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  • コード・エイト Part II | Code 8 Part II (2024)

    3.2/5.0 シリーズ1作目に掘り出し物的な面白さがあったのでこの続篇も期待しつつ観たが、1作目の方が良かったかなあと感じてしまった。 X-MENの設定にも通ずる、超能力者が不当に虐げられている世界というSF的設定が、今回は脚本や物語にあまり活かされていなかったところがやや残念。 脚本上のアラに細かくツッコんでいけばキリがないけれど、大半のSF映画には多かれ少なかれそういう部分があるものだから、自分としてはあまり気にしない。 けれど、色々気になって鑑賞途中で冷めてしまう人も多いかも知れない。 良くも悪くもド派手で景気のいいハリウッド映画とは一味違う、曇天の重い空気の質量を感じる激渋トーンは、前作に引き続きかっこいい。 子どもの頃に衛星放送とかで古き良き時代のB級SF映画達をぼんやり観ていた時のような、何故か懐かしい感覚を覚えた。 その理由を正確に言語化するのが難しいが、この映画が纏っている重いオーラが、当時のフィルム映画の暗部がずしっと沈み込んだトーンに近いのかも。 https://filmarks.com/movies/104549/reviews/170349299

  • バッドランド・ハンターズ | Badland Hunters (2024)

    3.6/5.0 冒頭から終劇まで安定感のある面白さで、茶目っ気のある笑いどころも含めて楽しみながら鑑賞した。 序盤で何箇所か微妙に演出が軽いかなと感じるところがあり、ハードな世界観とこの軽妙さのギャップでコント的にならないかなと不安になったが、全体を通して観れば些細なことかなと思う。 ポストアポカリプスな世界の物語でありながらその脚本の軸に家族的情念がしっかり関連し、それが登場人物達の行動原理に説得力を与えているところが実に良い意味で韓国映画らしいというか、民族的な強いコンテクストがやはりその根底部分にあるのだろう。 それはともかく、今や世界中に多くのファンを持つマ・ドンソクの画力というかオーラというかは、やはり桁違いだなと再確認した。 スクリーンやディスプレイを通してでもその質量が伝わってくるかのような、正に唯一無二の存在感。スーパースターだなあ。 マ氏のみならず他の俳優達 (とスタント) も重量感のあるハイレベルなアクションを演じ切っていて感銘を受けたが、特にクロースアップと手持ち撮影を多用した格闘戦のカメラワークだけは、戦闘の臨場感を演出したかったのであろうことは想像できつつ、少し揺れ過ぎではないかと思ってしまった。 あんなに揺らさず、寄り過ぎず、何なら少し引きめのアングルからほぼ固定のカメラでどっしり撮るぐらいでも、マ氏の迫力はきっと充分過ぎるほど鑑賞者に伝わってくるはず。 https://filmarks.com/movies/113221/reviews/170278683

  • LEGO (R) ムービー | The LEGO (R) Movie (2014)

    4.2/5.0 世界中の家庭にけっこうな確率で存在している、もしくはしていたであろうLEGOブロックの意匠を全面的に用いた演出の完成度の高さに驚かされた。 LEGOで遊んだことがある人ならよく分かるLEGOあるあるに何度もニヤニヤしてしまったし、ネタバレになるので具体的な言及は避けるが他の映画作品では到底実現しないであろうゲストキャラ達の登場 (と明確な演出意図あっての雑過ぎる扱われ方) に度肝を抜かれた。なんとロックな。 モノを創り出すとはどういうことか、創造の根源にある想像という行為にはどんな可能性があるか、LEGOの作り手達は創造と想像にどう貢献できると信じているのか… 一流玩具メーカーの、自分達のプロダクトへの謙虚だけれど確固たる誇りがとても強く感じられた。 この映画の制作者達の完全にイカれているのに真摯な物語を作れる (それこそ創造だ) 破天荒な才能もまた、素晴らしいと思う。 子どもの頃ってみんな、これぐらいクレイジーで脈絡ない想像の世界で遊んでいただろう? まだ忘れていないだろう? 自分が宇宙船だと思って組み立てたならそれは宇宙船だろう、それはお前の宇宙を飛ぶだろうと語りかけられているような貴重な映画体験だった。 https://filmarks.com/movies/56361/reviews/170220905

  • ミッション: インポッシブル / デッドレコニング | Mission: Impossible - Dead Reckoning (2023)

