ミッション: インポッシブル / ファイナル・レコニング | Mission: Impossible - The Final Reckoning (2025)
- Shoji Taniguchi

- 9月1日
- 読了時間: 3分
3.7/5.0
ハリウッドを代表するスーパースター、トム・クルーズのライフワークとも言えるシリーズの集大成となるアクション映画で、もはやトムの座付き作家といってもいいであろうクリストファー・マカリーが脚本・監督を担っている。
これまでのシリーズに長く出演してきたヴィング・レイムスやサイモン・ペッグに加えて、シリーズ前作からの再演となるヘイリー・アトウェル、ポム・クレメンティエフ、アンジェラ・バセットといった一流俳優達が出演。
世界の命運を握る「鍵」を入手した主人公が、世界規模の核戦争=文明崩壊を起こそうとする存在に立ち向かう。
その存在とはAIで、打倒する方法はたったひとつしかなく、それができる人間も主人公しかいない… という、冒頭からクライマックスな展開。
シリーズ前作「デッドレコニング」から直結する脚本であることがその理由だが、前作を観ていないと話の筋が分からないということはない。
「ミッション・インポッシブル」といえばやはりアクションシーンがあってこそで、クリストファー・マカリーが脚本・監督を担うようになった「ローグ・ネイション (2015)」からは特に、最新作が公開される度にその規模や内容のとんでもなさで世界を驚かせてきた歴史がある。
何より、スタントを起用せずトム・クルーズ自身が全てのアクションを演じているというところが特色。
集大成となる今作でも、度肝を抜かれるようなシーンを楽しむことはできたが、さすがにこれまでのシリーズであらゆる危険なアクションを披露してきたこともあってネタ切れ気味というか… あっ、最後はこれぐらいの感じなんですね… もちろん面白いんですけれども… という、やや肩透かしな読後感が残ってしまった。
他の映画作品と比較すれば明らかに尋常ではないレベルの映像ながら、ミッション・インポッシブルという超巨大なシリーズにかけられ続ける期待の重さに、シリーズ自身が耐えきれなかったような印象。
アクションはともかく脚本が弱いというこれまでのシリーズの評価を受けてか、過去作で登場したマクガフィンや登場人物達のその後が伏線的に今回の脚本に組み込まれていて、ずっとシリーズを追いかけてきた自分としては楽しかったが、その経緯を説明するための単調な会話シーンのウェイトが大きくなってしまったことも、作品全体のスピード感やスケール感が不足してしまったことに影響しているように感じた。
また、トム・クルーズが演じる主人公とそのアクションばかりにハイライトが当たり過ぎていて、主人公が対峙する悪役の存在感が弱いところも気になる。
作中における真の悪はAIということで実体を持たないため描写が難しく、前作に引き続いて人間の悪役を演じたイーサイ・モラレスは色々と損な役回り。
とはいえ、このシリーズは良くも悪くも映画界におけるお祭りの一種ともいえるもので、その存在自体が映画史の中で重要になることは確実だけれど…
タイトルロールおよびエンドロールの「導火線」の演出は、シリーズを愛してきたファンの一人として、もっときちんとやりきってほしかった! そこだけはすごく残念。



























