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  • ミスミソウ | Liverleaf (2017)

    3.3/5.0 押切蓮介による漫画を原作とするバイオレンス・ホラー映画で、「ライチ☆光クラブ」や「ホムンクルス」等のダークな作風で知られる内藤瑛亮が監督を担っている。 映画鑑賞前に原作漫画を読み終わっていたので、こんなにダークで容赦のない暴力描写ばかりの物語をどうやって実写化するのだろうと思いながら鑑賞したが、ハリウッドや韓国等の映画と比較すればやはり薄っぺらく感じてしまう部分があるものの、概ね原作の見せ場を忠実に実写でやり切っているのではと感じた。 VFXのチープさや俳優達の演技の浅さが気になって物語に没入することが難しかったが、少なくとも監督がどんな画を形にしたいかについてはしっかり伝わってきた。 主人公を演じる山田杏奈やその主人公に想いを寄せる同級生を演じる清水尋也には存在感があったが、安っぽいVFXや血糊メイクで俳優に損をさせてしまっているような… また、主人公が窮地に陥ると「こんなところに◯◯が落ちていた」といった形であり得ないレベルの幸運を発揮し逆転アイテムを拾うシーンが頻発するが、これらは原作でもほぼ同様なので、ある意味仕方ないともいえる。 原作漫画でも映画でも共通する要素、というよりは根底に描かれているものとして、閉鎖的なコミュニティに生きる者達が感じる息苦しさがある。 客観的に考えればどうしたってまともではないと思える事態も、その閉じた世界に生きている者達にはその異常さを自覚することができないという社会の闇を、この作品はバイオレンスという手段を通して描出している。 小さな田舎街で生まれ育ち、いつも息苦しく生き辛い思いをしてきた自分は、劇中の暴力描写によって、少年時代に受けた傷を再び抉られるような幻視的な痛みを感じた。 https://filmarks.com/movies/75318/reviews/193770153

  • スマイル2 | Smile 2 (2024)

    3.8/5.0 不気味な笑顔を浮かべた人間が次々と自殺するというショッキングなホラー映画「スマイル (2022)」の続篇で、前作の監督だったパーカー・フィンが今作でも原作・脚本・監督を担っている。 前作の直後から物語が始まる形でその設定が直結しているが、今作の主人公は世界的に有名なアーティストで、比較的質素な舞台が多かった前作と比較すると画が都会的でとっても派手。 低予算で製作された前作が世界中で数百億円の興行収入を記録したことで、予算が大幅に増えたからだろう。 主人公が超常現象的な怪異に巻き込まれ、自身のトラウマ体験とも向き合うことを余儀なくされながらその事態の打開を計るというシンプルな脚本の中に、前作に引き続きゾワッとするほど強烈に怖い画がたくさん組み込まれている。 脚本の粗をあげようと思えば色々気になるけれど、この映画はそういった整合性よりはジャンプスケアも含めた恐怖演出に重点を置いていることが明らかなので、あまり深く考えずそれを楽しむことが正解のように思う。 画の表現が強烈なのでそこに注目が集まりそうだけれど、落ち着かない気持ちにさせる不気味なサウンドデザインもレベルが高い。 主人公を演じるナオミ・スコットの存在感は抜群で、その美しさで画をもたせる力があることはもちろんなのだけれど、誰もが憧れるであろう才能を持つスーパースターでありながら同時に精神性が未成熟かつクズでもあるという強烈な個性を持つ人物を演じきっており、素晴らしい俳優だと感じた。 ゴアなシーンや怪異の正体が現れるシーンの強い実存感が印象に残ったのでメイキング映像を探してみたら、CGで何でもできるであろうこの時代に、1980年代のSFやホラー映画の舞台裏を思わせるほどのアナログ手法で実物ベースの撮影をしていたことを知った。 監督のマニアックなこだわりやプライドをそこに感じ、楽しい気持ちになった。 https://filmarks.com/movies/117291/reviews/193222195

  • トラップ | Trap (2024)