    3.9/5.0 トム・クルーズのライフワークとも言える超有名シリーズで、ボディダブルやVFXを極力使わず俳優本人の身体演技や画のリアリティに極限までこだわりながら作られた様々なアクションシーンの凄みは唯一無二、他の追随を許さないといえるレベルで、流石としか言いようがない。 ただ、シリーズを重ねるごとに私たち鑑賞者や批評家のこのシリーズへの期待がどんどん高くなっているように思い、また目玉になるシーンのかなりの内容を予告篇で見せてしまっていることもあって、初鑑賞時の度肝を抜かれるような映画体験はあまり得られなかったところが残念だった。 これだけの超大作を制作するには当然ながら巨額の予算や長大な期間がかかるものだから、予告篇にて期待を最大まで高めることで興収を最大化する必要があることはもちろん分かりながら… シリーズ第1作目からの大ファンのひとりでありながら、クリストファー・マカリーが監督を担当するようになってからの脚本には少しだけ不満がある。 要所でのアクションの見せ場のイメージが先にあって、その前後のつなぎの脚本は撮影直前まで完全には固まっておらず、マクガフィンを軸にギリギリのところで接続するような形で制作するスタイルを取り入れていると知って、うーんなるほどだから劇を横断する伏線的な脚本にはなかなかならないのかと腑に落ちた。 自分自身は脚本に伏線がなければ良い映画にはならないという極端なスタンスではないけれど、ほぼアクションと画の力だけで映画を成立させるというのはなかなかな力業だなと感じ、脚本の巧みさと比類なきアクションのどちらも揃っていれば最高なんだけれどなぁ… と感じてしまう。 これだけのレベルのアクションを観せてもらいながら、そんな贅沢を求めてしまう鑑賞者や批評家がいる (しかも世界中に) ことも、また制作者たちにとってはプレッシャーになってしまうのだろうとも思いながら、次回はシリーズフィナーレということで、やはりいちファンとして期待したい。 https://filmarks.com/movies/86239/reviews/162876651

  • アクアマン / 失われた王国 | Aquaman and the Lost Kingdom (2023)

    3.8/5.0 シリーズ1作目で爆発的なまでに発揮されていたジェームズ・ワン監督の外連味あるカメラワークの演出センスはやや抑えめに感じられたものの、この2作目も単品映画として観ればとても完成度の高い映画だった。 大スケールな世界観の広がりとその大胆な描き方は健在で、楽曲や劇伴の使い方もオーソドックスながら気が利いていて楽しい。 前作で主人公と敵対したキャラクターが仲間に、しかも主人公の相棒的な存在にまでなって、ギクシャクしながらも共闘するという少年漫画的な展開も、俳優たちの好演もあってとっても楽しく感じられるものだった。 コミックを原作とするDCやMARVEL映画+ドラマのシリーズは、今や映画業界のメインストリームとして確固たる地位を確立しながらも、他作品との関連性の強さに良い点とそうでない点があり、肯定派と否定派の議論の熱が高まるばかりだけれど、自分はどちらの派閥にも属していないし、またどちらの派閥の話にも共感できる部分がある。 シリーズの関連性が高ければ高いほど、その世界への興味が持続しさえすればどんどんと関連作品を楽しむことができるけれど、その分ディープなファンではない鑑賞者にとっては理解が難しいモチーフやエピソードも増えてきて、単品としての没入感が弱くなってしまう。 ファンがどんどん増えてより多くの人々の間で映画の話ができることが当然の理想なのに、新規ファンにとってのハードルが高くなることは良いことではないし、ましてやコミック原作の映画シリーズが (また) 一部のディープなファン以外に楽しめないものになってしまうことは、誰も望んでいないはず。 個人的な考えとしては、シリーズの関連性が高くともついていける (いちおうDCシリーズを全部鑑賞しているので) けれど、何でもかんでも関連してくれなくとも構わないという思いがある。 この作品のように、他のDCシリーズと世界観を共有しながら物語としてはほとんど関連していないほぼ独立的な作品でも、充分に楽しい映画体験ができるので。 また、映画やドラマを観ている時はそのフィクショナルな世界に没入したいので、そういったリアルな世界の議論や出演者の私生活に関するいざこざの情報もなるべく欲しくないと思っている。 その意味で、この作品においてけっこう重要なポジションの配役を担っていたアンバー・ハードが私生活で大揉めだったために出演シーンが削られたとか、DCの映画シリーズがこの作品をもっていったんリセットされるとか、そういうノイジーな情報が事前にないコンディションでこの作品を鑑賞したかったなと残念な気持ちになった。 アンバー・ハードは個人的にファンだったこともあり、アンバーの出演シーンになるたびその醜聞が頭をよぎって現実に引き戻されてしまったところが残念だった。 素晴らしい俳優のひとりだと思っているので、またスクリーンで輝いて欲しい。 https://filmarks.com/movies/94989/reviews/170062399

  • ザ・クリエイター / 創造者 | The Creator (2023)

