ラ・ジュテ | LA JETEE (1962)
4.6/5.0
伝説的SF映画とも言われるこの作品の、ほぼ全篇をモノクロスチル (静止画) の連続性とナレーションだけで構成するという演出に唯一無二ともいえる芸術性の高さを感じた。
あえて何もかもは見せない、聞かせない、説明し過ぎないことによって、映画というフレームの外の世界までを想像させる余地が鑑賞者の読後感に大きく残るであろうところにも感銘を受けた。
創作においては、制約・制御を最適に行うことで想像の翼が拡張・解放されていくのだということがよく言われるけれど、この作品はまさにその極北といえるのではないか。
90年代の名作SF「12モンキーズ」の脚本家がこの作品にインスピレーションを受けて物語を執筆したという前知識がある状態で鑑賞したが、なるほど確かに… と納得した。
インスピレーションというよりも、12モンキーズはほとんどこの作品を原作としたリメイクもしくは発展的創作なのだと理解する方が正確なのではと思えるほど。
仮にそう理解するとしても、12モンキーズという作品の素晴らしさと、それを形にしたテリー・ギリアム監督に対する自分の尊敬の念が揺らぐことはないけれど。
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