    3.7/5.0 「シックスセンス (1999)」の終盤のどんでん返しが発明レベルかつ衝撃だったことから、それ以降に製作する作品のハードルが上がり過ぎているM・ナイト・シャマランによるサスペンス映画。 今作の設定で面白い点は、一見子煩悩な主人公が実は善人じゃないどころか連続殺人犯であるところに尽きる。 大切に思う娘のためにチケットを手に入れたアーティストのコンサートに入場した主人公が、FBIと警察による厳重な警備で会場ごと封鎖されていることに気づき、それが自分を逮捕するための罠だと気づいて何とか脱出するために策を練るという脚本が、ツイストが効いていて面白い。 また、そのために主人公がとる行動が人でなしだったり、あり得ないと感じるほど突拍子がなかったりするところも、ポジティブにいうと劇的で退屈しない。 会場から脱出するもしくは失敗するところで物語が決着するのかなと思いきや、そこからさらに物語が展開し第二幕が始まるところにも意外性がある。 主人公を演じるジョシュ・ハートネットは屈強でヒーロー感のある善人役のイメージが強かったが、今作では良き父親でありながら殺人犯という複雑な精神性を持つ役柄を見事に演じており、ハイレベルな演技を鑑賞することができる。 多数のファンがコンサートに集まるアーティスト役を演じるのは監督の娘かつシンガーソングライターとして活動しているサレカ・シャマランで、劇中でも歌唱を披露している。 作品鑑賞前は、アーティストの存在は舞台設定におけるマクガフィンのひとつで、親バカとして有名なM・ナイト・シャマランのささやかなお遊びなのだろうと思っていたが、それどころじゃないというか脚本上のキーパーソンともいえるほど重要な役どころになっており、さすがに親バカが過ぎるのではと笑ってしまった。 物語の終盤でどんでん返しがあるのかないのかについては、シャマラン監督の作品が公開される度に会話されるぐらいの鉄板ネタになっているようにも思うが、今作がどうなのかについての言及は避けたい。 個人的には、脚本全体を通して良くも悪くも映画的な飛躍が大き過ぎて破綻しているように感じるところもいくつかあるけれど、演出の巧みさや俳優の演技の説得力もあって鑑賞中は何となく納得させられてしまう魅力があり、サスペンス映画としての興奮を楽しむことができた。 https://filmarks.com/movies/114684/reviews/193222309

  • タイタン | The Titan (2018)

    2.9/5.0 「アバター」シリーズや「ターミネーター4」に出演していたサム・ワーシントンが主演しているSF映画で、NETFLIX資本で製作・配信されている、いわゆるNETFLIXオリジナル (B級) 映画の1篇といえそうな作品。 未来において人口爆発と環境破壊による絶滅の危機に直面した人類が、土星の衛星タイタンへの移住を計画し、その過酷な環境へ適応するための「強制進化」ともいえる人体改造実験が行われる、という物語。 軍隊で働いていた主人公は従軍時のサバイバル経験を評価されてその実験対象に選ばれるが、前人未到で成功が保証されていない改造のため、同僚達は次々と命を落としていく。 製作者達はおそらく、予測不能な人体変容とそれによる人間性の喪失といった部分の描き方において、巨匠デヴィッド・クローネンバーグによるホラー映画「ザ・フライ (1986)」あたりに敬意を払いながら参照したのだろうと感じた。 人類のためとはいえその行為に倫理的に問題はないのかといった科学者のジレンマについても描かれてはいたが、どうもそのあたりが曖昧なまま決着せずに物語が進んでいくので、テーマについての踏み込みが浅い印象が残ってしまう。 脚本としていちばん気になったのは、仮に人類の誰かが過酷な強制進化に成功しタイタンへの移住が実現したとしても、そんなに改造の成功率が低いのなら、移住できるのは結局ほんの一握りに限られて、大半の人類は改造に耐えきれず絶滅してしまうのでは… という点。 派手な画づくりはほとんどないながらもテーマには興味があったので最後まで鑑賞できたが、やや微妙な消化不良感が残るB級映画だった。 https://filmarks.com/movies/79092/reviews/193222370

  • デモニック | Demonic (2021)