    4.3/5.0 監督・脚本のギャレス・エドワーズに注目しており、このオリジナル脚本のSF映画にも大きく期待しながら鑑賞した。 監督が影響を受けたであろう過去SF映画達が様々なシーンから分かりながらも、それらがただ参照されているだけではなくマッシュアップされてひとつの物語になっており、とても面白く観ることができた。 SF映画は原作小説やコミックをベースに作られることが多い時代にあって、個人のコンテクストだけで脚本を組み上げられるその才能は貴重だと思う。 超低予算の自主制作的映画からキャリアを始めた監督だけあって、独特なロケーションとSF的モチーフが組み合わさった重厚に見えるカットも、合成手順や撮影工程を工夫して予算を抑えているらしい。 予算と品質は必ずしも比例しないという好例だと思った。 https://filmarks.com/movies/110291/reviews/165160837

  • イノセンツ | The Innocents (2021)

    3.7/5.0 大友克洋の「童夢」からインスパイアされたであろうことが明らかに分かるけれど、自分にとって馴染みのないノルウェーという国家とそこで生きる人々の空気が独特に感じられ、最後まで興味深く鑑賞できた。 特に、外国を訪れる際にその観光目線で観察することはほぼないであろう団地という舞台設定が新鮮だったのかも知れない。 ハリウッド的なド派手な爆発や目まぐるしく切り替わるカメラワークは皆無といっていいほどなく、むしろその対局のような極めて抑制的な演出で場の緊張感や不穏な空気を滲ませている。 何かと地味でテンポもゆっくりで退屈! と感じる人も少なからずいそうだけれど、自分にとってはとても惹き込まれる演出だった。 https://filmarks.com/movies/98719/reviews/165387669

  • ブルービートル | Blue Beetle (2023)

    3.9/5.0 DC映画シリーズの一篇ではあるが、シリーズとしての連続性や他作品との関連性はほとんどなく、事前の基礎知識習得も必要なく楽しめる。 少し独特な単発のヒーローアクション映画として観れば、しっかり面白い。 日本の戦隊ヒーロー的なアクションやポージングを参照したのかなと思わせる主人公のキメのダサカッコ良さだったり、家族がわちゃわちゃしていてコミカルなところだったり、色々な表情と愛嬌がある素敵な作品だった。 https://filmarks.com/movies/101381/reviews/165180597

  • ミッチェル家とマシンの反乱 | The Mitchells vs. the Machines (2020)

    3.9/5.0 冒頭から終幕まで飽きたり中だるみするところなく、楽しい気持ちで鑑賞した。 かといって終始ハチャメチャなアクションやドタバタが続くわけではなく、物語全体を通しての緩急の演出設計のレベルがとても高い。 ハイテンションなシーンがベースにあるからこそ、主人公たちの心情の奥底を描く静かなシーンの微細な演出も対比的に際立ってくる。 物語に用いられるモチーフの数々は現代的だったりハイテクだったりしながらも、家族の愛の形とはどうあるべきかという普遍的なテーマが根底にしっかりあって、地に足のついた物語として成立しているところが素晴らしいと感じた。 インターネットなしでは生活が難しくなった時代に生き、ゆくゆくはAIも同じく必要不可欠な存在になろうとしている我々への風刺が終始効いていて、そのメッセージはユーモアに包まれていながらも痛烈。 数々のネットミームネタやSNSリア充達に抱いてしまう劣等感等のネタは、世界共通のものなのかと驚きながらも笑った。特にお掃除ロボットのあるあるギャグは切れ味が最高だった。 また、家族の思い出あるある (特に苦い方の) もまた国や人種を越えて共通するところがあるのだなと苦笑いしてしまった。 https://filmarks.com/movies/89671/reviews/169904569

  • ガタカ | Gattaca (1997)

    5.0/5.0 90年代末に公開された寓話的なSF映画だが、21世紀に入ってからの遺伝子工学の加速度的進化と、そのスピードに追いつけない人類の文化的・生物学的なモラルの進化の問題が予見的に描かれている。 そのテーマは古びないどころか、今後の私達にとってさらに重要なものとなっていくはず。 脚本の完成度の高さはもちろんのこと、俳優たちの抑制的だが熱を感じて惹き込まれる演技、マイケル・ナイマンによる至高ともいえる劇伴、いくつかの象徴的なシーンにおけるモチーフのレイアウト等、映画作品としてのレベルが極めて高い。 (特にあるシーンにおける暗喩的な美術のアイデアとその見せ方には驚かされた) 自身の人生とは何なのか、そこにどんな必然性と生きがいを見出すのか。 生まれ落ちた時から宿命が定められているならば、その定めに抗うことは無駄なのだろうか。 抗い乗り越えること、その過程で命を燃やすこと、その小さな歩みの積み重ねこそが人生なのだと、自分は受け取った。 https://filmarks.com/movies/6491/reviews/152617163

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