあらためて感じた。 劇中のある人物の説明で、この8分間の並行世界はあくまでも記憶へのアクセスであり過去へのタイムトラベルではないと明示されるが、この並行世界は本当に架空のものなのか? という大きな問いがあり、終盤には (賛否ありそうな) センス・オブ・ワンダーな飛躍がある。 現実世界で主人公が置かれている境遇の残酷さは、軍人として生きるということの批評として成立していると思うが、主人公が並行世界へ潜り込む際に意識をジャックした人間の人権はどうなるのか? といった倫理の部分は、設定の面白さとは別のところで少し気になってしまった。 作品のリアリティを高めるためには科学考証と論理の厳密な正確性も重要だが、もしもこんな技術が未来で開発されたら… といったif発想の飛躍こそがSFの魅力でもあり、その意味でとてもオリジナリティの高い作品であることは間違いがない。 https://filmarks.com/movies/8346?mark_id=152619018