    2.7/5.0 「第9地区」「エリジウム」「チャッピー」といったバイオレンスなSFアクションを得意とするニール・ブロムカンプ監督が手掛けたSFホラー。 同監督の作品の中では知名度が低い作品だが、その作風や演出センスが大好きなファンのひとりとしては見逃せず鑑賞した。 絶縁中の母が昏睡状態にあることを知った主人公が、その母が保護されている医療施設を訪れるが、医師たちから「母親の意識とコミュニケーションできる仮想空間に入って母親を現実世界に呼び戻す」ことを依頼されるという、ニール監督らしいSFアプローチの導入。 ただ、その母には壮絶な過去があり、昏睡していることにも驚愕の理由があり… と、SFからオカルトの方向へとジャンルが展開していく。 世界中を巻き込んだ新型コロナ禍の期間に製作された作品ということがあり、ニール監督は今作以前の大規模な製作体制の考え方を大きく変え、限定されたチームスタッフとリソースで今作を完成させたらしく、精緻なVFXや大規模なアクションシーンは抑えられている。 今作では仮想世界の演出に重きが置かれていて、数世代前のコンソールゲーム機が演算していたような粗いポリゴンで構築されているのだが、その歪さや不完全さが仮想世界の非現実感や不気味の表現にもなっていて、個人的には面白いと感じた。 ただ、予算がないから苦し紛れでこんな安っぽいCGにしちゃったの? と感じる人が多いだろうとも思う。 後半では物語が大きく動き出すのだけれど、そこからは凡庸なホラー映画と同じような話の運びになってしまっていて、ブロムカンプ監督ならではともいえる脚本のド派手な暴走と激しい着地を観ることができず、監督のファンとして期待していたこともあり物足りなかった。 ブロムカンプ監督自身が設立した短篇映画製作プロジェクト「オーツスタジオ」での実験的なアプローチの経験を今作に活かしたということらしいけれど、「オーツスタジオ」の短篇達の方が今作よりもずっとワクワクしたなぁと感じてしまったところがやや残念。 監督のファンであることは変わらないので、次はどんな新しい世界を見せてくれるのか期待して待ちたい。 https://filmarks.com/movies/97960/reviews/152694641

  • ソウX | Saw X (2023)

    3.0/5.0 2004年に公開された1作目の衝撃的な物語から大人気ホラーシリーズとなった「ソウ」の10作目で、1作目から編集でシリーズに関わり、6作目と7作目では監督も務めたケヴィン・グルタートが今作の監督と編集を担っている。 今作の時系列での位置づけは1作目と2作目の間になるが、シリーズのファンでもそうではなくとも、脚本に大きく影響することではないのでそれほど気にする必要もない。 シリーズのファンにとっては、その生死に関係なくシリーズ全体を支配し続ける主人公ともいえる猟奇殺人鬼ジグソウが復活する (正確にはまだ存命) という意味において、原点回帰的な楽しみがあるといえばある。 末期がんを患った主人公が奇跡的な治療法を求めメキシコへ渡るが、自分が悪質な医療詐欺に巻き込まれたと知って絶望し、詐欺師達への復讐を行うという筋書き。 シリーズの特別なファンではないながら何となくこれまで全作を観てきた自分は、毎回極限レベルに痛そうでグロテスクながら同時に笑ってしまうぐらいクリエイティブな殺人システムの数々に興味があり、今回はどんな仕掛けが発明されているのかが気になって鑑賞したが、その点では今回も退屈はしなかった。 ジグソウが標的と設定した人々が一方的かつ残虐に殺されるのではなく、自身を痛めつける (ジグソウにとっての救済措置であり贖罪) 行為を完遂すればギリギリ命だけは助かる仕掛けになっているところが、他のホラー映画シリーズとは違ったソウシリーズ独自の個性といえる。 主人公でありながら猟奇殺人鬼でもあるジグソウという存在なりに、「命の尊厳」についての強固な哲学を持っているところが面白い。 とはいえ、10作目ともなるとやはり物語の設定や脚本のツイストにも斬新なアイデアを見つけることが難しく、長く続くシリーズの宿命としてあるマンネリとその打破に挑む製作者達の苦しみがそのまま作品に出てきてしまっているようにも感じられ、うーんこのシリーズはいつまで続くのだろうと思ってしまった。 https://filmarks.com/movies/111550/reviews/192384418

  • ブルードラム | The Blue Drum (2022)

