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Cinema Review

  • Writer's pictureShoji Taniguchi

三体 | 3 Body Problem (2023)



4.7/5.0

SF界のノーベル賞とも呼ばれるヒューゴー賞を獲得している原作小説の三部作を読み終えた時、これほど巨大で圧倒的なスケールのSFはほとんど読んだことがないと度肝を抜かれたが、その物語が遂に実写ドラマ化されるということで、期待と不安が半分ずつで鑑賞した。


人類と他文明のファーストコンタクトについて描く映画やドラマはこれまでにも多く作られてきているが、この作品のそれでは、かつて描かれたことがなかったレベルの、背筋が凍るような未知の存在への恐怖が描かれている。

現実世界でいつかファーストコンタクトが起きるとしたら、もしかしたらこの作品と同じようなことになるのではないか… と信じてしまいそうになるほどの、これまでの典型的な地球外文明の描かれ方を遥かに超越した、圧倒的な説得力と恐怖がある。


原作に登場する主要人物が担っていた役割が複数の登場人物に分割されていたり、数百年を越える長大な期間に渡る三部作の全体を通して構成が大胆に組み変わったりしているが、結果的にそれが成功しているように思う。

原作未読の大多数の鑑賞者にとって、前提的な科学知識がなくとも物語に入り込みやすい再構成になっているので、ハードSF小説等に普段から慣れ親しんでいるタイプのSFファンはもちろん、そうでなくとも楽しめそう。


大長編の三部作を1シーズンで描き切ることは難しいだろうなと予想していたが、シーズン1の最後はものすごく微妙なところで区切られていて、特にクリフハンガー的な演出もないので、ここで終わり? という消化不良感が残る人もいるかもしれない。

原作において物語の規模が加速的に拡大展開していくこの続きを、ぜひシーズン2以降で描ききって欲しいと強く願う。

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