    1.2/5.0 約16分の短篇ホラーで、NETFLIXが実施している有色人種女性のクリエイター向けの短篇映画製作支援プログラムの一環として製作されたものらしく、今作はメキシコ系アメリカ人のアンジェリータ・メンドーサという若い監督が手掛けている。 父親の葬儀を終えた主人公が、家族の間で長く隠され続けてきた秘密を知る… というシンプルな物語だが、たった16分程度しかないのに何度か眠くなってしまうほど演出が退屈に感じてしまい、結末にもほとんど驚きがなく、うーん何だこりゃという読後感が残ってしまった。 ショートフィルムの良さのひとつに、限られた時間を本当に必要な物語のピースで構成するという、いわゆるless is more (少ないことは豊かである) な演出を味わえるところがあると思うのだけれど、この作品は不要で冗長で退屈なピースばかりを集めてしまったように感じる。 若手やマイノリティのクリエイターの成長と活躍を支援するNETFLIXのプログラムは価値あるものだと感じるけれど、予算を出す以上は多少のクリエイティブコントロールも必要なのでは… と、作品外のことを思わずにいられなくなる珍品だった。 https://filmarks.com/movies/120350/reviews/192384360

  • ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス | Doctor Strange in the Multiverse of Madness (2022)

    3.9/5.0 マーベル・スタジオが製作・展開するマーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) に属する映画として28作目にあたる作品で、同ユニバースにおけるヒーローのひとり、ドクター・ストレンジを主人公とする映画シリーズとしては2作目にあたる。 主演はベネディクト・カンバーバッチが続投し、監督は1作目のスコット・デリクソンから「死霊のはらわた」や「スパイダーマン」シリーズ (2002, 2004, 2007の3部作) を手掛けた巨匠サム・ライミに交代している。 映画タイトルにもある通り、今作はMCUにおけるマルチバース (多元宇宙であり並行世界) の設定とその描写が本格的に取り入れられており、「アイアンマン (2008)」から始まったMCUの膨大な作品群を全部観てきたMCUファンにとってはワクワクするものの、そうでない人は「?」という気持ちになってしまうのではと思うシーンがいくつかある。 今作で主人公のドクター・ストレンジと対峙することになるスカーレット・ウィッチという人物の存在も同様で、本篇の中でいちおうの説明はあるものの、これまでのMCU作品を知らない人にとってはその感情や行動の理由を深く理解することが難しいのではないかと感じてしまった。 それはさておき、ホラー分野でカルト的な尊敬を集めるサム・ライミの強烈な個性を味わうという意味では、今作はすごく満足度が高い。 実写映像がグニャ〜と気持ち悪くシフトしたり、複数のショットが次々にモンタージュでレイアウトされたりといった、現代ではあまり使われなくなったクラシックな手法をガンガン用いる編集の数々に、さすがサム・ライミ、これぞサム・ライミ、何も変わっていない! という感動があった。 あらゆるジャンルを飲み込む勢いで拡大するMCUにあっても、さすがに「死霊のはらわた」や「スペル」のようなレベルのゾンビや地獄のような描写はしないだろうと想像していたら、何の躊躇もなかったのではと感じる勢いでその全部をやり切っている (そしてめちゃくちゃ残虐で怖い) というその強烈な作家性に驚き、同時に笑ってしまった。 作品公開時にMCUファンから、スカーレット・ウィッチのキャラクターの描かれ方がこれまでのMCUのそれと違い過ぎるという声があがったが、そもそもサム・ライミ監督は 「自分のやりたいことだけをやる」「(MCUの)これ以前とかこれ以降とかは一切気にしない」とインタビューで公言していたし、仕方がない部分もある。 監督が作りたいものを存分に作っているシーンやショットの撮り方や演出はバキバキに決まっていて、そうではない (MCUの今作以降の展開のために入れる必要があったクリフハンガー要素等の) シーンの撮り方や演出は興味がないのでむちゃくちゃ雑というその落差も含め、MCUファンはこの作品を広い心で楽しめるとより良いのではないかと思う。 https://filmarks.com/movies/82219/reviews/152626577

  • 深い谷の間に | The Gorge (2025)

    3.1/5.0 「ドクター・ストレンジ」「ブラック・フォン」を手掛けたスコット・デリクソンが監督を担ったSFスリラーで、「セッション」や「トップガン マーヴェリック」等に出演したマイルズ・テラーと「マッドマックス: フュリオサ」や「ラストナイト・イン・ソーホー」等で強烈な存在感を放っていたアニャ・テイラー=ジョイという2大スーパースターが主演。 今やハリウッドにおけるレジェンドクラスの俳優となったシガニー・ウィーバーも、ある重要な役どころで出演している。 ザック・ディーンが執筆した今作の脚本は、ハリウッドにおける注目脚本としてまとめられている「ブラックリスト」に登録されており、どんな物語なのだろうと大きく期待して鑑賞した。 誰も立ち入ることができず、外部との連絡手段もない山間に位置する深い渓谷 (The Gorge) の東側と西側に建てられた監視塔で、並外れた狙撃能力を持つ2人の主人公がそれぞれ極秘任務を遂行することになる。 その任務は、渓谷に潜む脅威を排除し、外部への影響が起きないよう状況を保守すること。 今作が2月14日のバレンタインデーに公開 (配信) されたことには製作者側の意図があり、SFスリラーでありながら、渓谷を挟んでそれぞれ孤独に過ごす2人の主人公のロマンスを描く物語としてまとめられている。 互いの接触を禁じられていた狙撃手の2人の間で、あるきっかけから双眼鏡と筆談 (とライフル) を用いたコミュニケーションが始まる展開が微笑ましく、マイルズ・テラーとアニャ・テイラー=ジョイの俳優としての魅力もあって楽しい。 ただ、極秘任務を遂行するプロフェッショナル達としての逡巡や葛藤といった心情描写が少なく、良くも悪くも今風でライトテイストな話の運び方だなとも感じる。 後半においては物語が急展開し、前半の静的なロマンスムードから一転して動的なアクションが中心になる。 渓谷の底にある脅威の正体についても分かってくるが、ちょっとその内容が意外性に欠けるというか、SFとしてのセンス・オブ・ワンダーが感じられず、その脅威のVFX描写も含めあまり驚くことができなかった。 演出のライトテイストは後半も同様で、基本に忠実で分かりやすい画づくりでありながら、よくできたゲームのデモ画面のような軽さもあり、うーんという印象。 ジャンルミックス映画という意味では面白い部分があり、2大スーパースターの豊かな演技力も観られて満足感があったけれど、果たしてこれが「ブラックリスト」に登録されるほどのハイレベルな脚本なのだろうか? という疑問も少し残ってしまった。 https://filmarks.com/movies/105178/reviews/191852295

  • Broken Rage (2025)

    2.7/5.0 北野武が監督・脚本を務め、ビートたけしが主演する60分強の中篇ギャング (ヤクザ) 映画で、前半はシリアスなバイオレンスドラマとして、後半は前半と同じストーリーをシュールなコメディとして撮るという実験的な構造の作品。 鑑賞前に今作の構造のアイデアを知った時には、さすが世界のキタノ、巨匠となった今でも新しい挑戦をするのかと感心した。 構造上は前半と後半の落差があればあるほど面白くなることが間違いないのだけれど、前半のシリアスなパートで惹き込まれる部分が多くなく、その語り直しとなる後半でも反転の面白さを多く感じることが難しかった。 北野監督自身が手掛けてきたヤクザ映画へのセルフオマージュも含めた約30分のショートフィルムとして前半を観た時に、今作は良くも悪くもライトテイストで、一般人が決して見ることのない裏社会の真に迫るような凄みがあまり感じられないというか… 後半のコメディパートについては、昭和〜平成時代の古典的かつ普遍的なギャグの面白さを何度か感じられたものの、さすがに現代では通じにくいのではと感じるシュールな時間もあり、でも突然キレキレな構図反転や劇的 (文字通りの意味で "劇" 的) な転換があったりで、どのような気持ちで観ればいいのか分からずやや困惑してしまった。 俳優として出演している白竜が何度か役を降りて笑ってしまっているシーンでは、その斬新過ぎるテイクの使い方につられ笑いをしてしまったけれど… 北野映画ファンの観客が今作に困惑し、失望する人も少なからず出るであろうことを北野監督が見越して製作したのかは分からないが、監督が自らのブランドイメージを破壊した (Broken) 後に再構築しようとしているのではないか。 コメディアンとしてのビートたけしと、映画監督としての北野武の両方を尊敬してやまない劇団ひとりや鈴木もぐらは、今作に俳優として出演しながら、この作品と監督の挑戦をどのように受け止めているのかを純粋に知りたい。 このように作品を色々と考察したり製作者の隠された真意を無理にでも探索しようとする映画ファンの行為や、製作者を神格化したり酷評したりといったことが起こる映画界の状況そのものすら、北野監督は破壊・再構築したいというか、笑い飛ばしたいのかも知れない。 伝説のクソゲーといわれる「たけしの挑戦状 (ビートたけし監修)」の有名な隠しメッセージ「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」を思い出した。 https://filmarks.com/movies/118312/reviews/191481032

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